監査結果本文(平成16年3月16日)

更新日:平成25(2013)年3月15日(金曜日)

ページID:P002786

監査委員告示第3号
地方自治法第242条第1項の規定に基づく、船橋市職員措置請求について監査を実施したので、同条第4項の規定により、その結果に関する通知を公表する。
平成16年3月16日
船橋市監査委員 印

第1 監査の請求

1 請求人(略)

2 請求の要旨(措置請求書の原文のとおり)

  1. 平成15年9月19日付けで、船橋市教育委員会より、「八木が谷小学校学校管理運営委員長名義の普通預金通帳」ならびに、「平成15年6月23日付け八木が谷小学校PTAが発行した第2回常任委員会報告」が公開された。また、平成15年12月22日付船監第238号により、監査結果が通知された。
    これらの資料より、船橋市立八木が谷小学校における、平成15年3月31日現在の、入学式、運動会、卒業式等の祝儀の残金は、522,349円―400,000円=122,349円であることがわかる。
    船監第238号第3監査の結果1事情聴取等の結果(3)522,349円についてによれば、「前教頭が学校行事関係諸会計を引き継いだのは平成12年度で、金額は400,000円であった。その後、学校行事関係諸会計に入学式、卒業式などの行事における祝儀の残額を収入とし、また行事における接待費や消耗品費などを支出する他、ふれあい行事などの一部費用にも充て、その残額が522,349円となったものである。」とあり、122,349円はすべて祝儀の残金である。なぜなら、船橋市立学校において、学校行事関係諸会計への、祝儀の残金より他の収入はあり得ないからである。
  2. 祝儀は、校長個人への金銭として受領されたものではなく、学校への金銭として受領されたものである。祝儀は、学校への寄附金である。
  3. 船橋市立学校は、船橋市の実施機関であるから、学校への寄附金は船橋市財務規則の通りに適正に処理されなければならない。
    すなわち、船橋市財務規則第30条2(4)寄附金として、収入金を調定し、市の収入としなければならない。
    船監第238号第3監査の結果2判断(2)のとおりである。
    よって、監査委員は、船橋市教育委員会委員長に対し、次のように勧告することを求める。


船橋市教育委員会委員長は、船橋市立八木が谷小学校における祝儀の残金122,349円は船橋市への寄附金なので、直ちに調定して船橋市の収入にすること。

3 請求の受理

監査の実施に当り、本件措置請求書が要件に適合しているかどうか審査を行ったところ、要件を具備しているものと認め、平成16年1月19日付けでこれを受理した。

4 請求人の証拠の提出及び陳述

法第242条第6項の規定に基づき、平成16年2月20日、請求人に対して、証拠の提出及び陳述の機会を与えた。

証拠の提出

新たな証拠の提出はなかった。

陳述における主な主張の要旨

船橋市立小中学校において現金が受領されるのは入学式、運動会、卒業式等の招待者からの祝儀か、或いは学級費など業者に支払うべき保護者からの預り金である。会計記録及び保存が適正になされていなかったとしても、122,349円は、すべて入学式、運動会、卒業式等の祝儀の残金以外あり得ない。

第2 監査の実施

1 監査の対象事項

請求人から提出された船橋市職員措置請求書及び事実を証する書面並びに陳述要旨から、請求の要旨を次のように解し監査の対象とした。
八木が谷小学校学校管理運営委員長名義の普通預金通帳及び平成15年6月23日付け八木が谷小学校PTAが発行した第2回常任委員会報告並びに平成15年12月22日付け船監第238号による監査結果から、船橋市立八木が谷小学校における、平成15年3月31日現在の、入学式、運動会、卒業式等の祝儀の残金は522,349円から400,000円を差引いた122,349円である。
祝儀は、学校への金銭として受領されたものであり、祝儀は学校への寄附金であるから、船橋市財務規則(昭和56年船橋市規則第4号)第30条第2項第4号の寄附金として、収入金を調定し、市の収入としなければならない。

2 監査の方法

本措置請求書は、監査の対象事項でも述べたとおり八木が谷小学校における平成15年3月31日現在の祝儀の残金について措置を請求したものであり、これは平成15年10月29日提出があり、平成15年12月25日に監査結果を公表した船橋市職員措置請求書と同一内容の請求であると判断し、その後の事情変更もないことから、関係職員の陳述及び事情聴取等は行わなかった。

第3 監査の結果

本船橋市職員措置請求書で請求人は新たに「祝儀の残金は、522,349円―400,000円=122,349円である」と言うが、平成15年12月22日付け船監第238号の監査結果で述べたとおり、祝儀の残金を繰り入れしたり、経費等の支出をしてきた学校行事諸会計の、会計記録及び保存が適正になされていなかったため、122,349円を含む522,349円の明細や内訳などは確認できなかった。学校行事諸会計の会計記録は、何らの根拠に基づくものではなかったとはいえ、それらの記録が廃棄されたことは批判されるべきことであった。
また、請求人は陳述の際においても、「122,349円は祝儀の残金以外あり得ません。」と断言しているが、これを認定するに足る事実は存在せず確信を得た状態に達しなかったものである。
従って、対象とすべき額の全額が祝儀と断定できなかったことから棄却する。

