第7回船橋市美術館運営等検討委員会会議録

更新日:平成26(2014)年9月10日(水曜日)

ページID:P031343

1 開催日時

平成26年6月22日
午前10時00分~

2 開催場所

 市役所本庁舎9階
903会議室

3 出席者

(1)委員

  • 前川委員長
  • 大澤委員
  • 山田委員
  • 島津委員
  • 柴田委員
  • 倉本委員
  • 谷口委員

(2)事務局

  • 田久保文化課長
  • 仲臺文化課長補佐
  • 松田文化振興係長
  • 鎌田主事 

4 欠席者

  • なし

5 議題及び公開・非公開の別並びに非公開の場合にあっては、その理由

議題

  1. 美術館のメインコンテンツについて
       公開

6 傍聴者数(全部を非公開で行う会議の場合を除く)

なし

7 決定事項

第8回船橋市美術館運営等検討委員会の日程

8 議事

前川委員長
 ただいまから第7回の船橋市美術館運営等検討委員会を始める。では事務局どうぞ。

事務局
最初に資料の説明をさせていただく予定だったが、以前の会議内で各委員のお話に上ったアーツ前橋へ、5月に視察に伺ったので、まずその感想をご報告させていただきたい。
 4月28日に、まず当事務局がアーツ前橋を視察し、その後5月8日に市議の文教委員9名が視察を行った。各委員の関心は高いようである。担当の係長からアーツ前橋ができるまでの経緯をご説明いただき、館内施設の見学をさせていただいた。
 向こうは公立美術館がなかったということで、もともとそういうニーズがあったという話だが、構想はあっても実現に至らなかったという経緯があった。市のコレクションは、地元ゆかりの方の作品を約800点所有していることと、アマチュアを含めてアーティストの活動が非常に活発で、いつも県展のほうには多くの方が出品をされているにもかかわらず、そういう方たちの活動の場がなかったということで、そういうニーズもあって今回の開館へのきっかけになったようだ。
 お話自体は1時間前後ぐらいの内容だったが、アーツとの類似点と、異なる点とかをご報告させていただきたい。
 まず類似点では、公立の一般的に言う美術館がなかったということ。建てるに当たっていろいろと紆余曲折があったということ。立地条件としては、街中にあるということで、もともとデパートだった場所を利用し、集客の多い場所に建っており、散歩しながら入ってもらえるような施設を目指したということ。
 それから、従来型の美術館を最初から目指してはいなかったということ。そのあたりは、アートを身近に感じてもらう場所をつくりたいという点では、今お話しいただいている船橋市の美術館と似たような方向性ではないかと感じた。
 また、異なる点で参考になる点は、4点ばかりあり、「アートでつなぐ市民の創造力」という明らかなミッションがきちんとつくられていて、それを実現するために3つのコンセプト、「創造的であること」「みんなで共有すること」「対話的であること」が明確に打ち出されている。これがあることによって具体的な活動に結びついていくということが見えてくるように感じた。
 片や、船橋は、平成16年に当市の基本構想ができて、その後18年に運営方針ができているが、計画と実施手段は書かれていることはわかるが、目指すものや、それをやることでの効果が明文化されていなかったのではと感じた。今後、船橋も参考にしていくほうがいいのではと感じた。
 2点目は、建設に向けての組織とその進め方。もともと美術館関係の部署は我々と同じように教育委員会にあったが、平成19年に市長部局へ移行し、副市長をトップとした庁内検討委員会が立ち上がって、そこで基本構想が策定された。そのために、比較的庁内コンセンサスがとれやすかったのかなと。庁内のコンセンサスがとれた上で担当部署ができたということを聞いた。
 それと3番目には、文化部門の所管という考えではなくて、公共政策の観点から、市内の大学と連携をしたことも大きな違いかなと。
 それから、4番目は、建設の前から学芸員を採用して、設計から専門家の知見を活用したり、またプレイベントを実施したりということ。施設開館と同時に職員を採用というのが一般的な話だが、その以前から、この構想ができたときに方向性が示され、動きに入っていったというところは非常に参考になって、私たちもできればそうしてみたいと感じながら話を聞いた。
 あとは、どれぐらいの歳入だとか、費用対効果は気になるところだったが、前橋市では、市の考え方として、歳入よりも見にきてくれることに強い思いがあるということをおっしゃっていた。
 それから、指定管理でなく、直営でやっているが、指定管理にしない理由については、どうしても営利が優先されてしまう可能性があるので、まずは公共だとおっしゃっていた。ただ、始まったばかりなので、今後、経緯は見ていくそうだ。
 それから、地元に運営できるような組織がないという話もしておられ、とにかく担当者の方の熱い思いを非常に強く感じた。その言葉の端々に一貫して、アートを身近に感じて、人をつないで、人を元気に、まちを元気にというような思いを視察した職員全員が非常に強く感じてきた。
 では、次に資料の説明に移らせていただく。

事務局
 (資料について説明)※別添資料参照

前川委員長
 先ほど、事務局のほうから、アーツ前橋の視察の報告をいただきまして、アーツ前橋のコンセプト等の紹介が、その後、資料の紹介があった。それでは、今の資料のご説明並びにアーツ前橋の視察についての話を受けて、何か質問は。

