住民監査請求監査 監査結果本文(平成19年6月7日)

更新日:平成28(2016)年2月21日(日曜日)

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監査結果本文

船橋市監査委員告示第9号
地方自治法第242条第1項の規定に基づく、船橋市職員措置請求について監査を実施したので、同条第4項の規定により、その結果に関する通知を公表する。
なお、監査委員村田一郎(平成19年4月30日退任)、浅野正明(平成19年4月30日退任)、安藤信宏(平成19年5月22日就任)、小石洋(平成19年5月22日就任)は、法第199条の2の規定により除斥した。
平成19年6月7日
船橋市監査委員 安田雅行
船橋市監査委員 山澤拓爾

第1 請求人

3名の住所・氏名 省略

第2 請求の受理

平成19年4月9日付けで提出のあった本件措置請求については、法第242条の要件を具備しているものと認め、平成19年4月9日に受理した。
なお、本件措置請求は、船橋市議会議員の政務調査費の支出には違法又は不当なものがあり、これに対し市長がこの違法又は不当な支出に対する返還請求を怠っていることについての措置請求であると解され、法第242条第2項に定める期間制限の規定は適用されない。

第3 監査の実施

1 請求の要旨(個人情報以外は措置請求書の原文のとおり)

  1. 船橋市議会議員Aは,2003(平成15)年10月8日,カーナビゲーションシステム購入代金として株式会社ジャパネットたかたに対して支払った金14万7777円を,船橋市長及び支出手続担当者をして,公金から支出させた。
    上記カーナビは,職務と関連のない私的な用途にも容易に流用することができるものであるから,その購入代金を公金から支出することは明らかに違法不当である。
  2. 船橋市議会議員Bは,2003(平成15)年10月14日,カーナビゲーションシステム購入代金として株式会社ジャパネットたかたに対して支払った金14万7777円を,船橋市長及び支出手続担当者をして,公金から支出させた。
    上記カーナビは,職務と関連のない私的な用途にも容易に流用することができるものであるから,その購入代金を公金から支出することは明らかに違法不当である。
  3. 船橋市議会議員Cは,2003(平成15)年7月7日,千葉県船橋市葛飾町2-345所在のホテル「フローラ西船」において飲食した代金のうち金21万円を,船橋市長及び支出手続担当者をして,公金から支出させた。
    上記飲食は,職務と関連のない私的なものであるから,公金から支出することは明らかに違法不当である。
  4. 船橋市議会議員Dは,
    (1)2003(平成15)年8月6日,佐賀県色石町・太良町のカブトムシ相撲大会視察のための交通費等として金8万2635万円,
    (2)同年9月11日,沼津市花火大会参加費として金1万3000円,
    (3)2005(平成17)年5月16日,伊万里市・佐賀市行政視察の費用として金6万5867円,
    (4)同年10月12日,伊万里市・佐賀市視察の交通費等として金5万8043円,
    (5)同月26日,伊万里市・佐賀市視察の費用として金5万1457円,
    (6)同年11月21日,佐賀市,伊万里市,白石町行政視察のための交通費等として金10万0072円(支出伝票の支払年月日欄には「平成17年11月11日」と記載されているが「平成17年11月21日」の誤記と思われる。),
    (7)同年12月19日,京都市視察のための費用として金3万8585円,
    合計金40万9659円を,船橋市長及び支出手続担当者をして,公金から支出させた。
    上記渡航は,職務と関連のない私的なものであるから,その費用を公金から支出することは明らかに違法不当である。
    D議員のオフィシャルホームページ(ホームページアドレスの記載省略)によると,同議員は佐賀県白石町の出身であり,そのことと,上記のとおりたびたび佐賀県を訪れていることとが全く関係がないとは考え難い。
    また,上記ホームページによると,2005(平成17)年12月には「さが観光・物産フェアー」が地域活動として報告されている一方で(傍点は引用者),上記のような度重なる渡航やその成果については政治活動としては一切報告されていない。特に、(6)記載の佐賀市等行政視察名目の渡航は,11月12日から同月21日と,視察としては通常想定しがたい長期間にわたっており、このような活動が真実政務調査として行われたものであったならば,視察やその成果について何ら報告されていないことは不自然というほかない。
    なお、(5)に関して、同年10月26日には,佐賀県ではなく福岡県太宰府市の太宰府天満宮の初穂料を奉納しているが,この初穂料についても公金が支出されている。
  5. 1 船橋市議会議員Eは,
    (1)2004(平成16)年3月30日,千葉県船橋市藤原3-36-15所在の藤原三丁目郵便局に対して郵便切手代金として支払った金27万9876円,
    (2)2005(平成17)年3月31日,同じく藤原三丁目郵便局に対して郵便切手代金として支払った金27万円,
    合計金54万9876円を,船橋市長及び支出手続担当者をして,公金から支出させた。
    2 船橋市議会議員Fは,2005(平成17)年3月25日,千葉県船橋市市場1-8-1所在の船橋中央市場内郵便局に対して郵便切手代金として支払った金24万円を,船橋市長及び支出手続担当者をして,公金から支出させた。
    3 船橋市議会議員Gは,2006(平成18)年3月29日,葉書代金として支払った金25万円を,船橋市長及び支出手続担当者をして,公金から支出させた。
    4 上記5-1ないし3に記載した郵便切手及び葉書は,いずれも年度末ぎりぎりという購入時期及びその量からすると,残された年度内にすべて正規に使用されたとは考え難く,各年度末の政務調査費の清算前に駆け込み的に大量購入したものと強く推測される。
    よって,これら購入代金を公金から支出することは明らかに違法不当である。
  6. 船橋市議会議員Hは,2006(平成18)年1月24日,津田沼1丁目商店会費として支払った金1万円を,船橋市長及び支出手続担当者をして,公金から支出させた。
    商店会活動は,職務と関連のない私的なものであるから,商店会費を公金から支出することは明らかに違法不当である。

