第8回船橋市美術館運営等検討委員会会議録

更新日:平成26(2014)年9月10日(水曜日)

ページID:P031579

1 開催日時

平成26年7月28日
午後1時00分~

2 開催場所

 市中央公民館 第2集会室

3 出席者

(1)委員

  • 前川委員長
  • 大澤委員
  • 山田委員
  • 島津委員
  • 柴田委員
  • 倉本委員
  • 谷口委員

(2)事務局

  • 瀨上生涯学習部長
  • 田久保文化課長
  • 仲臺文化課長補佐
  • 松田文化振興係長
  • 鎌田主事 

4 欠席者

  • なし

5 議題及び公開・非公開の別並びに非公開の場合にあっては、その理由

議題

  1. 美術館コンテンツ事務局案の検討について 
       公開

6 傍聴者数(全部を非公開で行う会議の場合を除く)

なし

7 決定事項

第9回船橋市美術館運営等検討委員会の日程

8 議事

前川委員長
ただいまより、第8回船橋市美術館運営等検討委員会を始める。では早速議題に入る。事務局からどうぞ。

事務局
(資料について説明)※別添資料参照

前川委員長
今の事務局案のご説明についてご意見をいただきたい。中身でなくても全体的なイメージから、何か印象なりご意見なりあればお聞きしたい。では、まず私のほうから思いついたことをお話し申し上げたい。案そのものがまとまった形ではないなという感じがする。非常に単発的な案で、どこでどうつながってきて、どうなるというのが、わからない。活動の内容は、市民が何をしたいかという視点がない感じがする。あくまで活動されるのは市民の方なので、市民の目線で、どういう活動ができるのかという視点がいいのではと思う。細かいところを話すと、まず、最初のカフェについて、美術作品をカフェの中で展示するというのを私が出したと思うが、私はカフェで展示をするというイメージではなく、展示室でお茶が飲めるというイメージ。その展示室をオープンな形で開放させて、そこで皆さんが憩う、休むことができる。その壁に作品が飾ってあるというイメージ。オープンスペースというか、美術館全体を展示室にしてしまうというイメージもある。今までのように、美術品を展示室という一つの限られた空間の中で紹介をするのではなしに、美術館の中の、もっとオープンなスペースの中で鑑賞できるようにしたい。それから、ワークショップについては、もうちょっと新しいイメージがないのかなという感じ。講座とか講演会をここで明記すべきものであろうか、ワークショップと絡めた講座、講演会というのも少し考えていったほうがいいのかなと思う。私は、ここでは年齢によってのワークショップを、少し考えたほうがいいのかなと思う。特に母親と子ども、育児も含めたもの。今までの話の中で、育児サポートの話も出ていたので、その辺を絡めた活動を、もう少し前面に出してもいいのかなと思う。それから、アウトリーチ、対話型ギャラリートークについては、もううたうべきものではない。対話型ギャラリートークについては、既に古くなっている。継続してやっていくことは必要だが、売りになるものではない。それから、貸しギャラリーが、私は、ギャラリー全体は多目的ギャラリーという考え方をしている。個人的な考え方だが、ここで映像もでき、市民の方の発表の場にもなり、自主企画もできるというような、非常に多目的にいろいろ使える、展示室としては常設展示室以外は、ここだけという考え方。それから、常設展示室はもう差別化ではなしに異空間をつくりたい。また、映像ブースは、先ほどの貸しギャラリーの中でうまく組み込んでいければと思う。今回の具体的活動の中に、公募展の話が随分出ている。公募展をやることはいいと思うが、それに対する人材はどうするのかという、大変な問題が出てくる。人材と財政的な問題というのはかなり大きいので、よく考えられたほうがいい。それから、アーカイブについては、全体としてどうするかというのはまた考えなければならないが、「展示期間外の作品もWEBでなら見ることができる」ということが何を目指しているのか、よくわからない。ミュージアムショップのコンテンツのところで目的が書かれていて、「収益事業として運営しながら」とあるが、ミュージアムショップで儲けようという考え方なのか。

事務局
儲けようとは思っていない。少しでも収入があればと。

前川委員長
ここで画材を売られることによって、例えば市内の画材屋さんに対する影響力というのはどうなのか。公的機関で販売をやると、必ず市民業者の活動を圧迫しているという話が出る。この辺はどうなのか。