谷口委員
 アーツ前橋はいつ開館したのか。

事務局
 オープンが、25年10月にグランドオープン、その前の25年7月にプレオープンという形になっている。

谷口委員
 まだ1年もたっていない。大きさは。

事務局
 アーツ前橋のほうは4,000平米。今度つくるところの場所は1,000平米なので、ざっと4倍の大きさ。

谷口委員
 平面図を見るとよくわからないけど、全体が広いんだ、一つ一つの部屋が。

前川委員長
 アーツ前橋は、市民の方の展覧会もやっている。ギャラリーとして貸しているのか。

事務局
 貸している。

倉本委員
 オープンまでにかなり準備をしている。要するに、膨大なリサーチをして、市民の方々のワークショップで事前に意識を高めながらオープンしたという経緯があるので、箱ありきではないということ。それが大きな違いだと思う。

柴田委員
 (仮称)清川記念館の基本設計が修正された資料があるが、その理由として、「建設コスト・アクセス方法等のさまざまな観点から」書いてあるが、内容を見ていると、コンテンツの一つとして、カフェとかの設置もずっと出てきていた。ところが、変更後はカフェは設置しないことも書いてあって、3階が2階になる。この辺の変更について、もう少し詳しく説明していただきたい。どういう理由でそのように変更されてきたのか、その辺を教えていただきたい。

事務局
 予算の関係で3階建てが2階建てに変更され、カフェを置くスペースが全体の規模からすると厳しいのではないかという中で、カフェは外して展示室を優先というようになってしまった。スペース的な制約で切らざるを得なかった。

柴田委員
 要するに、費用がそこまでかけられないということでカフェを切ったのか。

事務局
 そうだ。まず費用の関係で3階を2階にしなくてはいけないというところになってしまって。
中が圧縮されてしまったので、その規模の中でどこを切るか、じゃあ、カフェかというところだったと思う。

柴田委員
 いつぐらいにこの変更というのは出たか。

事務局
 この資料が平成19年なので、19年の段階では設計の変更について話が出ていた。

倉本委員
 北川原さん(設計者)のところから当初案が出て、プロポーザルをするときに、建物をつくるコンセプトワークをやる。そのときに地域性とかのリサーチを彼らはしている。そして、ここの地域との連帯ネットワークという形で、一つのコンセプト、地域に生きる美術館づくりとか、周辺施設との連帯とか、芸術活動による地元商店街との連携とか、テーマを出して、それができる機能を持った施設だという形で彼らは提案した。それをよしとして採用した。これは建物だけではなく考え方自体も、了解した、合意したということ。
 ですから、これを拝見したときに、ある程度進んでいる、建物は変えられない、ましてや途中で変更まで入っている、それは運営にのっとった変更だったというと、この委員会として何を審議していいのか。だから、もう一度、このコンセプトがいいと思われるか協議してほしいのか、審議委員会の役割が私は見えてこなくなった。物事を進めていく場合には必ずリサーチというものが必要であって、ここは地域のリサーチはできている。しかし、市民の方々のリサーチ、NPOで実際ものづくりをしている人たちのリサーチがまだであるなら、もしかしたら、建物に対するコンセプトの次は、そういう方々へのリサーチをして、一つ合体させていくということが流れなのだと思う。審議委員会の役割が私は見えてこなかったというのが、この資料をいただいての正直な感想だ。

前川委員長
 私も、北川原さんがなぜ今のような設計にしたのかということが非常に疑問だった。北川原さんの設計を今まで見てみると、今の形ではないなとずっと思っていたが、これを見ると、やはり最初のコンセプトの考え方というのが今と全く違いうので、どこでこういうふうにコンペのときに出されたものを崩してしまったのかというのがよくわからない。現状では一般的な美術館のイメージの設計になってしまっているが、当初のプロポーザルに出されたイメージは、どちらかというとアーツ前橋に近いイメージを出している。だから、この段階でこのまま美術館ができ上がっていれば、多分、アーツ前橋よりも先に、注目された美術館になったのかなと思う。
 ですから、倉本委員からも話があったように、この検討委員会ではどうするかというのが非常に難しくなってきたなと思う。建物の設計が現状のようになったことを踏まえ、最初のコンセプト並びに今まで皆さんから話があったメインコンテンツも含めて、その辺で考え直すしかないかなと思う。

谷口委員
 例えばカフェの問題、カフェはつくるか、つくらないか。

前川委員長
 それをつくるかつくらないかというのは、この検討委員会で提言していいと思う。

谷口委員
 今の時点でも、事務局のとしては、つくらない、あるいはつくれないだろうという判断なのか。

事務局
 今の段階では、スペースも狭くなっているのと、小さくなったあそこで何をするかということをもう一度再検討して、そこでやはり必要ということであれば入れていく必要はあるのかなとは思う。今のこの段階で、入れる・入れない、イエス・ノーというのは、なかなか難しい。

谷口委員
 でも、改正案が出て何年かたっているが、具体的にこういう美術館ができるというイメージは、かなり具体的な形としては見えてきていると思うが、今の事務局の話だと、3階建てにまた再度しようとか、場所は別にあそこの本町でなくていいとか、本当にゼロからの出発の考え方をするしかない。私としては、せっかくここまで来ているのだから、改正案の設計の中においてできることを考えていく、あるいは、カフェにしても、スペースがないからカフェをつくらないのではなくて、例えば、全館をカフェとして考えるとか、いろんな方法があると思う。私としては、やはりカフェは必要なのではないかと思うが、ほかの皆さんがカフェに対する思いがどうなのか。私は別にカフェの運営が採算に合おうが合うまいが関係ない話だし、おしゃれで、ちょっとすてきなカフェができればいいなという程度のことなので、それを予算と照らし合わせてどうこう言われると、何とも言えないが。