上記公金を支出した船橋市長,支出手続担当者及び上記各議員は,上記違法不当な公金支出により船橋市が被った損害を賠償する責任がある。
なお,上記公金支出は,本監査請求より1年以上前に行われたものであるが,いずれも市民が客観的に知り得なかったものであり,本請求が上記各行為後1年を経過してなされたことには正当な理由がある。
また,上記のとおり明らかに違法不当に支出された公金の返還を求めないことは,違法不当に財産の管理を怠るものであり,上記公金を支出した市長,支出手続担当者及び上記各議員は財産管理を怠ったことによって船橋市が被った損害を賠償する責任がある。
よって,監査委員は,船橋市長に対し,次のとおり勧告することによう求める。


船橋市長は,上記各船橋市議会議員らから,購入代金,飲食費,視察費用,郵便切手代金等,商店会費として支出された公金を船橋市に対し返還させ,または,返還させることを怠ることを改めること。
上記のとおり,これらの事実を証する書面を添付の上,必要な措置を請求する。
以上

2 監査対象事項

請求書に記載されている事項及び事実を証する書面並びに請求人の陳述内容から、「政務調査費の交付を受けて行われた下記の支出は、違法不当なものであるか否か及び市長に返還請求する義務があるか」を監査の対象事項とした。

  1. A議員の平成15年度の147,777円のカーナビ購入費(別紙(1)省略)
  2. B議員の平成15年度の147,777円のカーナビ購入費(別紙(2)省略)
  3. C議員の平成15年度の210,000円の市政報告会開催費(別紙(3)省略)
  4. D議員の下記の7件の支出
    (1)平成15年度の82,635円の佐賀県白石町・太良町視察費(別紙(4)-(1)省略)
    (2)平成15年度の13,000円の沼津市花火大会視察費(別紙(4)-(2)省略)
    (3)平成17年度の65,867円の伊万里市・佐賀市行政視察費(別紙(4)-(3)省略)
    (4)平成17年度の58,043円の伊万里市・佐賀市視察費(別紙(4)-(4)省略)
    (5)平成17年度の51,457円の伊万里市・佐賀市視察費(別紙(4)-(5)省略)
    (6)平成17年度の100,072円の佐賀市・伊万里市・白石町行政視察費(別紙(4)-(6)省略)
    (7)平成17年度の38,585円の京都市視察費(別紙(4)-(7)省略)
  5. E議員の下記の2件の支出
    (1)平成15年度の279,876円の切手購入費(別紙(5)-(1)省略)
    (2)平成16年度の270,000円の切手購入費(別紙(5)-(2)省略)
  6. F議員の平成16年度の240,000円の切手購入費(別紙(6)省略)
  7. G議員の平成17年度の250,000円の葉書購入費(別紙(7)省略)
  8. H議員の平成17年度の10,000円の津田沼1丁目商店会の会費(別紙(8)省略)