事務局
民業を圧迫することは、余り好ましくない。

前川委員長
それから、美術品の販売の話。画商と美術館の違いは、どう考えているのか。私は、売ること自体は別に悪いことではないと思う。しかし、例えば普通のデパートの催し物で売るのと、美術館で売ることに対しての、市民の捉え方が違ってくるので、その辺をどう責任をお持ちになるかという問題はある。WEBについては、そんなに目新しくはないとは思うので、先ほどのアウトリーチの問題などは、割合WEBで解決できる問題もあるかなと思っている。それはまたもう少し、新たな活動方向というものを示していくべき。WEBについて、前回山田委員から、美術館はネットの中の一つのコンテンツであってもいいのではという話があったが、その辺、ご説明いただければありがたい。

山田委員
前回のときの、例えばWEBであるとかネットの使い方のことで私が申し上げたのは、先ほど、事務局からの説明にも含まれていたように思うが、今までは、何かある施設をつくると、そこで一体何をやっているのかを広報する一つの手段として、ネットワークやWEBを使うことが、一般的なことであったと思う。私が前回申し上げたのは、そこをもっと本質的にかかわらせることができるのではないかということ。
例えば美術館、ミュージアムというのは、ほぼWEB上に全部の内容をちゃんと持っている。その上でそれが具体化された実物側というか、イデア側ではなくて、受肉した側として実際の施設があるみたいな、そういうことをきちっとくっつけられないだろうかということを、申し上げた。ここでもその部分は酌み取っていただけたのかなと思うが、例えば美術館で行われる事業というものが、ネットワークを通じることによって、補強されたりとか、続きがあったりとか、間が埋められたりとか、そういう形でもっと本質的に取り込む。つまり、実際の制作の手法から言うと、従来は、ある施設があって、ホームページぐらいつくらなきゃいけないから、業者に頼んでホームページをつくって、更新をできる形にしてもらおうと。そうするとブログツールでWEBサイトをつくって、担当の人が告知していく。それだと現代的ではない気がして、要するに新しいミュージアムは、自分のところで事業を展開するのと同じだけの労力、人的な資源を初めからWEBサイトをつくったりすること自体に差し向けてほしい。だから、当然WEBサイトのつくり方は、業者を呼んで、発注するのではなくて、自分たちのところで本体のミュージアムときちんとつながったものとしてWEBサイトも考える。そんな感じでつくったらいいのではないかという話。

前川委員長
皆さんご意見がありましたら、どうぞ。

倉本委員
私なりに船橋のことを調べてみたが、船橋は、公民館と児童ホームがすごく多い。これはどうしてだろうと。市川と比べると、子どもたちへの支援とか教育普及がかなり着目されて、盛んに行われている市なのだなと思った。その中で、工作教室があったり、ワークショップがあったりで、文化活動というか、子どもたちをいろいろな面からサポートしたり、大人たちも生涯学習として学んでいこうという姿勢のある市だなと感じた。そうした場合、船橋市に初めて美術館ができるわけなので、その役割というか、位置づけをきっちりとされることではないか。みんなワークショップの入り口はたくさん経験している。子ども美術館もそうだが、入り口はたくさん提供している。でも、それを育てて、積み重ねていくところがどこもない。そういうときに、きちっとした表現というものを見せることと、物と事をきちっと積み重ねていく。そして、山田委員の話のとおり、新しい一つの視点を持ってWEBのようなもので補完していく。やはり目指すところは、船橋で誇れる美術館をつくっていかれることだろうなと。
これから具体的なことを詰めていくことになると思うが、根底は、本当に船橋にある誇れる美術館を私どももつくっていただきたいなと。やはり教育として積み重ねていく一つのことが何なのかをちょっと考えたいなと思った。