倉本委員
 前橋とは立地条件が大分違う。街中ではあるが、かなり船橋は密度が高い。要するに、ごちゃごちゃしていて、小売業もあるし、公共施設もあるし、神社もあるしというような、ぎゅっとした中でどんなアートの活動発信基地をつくるのかがテーマだと思う。
 私は、コンテンツというのはそう簡単に出るものではないと思っている。ここで1時間皆さんとお話ししても、多分、コンテンツというのは出ない。アーツ前橋のようにいろんなものを繰り返して、大きなスローガンをもとにいろいろな活動をした結果、本当にリアルなコンテンツが出てきた。今、事務局で、この場所をリサーチなさって、やはりリアルな感じというのは感じられたと思う。情熱がなければできない施設なので、次の段階に市が何をされていくのかというアドバイスとかをするべきなのかと私は思った。

山田委員
 僕は、今までのお話とは実はちょっと逆のことを感じていて、設計変更が、こういうふうにだめになったということもわかったし、逆に言うと、これを今から3階建てにしようとか、当初の案に戻すとかということはできない。それから、全く違うものをつくることもできない。これは、一つは主に設計というものが、コストがかかっていて、税金が投入されているわけなので、投入された税金を全く無駄にすることは、してはいけないと思う。なので、この委員会の仕事というのは、逆に非常に明確になった。ハードウェアの大筋を余り変えずに、中身はどうしたらいいかを考えることだと思う。その場合に一番重要なのは、展示室と書いてあるところは展示しなければいけないんだろうか、そこまで縛られてしまわずに非常にフリーに考えてもいいだろうと。ただ、建物の面積が今から倍になるとか、平屋にしようとかはないということで、逆に、非常にこのミッションは明確になったのではないか。
 さっき出ていたように、全館をカフェにしてしまえばいいということだって、このハードウェアの中で当然できると思う。実は、設計変更の図面を見比べていただけると、建築物ですから、どうしても変えられない部分と、別にどうにでもなるような部分がある。そこを確認をしながら、こういうものを全然違うものに使いかえるにはどうしたらいいのか、何に使いかえたらいいのかということを我々は考えるべきで、非常にはっきりしてきたのではないか。ある意味、中身は簡単だとは言わないけれども、明確なことだと思う。
 そして、もう一つ言うと、アーツ前橋は確かにすばらしい施設なのかもしれないし、そうでないのかもしれない。まだこれはわからないところがある。もし他の自治体の施設を見るとしたら、それが全体の構造の中でどうなのか、例えば、アーツ前橋は幾らお金がかかっているのか、前橋市は一体幾らお金を使っているのか、そもそも前橋と船橋はどんなような規模の違いがあるのか、ないのか、そういうことを、念頭に置かれるべきではないだろうか。情熱とかやる気とか、それから必要性、ニーズは、同じようにあるかもしれないけれども、その報告だけを視察というのはどうかと思ってしまった。

島津委員
 この委員会のかなり最初のころに、前の美術館建設検討の中でいろいろ行ってきたことについての紹介をいただいた。その中には、市民たちが活動する、この美術館のプレ活動の一つと位置づけられるような、現代芸術家を呼んできたワークショップのようなことを行い、市民に美術館というものを意識していただくような企画を実現されていたということがあった。そのことは今どうなっているのか。つまり、これからこの検討委員会でどうしていくべきかというリサーチに進んでいくべきではないか、具体的にこういうことをしたらいいのではないかという話が進んでいくとして、その中で、それが実際どう生かされて反映されていくのか。以前に行われたさまざまなプロジェクトが今余り方針決定に寄与していないような印象を受けるので、提言されたことがどう具体的に現実に向かって結びついていくのかというプロセスの想定みたいなものがあれば、お聞かせいただきたい。

事務局
 2~3回やっている。継続的に行わなかったので、結果は把握していない。

島津委員
 それを行うに当たって、美術館建設のコンセプトづくりにどうつなげていくか、そのときに立てているはずだと思う。今は断絶されているというか、一度白紙に戻した状況になっているにせよ、行った活動は大切に考える必要があると思う。批判的に継続していくのか、批判の上で全く違うことをしていくのかはあるとは思うが、結果的に単発的になってしまっていることをもう一度見返してみるのもこの先の具体的な方針づくりに何らか役立つのではないか。
 なぜそれをすることにしたのかとか、もっと現代美術に関心を持ってもらうということでやったのかとか、お金を投入するに当たっての建前がついていたと思う。

前川委員長
 それについては、当時と担当者も代わっている事務局で今答えることは無理だろう。
 確かに、倉本委員がおっしゃるように、この状態でメインコンテンツを考えるのは非常に難しいと私も実は思っている。ただ、山田委員からご指摘のように、ここまで来てしまったら、ここまで来たところで考えるしかないだろうというのも、もっともな話である。また、この検討委員会の性質上、全部で12回で提言をしなければならないという使命も受けている。
 私からの提案だが、メインコンテンツという形ではなく、今の現状の中で、委員の方々から、こういうものがあってもいいのではないか、こういう活動でもいいのではないかというものをどんどん入れていただいて、とりあえずイメージをつくっていただければと思う。あとのコンセプトとかに関しては、最終的にはやはり市の責任かと思うので、事務局として市民の方の動向、意識を考えられて、どういうコンセプトにしていくかを、イメージをつくって、提案してもらい、ここで検討するという形でやるしかないと思う。
 ここからは、今までお出しいただいたイメージを膨らますような形で、いろいろなアイデアを入れていただければと思う。
 
