第4回船橋市美術館運営等検討委員会会議録

更新日:平成26(2014)年9月10日(水曜日)

ページID:P029995

1 開催日時

平成25年12月23日
午後3時00分~

2 開催場所

ふなばしアンデルセン公園子ども美術館

3 出席者

(1)委員

  • 前川委員長
  • 大澤委員
  • 山田委員
  • 島津委員
  • 柴田委員
  • 倉本委員
  • 谷口委員

(2)事務局

  • 武藤文化課長
  • 仲臺文化課長補佐
  • 安原文化振興係長
  • 鎌田主事

4 欠席者

  • なし

5 議題及び公開・非公開の別並びに非公開の場合にあっては、その理由

議題

  1. 「子ども美術館」を視察して
  2. 「調布市武者小路実篤記念館の特別展」について(報告)
  3. 「吉澤野球博物館資料他の受入れ」について(進捗状況)
  4. 今後の検討委員会の議題について 

公開

6 傍聴者数(全部を非公開で行う会議の場合を除く)

なし

7 決定事項

  1. 第5回以降の暫定議題
  2. 第5回船橋市美術館運営等検討委員会の日程

8 議事

 前川委員長
ただ今より、第4回船橋市美術館運営等検討委員会を始める。事務局から資料説明を。

事務局
本日はレジュメの他、吉澤野球博物館等についての資料、「椿貞雄と実篤」という、武者小路実篤記念館で行われた展覧会についてのパンフレットと目録、子ども美術館の資料とアンデルセン公園の資料を配布させていただいた。

1.「子ども美術館」を視察して

前川委員長
では議題に入る。議題の1番、子ども美術館を視察しての感想・質問等について。

谷口委員
設備面がかなり充実していると感じた。また想像以上の利用者がいて驚いている。市の中心地からかなり離れているので、子供がいなければなかなか来ないようなところだが、もう少し工夫すれば大人も楽しめる施設になるだろう。子供たちが楽しそうに活動していて、生きている美術館だと感じた。

大澤委員
予想した以上に来園者数が多かった。美術館とは言うものの、展示という面から見ると少々惜しい気がする。

山田委員
どこか雑然としていてものすごく面白い施設。非常に長い時間をかけて細部まで作りこまれて今の姿になったものと拝察する。船橋市が現在まで既に力を注いで作ってきて、更に今も力を注いでいるからではないかと感じる。子ども美術館として展開する事業等について、どれくらいの予算規模で資金が投入され、どのような内訳になっているのか。また、人的なリソースについて、色々な雇用形態の方が居ると思うが、どの様に確保しているのか、どの程度の人材がどれほど居るのか知りたい。

島津委員
何となく美術館のイメージがあったが、実際は総合的なアートセンターという感じ。子供を中心にして演劇から版画、その他の制作物まで幅広く実際に作っていくことに、非常に実務的に対応ができている印象で、なかなか面白い場所。この場所はこのまま船橋市が育てて、発展させていけばすごく良いのではないか。またこういった展示室がどういう形で活用されているのか、子供たちが作ったワークショップでの作品などが展示されているのか、それともまたほかの色々なことに利用しているのか。山田委員と近いが、公園緑地課がどういうふうにここを管理運営しているのかということをもう少し詳しく知りたい。

前川委員長
今回拝見して、子供対応はこれで十分じゃないかという気がする。新たな美術館の役割の一部としてこの施設との連携機能も必要かもしれないが、ここは十分よくやっている。ただし教育委員会の管理ではないため、市内の小中学校との連携をどのような形でやっているのかを伺いたい。また、組織構成・人数構成がどのようになっているのか、どこが管轄しているのか、予算に伴う年間の活動がどのような形で行われているのか、子供の作品をどのように活用しているのか。柴田委員、倉本委員からお答えいただきたい。

