第19回健康づくり公開講座「食の好き嫌い、脳科学で解消してみませんか ~食嗜好性の心理メカニズムを理解する~」を開催しました
令和7年9月20日(土曜日)に、第19回健康づくり公開講座を開催しました。
講師に、喜田 聡(きだ さとし)氏(東京大学大学院 農学生命科学研究科 教授)をお招きし、「食の好き嫌い、脳科学で解消してみませんか ~食嗜好性の心理メカニズムを理解する~」 と題し、ご講演をいただきました。
75名の方々にご参加いただきました。
公開講座の概要
1.食の使命とは、体を満足、心を満足、社会を満足 させることです。
食を楽しめているか?、食べたものは健康的であったか?、食事の種類に選択肢を持っているか?この3つの質問に対してすべてYes(はい)と答えた人は幸せな人が多いというデータがあります。おいしい食はWell-being (幸福)をもたらします。
2.バランスよく栄養を摂りましょう。
栄養が不足や欠乏すると症状が現れることが多い一方で、ビタミンA 過剰症など摂りすぎも良くない栄養素があるため、バランスよく摂取することが大事です。 また、DHA、EPA、αリノレン酸などのオメガ3脂肪酸はうつ病抑制効果があると考えられています。魚(特に青魚)はおすすめの食材です。
3.食は疾患の環境要因です。
偏食や好き嫌い等を含む食習慣は、生活習慣病、がん、うつ病、認知症などの多様な疾患の重大な環境要因となっています。食習慣の改善は疾患発症率を減少させて健康寿命を延命する近道であり、高齢化により増大する医療費の縮小にも貢献することは誰でもわかっていることですが、食習慣を改善することはダイエットが困難なように精神的苦痛を伴い簡単ではありません。
4.日々の食行動は「代謝制御(無意識的:カロリーや体が決定) 」と「認知制御(意識的:食嗜好性・食物価値) 」の2つの制御を受けており、脳視床下部(食行動開始・停止を命令する神経細胞)が担っています。
代謝制御では、エネルギーや栄養の要求性(生物が生存・成長するために必要な特定の栄養素を外部から摂取しなければならない性質のこと)に基づいて食行動を制御し、食物を過不足なく摂取させます。
認知制御では、食嗜好性(好き嫌い)に基づいて、食行動が決定されます。人間を含めた動物は甘味や旨味を好み、苦味や酸味を嫌うように食嗜好性は先天的に決まっています。一方で、子どもの頃嫌いだった食べ物が好きになるように、食嗜好性は後天的に、すなわち、経験・状況・文脈依存的に変化します。また、人間は別腹食い、衝動食い、もったいない食い、など生命維持には必要のない不思議な心理的な食行動を示します。他にも、お腹は空いているけど食べたくない(気持ち的にお腹いっぱい)「感性満腹感」を示すこともあります (⇔「感性空腹感」)。 認知制御は、環境・社会・文化・生物学的要因など多様な因子の影響を受け、食行動心理、さらには、食習慣の多様性をもたらす原因となっています。以上のように、我々の食行動とその積み重ねである食習慣はこの認知制御によって支配されていると言っても過言ではありません。
5.食認知制御基盤における食嗜好性の形成(ヒト社会心理学)
食嗜好性の形成には、上記で述べたように、代謝制御だけでなく他者の影響や文化的背景が複雑に絡み合っています。この食嗜好性の形成は、マズローの欲求階層説に基づいた食行動の欲求(満足)階層でも示すことができます。
参加者の感想(一部をご紹介します)
・何を食べたくなるかは様々な要因が関わっていることが分かった。食事の嗜好もマズローのピラミッドに当てはめられることが分かって面白かった。
・好き嫌いのメカニズムがまだはっきりとしていないことにびっくりした。好き嫌いを簡単に直すことは出来ないことを改めて感じた。
・魚をたくさん食べるとうつ病になりにくい。食についての研究を色々されている事が知れた。
・食に関して科学的に解明している所に興味をもてた。今後の食生活に活かせそうと思った。
・食経験に基づく食行動の意思決定メカニズムが印象に残った。一方、遺伝子の及ぼす影響はないのか気になりました。
・脳がおいしいと感じるメカニズムが脳の感性満腹感や記憶システムに深く関わっているという話は非常に興味深かった。
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