山田委員
今、全体構想について、先ほど前川委員長から出た話で、多分一つのポイントは、これからやろうとしていることは、さまざまな部屋を持つ建物を建てることではない。これをどう認識するかだと思う。つまり、カフェがある、ギャラリーがある、そういうラベルを貼ったいろいろな部屋があって、それが立体的に配置されていて、迷わないようにそれぞれの部屋に名前が書いてあって、平面図があって、それぞれのところについて、この部屋はこういうふうに活かしていこう、この部屋はこういうふうにしようというようなことを、我々は考えているわけではない。カフェというのがこの場合一番最初に出てきているのは、多分シンボリックなことで、極端に言うと、全体がカフェの空間、そこにちょっとカフェの機能と重なりながら、少し違う空間が自由に行き来できるものとしてオープンにつながっている。つまり、ここでの貸しギャラリーと言われているものは、この線から向こうは貸しギャラリー、札のかかっているこの扉をあけると貸しギャラリーということではなくて、これは建築上のいろんな制約はあるかもしれないが、カフェからそのまま続いていくと、ステップインして入っていってしまう。それから、参加型のプログラムにしても、そのプログラムは3階の何とか室でやっているというのではなくて、カフェの同じ平面の中で、片隅のほうに行くと、自然にそういうプログラムをやっている場所に到達してしまうとか。本当はこういうのを考えるのは建築家とかデザイナーが一番得意なのだが、どうもそういうことに向いている話ではないかなと思う。ほかにも細かいことでいろいろ思ったことはあるが、とりあえずいろいろなことを事務局が、考えたことは大変よく伝わってきて、そういうことも考えられるなということが、いろいろ含まれていると思う。ただ、もとに戻すが、一番肝心なのは、たくさんの細かな部屋や施設の集合している建物を建てようということではなくて、恐らくこれは、「カフェ」というような言葉でちょっとシンボリックにあらわされるような、今風に言えば、建物というよりは、むしろメディアをつくろうということではないか。そこから、そのメディアのあり方の中に、スペースを貸すとか、人が来て何かに参加するとか、あるいは映像を見ることができるとか、情報をというようなことが順番に束ねられて、テクスチャーになっていくのではないか。だから、ある意味、運営の問題というのは非常に重要で、あるミュージアムと呼んでもいいような、そういうメディアをつくろうという方向が少しでもあれば、最も大事なのは、どんな人がどんなふうにしてそれを運営していくのか、どんなふうにしてそこでやる仕事のアイデアを出したり集めたり選んだりするのかということになってくると思う。さまざまな施設を持っている部屋をたくさん持っているある建物を建てるのであれば、貸しギャラリーは9時まで営業するから、9時半まで働く人を雇おうということでいいと思うが、それでは何だか新しくつくる意味がない。

柴田委員
今出してあるコンテンツより、余りほかでやっていない差別化された内容、アイデアを出して、市民も喜ぶようなものをつくっていかなくてはいけないと思うが、それが何に結びついているのか。奇抜なアイデアとか、ほかにないアイデアというものは出せるのだが、結局そういうものは、時がたつにつれて、陳腐なもので流れ去っていく。やはり時間を通り越すようなものをしっかりとやっていかなければいけないのではないかと思う。この美術館には何があるのと問われたときに答えるべきものということで、出してあるが、それの前にどんな美術館かということがあって初めてこういうふうな一つ一つのコンテンツの内容が出てくるような気が私はしている。運営方針というか、コンテンツというのだったら、全体のコンセプトとか方針を受けて、それを具現化して、いろいろなアイデアを出していくであろうという気がする。なので、いろいろ一つ一つのコンテンツについてアイデアを出すにも、どんな美術館にしたいのかという、大きなものが、最低限その辺は、事務局と委員会で出すべきものかなという気がする。一つ一つここにあるコンテンツを見ると、どこかの美術館でやっているとか、どこかの施設とかある活動団体とかでやっているような内容で、それを集めただけなので、インパクトとか、ほかと差別するとか、そういうものが非常に希薄だ。ただ雑多になって、そのパーツパーツでアイデアが出されていて、最終的にどういう美術館だと。倉本委員が言ったように、最終的には市民が誇りに思えるというものだろうと思う。それからもう一つは、現実的に考えると、スペースの面積とかもあるので、結局、入館者数がどれぐらいになるのか、逆に言えば、こちらがどれぐらいの人を目標としているのか、その年齢層はどういう人たちか。その辺も漠然としていて、普通の美術館とはやはり面積的にも随分小さいのではないかなと。それから、この設計を見ても、そんなに広い空間は余りない。どこから入ってどこから出るとか、そういう現実的なことも考えながら、目標が実現するのかということを考えなければいけないところかなという気がする。ここでの話し合いは、どんな美術館かというのをきちっと出して、その方針に沿って具体的な内容、具体的な運営という形になるのではないかなという気がする。

前川委員長
前回、メインコンテンツはどうするかという話で、それは今の段階では無理だろうということで、その辺を踏まえて、事務局でコンテンツ案を考えるよう話をした。美術館のミッションを、事務局で示されないと、これは何回やっても同じ問題を繰り返してくると思う。今の柴田委員の疑問に対して、事務局でどう考えているのか。

事務局
以前も平成18年度の運営方針を示したが、船橋の新しいアートの発信基地にしたい、それが一番大きいこと。しかし、漠然としたそういう言葉だと、なかなかイメージがわかないので、具体的に何をやるのというところで、今回コンテンツを事務局から提示させていただいた。多分、事務局案では、何がメインなのか、わかりづらい印象はある。あの狭い空間だからこそ、自由に使える真っ白なもの、区分けをしている個別の部屋ではなくて、時にはワークショップもできたり、時には映像のブースの活用もできたり、ある程度柔軟性を持った施設になる。それが今お話を聞いていた中で、目玉にも持って行けるものかなと感じた。