柴田委員
了解した。まず小中学校との連携について。これについては「夢アート展」として、授業内で取り組んだ作品の展示を行っている。大抵夏にこの会場を使って行い、子供と保護者が見に来る。また小中学校の美術の先生方の研修をここでやったりする。今年は陶芸のアトリエに作家を呼び、中学の美術教師の研修を行うなど、できるだけ関係をもとうとしている。それから小学校の校外学習としてこの公園とアトリエを利用してもらっている。宣伝等の効果により現在市内の小学校では7~8割が利用しており、中でももっとも近隣の豊富小学校については授業としてどの学年も年に必ず1回はアトリエを使ってくれている。アトリエを利用する団体の多くは小学校・幼稚園であり、年間300団体程度である。次に予算について、私が居たときの最後の年が年間トータルで約2億円だった。

前川委員長
公園も含めてか。

柴田委員
含めない。アトリエの材料代というのはお客さんからとっているが、消耗品や人件費、光熱費すべて含めて美術館だけで2億円である。次に組織については、指定管理者制度により公益財団法人船橋市公園協会が運営をしている。私は県の職員なので、市の教育委員会に入り、そこから派遣されたという形で勤めていた。これまで美術館長は中学校の美術教師が務めた時期がかなり長い。構成メンバーは、プロパー・純然たる公園協会の職員は現在の所2人くらいで、準職員を含めると3~4人くらい。20名程度のアトリエスタッフはほとんどが臨時職員。長いスタッフは何年もやっている。土日祭日、夏・冬休みはそのほとんどにアルバイトを充てており、土日のアルバイトは約20名。中心は美大の生徒であり、芸大、武蔵野、多摩、東京造形等、近隣在住の子が大学に行きながらここでアルバイトをしている。スタッフとアルバイトについては、ある程度美術関係を専門としている子がいるが、指導者としての経験がほとんどないという問題がある。組織としては以上のような構成で運営している。子供の作った作品は材料費をとっているためほとんど持ち帰りであり、それについて展示をすることは今のところない。在職中にそのような年間計画を企画したが、現実的に難しく実現できなかった。美術館の入館者数はカウンター計測で年間に約20万人。その内アトリエを実際に使って物を作った子供が概ね9万人。公園全体では、去年が57~58万人くらいの入園者数である。

倉本委員
美術館という名前がついているが、美術館法や博物館法に則った美術館ではない。あくまでも公園の中にある一施設として、この自然の中で子供の想像力を育むという考え方で作られた。公園で遊んでから美術館に来て何かを作る、30分から1時間もかからないで作って持って帰りたいというニーズがある。さほど長い時間をかけられないためどうしてもクラフト的なベースに様々なものを付け、装飾性の高いものを持ち帰るというケースが多くなる。2階の展示室では子供たちに刺激を与えることを目的として、選ばれた若い作家・熟練した作家の展示を行う中で、生の表現活動を見せ、子供たちと一緒になってワークショップを行う活動を年に4回行っている。その部分は外注として、私どもで請け負っている。

山田委員
全体のフレームは判った。利用料の徴収や公園の入園料等の収入を差し引いた、実際の市の出費、指定管理料はどれくらいなのか。

柴田委員
私の記憶が間違っていなければ、美術館を含む公園全体で年間約3億円だったと思う。

山田委員
もう一つ、指定管理は通常「~だけは必ず行うこと」というような仕様に基づいた注文があり、その上で余った時間と施設を使って自由な事業をやっている。この美術館の場合、市からの仕様の中に事業的な内容は入っているのか、それとも全ては自主的な事業なのか、全体としてどのような比率になっているのか。

柴田委員
美術館単独としてではなくアンデルセン公園全体としての仕様となっているので、その中の一部分としてではあるが、かなり細かいところまで市から指定されている。こちらで自由に企画できる範囲は限定されている。

山田委員
一般的に指定管理はそのような形になるのが必然的である。自主的にやっている部分の割合は少ないということか。

柴田委員
確認しなければ正確にはわからない。

山田委員
自分も指定管理の現場にいるが、自治体によって指定管理に対する基本的スタンスが色々あるため、こちらがどうなっているのか質問した。美術館を考えるときも、「市は指定管理というものをこのように捉えている」という、コンプライアンス的なところも含まれた考えがベースとして大切になってくるので質問した。