倉本委員
 「きらきら春の夢ひろば」の主催を見ると、結構NPOが参加している。NPOは、船橋としては、かなり活発に、まちづくりの活動はしているのか。イベントも多いのか。

事務局
 本町通り商店街には、近隣に事務所を構えているところがございます。

倉本委員
 ワークショップをやられても参加者は多いのか。

事務局
 これは大概子ども向け。簡単な、フェイスペインティングには子どもたちがいっぱい来ている。

倉本委員
 アンデルセン公園のスタッフたちが若い30代とかで、私なりにリサーチしてみた。そうしたら、やはり、子ども美術館まで親子で来るというのは、ある程度時間もかけてくるんだけれども、とにかく若い親子が多いと。ただ、立地的に余りいい環境ではない。逆に立地条件のよい船橋駅周辺は汚いと言う。まちが汚いと。だから、美術館があることによってまちがきれいになってくれたら、親子で、お母様方が連れていって、何か情報交換ができる場があったらいいなというようなことは言っていた。
今、公民館で親子での情報交換とかもできているみたいだ。だから、全体として公民館がそろそろリニューアルの時期であることとこちらの施設との関係とかも鑑みながら何か一つの考え方をつくっていくということもあるのかなと思った。

山田委員
 個人的なことを言うと、実は私、展示のデザインとかをするときも、でき上がりから考える。最後によくできて人がほめてくれるところをまず最初に考える。評価されるところをまず考えて、それを実現していくというのが、自分が物をつくるときにやる方法なので、そんなようなことを考えてみた。
 今の構造を考えると、ここは街中の非常にごみごみしたところにあるが、狭い道を通っていくと、一瞬ちょっとだけ空地のようなものがあって、その向こうに大きなガラスを張ったものがある。そこに近づいていくと――多分、中にいる人が見えなくちゃいけないと思う。見えている人たちは何をしているのかというと、やはりカフェ的な場所でいいのではないか。そこにテーブルがあって、外に向いている人がいて、本を読んでいる人とか、あるいはしゃべっている人がいて、昼間であれば、ベビーカーや子供を乗せる3人乗せの自転車なんかが外に置いてある。
 中には、若いお母さんたちが子どもを連れて、端っこでは、ベビーカーに乗っている子たちよりももう少し大きい子がいる。実は、ワークショップの対象年齢というのは、3歳よりは本当は4歳がありがたいが、それぐらいからの子供たちがいる。最近のワークショップの傾向としては、2時間ぐらいで終わるものがお母さんたちは好きなようだ。
 そういった小さなワークショップというのは、多分、オープンのカフェのスペースと隣接したところで行われている。フェイスペイントをやっているとか、コスチュームを自分たちでつくって、それを写真とか映像に残すとか。
 1階の部分というのは、そういうオープンのカフェの中にちょっとした本を読むスペースがある。一番大事なのは、今、市内で何が行われているかを知ることができるスペース、それは非常に情報を細かくとったほうがいい。さっきのラーメン屋で作品が展示されているというレベルのものまでわかるようなこと。一方では、船橋から電車に乗ればすぐに東京に出ることができるわけだから、東京で何があるのか、あるいは、逆方向に行ったら何があるのか、そういう情報も伝達されるべき。
 そういう環境の中に、もともとの美術館の発想だった作品というものがうまく切り抜かれてはめ込まれていればいいのではないか。例えば、一つ一つの作品はそんなに巨大なものではなくて、見て誰もが感動するものではないかもしれないけれども、ふと歩いていたところに、きれいに壁の中に、アルコーブみたいになったところに保護された状態でいいと思うが、絵がかかっている。それについての情報を立ちどまって読むことができれば、あるいは、そこから現代風のいろいろなデバイスを使って知ることができれば、何でこの作品はここにあるのかなということがわかる。そんなスペースでも1階はいいのではないか。
 そのほかのエリアには、そこで実際に人がいて何かができるところであればいいので、とりあえずは展示の可能なスペース。このギャラリーの中の仕様の内訳を見ると、むしろオーセンティックな展示物についてはほかの場所、ここはもう少し、映像とかダンスとかに広げてもいいのではないかと思うが、よそでやらないようなものを多少念頭に置く。そういう貸し出しのスペース。
 その中身については、役所が受け付けをしてというのではなくて、幾つかのコンソーシアムじゃないけど、関心を持っている人たちの参加によって運営の内容を考える主体をつくって、事務的な事柄を役所がバックアップしてはどうか。そんな形で、全体は、カフェであり、貸し出しのスペースであり、そして情報を提供する場所でありというようなものをつくればいいのではないかなと。
 そういうものができたとすると、昼間はお母さんたちが集まる。夕方から後、大体母親たちは17時半から18時には撤収するので、その後はアルコールも出てもいい。もう少し違った年代の人たち、逆に仕事から帰ってくる人とか、あるいは、60代前後の夫婦って割と家にいてもしようがないから、夫婦で外に出かけたりする。そんな人たちの受け皿になるようなものをつくればいいのではないか。
 今言ったのは全く私が考えただけのことだが、多分、何となくこんな場所になったらよさそうということから考えたほうがいいのではないか。どういう役割を果たすとか、例えば、アーツ前橋のプロジェクトの中には3つの柱と言われるものがあって、「創造的であること」「みんなで共有すること」「対話的であること」と書いてある。これは、言ってみれば誰でもわかる当たり前のことで、本当はどうでもいい。そうでなく、どんな雰囲気の場所になるんだろうか、行きたい場所になるにはどうしたらいいんだろうか、ということでいいのではないか。そういう意味では、周辺の調査から見ても、オープンのカフェというのはここにはあってもいいし、競合しないのではないか。それから、映像をやる場所とかは余りないので、ここが果たすべき役割としては結構ニーズがあるのではないか。
 運営の形態としては、行政が、こういったものはコストがかかってしまうものだと思うのでなく、これはコストではなくて経費だということを考えることができるとしたら、地域で応援しようと考えることができるのではないか。
 それから、中身については、細かいことを役所の人が考えても余りおもしろいことは出てこない。ほとんどいいアイデアは出てこない。学校の先生も、これまで美術館に勤めていた人にも無理。だから、そこを何とかする仕組みを考えようというようなこと、一種のオープンソースみたいな考え方になるのではないか。
 そんな方向かなと。とにかく何か勢いをつけないといけない。

