日本の下水道歴史

更新日:平成28(2016)年3月22日(火曜日)

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初めに

日本の下水道はどの様に進んできたのでしょうか。糞尿の処理から始まって、下水道に至るまでの歴史をまとめてみました。

日本初期から貴族時代

人間が集まり、生活している場所の風土や環境の差異によって、文化が生じます。トイレに対する考え方も文化によって千差万別です。日本では農耕型の定住生活習慣になったころから、用便をする場所(便所)という概念が生じており縄文時代の遺跡からも便所が発見されています。川の上に板を渡したような単純なものですが、流れが速く、水中生物が豊富な日本では、河川を利用した糞尿処理は有効だったのでしょう。便所が川にあったことから、川の小屋と呼ばれ、転訛して、厠になったという語源説があります。また農耕型集団は季節の収穫物として食料を備蓄するので、他の集団と、その備蓄食糧をめぐる争奪が狩猟民族に比べ起こりやすいと言われています。そんな時、無防備な用便中は弱点となるので囲いをするようになり、西洋の便所に比べ日本人の便所が丈夫な個室になっている源流はここかも知れません。また11世紀頃から肥料としての利用が広く始まったと言われています。余談ですが西洋と東洋の境と言われるボスポラス海峡が洋式と和式トイレの境にもなっています。和式の金隠しは当初背中側についており、用途は和服の裾を引っかけるための物、衣掛、キヌガケ、キヌガケシでした。

世界の大都市、江戸時代

小便は血液を濾過したモノなのでほぼ無菌状態、大便は食べカスというよりも消化器官のカスが多く含まれているのですが、植物の生育に必要な窒素やリンがなどの有機物が多量に含まれているので、食料生産を上げるには絶好の肥料でした。そんな訳で米を年貢としていた江戸時代には糞尿は重要な肥料となり、公衆便所も設置され糞尿の回収率はほぼ100パーセントでした。有価物でしたので売買もされており、その市場は20億円ともいわれています。有価物が回収された町は、西洋の糞尿(廃棄物)が溢れた町と異なり大変清潔な町並みを誇り、織田信長や豊臣秀吉らと会見したポルトガル人、ルイス・フロイスの紀行文に「日本の町はとても綺麗だ」と言わしめています。また、江戸の町では家畜等の死体処理・壊れ物の再利用システム、菜食主義、関所などと相まって、清潔な環境が保たれ、世界に類の見ない100万人規模の大都市に育っていきました。大都市を支えるのは上水、下水なのです。

明治維新後

開国し安い肥料の輸入と相まって、下肥の利用はだんだん減り、糞尿が有価物から廃棄物に転落していきました。外人居留地である横浜や神戸で、外人の手により下水管が敷設されたことを皮切りに、ここから先は、西洋が辿ってきた汚水処理への道と同じ道を辿ります。まず、廃棄物を流すための下水管を着手し、有名な銀座の暗渠化や神田下水などとして川に流すようになります。国策で西洋化を進める東京では、水洗便所という垂れ流しのトイレも導入され、皇居のお堀は悪臭で大変だったといいます。同時にコレラが大流行します。コレラ対策として飲み水を何とかしなければと、1890年に水道法が出来、その10年後に下水道法が出来、対策を進めていきます。とはいっても、下水道処理場が出来るのは22年後ですので、川に垂れ流しはしばらく続きます。また1910年に浸水家屋27万戸という関東大水害が起き、下水道の役目の1つとして「浸水の防除」が含まれるようになりました。しかしながら大都市で上水道は最優先です。下水道より上水道整備が優先され、下水道普及率は遅々として上がりませんでした。

近頃

所得が増え、進んだ文化水準への欲求が高まるにつれ汲み取り便所から、水洗便所へと変化し、下水処理場も作られ、この水に流すシステムは日本人の感性や、水が豊富な地理的条件と相まって、公共下水道のみならず浄化槽を含めた汚水処理方式として拡大していきました。また、景気対策としての一面も、下水道整備を促進していき現代に至ります。やがて個人の欲求が満足してくると次に社会全体への要求が高まり、近年では景観への配慮や、自然へ負荷のかからないように資源の再利用など、環境配慮型の下水道が求められています。

下水道で処理するモノ

船橋において、家庭や営業所を合わせて一人一日に換算すると約400リットルの水を下水道に流すと計算をしています。汚水・下水というとイメージされる糞ですが、その排出量は1用便で約200グラムと言われていますので、約0.05パーセントしか含まれていません。しかも有機質なので処理も比較的簡単なのです。そういったわけで下水処理場に入ってくる汚水は炊事、洗濯、風呂がほとんどを占め、合成洗剤やら油など処理が困難で再利用が難しい物質が占めています。薄い青緑系の色をしています。この入ってくる汚水は、汚れの指標BOD(生物化学的酸素要求量。水の汚濁状態を表す指標で、一般にBODの値が大きいほどその水質は悪いと言える。)でいいますと257ミリグラム/リットルの汚れで、約14時間をかけて1ミリグラム/リットルまできれいになります。(BOD値は西浦下水処理場H26の値)。ところで、この処理に係る費用を究極まで下げるためにはどうしたらいいかというと、多少乱暴ですが糞尿に限って言えば、生ゴミと同様に糞・尿・トイレットペーパーを水で流さずに分別回収する、コンポスト等で家庭内一次処理をする、処理水を飲料用とする、などが考えられますが、しかし、実行となると精神的な障壁等、色々問題がありそうですね。下水処理場で処理しているのは、今の文化水準を守りたいというプライドなのかもしれません。

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