柴田委員
公園協会の組織自体、上層部の管理職が市からの派遣であるため、協会独自の何かをどんどん入れていくという状況にはなっていない。指定管理の制約もかなり細かく出ている。

前川委員長
教育委員会が直接運営していないことで、やりにくい等と言った活動上の支障はあるか。

柴田委員
そこが非常に問題。普通美術館というと教育委員会の管轄であるが、ここは公園緑地課である。美術の色々なことに制約ができてくるため、美術館としてはやりにくい面もある。ただ予算面では、長い歴史を考えるとある面では良かったのではないかという気はする。結果から見れば、公園協会が運営してきたことの利点として、利用者数が非常に伸びてきたということが言えると思う。岡崎(おかざき子供美術博物館)や浜田(浜田市世界こども美術館)などの他の同様な施設と比べて、船橋の子ども美術館は利用者数だけでもかなり多い。そういう意味では、船橋は教育委員会でなかったために違った方向でやってきた、その結果のひとつとして入館者数の伸びがあるのだと言えると思う。

倉本委員
教育委員会管轄ではないので学芸員を置かないという考え方。偏見だと思うが、学芸員を置くことでの内容の偏りや、運営に対する考え方の違いによって思惑とは異なる方向へ進んでしまうのではないか、という考えが当初からあったようである。

前川委員長
それは市の方にそのような懸念があったということか。

倉本委員
公園協会からの話しか聞いていないので、それが市の考えかどうかはわからない。私は外注で受けているので、あくまでも公園協会の姿勢を伺ってきた中での話である。

柴田委員
子ども美術館を作るときも同様に検討委員会というものがあった。その議事録を読んだ中では、学芸員になると人件費がかさむという意見があったはず。議事録の中でも最初の方では、もし必要であれば、今あぶらののりきった学芸員を非常勤としてもってくれば良いのでは、といった話も頻繁に出る傾向があった。しかしここのねらいは展示ではなく、何もないところから子供たちが自然体験を通して自由に作っていくそのこと自体であり、その延長で運営をしていきたいという考えに至ったようである。

前川委員長
予算面は想像以上に潤沢で、私が居た佐倉市立美術館よりもはるかに多い額でびっくりした。ただし美術館としては、展示・鑑賞という部分がどうなのかと感じる。また、小中学校の子供たちを誘致するにあたり、教育委員会でやっていないと非常にやりにくいのではないかと思う。ただし美術館の運営が教育委員会のもとに来たとしても、小中学校の教員は子供たちを連れてきたがらない。公園が魅力的だから来ている部分があるのだと思うが、果たして美術館を目的に来る子供たちはどのくらいなのかという点が疑問。

柴田委員
鑑賞という点では、それに耐え得る作品の収集や監視に要する費用が相当かかる。私も時々そのような作家を入れたりしたが、常時監視をつける予算が無い。そのためプロの作品鑑賞というよりもワークショップを中心とした活動をせざるを得ない。あとは子供の作品から優秀作品展みたいなものをやることで、そういう環境に子供を触れさせるというような方向に進んできている。学校との関わりについては、例えば小教協や中教協と言った、月に1回の先生方の研修の場としてここをできるだけ活用してもらい、つながりを作ろうと試みた。また、スタッフの技術向上においても、学校の先生方を呼んで行うという機会を取り入れた。ただし教育委員会からそのような形で入ってくることについては開かれていない。非常にルールも厳しく、この場で何かをやるということにしても大変な思いをした。中心スタッフが臨時職員であり、専門とは言え大学までの技量である。更にはそういうものをそもそも持っていない者もいる。また、元館長の内何人かは現場に帰っており、そういう先生方が美術館学習という形で動いている。