倉本委員
どうしても具体的になると運営と結びついてくるので、何か具体的なことを言ったときに、本当にそれが実現できるのかとか、運営まで考えた上での一つの提案なのかと。現場でいろいろ仕事をしている皆さんなので、思いつくことというのは、たくさんあるかと思うが、それを本当にいい形にしていくためには、運営予算とかの実態がある程度わかった上で発言することが非常に親切なのかなと思った。

前川委員長
この委員会としては、提言することが使命なので、実現可能か不可能かは別として、提言するしかないと思う。あとはそれを受けて、市で、予算をどれだけ取って、どう展開していくかということを考えていただかなければならない。しかし、具体的な活動も入れておかないと、最終的には、前の平成18年の提言書のように、柱だけでは事務局としては動けない。それが今日まで尾を引いてきた原因なのかなと思っているので、柱立てが非常に難しい、使命を考えるのが非常に難しいとは思うが、ある程度具体的な例も入れておきたいと思っている。

山田委員
質問だが、こういうのをミッションにしたらいいではないかという提言をしてもいいのか。例えば年間の事業やなにかにかかるお金は、やはり3,000万ぐらいは用意したほうがいいとか、運営は、窓口をやるような人を雇うようなつもりでいるのだったら、やめたほうがましとか、きちっと直営にして、そのために新しく人を雇った方がいいとか、提言してもいいのか。

前川委員長
ミッションについては、倉本委員から話があったように、市民の声をしっかりと聞いた上でつくるべきだ。だから本来は、事務局のたたき台の案が出てきて、今度新しい美術館はこういうミッションでやりたいんだというのが出てきた上で、「それは美術館としては無理」とか、「どういう活動をするの?」という話から本来は行くべきだと思うが、ミッションそのものもでき上がっていないところがある。この検討委員会の流れから行くと、コミュニティという感じになっていくのかなと思うが、やはり、そこも踏まえて事務局案を本当は提示してもらいたかったと思う。

山田委員
一般的に、例えば美術館というもののミッション、あるいは特定の文化的なイベントについてのミッションというのはもちろんあるわけだが、通常、行政の場合、その上に中長期のビジョンがあったり、提言があったりとか、何とかプランみたいなものがある。そのあたりのことも、本当はわかりやすく示していただけたほうがよかった。

事務局
船橋市は、「生き生きとしたふれあいのまちをつくる」という基本理念があり、それに基づいてそれぞれの各課がビジョン、ミッションをつくって、事業にそれぞれ落とし込んでいくことになっている。また、平成13年には文化庁から、各市町村で、芸術文化振興ビジョンをつくるようにという指示も出ている。それがまだ当市の場合は現実化していない。実現に向け、動いている最中。本来はそちらがあっての美術館の構想という流れが本当だと思っている。なので、美術館だけではなく芸術文化、全てのビジョンがまずあって、その中の具体的なコンテンツとして美術館があり、その中でまた何かが行われていくというのが本当の流れというのは、私たちも承知をした上だが、いろいろな条件が前後してしまっているので、今、美術館と振興ビジョンのほうが同時進行しているというのが本市の現状。「生き生きとしたふれあいのまち」を目指すために、文化政策をどうしなければいけないか、芸術文化振興ビジョンの中でこれからつくり上げていく。どうしてもそこが明確に出てこないので、美術館の話もいつもそこで壁にぶつかってしまうという印象になっている。その中で、「生き生き」「ふれあい」という言葉のイメージ、それと立地条件からすると、「にぎわい」がもう一つキーワードとしては出てくるので、そのにぎわいをつくるためにこういうことができるのではないかと考えた。私たちも美術の専門ではないので、こういうコンテンツとして今回出すのがやっとだった。

大澤委員
極めてシンプルな私の考え方は、この都市に類似の都市、あるいは規模の大きな都市が、それぞれの抱えているこういう問題についての知見とか、美術館がどういう形になるか、そういうことの資料は持ってないのか。

事務局
当然、近隣他市を調べるというのはよくあるので、他館を参考にしたものも、当然このコンテンツの中には入っている。

大澤委員
もっと具体性のある、年間どういうことをやっているんだと。それがサークル的に動いているのか、あるいはその年度ただ一回だけの催しなのか。この今日のコンテンツは、大体私も素人ながらわかるが、もうちょっと具体性のあるコンテンツをいただければ幸いだなと。それについては、要するに楽をして結論出そうか、できるだけ人の知恵を借りて何となくうまくまとめようということに落ち着いてしまうのではないかということも心配だ。