なお、本件について平成19年5月9日にH議員が別紙(8)の支出伝票の摘要欄に、「新年」の2文字を加筆し「津田沼1丁目商店会の新年会費」と訂正していることから、これを監査対象事項とした。

3 監査の方法

監査は、次のとおり実施した。

1 請求人の証拠の提出及び陳述

平成19年4月25日、請求人に対し、法第242条第6項の規定に基づき、証拠の提出及び陳述の機会を与えた。

2 関係職員の陳述

平成19年4月25日、議会事務局長、議会事務局参事(庶務課長)、議会事務局庶務課主幹(課長補佐)から陳述の聴取を行った。

3 関係する職員の事情聴取

本件監査の対象となった書類を調査するとともに、平成19年4月25日に議会事務局参事(庶務課長)、庶務課主幹(課長補佐)、庶務課主査(庶務係長)の3人の職員から事情聴取を行った。

4 関係人に対する調査

法第199条第8項の規定に基づき監査対象事項に係る議員8人に対し、事実関係を確認するため、平成19年4月26日から同年5月1日にかけて文書照会による回答及び資料の提出を受けるとともに、D議員については更に詳細な事実関係を確認する必要があったことから、平成19年5月24日に面接調査も行った。

第4 監査の結果

1 主文

本請求について、監査委員は、合議により次のとおり決定した。

  1. A議員の平成15年度の147,777円のカーナビ購入費については、請求人の主張どおり違法不当な支出と認め、法第242条第4項の規定に基づき、市長に対し、当該金額返還のために必要な措置を講ずることを勧告する。
  2. B議員の平成15年度の147,777円のカーナビ購入費については、請求人の主張どおり違法不当な支出と認め、法第242条第4項の規定に基づき、市長に対し、当該金額返還のために必要な措置を講ずることを勧告する。
  3. C議員の平成15年度の210,000円の市政報告会開催費については、210,000円の内175,350円を、請求人の主張どおり違法不当な支出と認め、法第242条第4項の規定に基づき、市長に対し、当該金額返還のために必要な措置を講ずることを勧告する。
  4. D議員の平成15年度の82,635円の佐賀県白石町・太良町視察費については、請求人の主張どおり違法不当な支出と認め、法第242条第4項の規定に基づき、市長に対し、当該金額返還のために必要な措置を講ずることを勧告する。
  5. D議員の平成17年度の51,457円の伊万里市・佐賀市視察費については、請求人の主張どおり違法不当な支出と認め、法第242条第4項の規定に基づき、市長に対し、当該金額返還のために必要な措置を講ずることを勧告する。
  6. D議員の平成17年度の100,072円の佐賀市・伊万里市・白石町行政視察費については、請求人の主張どおり違法不当な支出と認め、法第242条第4項の規定に基づき、市長に対し、当該金額返還のために必要な措置を講ずることを勧告する。
  7. D議員の平成17年度の38,585円の京都市視察費については、請求人の主張どおり違法不当な支出と認め、法第242条第4項の規定に基づき、市長に対し、当該金額返還のために必要な措置を講ずることを勧告する。
  8. H議員の平成17年度の10,000円の津田沼1丁目商店会の新年会費については、請求人の主張どおり違法不当な支出と認め、法第242条第4項の規定に基づき、市長に対し、当該金額返還のために必要な措置を講ずることを勧告する。
  9. 市長は上記(1)から(8)の事項について、平成19年7月17日までに必要な措置を講じられたい。
    なお、法第242条第9項の規定に基づき、措置期限までに講じた措置の状況について、同日までに監査委員に通知されたい。
  10.  請求人のその他の請求については、請求に理由がないものとして棄却する。