前川委員長
美術館の利用だけを目的に来る割合はどのくらいか。

柴田委員
美術館だけというものは調べていない。大方は公園で遊んで、その流れでこちらへ来る。美術活動に本当に関心のある親子を対象とした企画も行ったが、うまくいかなかった。横浜や子供の城等を利用している家庭が来ても、十分耐えられる設備と内容があると考えているが、そういったニーズは少ない。子供は大人と違って完成されていないので、ここに遊びに来るそういった時期の子供たちに、美術の面白さ等を通して考えるきっかけや刺激を与えるということも非常に大事な役割と考えている。最初のコンセプトの中に、牧野 圭一氏のような比較的大衆的なイメージ・発想があった。そういった開かれた感覚を大事にしながら美術のおもしろさを理解し、ひいてはそこから専門的に美術にかかわっていくという展開も視野に入れた運営だと捉えている。

谷口委員
子ども美術館の対象は小学生なのか、中学生まで含むのか。

柴田委員
特に定めていない。今の流れとしては年々低年齢化しており、これはどこの子ども美術館も同じ傾向にあるようである。

谷口委員
アンデルセン公園の利用者層と子ども美術館のそれが大体同じということか。

柴田委員
同じと言える。小学校高学年や中学生になるとクラブ活動や部活動が土日にも入ってくるためほとんど来なくなる。大抵は小学校の3、4年生くらいまで利用していて、下はどんどん下がっていて2歳~3歳くらいからの利用がある。

谷口委員
工夫次第で中高生まで利用を広げられる美術館になる気がする。立地条件や公園自体の性質もあるため難しいだろうが、少々もったいない施設だと思う。

柴田委員
中高校生あたりが入ってくれば、またガラッと変わってくるとは思う。

前川委員長
これからは高齢者こそ対象として捉えていくべき。染や陶芸なども高齢者がやりたがるものだと思う。子ども美術館という名称のため高齢者の受入れが難しいかもしれないが。

倉本委員
「大人のアトリエ」という形で行っていて、クラフト的なもの等に取り組んでいる。最近は本当に高齢者が増えてきている。公園協会も視点としてはその要素を考えている。しかしウィークデーに人が少なく、土日や休日が一番賑やかで入場者が多い。結局ファミリーで来るか、高齢者同士で散歩を兼ねて来るというようなパターンがある程度きまっている。ファミリーでは、例えば2歳の子がいればお兄ちゃんが5歳で、親子3人でワークショップを一緒にやるという傾向が出てきてしまう。これについてはある種特殊な環境と思っている。私は外から見ている立場なので内部のことはある程度しかわからないが、やはり運営に関して矛盾を感じることは多々ある。しかしそういった現実の中で一番良い方法を示していくしかない。

山田委員
美術館のワークショップ的な活動の中で、中学生や高校生というのは非常に難しい部分であり、実際にはほとんどがうまくいかない。教育の仕組みと噛み合わせて考えるならば、例えば、都心の中学校で美術の教員数減少に伴い非常にたくさんの学校を掛け持ちしているという現状に対し、それを補うものとしてこのような施設を組み合わせるということであればある意味成立するとは思うが、それ以外では非常に難しい。ワークショップの対象は小学校の高学年くらいまでが良いところで、下の方がおそらく3、4歳くらいから。子供は3歳と4歳の間に、また9歳と10歳の間に非常に大きな裂け目があり、大きく3つか4つの層に分けて実施すると上手くいく。私の勤めているところだとそれをやって大体25年くらい経つ。最近は小学生時代に参加した子供たちが大学生になってアシスタントとして戻ってくるということが起きている。ワークショップ的活動は、年齢によって内容が非常にはっきりと分れる面がある。しかし同じテーマに対して年齢層の幅を比較的広くとることも可能。この施設は子ども美術館という名前ではあるが、美術館の色々な機能の中でワークショップ的な機能を既に担当している。だからその部分については、船橋は新たに何か施設を考えたりするよりも、ここをもっと教育と連携させて、発展させていくべき。少なくとも教育委員会ともっと関係させる必要がある。