谷口委員
きょうの事務局案に対しては、具体的な方向に向かってのものが出てきたのではないかなと思う。先ほど柴田委員が言うとおり、この美術館に何があるのという前に、どんな美術館なのという質問のほうが先に来ることを考えれば、この1枚の紙に、頭にどんな美術館なのかというのをまず書いて、内容に移られたほうが我々もわかりやすかったのかなという気がする。あと、倉本委員から船橋での児童ホームの活動は結構盛んにやっているという話を聞いて、そうなのかなと。確かに児童ホームなんかでワークショップ的にいろいろなスポーツをやらせたり、絵を描かせたり、工作をさせたり、いろいろなことをやられている。結構そういう活動を船橋は重点的にやって頑張っているというのがわかった。そんな中で、私は今のところ、何だかここまで来たら、建物ができて、それから考えるしかないみたいな感じもするし、船橋で考えている美術館の構想とか立場とかに、我々委員の中でこれから提言していくことをプラスして、いろいろな部門との調整を図っていけば、「生き生きとしたふれあいのまち」の中での、市民が誇りに思える美術館はできそうな気がしてきた。
 
前川委員長
今、谷口委員から話があった市が考えている美術館というのは、どういうものか。

事務局
一言で言って、アートでまちを元気にという、その拠点になるのがこの美術館。拠点になっていくということで、広さというよりも船橋全域を美術館と捉えて、それの中心の基地になるための美術館というのが、今、事務局の中で持っているイメージ。それを、本当に一つ一つの言葉の定義を決めて、ビジョン、ミッションを出していくには、私たちの詰める時間もまだまだ足りないという印象がある。

島津委員
 今、市が考えている美術館、アートでまちを元気にというところが出た。アートでまちが元気になるというのはどういうことかと考えたときに、やはりまちというのは比喩であって、そのまちに住んでいる人々が何か活力を得るということ。どうしたらアートで活力が出るかといったら、やはりアートに自分が関係していると思わなければ出ない。そうでないと、あちらに高級なものがあって時々行くみたいな、自分たちと切り離した目線でいる限りはそれは活力源にはならない。それで、アートの線引きという話では、すごく上質な、高級な美術があって、片や自分たちがつくるワークショップとかがあって、どちらもいいと思っているのだけれども、全然その両方は違うものだと普通の人は考える。実際、違うけれども、もしこの美術館が中心地として活動できるのであれば、一つの方向性というのは「いいもの」。私、質は大事だと思うので、そのいいものと、自分たちがつくるものというのがつながる接点を見つけるなり、見せるなり、気づかせる媒体になるということだと思う。それが文化振興の役割なのではないか。その接点を示すというのがどういうことかというと、例えば自分がつくるものではなくて、アーティストがつくったものは確かにいい。だけど自分がつくるものもある意味いい。では、どこにその共通点があるのか、つながり得るのか、あるいはどこが決定的に違うのか、そういうことを見せていく場として、この美術館があってもいいのではないか。そういうふうに役割設定をすると、先ほど委員の皆さん方からいろいろと提案があった、個別にばらばらとギャラリーがあって、プログラムがあってということではなくて、一体的な活動をしていく中で、何かその一本芯みたいなものが決めやすくなるかなと思う。倉本委員が言うように、ワークショップとか児童たちに向けた美術のことは、船橋市はきちんと用意されているので、その受け皿が必要ではないかということだったが、その受け皿になると同時に、いいものがあるんだということを知らせる役割というのはやはり必要で、その両方をうまくつなげると、自分たちも関係あるものとしてアートがつながってくる。そこに立ち寄りやすさとか、何となく魅力があるとかということも有機的に結びつけながらプログラムを考えていき得るのではないかなと思う。具体的には、映像なり何なり、ここで提示されているものは良質なプログラムを組んで、利益とか抜きで、質を保つということを行い、その一方でワークショップ的な市民のいろいろな創作活動とかということとをつなげていくプログラムを柔軟性を持って組み立てることで、この美術館がアートでまちを元気にする、その中心地として役割を持ち得るのかなと考えた。この間、山口芸術情報センターに行った。芸術情報センター、メディアアートなので、一般の山口市民と何の関係があるのかということが大きいコンテンツとしてある。ことし10周年だが、最初の10年は、メディアアートというのは何かを示す場として活動したそうだ。これからの10年というのは、それを市民とどうつなげていくかを重点に置いて、そのための課を新しく1つセンターの中につくった。その部署は誰でも通れるようなホールに仕事場ができていて、透明なアクリル板で一応仕切りはあるが、外からも見えるようになっていて、メディアアートのところなので、3Dプリンタとかいろいろ持っている。そういうものを活用しながら、市民の生活とつながっていくことを考えるような課を新しくつくったということで、かなりはっきりしたコンテンツを持っていて、それを市民とどうつなげていくかというのを10年プランで考えているところは感心した。そこは、かなり公共スペースが多かったり、保育士のいる託児所があって、誰でも利用できるという、そういう工夫もされていた。