2 理由

1 事実関係
(1) 政務調査費について

政務調査費は、地方自治法の一部を改正する法律(平成12年法律第89号)により平成13年4月1日に施行された法第100条第13項(改正当時第12項)の規定により議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として会派又は議員に交付されるもので、同項後段の規定によりその交付の対象、額及び交付の方法は条例で定めることとなっている。
本市においては、前述の地方自治法の改正に伴い、船橋市議会政務調査費の交付に関する条例(平成13年船橋市条例第1号。以下「条例」という。)が平成13年4月1日に施行されている。
政務調査費の交付対象は条例第2条の規定により会派及び議員の職にあるもので、交付金額は条例第5条第1項の規定により各月の初日に在職する議員に対しては、月額8万円となっている。

(2) 収支報告書及び領収書等について

政務調査費の交付を受けた会派の代表者又は議員は、条例第7条第1項の規定により収支報告書に領収書(領収書を徴することができない場合は、これに代わる書面。以下「領収書等」という。)を添えて、年度終了日の翌日から起算して30日以内に議長に提出しなければならないとされ、条例第8条には「収支報告において残額が生じた場合は、当該残額を速やかに返還しなければならない」ものとして、返還規定が設けられている。
また、収支報告書の提出を受けた議長は、船橋市議会政務調査費の交付に関する規程(平成13年船橋市議会告示第1号。以下「規程」という。)第6条第2項により「収支報告書の写しを市長に送付」することとなっている。

(3) 政務調査費の使途基準について

本市の政務調査費の使途基準については、条例第6条の委任を受けた規程第5条別表に「政務調査費の使途基準」(以下「使途基準」という。)として、次のとおり定められている。

政務調査費の使途基準
項目 内容
1 研究研修費 会派又は議員が研究会又は研修会を開催するために必要な経費及び会派に所属する議員又は議員が他の団体の開催する研究会又は研修会に参加するために要する経費
2 調査旅費 会派又は議員の行う調査研究活動のために必要な国内外の先進地調査又は現地調査に要する経費
3 資料作成費 会派又は議員の行う調査研究活動のために必要な資料の作成に要する経費
4 資料購入費 会派又は議員の行う調査研究活動のために必要な図書、資料等の購入に要する経費
5 広報広聴費 会派又は議員の調査研究活動、議会活動及び市の政策について住民に報告し、啓発するための経費並びに会派又は議員が住民からの市政及び会派の政策等に対する要望又は意見を吸収するための会議等に要する経費
6 会議費 会派又は議員の各種会議に要する経費
7 人件費 会派又は議員の行う調査研究活動を補助する職員を雇用する経費
8 事務費 会派又は議員の行う調査研究活動のために必要な事務に要する経費
(4) 政務調査費の使途について

平成13年3月27日に船橋市議会定例会に提出された発議案第2号の船橋市議会政務調査費の交付に関する条例の提案理由において、「船橋市議会といたしましては、自己決定、自己責任を強く打ち出し、収支報告書の添付書類として、領収書そのものを議長に提出することを条例で義務付けること」及び「このたびの地方自治法に基づく政務調査費の交付条例を議員の調査研究活動においても有効かつ適切に運用するとともに、使い方の透明性を確保し、市民から指弾を受けることのないようにすることが、我々議員としての責務であると考えております」と説明している。

2 判断

監査において、政務調査費の使途については条例及び規程に定められた使途基準に合致した支出でなければならないことを基準に、違法不当性を判断した。

(1)A議員の平成15年度の147,777円のカーナビ購入費及びB議員の平成15年度の147,777円のカーナビ購入費について

A議員及びB議員に文書照会したところ、当該カーナビについては、ポータブル式のため、調査活動時のみ使用し、私的な用途での使用はないと回答している。しかしながら、調査研究活動においてカーナビを使用することが有り得るとしても、調査研究活動のためにカーナビを使用する必要性は乏しく、また、社会通念上も私的に使用することが容易に可能なことから、147,777円の全額を使途基準に合致しない支出であると判断した。