谷口委員
 この前、会議の終わりに委員長から、メインコンテンツをもっと具体的に考えてきてくださいという宿題が出た。2カ月幾ら考えても具体的なものが何も出てこないが、その中で、私の頭の中で浮かんだ言葉が幾つかあって、「美術館らしくない美術館」「女性美術館」「恋する美術館」「旭山動物園」「オープンカフェ」「グランドピアノ」。それから、市民と美術館の関係でNPOや美術館友の会とかボランティア。あと、山口横町を歩行者天国にできないだろうか。市民まつりとの連携で、美術館の周辺にお祭りを持ってこれないか。それから、船橋小学校が新しくオープンするので、船橋小の小学生たちと美術館との関係が何らかできるのではないか。
 2週間前に、飛ノ台博物館を見に行ったが、そのとき、海神中学校の生徒たちが、3階で縄文土器の模様を描いたり、縄文に関する説明を聞いたりしていた。そういうのに熱心な担当の先生が、海神中学校と博物館を結びつけたみたいな話を聞いたが、そういう関係で、船橋小とか船橋中とか宮本中とか、近いところの学校と具体的に何か関係ができるのではないか。
 あと、ミュージアムショップとか、その中で市民講座みたいな感じで、市民の文化向上というか、キャリアアップできるようなシステムができないだろうかみたいな。そんな感じで、とりとめもなく頭に浮かんだことを今ざらざらっとつないでみた。

柴田委員
 今、アイデアとかコンセプトとかコンテンツとか、そういう具体的なものになっていると思うが、そういうものは、我々が考えるよりも若い人たちを生かしてこれから考えていく。そういう組織をこちらが考え、マネジメントすることが、こちらの役割としてはあってもいいのでは。
 どこからここの仕事としてやっていいのか、本当にわからないところで、自分が子ども美術館に4年間ぐらいいたときは、あそこの役割としていろいろなことがあるが、とにかく立地的な条件としても非常に遠い。子ども美術館には、平日、若い奥さんたちと子供が来て、奥さんのほうも友達同士で来て、結構そういう人たちがワークショップのリピーターになって来ている。数はそんなに多くないが。
 そのときに、たまたま、平日にIKEAに行ったら、本当に若い奥さん方と子供たちがいっぱいいる。その人たちを子ども美術館とかアンデルセン公園に持ってくれば大分活気がつくなと思って、どうしたらいいかということをずっと考えていた。
 今度つくる美術館は、余り多くを狙うのもなかなか難しい。ただ、さっきみたいに情熱を持って新しい美術館をつくっていかなければということもある。
 私が今回、当初案を見たときに、多分、コンセプト等をいろいろ考えながらこういうハード的なものを出してきていると思うが、ハード的なものとしてはこれで十分かなと。あとはソフト面で、どう新しいものを入れたらいいか。私は、今のところは、ここの中で十分できるのではないかなと、新しいものも多分ここの中に入れられるのではないかなという気がした。ただ、変更されているので、現実的にまたこういう当初案でできるのかわからないが、ハード面ではこの案でけりをつけてもいいかなと。そこの中でソフト面をどうするかということになる。
 あとは、新しいコンセプトを持って美術館を運営していくということになると、一つは組織という問題。運営を見ていると人材をどういう形で入れ込んでいくか。準備段階、組織を含めてどうやっていくかということ。その辺を我々が少しアドバイスをして意見を入れられたらいいのでは。ハード面は、できれば最初の当初案で、いろいろな活用の仕方ができるような可動式のパーテーションとかも入れられるかなという感じ。
 コンセプト自体も、この中で一応キーワードがいろいろ出てくるが、そこからも展開できるかなと
考える。