山田委員
私が思うに、この美術館はカフェ。カフェがメインのコンテンツ。だからカフェをつくる。カフェに来る人は昼間は子ども連れのお母さんとか、あるいは夕方になると高校生が来るかもしれない。夜になったら仕事が終わった人も来る。大学生も遊びに来る。そういう人たちに向けてカフェをつくる。それで、カフェの中に、カフェをより楽しむために映像も見ることができるし、いろいろなことを体験できるかもしれない。そういうカフェをつくるというのはどうか。そして、それはどういうカフェか。要するにカフェのスタッフが、誰になるのか知らないが、このカフェは自分で自分をデザインし続けていくようなカフェにするべき。メニューは誰か立派な人がつくってくれたやつをずっと使い続けたりするのではなく、実際に毎日自分たちの中身をデザインし続けるカフェ、これがもし実現できれば、そのカフェがカフェとして生き続けることは、十分に良質なものを常に示し続けることができる。なので、カフェをやる人たちは、当然これはデザイン力のある人、デザイナーとか建築家とかが実際にカフェでお客さんと出会うべき。例えばこんな状況を思ったが、昼間、子どもたちを連れたお母さんたちが集まって来ている。ことしのハロウィーンの後に何かパーティーをやりたい。何か集まりをする。そういうチラシや何かをつくろうかと。そういうチラシをどうやってつくったらいいのだろうと。でも、そのカフェに行くと、それがつくれるような機械があったり、これであんなものが本当にできるのと言うと、お茶を運んできた人が、こうやればできるし、こうやるともっとよくなる、あなたまずつくってみればと、つくったやつを、きっとこうやったらもっとよくなるよとか、ここまでいったらもう印刷したらどうかと、印刷屋さんいっぱいあるからこの中から選んで電話したらと、そんなふうにして、自分たち自身でデザイン力があって、そこに来るお客さんのデザイン力を引き出したり育てたりする、そういうものでいいのでは。そのためにこそ、ミュージアムショップでは、いいものを売らなくてはいけないし、作品もいい見せ方をしなければいけないし、というようなことが必然的に出てくる。それでカフェなので、退屈しないようにさまざまな事柄を考える。前も一度申し上げたと思うが、ワークショップは、非常に短時間でヒット・アンド・アウェイで薄く簡単に参加するものから、何年もかかってずっとビルドアップしていくような深い重たいもの、お金もかかるものまで、いろいろなものをやるべきだと思う。だから、そういったことが行われる、メディアとしてのカフェ。何遍も言うが、自分たちで自分たちをデザインして、よくなり続けるカフェ。そういうものをまちに投じるというのはどうか。というか、実はそういうことをずっと話しているような気がするけど。

柴田委員
子ども美術館で似たようなことを考えていた。あそこに一つカフェをつくったら、当然カフェで提供するプログラムは、食で考えてタイアップしてやるとか、それから陶芸だと全部出てくるものも自分たちでつくれるわけ。それから、染め織りでランチョンマットでも何でもとにかく全て、木のアトリエもあるし、いろいろなものを今に合った感覚で入れていく、そういうどこにもないようなカフェを絶対つくろうというのは、これはずっとスタッフも考えてきた。中には、スタッフが教えるというのではなくて、陶芸でつくった陶器を使って、そこでお客さんがコーヒーを飲む。そうすると定価よりも少し安く飲めるとか、そいろいろ構想はしていた。自分もカフェが美術館、美術館がカフェという、そういう一つのアイデアというのはおもしろいなとは思う。ただ、インパクトとしては強いかもわからない、実際その発想が、ある程度新しいアートの発信地みたいな、そういう狙いを考えると、もう少しその辺のしっかりした哲学みたいなものをこちらも用意しておかないと、ちょっと難しいかなという感じもする。

事務局
「カフェ」をうまい言葉で置きかえるようなものがあれば説明がしやすいというところと、コミュニティをつくるといっても、単にコミュニティセンターをあそこに求めているわけではないので、その辺が、より具体的なものでイメージができるものが何かないかなというところ。それと良質な芸術のための発展の場というところだと、今、芸術活動をやっている方にも支持されるかとか、そういう側面も考えていかなければいけない。ただ市民だけというより、芸術活動をしている方の基地的な部分もやはり必要ではないか、それをどう考えていったらいいのか。コミュニティセンターではないということがうまく切り分けられない。にぎわいの創設とか、豊かな情操教育の何かを持てるか、具体的に説明しにくい部分がどうしてもあるので、その辺、何かいい言葉なりアイデアをいただけたら一番うれしい。