谷口委員
目黒美術館はワークショップを盛んに行っているというお話だが、そこでの対象やワークショップの占める役割等を伺いたい。

山田委員
目黒美術館ではワークショップという言葉を、さほど実技的なことに限定していない。講演会や展覧会を見て話をしたりすることも含む。対象も子供から大人であり、ここ数年は実験と言っては参加者には申し訳ないが、できるだけ家族で一緒に参加してもらったり、ある程度年齢層の違う人たちがひとつのグループを作るようにしてみたり、または、先ほど出てきたアシスタントになる大学生くらいの子にも参加者としての役割を与えたり、そのようなスペクトルの広い年齢層の部分をつくることでどういうことができるのかを試みている。ワークショップは決して子供だけのものではない。むしろ年齢と関係なく色々なことができる可能性がある。先ほど鑑賞についてはどうなのかと言う意見があったが、むしろ鑑賞はやらなくてもいいのではないかと思っている。その部分はやめて、もっとワークショップ一点に力を注いでいった方が良いと思う。

前川委員長
鑑賞に関する質問をした意図は、ここで鑑賞事業をしっかりやっていけるのであれば、もう新たな美術館の必要性が無いと思ったため。子供を対象とした普及活動が非常にしっかりできている中で、新たな美術館を運営するとすれば、こことどう連携していくか、またここでやっていない活動は何かというところを想像していくことに意味があると思う。子ども美術館の活動状況をしっかりと分析し、その上で更に新しい美術館が必要なのかどうかというところに焦点を当てるべきと感じたためお聞きした。

2.「調布市武者小路実篤記念館の特別展」について(報告)

前川委員長
それでは2番目の議題に入る。調布市の武者小路実篤記念館の特別展についての報告を、事務局から。

事務局
お手元の資料は今年の10月26日から12月1日まで、調布市の武者小路実篤記念館で行われた展示「『画道精進』椿 貞雄と実篤」の目録とパンフレットである。船橋市から市指定の文化財を含め美術品が22点、写真等の資料が21点の合計43点の所蔵品を貸し出した。椿貞雄が岸田劉生、武者小路実篤らと出会ってからの半生を追いながら、作風の変化等を捉えていくような内容になっていた。目録の最後の部分、「所蔵先」の中に船橋市と書いてあるものが貸し出しをしたものである。

前川委員長
このことについては他になにか。

事務局
前回、簡単なチラシをお渡ししたと思うが、委員さんの中でどなたかご覧になった方が居れば感想なりをお聞きしたかったというところ。いつも倉庫に保管されていて滅多に見る機会のない椿の作品・資料が展示されていた。

谷口委員
「所蔵作品船橋市」と書いてあるものがほとんど清川コレクションということか。

事務局
今回貸し出しをしたものは全て清川コレクションである。

前川委員長
展覧会の反響はどうだったか。

事務局
会場が調布市であったが、船橋市や市川市から来場された方も居り、また来場者からの評判が良かったことから、市で販売している椿貞雄作品のポストカードも施設内で販売していただき、完売した。

前川委員長
船橋市民の中での椿の認知度はどのくらいあるのか。

事務局
さほど高くはない。知っている人は知っている。

前川委員長
全国においても、悪い言い方をすれば岸田劉生の亜流だと言われ続けた人なので、椿のことを知っている人の方が少ないと思う。船橋では椿の名前を広める活動を何かしているか。

大澤委員
ほとんどないかと思う。

谷口委員
市民ギャラリーで何点か椿の作品がかかっているのを見たことがある。また新聞の地方版で、船橋で椿を含めた清川コレクションの何かをやるというのはみたことがある。しかし、恐らく一般市民の方は椿貞雄の名前すら知らないと思う。

大澤委員
私も市に転居してから美術連盟にすぐ加入したが、展示された記憶はない。

前川委員長
おそらく千葉県美術会を最初に組織した時の中心人物だったので、県の方では知られているかもしれない。山形に行くと割合ポピュラーな作家。

谷口委員
米沢?