島津委員
 柴田さんがおっしゃったように、組織を考えるのが委員会の一つの役割だろうというのは確かにそうだなと思う。実際に具体的にどうしていくかは、ここでの案がそのまま通るわけではないと思うから、有効な案を考えられる人をどう確保して、どう快適に仕事についてもらうようにできるかということは提言として大事。
 とはいえ、どういったビジョンでこの美術館を市が考えているのかということは提示しておかないといけないというふうにも感じ。今、いろいろなイメージを出し合うというところで進んでいるのだと思うが、「にぎわい」ということを市は考えているのではないか。前回送っていただいたいろんな資料を見ても、そういう観点から集められている。
 乾久美子という建築家の人のワークショップと展覧会「小さな風景からの気づき」を見に行った。どういうものかというと、乾さんと学生たちが、あらゆるちょっと気になる風景というのを写真で撮って集めてくる。それが何万枚も集まって、そうやって集めた「ちょっと気になる風景」というのを、どうして気になるのかを分析していくワークショップだが、そのコンセプトが、やはり「にぎわい」。
 どういうところに人は集まってくるのか、どういうところに人は行きたくなるのか、あるいは安らぎを感じるのか、気に入るのか、そういうことを、最初から理屈で入っていくのではなく、実際そういう風景をどんどん見つけて、インデックス化する。この風景とこの風景はこういう特徴があるという形でインデックス化して、要するに、小さな風景たちがたくさん集まるというワークショップと展覧会。
 結局、にぎわいの場というのはどうしてにぎわうのかということを考えるワークショップでもあった。その結論は一言では言えないが、美術館にそれを当てはめる、美術館にそういうことに寄与するような役割を求めるとすれば、まずそこは魅力的でないといけない。何となくみんなが気になっていて、ちょっと寄ってみようかみたいな、あるいは、知らなくても通りかかったら気になって、家に帰っても念頭に残るみたいな……。
 そのためには、にぎわいというか、楽しそうなというか、カフェでくつろいでいるとか、そういうものが見える場であったほうがよかろうと。ですから、1階というのは、ある種の人々が来て、何となく魅力的な感じのところに集まっているような場にするのがよかろうという感じが、乾さんの展覧会からずっと念頭にある。
 それをどうするのがいいのか。具体的に、カフェがいいのか。あるいは、最近、熊本市現代美術館がベビーシッターを正式に導入している。あそこはもともとオープンスペースがかなりしっかりしていたが、1階に入ると図書が並んでいて、居心地よさそうな椅子がいっぱいあって、そこで勝手に読んでもよく、天井にはジェームズ・タレルという現代芸術家の作品がそのまま常設されているとか、オープンスペースに結構作品が展示されつつ、みんながくつろげるという場所がもともとあって、そこから少し引っ込んだところに赤ちゃんたちが遊べるような場もあった。それを真ん中に持ってくることにしたらしい。より幼児とかお母さんたちにフォーカスしたようなものに変えたらしいが、そこに子育て相談もできるような人も投入したということもあるので、子供やお母さんを引きつけることを考える際に、参考になるのかなと思った。
 そういった場で、公民館や地域のNPOが活動するような場とうまく連携しながら、ある種の情報発信というか、そこに集まると自然にその他のアートに関する情報も入ってくるような場というのがいいなと思う。
 そうした場合に、そこが公民館ではなくて美術館なりアートセンターなりであるという差別化をどうするのかということは、やはり考えたほうがいい。公民館がすばらしければ、公民館だけでいいということにもなる。だから、見方によってはある種尊敬されていて、敷居が高いと感じさせてしまうような、でも、ある質を持っている文化というものを提供する場でなければいけないと思う。だから、コミュニティへの貢献とかお母さんや子供たちに親切とか、それだけだったらほかの機関と変わらないと思うので、文化というものをどう保っていくのか。にぎわいの場であるとともに、やはり特別な場でもなければいけない。
清川コレクションについて、このプロポーザルを見ると、「『陰』和室ギャラリー」となっていて、ある特殊な和室の空間、インティメートな空間をつくって、特別な感じでコレクションと向き合うというコンセプトになっている。こういう形で、和室なのかきれいな空間なのかわからないが、船橋が持っているコレクションをいい感じで飾るということも、それも一つありかなと。
 アートとのいろいろな関係の持ち方があるということは、美術館というものが提示できることの一つだと思う。