(2)C議員の平成15年度の210,000円の市政報告会開催費について

C議員に文書照会したところ、「C 市政報告会及び『感謝の集い』へのお誘い」という案内状が回答資料として提出された。
会場借上げ費用については、市政報告会の費用として認められるが、残額については懇親会的なものであり、参加者の会費又は後援会費から充当すべきものである。
従って、室料30,000円、それに対する奉仕料3,000円及びそれらに対する消費税1,650円の合計34,650円を使途基準に合致する支出と認め、残額の175,350円は使途基準に合致しない支出であると判断した。

(3)D議員の平成15年度の82,635円の佐賀県白石町・太良町視察費について

D議員に文書照会したところ、平成11年から船橋で開催している「千葉県かぶと虫相撲大会・船橋場所」へアイデアとノウハウを教えていただいた社会福祉法人西部コロニーがある太良町と白石町を視察し、船橋場所をもっと盛況にするためのアドバイス等を受けるために視察したと回答があった。
また、面接調査及び同議員のオフィシャルホームページにおいて「かぶと虫相撲大会・船橋場所」を主宰していることが確認されたことから、本件視察は、私的な旅行であったとすることが妥当である。
従って、この視察は、議員としての調査研究活動としては認められないことから、82,635円の全額を使途基準に合致しない支出であると判断した。

(4)D議員の平成15年度の13,000円の沼津市花火大会視察費について

D議員に文書照会したところ、船橋市の花火大会は船橋港親水公園で実施されているが、同じように海上花火を実施している先進地である沼津市の海上花火を視察することにより船橋市の花火をより良いものにするため、沼津市の海上花火大会を視察した。なお、添付資料についてもないとの回答であった。
同議員は、面接調査において、沼津市の海上花火(サンセットページェント2003)を視察し、その後、船橋市議会事務局を通じて、同大会を主催した「燦々ぬまづ推進委員会(沼津市産業振興部商工振興課)」から、「平成15年度サンセットページェント開催事業決算見込書」をFAXにて取得(平成15年9月25日)し、その資料をもとに、船橋市と沼津市の花火大会の費用比較資料を作成していることが確認されたので、13,000円の全額を使途基準に合致する支出であると判断した。

(5)D議員の平成17年度の65,867円の伊万里市・佐賀市行政視察費について

D議員に文書照会したところ、小学校給食直営校のアルマイト食器の利用について、磁器生産の先進地である伊万里市や佐賀市の学校給食の実態を調査するために、伊万里市と佐賀市を行政視察した。なお、添付資料についてもないとの回答であった。
同議員に対する面接調査において、旅行行程や訪問先の説明を求めたところ、具体的な回答は得られなかったが、これをもって本件視察が私的な旅行であると決めることはできず、また、視察後の平成17年第4回船橋市議会定例会において「小学校給食直営校のアルマイト食器の利用について」の質疑を行っていることなどを考慮すると、65,867円については、使途基準に反した違法又は不当な目的外支出であると判断するには至らなかった。

(6)D議員の平成17年度の58,043円の伊万里市・佐賀市視察費について

D議員に文書照会したところ、伊万里市教育委員会へ「生涯学習」の現状と今後の計画等についての意見交換、及び佐賀市の「中小小売業高度化事業構想(佐賀市TMO構想)」が破綻した実情等を研究するため、伊万里市教育委員会、佐賀市産業部商工振興課などを視察したとの回答があり、添付資料として、「中小小売商業高度化事業構想(佐賀市TMO構想)及び「佐賀市中心市街地活性化基本計画」が提出された。
同議員に対する面接調査において、旅行行程や訪問先の説明を求めたところ、具体的な回答は得られなかったが、これをもって本件視察が私的な旅行であると決めることはできず、また、平成15年第3回船橋市議会定例会及び平成17年第3回船橋市議会定例会において、中心市街地活性化法に基づく基本計画の策定について質疑を行っていること、本件視察に係る資料が提出されていることなどを考慮すると、58,043円については、使途基準に反した違法又は不当な目的外支出であると判断するには至らなかった。