前川委員長
米沢。そこの作家だったと思う。何かこれから美術館活動をしていこうとすれば、椿の名前を広めていく必要があるかと思う。例えば、岡山の成羽(なりわ)という小さな町があるが、そこは児島虎次郎という作家が出たところで、そこでは小学生に児島虎次郎賞という賞を出すコンクールをやっていた。それで子供たちは名前だけは知っている。そういうことをやっていかなければ広まらないかもしれない。

谷口委員
例えば市展で、椿貞雄賞を作るとか。

大澤委員
そのような必要があるなら検討の意味はあるかと。

谷口委員
直木賞なども直木三十五の名前を知らないまでも、大きな賞だということは広く知られている。清川コレクションを展示する際に、それらがどれほどの期待を持って迎えられるかという点が疑問。

大澤委員
機会があれば相談してみる。

事務局
椿貞雄の作品群は清川コレクションの中核を成すもの。この画家をどう前面に出していくのか、その仕掛け等を考えていけたらという思いはある。

前川委員長
市の指定文化財になっている以上、周知させる策を考えていく必要がある。

3.「吉澤野球博物館資料他の受入れ」について(進捗状況)

前川委員長
では3番目の議題に入る。吉澤野球博物館資料受入れの進捗状況について事務局から。

事務局
まず、改めて吉澤野球博物館の野球資料、美術品、土地・建物については、全て寄贈いただくという方向になったことを、最初にご報告させていただく。この決定を受けての今後の見通しについて、野球資料についての評価方法は追々検討していくということで、26年度はまず美術品についての評価を行う。27年の夏に資料及び土地建物の寄贈を受け、それ以降に建物の調査に入る。調査の後、仮にあの場所で美術館・博物館としてそのまま活用することとなった場合、最短で進めば、27年度中に設計方針を固めて予算要求をし、それが通れば28年度に設計、29年度に工事、30年度に完成・公開という流れが考えられる。

前川委員長
確認するが、建物・資料は全て寄贈いただくということでよろしいか。

事務局
よい。前回視察の際、吉澤野球博物館代表理事から「市に寄贈した場合、野球資料の活用方法について、行く末が心配だ」とあったが、それを受け、改めて市長・副市長が先方の意向を聞き、すべていただくという結論を出した。その中でこれはもらう、これはもらわないということは難しいということでの今の状況である。

山田委員
土地建物の評価はどのくらいか。

事務局
評価は寄贈後に。

山田委員
金額的にはおそらく土地建物の方が(美術品群よりも)高い。土地建物に十分すぎるほどの価値があるのであれば、おそらく納税者はさほど気にしないと思う。美術品の受入に先立っての評価ということであり、そのまま鵜呑みにして受入れるべきではない。真っ当な順番を踏む方が良いのでは。

事務局
公の美術館が持つにあたって作品の来歴をきちんとさせなければならないというのは重々承知している上での今の状況であるため、これについては今後も調整・検討していく。

前川委員長
最終的には市で判断すること。評価をした後に問題がでてくる可能性についての対策だけは考えておいた方が良い。野球資料については公開の仕方をどうするか。視察の日にすべての委員の方からお話があったように、非常に面白く貴重な資料だと思うが、あまりにも市と関係がなく、野球の中でも非常に偏った部門であるので、どうやって見せていくかということも検討していく必要がある。

4.今後の検討委員会の議題について

前川委員長
では最後の議題、今後の検討委員会の議題について。本日の視察を経て出された意見を踏まえ、新たな美術館としてどういう活動を行うべきか、次回以降の議題として考えたい。活動全体を踏まえ、もう少しキーワードやポイントを絞っておきたい。