前川委員長
私のイメージでは、カフェが表に出るというのは、やはり市の考え方としてはちょっときついと思うので、美術館のスペースでお茶が飲める、お茶を飲みながら鑑賞できることを一つの売りにして、そこを一つの拠点にしてもいいのかと思う。私は社会教育全てがコミュニティだと思う。各市にコミュニティセンターがあるが、ここはアートに特化したコミュニティセンターであるべきだと私は思う。アートを通じてのコミュニティセンターというのか。やはり美術館はコミュニティセンターでないと、ある意味がない。それでないから、今までの美術館は一部分の市民にしか益を与えないものだとずっと言われてきた。

大澤委員
カフェの必要性は、たまたま会場で会って、ちょっと一杯。そのときの話題は恐らく作品の話題やいろいろな話題があると思う。そういう意味の必要性。上野東京都美術館も国立美術館も、それぞれあれだけの広さの場所を持っているので、それがこのローカルの美術館で果たしてできるのか、考えようによってはいいんじゃないのという意見もある。だから、カフェの仕方については最初にいろいろと市当局からも恐らく意見が出るのではないかと私は思う。実際にその処理に当たる責任者からは不当な意見が出るんじゃないかと思う。必要性はあるし、私はぜひ設けてほしいと思う。

前川委員長
一番問題は、市民が主体性を持って、主体的に取り組めるかどうかということ。今までのように美術館が与えるものではない。市民がつくっていくものだと思うので、市民が主体的にどうやってつくっていくかを、どうやって仕掛けるかしかない。

谷口委員
企画とか運営とか、展示のこととか、かなりの比率で市民を巻き込んだ形で運営していかざるを得ない。例えばそれがNPOであったり、ボランティアであったり、友の会であったり、形態は違うが、カフェにしても、ミュージアムショップにしても、ワークショップにしても、市民が積極的に自分たちで考えて運営できる活動内容、それを市が手助けするような形でやっていくのがいいと思う。今のうちに船橋市で美術館をつくる構想があることを広く示して、何か手助けできる市民を募集するとか、美術館ができる前に友の会をつくとか、何かもっと市民がかかわれることを、もっと早くからやっておくべきだった。このままいくと、いろいろなまちにある既存の美術館がそのまま船橋市にできてしまうような気もする。カフェの問題も、市に対する了解を得たり話をするときに、やはり何かもっとまじめな、教育的な中での美術館というものを、ある程度話をしないといけないと思う。しかし、実際つくるのは、それがカフェでなくてもそういう考え方、発想の新しい美術館が必要なのではないか。私は市民の立場で考えるとそういうのが欲しいと思う。船橋市に我々市民が参加できる美術館があるんだ、市民が誇れる美術館ができたんだというのを、私はほかのまちに住んでいる友達にも言いたいし、いろいろな人にそういう発信をしたい。

前川委員長
事務局のほうでイメージは抱かれたか。

事務局
市民の方が中心となる美術館、それは本当に一番望ましいことだと思う。ただ、それを具体的にどういう形でやっていくのかということが大変難しい。

前川委員長
活動の内容については、今回出したコンテンツの中である程度押さえていると思う。具体的にこの中で何をやっていくかという問題は、これから出てくると思いが、この活動もいろいろ関連している部分があるので、その辺はもう一度整理しなければならないが、今までのこの委員会で出てきたアイデアも入っているので、私もこういう方向性なのかなとは思っている。ただ、これから問題になるのは、今までの既成的な美術館の概念というものを市の中で崩していかないと、話は進んでいかない。一番最初に私が申し上げたように、キーワードが3つあって、首都圏であること、後発の美術館であること、コレクションとお金がないこと、その中で何をするかというところでは、非常におもしろいところまで話が煮詰まってきていると思う。あとは表現の仕方、考え方。カフェをつくると言うと、やはりちょっと抵抗があるのでは。

島津委員
カフェというのは象徴であって、カフェとしての美術館、あるいはカフェとしてのアートセンターということかと。カフェが何を象徴しているのかを文言として検討したときに、もう少し行政向けにできるような言葉も出てくるように思う。

谷口委員
今まで船橋市はスポーツ振興をかなり強く、何十年も前から言っていた。これからは、芸術のまちなんだというのをやっていきたいという構想があると思う。船橋市には文化もあるんだ、芸術もあるんだということを発信するのは、本当に非常に有意義でいいことだと思う。