(7)D議員の平成17年度の51,457円の伊万里市・佐賀市視察費について

D議員に文書照会したところ、前回視察した内容を具体的なカタチで実行している「恵比寿さんを巡って候。」の研究、及び伊万里市内にある「黒沢記念館」を中心とした商店街活性化策と観光対策等について研究するため、佐賀市・伊万里市の両商工会議所及び黒沢記念館、伊万里市歴史民族資料館、秘窯の里「大川内山」他を視察したとの回答があり、添付資料として、「恵比寿さんを巡って候。」及び「伊万里市歴史民族資料館、秘窯の里(大川内山)」が提出された。
しかしながら、同議員が議長に提出した本件視察に係る領収書(平成17年10月11日発行の西日本シティキャッシュサービスご利用明細)によると、上記(6)の伊万里市・佐賀市視察の初日(平成17年10月11日)若しくはその日前に航空券を予約していたことになるから、本件視察は上記(6)の伊万里市・佐賀市視察以前にあらかじめ計画、予定されていたものであり、調査研究のための視察としては不自然である。
そして、同議員に対する面接調査において、この事情や旅行行程、訪問先の説明を求めたところ、具体的な回答が得られなかったこと、提出された資料は、調査研究活動による視察でなくても容易に入手できるものであること及び議長に提出した本件視察に係る個々の領収書、本人作成の支払証明書から判断して、本件視察は、私的な旅行であったとすることが妥当である。
従って、この視察は、議員としての調査研究活動としては認められないことから、51,457円の全額を使途基準に合致しない支出であると判断した。

(8)D議員の平成17年度の100,072円の佐賀市・伊万里市・白石町行政視察費について

D議員に文書照会したところ、5月9日に回答書が提出され、その後2回にわたり回答書が変更された。最後に提出された回答書によると、佐賀市の「不法駐輪対策」が進んでいると聞いたので、その実態を研究すること、「煎茶の祖」を称される高遊外売茶翁をキーワードにまちづくりをはじめている方々と意見交換し、船橋のまちづくりに参考とするためなどの目的で、佐賀市役所、伊万里市立図書館などを視察したとの回答があった。添付資料については、5月9日に「シエナ・ブラス佐賀公演2005のパンフレット」他2点が提出され、その後に「第3回かしま鍋島竹あかり」他1点が追加提出された。
同議員は、面接調査において、「プロ吹奏楽団 シエナ・ウインド・オーケストラ」による「シエナ・ブラス佐賀公演2005」が、平成17年11月15日に佐賀市文化会館、19日に白石町有明スカイパークふれあい郷自有館、20日に伊万里市民会館において開催されており、当該視察の主たる目的がこの公演であって、その他の視察については、この公演の合間に行ったとの回答があった。また、同議員のオフィシャルホームページの地域活動年間スケジュール表にも同公演について掲載がされていること、更に、「シエナ・ブラス佐賀公演2005」のパンフレットには「主催/ふるさと佐賀文化交流応援団(理事長/D)」と同議員名が明記されていることが確認された。これらのことから、本件視察の主たる目的は、私的な旅行であり、それに調査研究活動を付随させたものであったとすることが妥当である。
従って、この視察は、議員としての調査研究活動としては認められないことから、100,072円の全額を使途基準に合致しない支出であると判断する。

(9)D議員の平成17年度の38,585円の京都市視察費について

D議員に文書照会したところ、北野天満宮商店会や京都市内で開催されている「ロウソクの灯」を使ってのイベント等について、船橋のまちづくりの一環として開催している「57万人のキャンドルナイト」等のイベントの参考にするため、調査、研究を目的に、北野天満宮商店会や京都市内を視察した。なお、添付資料についてもないとの回答であった。
同議員は、面接調査において、「57万人のキャンドルナイト」の実行委員長であったとの回答があった。また、この活動については同議員のオフィシャルホームページの地域活動年間スケジュール表に掲載されていることが確認されたことから、本件視察は、私的な旅行であったとすることが妥当である。
従って、この視察は、議員としての調査研究活動としては認められないことから、38,585円の全額を使途基準に合致しない支出であると判断した。