大澤委員
(美術連盟内では)美術館というものに関心はあるようだが、積極的な話は出来ない。もう少し具体性があれば話の糸口が出てくるかと思う。

前川委員長
美術連盟の全面的なバックアップがないとやりにくいだろう。事務局は美術連盟へもっとPRした方が良い。

山田委員
一つ目に収蔵品について。美術館ができたときに収蔵品になるかもしれない、あるいはなるべきものが、果たして十分美術館としての存在を示すようなものに成り得るのか。収蔵されるべきものがどんなものなのか、そしてそれらが集まったときにどういう役割が果たせるのかということは考えなければならない。関連して、子ども美術館が既にもっている様々なポテンシャルに対し、新しい美術館が果たすべき役割は一体どんなものかということも併せて考えるべき。二つ目に、地元の作家たちについて。どこでも美術館を作っていくときによく関係してくる話だが、美術館そのものの性格とは別に、船橋市は地元で創作活動をしている人たちに十分な展示スペースを提供できているのか。現在既に十分なのか、皆満足しているのか、ギャラリースペースという役割も美術館の中に必要なのではないかということ。三つ目に、建築物としてのハードウェアの輪郭が、本当にもう動かしようがないのか。もし建築物についてほとんどすべて決まっていたとすると、かなり色々な制約を与えることになるのではないかということで、ハードウェアとしてのありかたについて、というあたりから先のことを考える必要がある。少なくともまず新しい美術館が果たすべき役割については、もちろん市にも事務的な考えがあるだろうから、もう少し話を聞かなければならない。

島津委員
鑑賞というキーワードでもし考えるとすれば、最初の収蔵品というのがどういう風になるかというところを具体化する必要がある。吉澤野球博物館の美術品がすぐ収蔵品になるのかどうか。こちらの子ども美術館に無いものとしての鑑賞教育を担っていく場合、鑑賞の根幹となる資源が収蔵品になるのか。それともギャラリーとしてその時々でいろんな人たちが作ってくる新しいそれを鑑賞していくのか。また立地条件を踏まえ、あの場所で人をどう動かしていくか、小中学生をどう連れてくるのか、どのように鑑賞教育を続けていくのかということを考えていくべきかと思う。

倉本委員
既に船橋に文化施設がいくつかある中で、文化発信をどのようにしていくのかという大きなテーマに、新しい美術館構想がどのような役割で入っていくのかをまず議論していくことが必要。子ども美術館のコンセプトが、周囲の自然があってはじめて生まれたように、建設予定地にある地域性・固有性の中で生まれる形、地域との関連性が役割の中に入ってくるのではないかと思う。あまり固定化せずに一つの文化発信基地としてあの地域性を考えた上で役割を考えていけばよい。次回以降は固有性の役割、全体の中の関係性を具体的に議論していけば良いのではないか。

柴田委員
まず運営はどこがやるのか。指定管理だとすればそこが色々とアイデアを出し、より魅力的な運営を市民とできるような形が望ましいが、あまり細かいことまで規制してしまうと、手足を縛ってしまいうまくいかない。ある程度任せないとその良さが出て来ない。また、予定地近くの本町通りは若者たちがいっぱい居るが、片や予定地に隣接した勤労会館はお年寄りばかりが利用している。やはり若い人たちの利用がないとなかなか活性化していかない。どこを狙ってやっていくかという話になる。あとはこの収蔵品に十分な価値があるだろうかという問題。作家の知名度もあまりない。ただし熊谷文利さんのコレクションもかなりあって、若い人たちが見ても非常に面白いと思う。最近よく夜をターゲットにした企画があるが、あの場所なら夜に若い人がくるお店がいっぱいあり、気楽に身近に普段着で、ということも一つできるのではないか。次回はいろいろと条件に応じて具体的アイデアを出してはどうか。

谷口委員
船橋は若者が多い。新しい美術館が若者たちの拠点・情報発信の地として作用することで、より若者が集まりやすい町になるという期待をしている。ただし制約がかなりあるのであればその部分を明確にしてほしい。市側にも意向があるはず。それを聞きたい。