参考

平成15年10月29日提出があり、平成15年12月25日に監査結果を公表した監査結果のうち監査の結果は、次のとおりであった。

1 事情聴取等の結果は、次のとおりである。

  1. 祝儀について
    教育委員会の祝儀についての見解は、次のようなものであった。
    祝儀は金銭だけに限らず教材・食材等の物品もあり、地域の方たちが地域と学校の意思疎通を図り、お互いの親睦を深めることが目的であり、船橋市の歳入となる寄附行為としては考えていない。
    また、学校行事において受け取っていた祝儀は、公金とは捉えていない。
  2. 八木が谷小学校学校行事における祝儀の取扱い
    平成14年度、八木が谷小学校においては、入学式等の学校行事において招待者から祝儀の申し出があった場合はこれを受領し経費等の支出に充てており、残金があった場合は、学校行事関係諸会計に繰り入れていた。これら受け入れ、払い出しの記録は、備忘録的に作成されていた。
  3. 522,349円について
    学校行事諸会計の現金について、使途は校長が決定していたが現金の管理は教頭が行っていた。前教頭が学校行事関係諸会計を引き継いだのは平成12年度で、金額は400,000円であった。その後、学校行事関係諸会計に入学式、卒業式などの行事における祝儀の残額を収入とし、また行事における接待費や消耗品費などを支出する他、ふれあい行事などの一部費用にも充て、その残額が522,349円となったものである。
  4. 出納記録等について
    平成14年度までは、祝儀の残金が繰り入れられていた学校行事関係諸会計の受け入れ、払い出しの記録は、備忘録的に作成されていた。
    しかし、平成15年度から教育委員会の指導により祝儀の収受が廃止されることになったこと及び学校管理運営費が校長会を通じて支給されることになったことから、八木が谷小学校校長の判断により、学校行事関係諸会計の諸記録は平成15年3月20日頃廃棄された。
  5. 八木が谷小学校学校管理運営委員会の設立について
    平成15年度から教育委員会では学校管理運営費補助金を校長会に支出することとなり、八木が谷小学校では321,000円の配当を受けた。この配当を受けた運営費の監査を行うことと、繰越しされた522,349円の使途を協議し執行する組織として、八木が谷小学校職員代表4名とPTAとで八木が谷小学校学校管理運営委員会が平成15年6月11日設立された。
    現在、522,349円はこの八木が谷小学校学校管理運営委員会に引き継がれている。
  6. 寄附金の調定について
    各小・中学校における寄附金の調定は、船橋市教育委員会組織規則(平成4年教育委員会規則第1号)第12条の分掌事務の規定から管理部財務課長が行う。

2 判断

  1. 本請求の対象行為について
    公金には、税に限られず、当該自治体の収入すべき公金のすべてが含まれ、徴収とは、債権を取り立てて収納する行為をいうものであり、公金の場合は、地方公共団体の歳入を調定し、収納の通知をし、収納する行為をいうとあり、請求者のいうように祝儀が寄附金であるとすれば、収受したときに調定しなければならないものであり、本請求を公金の賦課徴収を怠る事実に該当する財務会計上の行為と解釈した。
  2. 「祝儀は学校への寄附金であるから、船橋市財務規則第30条2(4)寄附金として、収入金を調定し、市の収入としなければならない。」との請求人の主張について
    「来賓より祝儀を受けその金を接待費へ充当することはできるかとの問いに法第210条は、一会計年度におけるいっさいの収入及び支出はすべて予算に計上すべきことを想定し、いわゆる総計予算主義の原則が確立されており、したがって、問いのような場合でも歳入の手続きをとらなければならないものと解される。」とされている(地方自治制度研究会編集「地方財務実務提要」1405頁)。
    また、「祝い金は、行事に招待されたことを契機に、その使途を行事の主催者に一任する趣旨でなす贈与と認められ、これは寄附として扱うほかなく、受領の時点で市の所有する公金となったと解するのが相当である。」とする東京高判昭和55年3月31日(判例時報第963号17頁)もあり、祝儀を受領した時点に市の収入とすべきものであったと考える。
  3. 「入学式、運動会、卒業式等の祝儀の残金は、522,349円である」との請求人の主張について
    八木が谷小学校においては、祝儀等の残金は学校行事関係諸会計に繰り入れ処理してきたが、この522,349円には平成12年度以前からの引継ぎ額400,000円が含まれていた。この引継ぎ額の内訳については、周年対策費用に備えてきた金額であるとの説明を受けただけで明細などの説明は受けておらず、その後この会計に祝儀の残金を繰り入れしたり、経費等の支出をしてきたものである。しかし、会計記録及び保存が適正になされていなかったため、522,349円の明細や内訳などは確認できなかった。このようなことから請求人が言うように全額祝儀の残金であるということについては確認できなかった。

3 結論

以上、祝儀は2の(2)で述べたように受領した時点で市の収入とすべきものであったと考えるが、2の(3)で述べたように全額が祝儀の残金であるということについては確認できず、対象とすべき祝儀の額の特定ができなかった。よって棄却する。
監査の結果は以上のとおりであるが、次のように教育委員会委員長あて要望した。

教育委員会委員長あて要望

八木が谷小学校における、祝儀を含む学校行事関係諸会計の残金 522,349円については、八木が谷小学校学校管理運営委員会において使途を協議し執行していくことになったというが、その執行が適正に行われるよう要望する。

このページについてのご意見・お問い合わせ

監査委員事務局

〒273-0011千葉県船橋市湊町2-10-18

受付時間:午前9時から午後5時まで 休業日:土曜日・日曜日・祝休日・12月29日から1月3日