事務局
スポーツ健康都市宣言を先に打ち上げている。そのときに「文化・スポーツ」とならなかったので、ここで文化芸術のビジョンもできて発信できたらいいかと。それと、スポーツだけではなく芸術部分のポテンシャルが実は非常に高いので、そこのところをもっと発信できるのではないかという期待を持っている。だからそれを具体的にしていかないといけない。

谷口委員
美術的、芸術的な市民の気持ちは、美術連盟なんかを見て、かなり高いものがあるし、いろいろな文化活動をやられているのを、この1年、2年で見渡して、改めてすごいなと思っている。ただ、今の時点で船橋は芸術のまちと高らかに宣言できる段階ではまだないのかなと思う。美術館をこれからつくることによって、宣言できるときが必ず来るような気がする。

山田委員
中身は多分、いろいろ無いことがかえってよくて、と思うので、少しでも新しい中身の新しいやり方のものがつくれるのだとしたら、この美術館は多分、今のような方向でいくと、実際にどんな運営の仕方で、どんな市民の人が運営にかかわって、その中で自分たちの美術館をつくり続けていくことができるか、更新していくことができるかというのは、かなり実は重要な中身ではないか。何か新しい方法が見つかったらなと思う。前に申し上げたが、一つのキーワードとしては「オープンソース」という言葉を、ちょっと見ていただくと何らかのヒントがあるのではないかと思う。

前川委員長
あと、何か。今後の形だけ皆さんにご了解いただきたいが、きょうが8回目ということで、実はあと4回ぐらいで提言書をまとめなければならない。今日で話がある程度もう出尽くしたかという感じもあるので、少し早いが、事務局で提言書の素案をつくって、次回、その提言書の素案を議題としてたたいていきたい。できれば、その素案を事務局がつくったときに、今までのものを踏まえて、私がチェックし、このようなまとまり方ではないかというものをお出しできればと思う。あくまで素案の段階だが、そこで入れるべきもの、省くべきものを委員の先生方に意見をいただき、2回ほどそれで討議をして形をつくっていきたいと思っている。事務局は大変だが、提言書の形でつくっていただければと思う。とりあえず、考えているミッション、それからコンセプトとして、ミッションを受けた柱立てをつくり、そこに活動を入れ、施設をどのように使ってどうやっていくのかというところまで踏まえれば一番いいと思う。それと同時に、提言の中には重要な事項としていろいろなものを入れておきたい。例えば設置に至るまでの人材確保の問題。それから柴田委員からの姉妹都市との連携の問題。倉本委員からのNPOとの連携の問題。それから組織づくり、つくるまでの組織、体制をどうやるかという問題は非常に大事なことなので。それから全体を通しての育児サポートの問題。あとは財政的な問題。前回、財政的な問題として美術館運営はコストではなく経費だと認識してくださいという話があった。非常にいい提言かと思う。その辺も踏まえて提言という形で出しておきたいので、少し入れていただければありがたい。素案を一応形にして次回は見て、検討し、意見をいただくという形にしたい。1回で終わらないと思うので、2回ぐらいはやらせていただければ。ここでミッションをどうするか、コンセプトをどうするかとやっていると、多分委員の方々の意見が少しずれてくるかと思う。それは立場でいろいろあるし、細かい運営についても、やれればいいというイメージはあるが、どうやっていいかわからないというのが現状。その辺も踏まえてちょっと考えてみたいと思う。ご賛同いただければ、次回はそのようにさせていただく。柴田委員、どうぞ。
柴田委員
では一つだけ。市民の主体という話があって、今そういう活動をやっている団体があると思うが、これから継続していって、その団体が成長していくための仕組みづくり。そこが私は一番のポイントだと思っている。それが新しくないと同じ美術館にそのうちなってしまうと思うので、そこのところを入れていただければと思う。

前川委員長
ぜひ積極的に事務局のほうから各委員のほうにコンタクトをとられて、意見をいただければありがたいなと思います。では、吉澤野球博物館の件がありましたら、事務局どうぞ。

事務局
今後これから提言書をまとめてという話をいただいたが、この吉澤コレクションの活かし方というのも、提言の中には入れていただくような形になる。この所蔵作品と清川とのすみ分けとか使い方とか、その辺もご相談に乗っていただければと思う。
 
前川委員長
最終的には、この作品を美術館とどう関係させるかという問題が出てくるかと思う。
それでは、時間となったので、これで終わらせていただく。

 9 資料・特記事項

第8回船橋市美術館運営等検討委員会会議資料(下記よりダウンロードしてください。)

10 問い合わせ先

船橋市教育委員会 生涯学習部 文化課
電話:047-436-2894

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教育委員会文化課 文化振興係

〒273-8501千葉県船橋市湊町2-10-25

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