住民監査請求監査 監査結果本文(平成19年9月27日)
監査結果本文
船橋市監査委員告示第15号
地方自治法第242条第1項の規定に基づく、船橋市職員措置請求について監査を実施したので、同条第4項の規定により、その結果に関する通知を公表する。
なお、監査委員小石洋は、平成19年9月7日退任。
平成19年9月27日
船橋市監査委員 安田雅行
船橋市監査委員 山澤拓爾
船橋市監査委員 安藤のぶひろ
第1 請求人
住所・氏名 省略
第2 請求の受理
平成19年8月27日付けで提出のあった本件措置請求については、地方自治法第242条の要件を具備しているものと認め、平成19年8月27日に受理した。
第3 監査の実施
1 請求の要旨(措置請求書の原文のとおり)
- 船橋市長が許可した形で、
- 物件船橋市道15-084号線の、市の建設した土止め(昭和30年峰台小学校建設当時崖下に造成し、昭和43年更に土盛りした巨大なコンクリート壁)を、平成19年8月に、業者が破壊した。
- 市が市民の多大な税金を使って建設した、現在も有用な造成物であるのに、市民の許可も了解も得ず、公表も通知もせず市民の財産を消滅させた。
- 当該土止めの破壊中止と原状回復。(及び建築許可の差止め・取消し。)
市の行為は、(6)違法且つ不当に財産の管理を怠る事実である上に、(2)違法且つ不当な財産の管理、処分であり、同時に崖上の市民の所有地を侵害しているので (2)違法且つ不当な財産の取得でもある。 又、市民の錯誤無効の法律行為を強引に有効と主張し、業者に工事を進めさせたので、(3)違法且つ不当な契約(許可)の締結、履行とも言える。
2 監査対象事項
請求書に記載されている事項及び事実を証する書面並びに請求人の陳述内容から、「船橋市(以下「市」という。)が設置した市道第15-084号線の土止めとしてのコンクリート壁(以下「当該擁壁」という。)を業者が破壊したことは、市が、違法かつ不当に市の財産の管理を怠っているか否か」を監査の対象事項とした。
なお、崖上の市民の所有地を侵害しているので、違法かつ不当な財産の取得であるとする請求については、昭和43年度に行われた峰台小学校通学路改修工事(以下「改修工事」という。)の竣工時(昭和44年3月31日)に知り得ることができ、その日から1年を経過しているので、地方自治法第242条第2項の規定により監査対象としない。
3 監査の方法
監査は、次のとおり実施した。
1 請求人の証拠の提出及び陳述
平成19年9月7日、請求人に対し、地方自治法第242条第6項の規定に基づき、証拠の提出及び陳述の機会を与えた。
2 関係職員の陳述
平成19年9月7日、建設局道路部長、建設局道路部参事(道路管理課長)から陳述の聴取を行った。
3 関係する職員の事情聴取
本件監査の対象となった書類を調査するとともに、平成19年9月7日に次の職員から事情聴取を行った。
建設局道路部参事(道路管理課長)、道路管理課主幹、道路管理課長補佐、道路管理課副主幹。
建設局建築部宅地課長、宅地課主幹(課長補佐)。
4 現地調査
平成19年8月29日に監査委員全員で現地調査を実施した。
第4 監査の結果
1 主文
本請求について、監査委員は、合議により次のとおり決定した。
本件措置請求については、請求に理由がないものとして棄却する。
以下、その理由について述べる。
2 理由
1 事実関係
- 当該擁壁は、市が発注した改修工事(総額2,250,000円)において、市道第08107号線(現在の市道第15-084号線。以下「市道」という。)の拡幅に伴う保全を目的に昭和44年3月31日に設置されたものである。
- 市が発注した改修工事に係る市道と隣接する土地(船橋市宮本6丁目1797番1並びに1798番。以下「隣接地」という。)の所有の経過は、次のとおりである。
昭和44年2月28日改修工事着手当時 所有者A
平成2年7月5日相続 所有者B
平成18年8月11日売買 所有者C
平成18年11月28日売買 所有者D
平成18年12月13日売買 所有者E - 当該擁壁について、市は1の改修工事の施工にあたってAに口頭により承諾を得て、隣接地の敷地内に設置したと主張するが、これに係る書類等の証拠は確認できなかった。
- 市道と隣接地の境界について、平成18年11月13日に市とCは立会を行い、市道と隣接地との境界の確定について、平成18年11月21日に合意した。
- 隣接地を含む土地について、平成18年11月10日にEから都市計画法(昭和43年法律第100号。以下「法」という。)並びに船橋市宅地開発事業に関する要綱(昭和53年船橋市要綱。以下「要綱」という。)の規定に基づく開発許可に関する申請が市になされ、次の経過で許可された。
平成18年11月10日 要綱第7条に基づく事前審査申請書を受理
平成19年2月20日 宅地開発事業事前審査変更申請書の受理
平成19年3月8日 要綱第9条に基づく関係機関(道路管理課)より事前協議成立事項の回答書の受理
平成19年3月15日 要綱第9条に基づく関係機関(道路建設課)より事前協議成立事項の回答書の受理
平成19年5月10日 法第32条の規定に基づく宅地開発事業協議申請書の受理
平成19年5月25日 法第32条の規定に基づく協議が成立し、要綱第11条に基づき協議書を締結
平成19年5月25日 法第29条第1項の規定に基づく開発許可申請書の受理
平成19年5月29日 法第29条第1項の規定に基づく開発行為許可通知書を交付
平成19年6月14日 工事着手届の受理
平成19年6月14日 法第37条の規定に基づく工事完了公告以前の建築承認申請書の受理
平成19年6月18日 法第37条の規定に基づく工事完了公告以前の建築承認の通知 - 上記5の開発許可に関する申請において提出された開発計画では、Eが隣接地のうちの開発区域内で市道に接する区間を幅3mに亘り、市道と同一の高さに造成し、市に帰属させるとし、かつその保全のため開発区域内に建築予定の建築物の躯体と一体構造の擁壁を設置することとなっている。
- 監査委員は、上記1、2、4、5、6について、市から提出された書類等により確認した。
また、平成19年8月29日に行った監査委員の現地調査において、現地にて市道と隣接地との境界の境界鋲を確認するとともに、当該擁壁については、隣接地内において、その一部(延長約25m)が破壊・撤去され、安全確保のため養生が施されていることを確認した。
2 判断
当該擁壁は昭和43年度に市が施工した改修工事に伴い、市道の保全を目的に設置された。
市が工事費を支出して設置した当該擁壁が開発行為により撤去されても、市道は開発事業者から帰属を受けることにより開発区域と接する区間は6mに拡幅され、かつ当該擁壁に代わる物として開発区域内の建築物の躯体と一体構造の擁壁が設置され、道路機能の維持及び安全性は保たれていることになる。
以上のことから、当該擁壁の破壊について、市は、違法かつ不当に財産の管理を怠ったとする請求人の主張は、認めることができない。
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