住民監査請求監査 監査結果本文(平成19年5月31日)

更新日:平成28(2016)年2月21日(日曜日)

ページID:P002794

監査結果本文

船橋市監査委員告示第8号
地方自治法第242条第1項の規定に基づく、船橋市職員措置請求について監査を実施したので、同条第4項の規定により、その結果に関する通知を公表する。
なお、監査委員村田一郎(平成19年4月30日退任)、浅野正明(平成19年4月30日退任)、安藤信宏(平成19年5月22日就任)、小石洋(平成19年5月22日就任)は、法第199条の2の規定により除斥した。
平成19年5月31日
船橋市監査委員 安田雅行
船橋市監査委員 山澤拓爾

第1 請求人

10名の住所・氏名 省略

第2 請求の受理

平成19年4月2日付けで提出のあった本件措置請求については、平成19年4月2日に受理した。

第3 監査の実施

1 請求の要旨(措置請求書の原文のとおり)

船橋市長は、船橋市市議会議員50名に対して、平成17年4月8日、同年7月8日、同年10月7日、平成18年1月10日と4回に分け総額4千6百万円の政務調査費を支給した。
請求人等は、前述の政務調査費平成17年度分に対応する船橋市議会政務調査費収支報告書に添付した領収書50名分を閲覧調査した。
請求人等の調査によれば、船橋市市議会議員50名全員は、平成17年度1年間を通じて一人約96万円(一部返還者が居る)相当の政務調査費を船橋市から受領していることが判明した。
そして、この政務調査費使途を証明する資料として、領収書が添付されていたので、この領収書を精査した結果、次の事が判明した。
船橋市市議会議員50名全議員に共通して、船橋市議会政務調査費の交付に関する規程に違反し、調査目的内容の無い領収書をして収支報告書を提出している。
これは、船橋市市議会全議員が違法受給者として、政務調査に名を借りた違法行為を行ったと言わざる得ない。
そして、船橋市は、政務調査費の収支報告書に添付した領収書に目的内容不記載を承知して支出した事は、地方自治法第232条の4第2項規定による法令遵守審査義務違反になる。
依って、請求人等は、地方自治法第242条第1項の規定により別紙事実証明書を添付の上、政務調査費受給の違法確認及び平成18年度及び平成19年度の支給差し止めるともに、政務調査費使途基準の有り方の勧告を求めて監査請求します。

2 監査対象事項

請求書に記載されている事項及び事実を証する書面並びに請求人の陳述内容から、監査の対象事項は「平成17年度分全船橋市議会議員の調査目的内容の無い領収書を添付して提出された船橋市議会政務調査費収支報告書(以下「収支報告書」という。)により支出された2会派(17名)と議員33名の政務調査費受給の違法確認と、その違法性を前提とした、平成18年度分と平成19年度分政務調査費の支給の差し止め及び政務調査費使途基準の有り方の勧告」とした。

3 監査の方法

監査は、次のとおり実施した。

1 請求人の証拠の提出及び陳述

平成19年4月10日に請求人より追加資料の提出があった。また、平成19年4月24日、請求人に対し、法第242条第6項の規定に基づき、証拠の提出及び陳述の機会を与えた。

2 関係職員の陳述

平成19年4月24日、議会事務局長、議会事務局参事(庶務課長)、議会事務局庶務課主幹(課長補佐)から陳述の聴取を行った。

3 関係する職員の事情聴取

本件監査の対象となった書類を調査するとともに、平成19年4月24日に次の職員から事情聴取を行った。
議会事務局参事(庶務課長)、庶務課主幹(課長補佐)、庶務課主査(庶務係長)。

