【子ども記者通信】10,119件の「声」と、タブレットにある「そうだんボタン」。取材で知った、私たちができること(高根東小学校 中村 妃那さん)
今回、市の「児童生徒サポート室」で、いじめ対策についてお話を聞く機会をいただきました。
・市役所に「私たちの先生」がいた!
まず驚いたのは、お話を聞かせてくれた担当の方が「小学校の先生」だったことです。市の担当者の多くは、学校の先生たちが集まって「どうしたら学校がもっと良くなるか」を考えてくれているそうです。
「学校を知らない人たちが決めている」のではなく「私たちのことをよく知っている先生たち」がサポートしてくれていると知り、すごく心強く感じました。
・「10,119件」という数字の本当の意味
「市内のいじめの件数」をたずねたところ、昨年度(2024年4月から2025年3月まで)は「10,119件(小学校9,271件、中学校848件)」だったと教えてもらいました。私は最初、その数の多さにとても驚きました。
でも、担当の方は「この数字には大切な意味がある」と話してくれました。
この件数には、「友達に悪口を言われた」「嫌なことを言われた」といった、アンケートなどで寄せられた「少しでも嫌だと感じた子の声」が全て含まれているそうです。
これは「いじめがたくさんあって大変だ」ということだけを示しているのではありません。
「どんな小さなことでも見逃さず、先生たちがちゃんと向き合おうとしている証拠」だと前向きに捉えているそうです。
「10,119件」という数字は、私たちが「大変だ」と心配する数字ではなく、それだけ多くの「小さなSOS」を、大人が本気で受け止めようとしている証拠なのだと分かりました。
*アンケートに書けなくても、大丈夫*
では、どうやってその「小さな声」を集めているのでしょうか。
担当の方によると、多くの学校が毎月や学期ごとに「生活アンケート」などをしています。さらに市からは、アンケートだけでなく、先生と児童が1対1で話す「面談」も必ずしてください、と学校にお願いしているそうです。
アンケートには書くのをためらってしまう子も、先生と直接なら「実はこんな嫌な思いをしてるんだ」と話せるかもしれないからです。そうやって、先生たちが私たちの声を受け止めようとしてくれていることを知りました。
・「見てるだけ」で終わらせないために
次に、私が一番気になっていたことを質問しました。
「いじめを見ている周りの子が「それは違うよ」と行動するのはすごく難しい。どうしたら『あと一歩』を踏み出せますか」
担当の方も「直接「やめなよ」と声をかけるのは、本当に勇気がいることですよね」と、私たちの気持ちに寄り添ってくれました。
だからこそ市では、SOSの出し方をみんなに知らせることを大切にしているそうです。
例えば、市から配られるピンクの「相談カード」や私たちが学校で使っているタブレット(iPad)の「まなびポケット」です。ドリルなどが並んでいる横に「そうだんしてね!」というボタンがあるそうです。(※学校によって違うかもしれません)そこから悩みを相談できる窓口につながるようになっています。
直接言う勇気が出なくても、カードやタブレットから「SOS」を出すことも、私たちにできる大切な行動の一つです。
・取材を終えて
担当の方は「学校からトラブルの報告を受けた後「子どもたちが安心して登校できました」という報告を聞けたときが、一番やりがいを感じます」と話してくれました。
最後に、私たち小中学生へ「いじめは絶対にしてはいけないことである、と全員が分かって過ごしてほしい」という熱いメッセージをもらいました。
そのために、まず私たちが「小さな声も伝えていいこと」を知り、「相談する方法があること」を知っておくこと。
いじめをしている子がいたら、「それはだめだよ」と声をかけたり、先生に相談したりして、少しでもいじめを減らせるようにしたいなと思いました。
(令和7年11月28日投稿)
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