(10)E議員の平成15年度の279,876円の切手購入費について

E議員に文書照会したところ、平成16年3月30日に購入した切手については、政治活動の継続性から、定例市議会の質問や議会活動、市民活動の成果の郵送として平成16年4月から17年3月までに使用したが、その資料はない。また、私的な使用はないと回答があった。
当該切手の購入費は、収支報告書の会計期間内である年度内の支出であり、その使用期間は議員の任期中であること及び私的な使用はないと回答していることから、平成16年3月30日に購入したことは、必ずしも違法、不当とは言い切れないので、279,876円の全額を使途基準に合致する支出であると判断した。

(11)E議員の平成16年度の270,000円の切手購入費について

E議員に文書照会したところ、平成17年3月31日に購入した切手については、政治活動の継続性から、定例市議会の質問や議会活動、市民活動の成果の郵送として平成16年4月から19年3月までに使用したが、その資料はない。また、私的な使用はないと回答があった。
当該切手の購入費は、収支報告書の会計期間内である年度内の支出であり、その使用期間は議員の任期中であること及び私的な使用はないと回答していることから、平成17年3月31日に購入したことは、必ずしも違法、不当とは言い切れないので、270,000円の全額を、使途基準に合致する支出であると判断した。

(12)F議員の平成16年度の240,000円の切手購入費について

F議員に文書照会したところ、平成17年3月25日に購入した切手については、議会報告用として購入し、発送は5月の連休明けだったと回答している。添付された資料の「a F 市議会報告 第18号」の内容は、平成17年第1回船橋市議会定例会の報告となっており、同議員が回答している5月に発送したものと確認できることから、240,000円の全額を使途基準に合致する支出であると判断した。

(13)G議員の平成17年度の250,000円の葉書購入費について

G議員に文書照会したところ、平成18年3月29日に購入した葉書については、平成18年第1回船橋市議会定例会報告用として購入し、発送は3月から4月上旬に行ったと回答している。添付された資料の「船橋市議会ミニレポート 平成18年3月 市議会議員 G」の内容は、平成18年第1回船橋市議会定例会の報告となっており、同議員が回答している3月から4月にかけて発送したものと確認できることから、250,000円の全額を使途基準に合致する支出であると判断した。

(14)H議員の平成17年度の10,000円の津田沼1丁目商店会の新年会費について

H議員に文書照会したところ、平成18年1月24日に開催された津田沼一丁目商店会の新年会費10,000円については、「私は船橋市前原商店会の会員であり、習志野市津田沼一丁目商店会の会員ではありません。」とし、「JR津田沼駅のエレベーター設置に係る重要な人たちが出席する重要な津田沼一丁目商店会の新春懇談会であり、招待を受けた私にとっても船橋側の人にとっても習志野側の人と話合いができ、また、情報を得ることが出来る重要な機会であるから政務調査費を使用して出席したところであります。」と回答している。
しかしながら、新年会や新春懇談会は、社会通念上、飲食を伴う懇親会であることから、議員としての交際費又は個人的な支出で参加することが妥当である。
従って、この新年会費は、議員としての調査研究活動とは認められないことから、10,000円の全額を使途基準に合致しない支出であると判断した。

第5 意見

本市において、政務調査費は、地方自治法及び条例に基づき、議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として公金より交付されている。本制度は、議員の調査研究の活動基盤を充実するために設けられたものであり、政治活動の執行機関からの独立を確保するため、その使途については、議員の自己決定、自己責任に委ねられているものである。
しかしながら、今回、住民監査請求に基づき、政務調査費について監査した結果、条例の定めに合致しない支出が認められた。
船橋市議会におかれては、今後、収支報告書における使途の記載の拡充・詳細化、使途基準に関するガイドラインの作成など、市民の納得を得られるような政務調査費の透明性の向上に向けた方策の検討を進められるよう要望する。


改善結果および措置の内容

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