前川委員長
私が考えてきたことをお話しさせていただく。
 ほぼ皆さんがおっしゃっていたものとどこか関連していて、同じようなものかなと思っている。私も、今の現状の設計でいくと、1階をオープンスペースにして、完全にここはアートと遊ぶスペースというイメージがいいのかなと思う。
 一つは、何か映像を流していく、常に映像が流れているというのもいいかなと思うし、大学の映像学科の学生の作品をそこで発表していただくということも年間を通して考えていってもいい。
 それから、オープンスペースのところで、私は、ワークショップというものを、今までの美術館がよくやっているような、決まった期間に決まった人数を集めてある期間にやるというのではなく、いつ来ても何かやれるような状態に持っていく。そういう形で、この美術館は出入り自由でというものを目指してもいい。
 それから、若いお母さんと乳幼児をどう取り込んでいくかということはものすごく大事なことだと思うし、若いお母さんが落ちつける場所、子供連れで気軽に来られる場所、それから、夫婦そろって楽しめる場所というところを目指したほうがいい。例えば、小さい乳児をお持ちのお母さんたちが気楽にワークショップができるようなものも考えていくべき。それにはベビーシッターという問題もあるし、授乳室の問題もあるし、それから、子供専用の部屋みたいなことも必要になってくる。
 2階ですが、私は逆に清川コレクションの展示スペースだけは、先ほどお話がありましたように、これは完全に今の美術館のイメージで、異空間にすべきかなと思う。ここだけは展示室ですよというふうに主張してもいいのかなと。その形をどうするか。最初の北川原さんのアイデアにあったように、和室というイメージもあると思うし、何か1階とは違う、その部分だけ異空間にすることも考えてもいいのかなと。
 私は、カフェは2階に持ってきて、壁のところに積極的に収蔵品を飾ったほうがいいと思う。清川コレクション以外の市ゆかりの作家の作品を、そういうところに積極的に飾られて、展示替えをされて、美術を見ながらくつろげる場所という提供をやられてもいい。今までのイメージの、美術は大事なものというものを取っ払われたほうがいい。ただ、清川コレクションに関しては、遺族の思いがあるでしょうから、それは難しいのかなと思うが。
 あとは情報発信に関しては、銀座に大日本印刷がやっているMMM(メゾン・デ・ミュゼ・デュ・モンド)というものがあり、世界のミュージアムグッズとか、それから情報の集積をやるということをメインに掲げている。こういうものを積極的に取り入れられてもいい。
今、大日本印刷はいろんなことをやっていて、子供向けの拠点をつくっていて、DNPenguinハウスというものらしい。ここは1階がカフェで、2階はイベントゾーンになっているが、地下にデジタル絵本と写真のコーナーというのをつくっている。子供がデジタルで絵本を見る、あとは、子どもたちが絵本をつくっていくということをやっていて、この辺も少し参考にされればどうかなと思う。
 ショップとか、やはり情報発信をするということも非常に大事だと思う。展覧会とかイベントに対する情報発信はもちろん、所蔵している清川コレクションだけでは非常に不十分なので、少なくとも椿貞雄の全ての情報は集約されて、端末をいじれば全国にある椿の作品が見られる形も考えられる。このような形で、椿をメインに押し出すこともありかと。
 それから、地下のほうは、今、ギャラリースペースという形になっていて、ここは積極的に市民や若手の芸術家にどんどん貸し出しされて、飾るだけではなしに、創作している風景を見せるとか、その中に作家がいて語る場をつくるとかを積極的にやってもいいのかなと思う。それから、コンサートやイベントをなど、若い人たちの好きなことをやっていただくとか、開放できる場をつくったらいかがかと思った。
 全体的には、イメージとして、夜、あそこがキラキラと輝く場所であってほしいと思うし、にぎわう場所であってほしいと思う。昼間は、若いお母さん、子どもたちが遊べる場で、夜は、高齢の方々がくつろげる場に変わっていけばいい。

山田委員
 2点ほど、積極的に提案したい。
 1つは、映像を見せることができるスペースをつくるべきだと。定員数はかなり少なく、常設の立派な椅子でなくてもいいと思うが、ある程度の映画と呼べるものまでが上映できるスペース、実は、周辺の中にそういったところがない。それは非常にいいことではないかと思う。ここで、例えば、古い映画ができたり新しい映画ができたり、もっと断片的な短いもの、セグメントを集めたようなもの、簡単に言うとYouTubeで流れるようなものでもいいが、そういったものも含めた映像ができるスペースをつくるべきだと思う。それが1点。
 それからもう1点は、こういう施設を考えたときに、その宣伝にインターネットも利用せねば、あるいはTwitterを使わなければとか、Facebookのページをつくろうとか、そういうふうに発想するが、それはもはや全く間違い。そうではなくて、こういう新しい施設こそネット上のコンテンツの一つであると考えを改めるべき。もともと、この施設は現実化して実体化しているが、その現実も含めてのネット上のコンテンツなので、初めからネットワークの中に含まれたものとして、ネットワークの一部として機能する。
 今、だんだんそういうことがいろいろ考え始められていて、そこでやりとりをする。ユザワヤのような新しいお店も、ユザワヤで材料を買って、そこでそこにクリエイティビティを足した何か商品をつくると、それをユザワヤのネットで売ることができるというふうに、つまり、ユザワヤみたいなところは自分自身もインターネット上のコンテンツの一つになることをどうも決心したようだ。新しいこういう施設は、とりわけそういう観点が必要というか、もうそうなっていることにむしろ逆に気づくべきだと思う。これが2つ目。

事務局
 2点ほど。先ほど、収蔵品をカフェで展示、それを見ながらということだが、飲食のスペースに美術品を展示することについて、例えばにおいとか湿気とか、その辺のことが美術作品に影響する可能性はあるのかなと思うのですが、その辺はいかがか。

前川委員長
 あると思うが、今までのような従来の美術館の意識を取り外したらどうかということ。確かに、美術館というのは作品を後世に伝えていかなければならないという使命は持っている。それは管理上しっかりと管理されればいい話であって、その中でどういうような管理をしていくかということはこれからの話。ただ、イメージとしては、そういう使い方ということも考えられたらいかがかということ。

山田委員
 確かに、全く影響がないとは言えないが、2つぐらい考えられる。
 1つは、最近増えてきているもので、作品そのものが、外界とカプセルになっていて、例えば、海外から来た作品は日本の空気に一切触れずにまた帰っていく。そういったような技術も最近は増えてきている。
 それから、実際に展示するスペースも、小さな柱の中に掘り込まれた小さな空間をつくって、そこにかけて前は無反射のガラスをかける。中は、特別な空調は要らないが、密閉をして、あとは調湿材を使うというようなことで、かなりの問題は回避できる。
 そういった変化さえないようにとっておかなければいけない作品というのは、非常に限定されると思う。

事務局
 了解した。
 もう一つ、変更前の設計のほうがいいのではという話とか、映画館の話も出たが、そうすると、基本設計の最終的なものについては、見直しや修正をすることが必要ということか。