倉本委員
以前お聞きしたときに、建物についての見直しは可能だということだったはず。

事務局
内部については。基本はあれを活かす方向でこの運営検討委員会を立ち上げた。ただ、あれではおさまらないといった意見があればということでそう言ったかと思う。

倉本委員
やはり今の時代は白紙に戻すケースというのが非常に多い。基本設計費用が無駄になるが、だいぶ前に作ったプランであり、運営体系が変わってきたこと等から、後々のことを考えてもう一度白紙に戻してハードの部分を作り直す。その点についても、きっちりと確認をしたい。

前川委員長
それについては活動の中身を決めていく中で、あの施設ではどうしようもないという判断になった場合、新たなものをという流れになるのではないかと思う。今あの設計に囚われてしまうと、活動自体も考えられなくなるので、まず理想的な活動を考えていって、それから現状の設計について判断していければというところ。また、指定管理として考えると現在の設計では難しいと思う。今現在、公立の美術館で純粋に民間により指定管理されているものは確か4館だけ。収益がない分それだけ指定管理による美術館の運営は難しい。最後にお考えいただきたいことをいくつか。まず一つ目、今回もし美術館を建てるとすれば、公立の美術館としては全国的に見てもものすごく後発であること。正直、今さら建てるのかというような時期なので、今までの公立美術館にはない何か特徴を持ったものを作っていかないと建てる意味がない。二つ目は、公立という形をとる以上、どうしても市民からの支援・賛同が得られないと建てられないということ。したがって市民から賛同を得られるような運営形態を考えていく必要がある。三つ目に、私が千葉県でずっと活動していて直接感じていたことだが、首都圏にあるということがすごく大事なキーワード、ポイントになってくるということ。なまじっかな予算で運営しても首都圏の展覧会にはかなわない。展覧会についてはお金がかかるものをどうするかを踏まえ、収蔵品を活かしてどういう活動をするか、展覧会をやるにしても、もっとポイントを狭めた分野でやっていくとか、そういう工夫がないと、金太郎飴みたいな公立美術館になってしまって運営が成り立たなくなる。今から先が見えてしまうので、その辺りを踏まえて次回皆さんにご意見をいただきたい。その中で事務局の方からも今までの話を踏まえて案を1つ出していただきたい。その方が話の視点が狭まってくるのではないかと思う。正直に言って事務局の方でどのようなものを目指しているのかがほとんどわからない。こういう美術館にしたいという夢を語って欲しい。それについて皆さんからご意見をいただく方が、具体的なアイデアが出てくるのではないかと思う。

山田委員
建築のことについて1つ確認しておきたいのだが、あの建築物は実施設計までが終了しているのか。

事務局
している。
山田委員そのことは当然、船橋市の市民が認識をしていないわけではないはず。

事務局
そうである。

山田委員
実施設計までが完了しているということは、一般的に言うとその後の変更可能な幅というのは極めて少ない。コンセントの位置を変える、ドアの高さを変える、本来の壁や壁面でないところの仕切りを取り払う、部屋を分割する等、もうほとんど施工図面上の問題くらいしか対応出来ない。そういう認識で間違いないか。実施設計をどのように捉えているのか心配なので、これについてはぜひ確認をしていただきたい。

前川委員長
それでは、次回は事務局の方から案を出しいただき、それに基づいて進めたいと思う。ただし事務局の方もあまりに広範囲ではやりにくいと思うので、今日の皆さんの意見を伺って、子ども美術館の存在というものを踏まえた上で、新たな美術館活動の可能性のようなものを教育委員会の視点に基づいて考えていただきたい。以上、本日の議題が終了したので第4回検討委員会を終わらせていただく。

事務局
ありがとうございました。

 

 9 資料・特記事項

  1. 子ども美術館関係資料
  2. 武者小路実篤記念館パンフレット

※当日資料は外部団体発行のものであるため転載できません。

10 問い合わせ先

船橋市教育委員会 生涯学習部 文化課
電話:047-436-2894

関連するその他の記事

このページについてのご意見・お問い合わせ

教育委員会文化課 文化振興係

〒273-8501千葉県船橋市湊町2-10-25

受付時間:午前9時から午後5時まで 休業日:土曜日・日曜日・祝休日・12月29日から1月3日