第4 監査の結果

1 主文

本請求について、監査委員は、合議により次のとおり決定した。
本件措置請求については、請求に理由がないものとして棄却する。
以下、その理由について述べる。

2 理由

1 事実関係
(1) 政務調査費について

政務調査費は、地方自治法の一部を改正する法律(平成12年法律第89号)により平成13年4月1日に施行された法第100条第13項(改正当時第12項)の規定により議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として会派又は議員に交付されるもので、同項後段の規定によりその交付の対象、額及び交付の方法は条例で定めることとなっている。
本市においては、前述の地方自治法の改正に伴い、船橋市議会政務調査費の交付に関する条例(平成13年船橋市条例第1号。以下「条例」という。)が平成13年4月1日に施行されている。
政務調査費の交付対象は条例第2条の規定により会派及び議員の職にあるもので、交付金額は条例第4条第1項の規定により会派に対する政務調査費が各月の初日(以下「基準日」という。)における当該会派の所属議員の数に月額8万円を乗じて得た額であり、条例第5条第1項の規定により基準日に在職する議員に対しては月額8万円である。

(2) 収支報告書及び領収書等について

政務調査費の交付を受けた会派の代表者又は議員は、条例第7条第1項の規定により収支報告書に領収書(領収書を徴することができない場合は、これに代わる書面。以下「領収書等」という。)を添えて、年度終了日の翌日から起算して30日以内に議長に提出しなければならないとされ、条例第8条には「収支報告において残額が生じた場合は、当該残額を速やかに返還しなければならない」ものとして、返還規定が設けられている。
また、収支報告書の提出を受けた議長は、船橋市議会政務調査費の交付に関する規程(平成13年船橋市議会告示第1号。以下「規程」という。)第6条第2項により「収支報告書の写しを市長に送付」することとなっている。

(3) 政務調査費の使途基準について

本市の政務調査費の使途基準については、条例第6条の委任を受けた規程第5条別表に「政務調査費の使途基準」(以下「使途基準」という。)として、次のとおり定められている。

政務調査費の使途基準
項目 内容
1 研究研修費 会派又は議員が研究会又は研修会を開催するために必要な経費及び会派に所属する議員又は議員が他の団体の開催する研究会又は研修会に参加するために要する経費
2 調査旅費 会派又は議員の行う調査研究活動のために必要な国内外の先進地調査又は現地調査に要する経費
3 資料作成費 会派又は議員の行う調査研究活動のために必要な資料の作成に要する経費
4 資料購入費 会派又は議員の行う調査研究活動のために必要な図書、資料等の購入に要する経費
5 広報広聴費 会派又は議員の調査研究活動、議会活動及び市の政策について住民に報告し、啓発するための経費並びに会派又は議員が住民からの市政及び会派の政策等に対する要望又は意見を吸収するための会議等に要する経費
6 会議費 会派又は議員の各種会議に要する経費
7 人件費 会派又は議員の行う調査研究活動を補助する職員を雇用する経費
8 事務費 会派又は議員の行う調査研究活動のために必要な事務に要する経費
(4) 政務調査費の使途の特定について

2会派(17名)と議員33名の平成17年度分の政務調査費に係る収支報告の確認を行った結果、条例第7条第1項の規定どおり、収支報告書には「支払(支出)伝票」(別紙省略)により区分された領収書等が添付されて提出されており、同票の支払項目欄には該当する使途基準の項目が記入され、使途の特定がなされていた。

2 判断

以上のことから、平成17年度の収支報告書に添付されていた領収書等は、規程で定められた使途基準の項目別に区分されており、収支報告は条例・規程に定められたとおりに行われていることから、請求人の主張する政務調査費の受給に係る違法性を認めることはできないものと判断した。
従って、平成17年度の政務調査費受給の違法性を前提とした、「平成18年度分と平成19年度分政務調査費の支給の差し止め及び政務調査費使途基準の有り方の勧告」についても、前述のとおりその違法性を認めることができないことから、主文のとおり理由がないものとする。

このページについてのご意見・お問い合わせ

監査委員事務局

〒273-0011千葉県船橋市湊町2-10-18

受付時間:午前9時から午後5時まで 休業日:土曜日・日曜日・祝休日・12月29日から1月3日