東中山台遺跡群(56)
東中山台遺跡群は、船橋市の西端、市川市に接する京成東中山駅北側の台地上にあります。現在までに60回以上の発掘調査が行なわれ、縄文時代、古墳時代、奈良時代、平安時代そして中世に至る人々の生活の痕跡が確認されています。
今回の調査地点は東中山台遺跡群のほぼ中央に位置し、平成25年7月8日~平成25年9月19日まで調査が行なわれ、調査面積は516.92平方メートルでした。今回の調査では古墳時代後半~奈良時代・平安時代前半の竪穴住居7軒が発見され、その中の1軒が9世紀後半の鍛冶関連工房であったことがわかりました。他よりもやや大きな遺構でカマドを持たず、炉壁(金属を加熱するための炉の破片)、ふいご羽口(ふいごはぐち:炉を熱するための送風装置の口)、鍛造剥片(鉄を叩く際に飛び散る微細な金属片)が多数出土したことから、金属の加工を行なう小規模な工房として使用されていたと考えられます。同様の鍛冶関連工房は市内では他に1例のみ見つかっており、今回の調査地から40m南東の本郷台7次調査で今回よりも古い8世紀後半のものと考えられます。また、周辺の調査地点からも鍛冶に関連する遺物が出土しています。これらのことから、今回の調査地点の周辺で活発に金属製品の生産が行なわれていたと考えられます。
住居跡
鍛冶関連遺構
鍛造剥片
鉄滓(てっさい)
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