前川委員長
 基本的には、私が申し上げましたのは、現状の段階で建った上で考えている話なので、当初の計画がいいという意見はもっともだと思う。ですから、当初設計が出てきた段階のものに戻せるのかどうかというところは、それを無視して提言してくださいということであれば、無視してまとめることはできる。恐らく設計者は、倉本委員がおっしゃったように、いろんなものをリサーチされて、いろんなコンセプトを考えられて、この形がベストだという形でおつくりになったと思う。そのような形であの建物の中にいろいろな思いが入っているのを、どういう経過かわからないが、普通の美術館に変わってしまったところがある。最初のものを生かすとすれば、もとに戻されるのが私はベストかなと思う。
 ただ、それは現実的に不可能であろうと思うしここまで来てしまった以上は、それで考えるのが本来だという意見も当然だと思うので、その辺は事務局としてどうお考えになるか。

事務局
 公金を投入してやっていることなので、当初のデザインに戻すというのはちょっと難しいところがあるのかなと正直思う。そうすると、今の設計を生かすとしたら、今日先生方から出たキーワードを生かす美術館に、こういう方向でいくとしたらこの辺が使いづらいよというところを、具体的に教えていただけるとうれしいのかなという気はする。

前川委員長
 それは、正直言って非常に難しい話だと思う。結局、まず何をやるかということを整理した上で、どこに配置をするかをある程度決めても、実際は使ってみないとわからないところがある。ですから、今の設計の形の中にまず落とし込んでいくという作業をしないと、使いづらいかどうかということは全然わからないので、今は無理だと思う。最終的にそういう話まで行ければいいなとは思うが。

柴田委員
 新しい美術館としてのコンセプトはいろいろあると思うが、この辺はしっかり考えていきたいと思うのは、コミュニティという、アートでつなぐ市民の創造力とか、市民のアート活動とか、いろいろあると思う。そのコミュニティというのが、結局、公民館や勤労市民センターもいろいろコミュニティの場であったり、市民ギャラリーもいろんな市民団体が使っている。それから、県展とかそういうものも県立美術館でやっている。私は、子ども美術館では、公民館と同じようなイベントを、同じ講師でやるのではなく、我々がやるのは何だろうという発想をいつもしていた。あとは、ほかの美術館との差別化もやらなければいけないので、そういう意味でのコミュニティという考え方。
 だから、前橋市の例で十分かなと思うと、クエスチョンなところがあって、もちろん、ネットワークでコミュニティという部分は非常に大切だとは思うが、そこも一つはアイデア、新しいコミュニティということでよく精査して、新しいものを入れていきたいなと思っている。
 子ども美術館も、逆に一般の団体に展示室は一切貸さなかった。美術館の持つ役割ということを考えたときに、ある程度スタッフに企画させたり、それこそ倉本委員なんかも入れていろいろ企画したりしてきたが、コミュニティというところで、少し新しいものが発信できればいいかなと思っている。

前川委員長
 私は、美術館はコミュニティの場だと思っているし、コミュニティを形成する場であろうと思っている。それはやはり美術館が強制的につくるものではなくて、そこに集まることが大事なのかなと思うので、市民の方がみずからの意思で参加するということが非常に大事なことだと思う。それによってコミュニティが形成されていくのかなと思うので、その辺がこれからコンセプトを考えていただく上でのアイデアになっていければと思う。
 時間が迫ってきたので、きょうは皆さんからいろいろな考え・アイデアを述べていただいたので、これを踏まえて、事務局で整理してもらい、次回、それを形にしていければと思う。
 メインコンテンツについては、最終的には市の仕事だと思っているので、その辺ができ上がった段階で、もっと我々とは違う若い年齢層の方ともコミュニケーションを交わしながら、コンセプトをお出しになって柱をつくっていかれればいいかなと思う。それをやった段階で、一度ここに提案してもらい、それを踏まえて検討委員会の提言という形にしたいと思う。提言はいつまでにやればいいんですか。当初は3月になっていましたけれども。

事務局
 先ほどお話したように、3月の以前に様々な手続きがあるので、できれば1月ぐらいまでには内容がわかるようになればありがたい。

前川委員長
 それでは、次回は、今日の委員のご意見を事務局でまとめていただき、事務局の思いも入れていただいて、皆さんに検討いただく。その上で、次回、8回目か9回目あたりには使い勝手のところまで入れればというふうに思う。それでよろしいか。
 委員の方々で最後にこれだけはということがあれば、どうぞ。

島津委員
 新しい美術館にかかわる人材について、かなり専門的な仕事をしていくことになると思うので、それに見合ったしっかりとした待遇は必要。人集めというのは意外と大変で、こういった多岐にわたる要素を、ある意味で自分で囲ってしまわずに、コミュニティ形成の場とするためにどう整理していくかということは高度な能力と芸術に関する知識があるべき。そういう意味で、しっかりした人材を押さえることはすごく大事なことと思うので、コストではなくて経費という観点で、その人たちの働きを保障できるようなことは考えていただきたい。

前川委員長
 では、それも踏まえて、次回、必要な人材についても少し皆さんからご意見をいただければありがたい。では時間となったので、本日はこれにて会議を終了とする。
 

 9 資料・特記事項

第7回船橋市美術館運営等検討委員会会議資料(下記よりダウンロードしてください。)

10 問い合わせ先

船橋市教育委員会 生涯学習部 文化課
電話:047-436-2894

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