【子ども記者通信】囲碁の楽しさを知る(峰台小学校 吉野 正麒さん)

更新日:令和7(2025)年8月14日(木曜日)

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峰台小学校 吉野 正麒

 7月6日、宮本公民館で千葉県少年少女囲碁大会団体戦が行われた。同じ学校の人を3人集め、チームを作り、戦うのだ。私たち峰台小学校も参加した。友達が6段、弟は13級、私は15級だ。なんとも弱くてデコボコチームだ。しかし、やるしかない。私は、3月から4カ月間、囲碁を覚えてきたのだから。正直、勝たなくてはいけないというプレッシャーより、いろいろなレベルの人と戦える楽しさでいっぱいだった。
 大会は、主将、副将、三将同士で戦い、2勝したほうが勝つ。ハンデはなしの互先だ。私は級が下なので、気軽に勝つことだけを、他の2人に迷惑をかけなければいいと思っていた。そんな私を心配して、主将の友達は黒番になるよう、クジを引いてくれた。よし!ツキがむいてきた。私も、棋力はすぐには上がらないので、せめて相手にプレッシャーをかけるつもりで囲碁の打ち方を練習してみる。人指し指と中指で石を挟み持ち、バシッとプロのように音を出して打ち、すっと石を手前に引いて目のところに合わせる。かっこいい!!そして表情は出さずに目だけを動かし、わざとゆっくり打つのだ。これで相手もビックリするだろう。もし、試合中に攻め方がわからなくなったら、自分の石をつなぐ、相手の石は切る。それだけを考えて戦ってみた。
 1回戦目は、勝った。私は、うれしかったし喜びを友達と味わいたかったけれど、友達と弟は負けてしまったので、チームは落ちたムードだった。特に友達のショックは大きかった。広い頼もしい背中がダンゴムシのように丸まって、口元は漢字の一の字だった。落ち着かないのか、次の対戦を待つ間、対局でミスしたところを何度も再現しては、悔しそうに反省し解説していた。私たちは、うん、うんと頷きながら心配して見守った。声はかけられなかった。しばらくして、友達が早口で「この後、全勝しないと全国には行けない」とつぶやいた。そして、私と弟の顔をちらりと見た。私と弟は、黙ってうなずいたけれど、内心は「無理だよぉぉ」と叫んでいた。試合はやってくる。主将は、前日囲碁教室で負けた子、副将は、弟が勝てない子、三将は、囲碁が強そうで真面目そうなメガネの子だ。「終わった。。。」私は、ドキドキして胸が苦しかった。「1石ずつ考えて打つんだよ」と、先生に何度も言われた言葉が、私の頭で反すうする。
 そして、対局が始まった。パチン、パチンと隣の石が聞こえてくる。相手の子も表情をかえずに打ってくる。集中するんだ。一石ずつ丁寧に、丁寧につなぐんだ。囲碁盤をなめるように見ては相手のキズを探し、頭の中でどこに打つかを考えた。最初は、全然だ。相手が優勢だ。落ち着け、私。頭が熱くなる。しかし、どこか冷静で目がらんらんとしてくるのが自分でもわかった。相手の打ち筋を見て、左手を箱に入れて石を強く握って打つ。侵入してやる。その時、私は、勝負というより、囲碁を打つことが純粋に楽しかった。考えて打つことが、本当に面白かった。最後、中心部は相手の陣地周りが私の陣地だった。勝った。友達がいつの間にか私の隣にきて、興奮気味に机に太い腕をついて言った。「マサキ、全国に行けるよ」私は、友達の顔をじっと見つめた。「えっ?本当?みんな勝ったんだ」友達は頷いて、今度は目元が漢字の一の字になっていた。「うん。マサキ、勝ってくれてありがとう」そして大きな体を揺らした。私は、やっと友達と弟と3人で喜びを味わえたのだ。
 表彰式の後、大会主催者の西崎さんに話を聞いた。囲碁団体戦は、昔は参加人数が多く、運営が大変だったことや囲碁人口が日本では年々減少していること、外国では集中力がつくスポーツであることを教えてもらった。確かに、碁石を見つめ、考えているときは集中しているし、囲碁盤に自分のフィールドをつくり、相手の陣地を壊して自分のフィールドを広げているときは夢中だ。しかし、本当に囲碁が楽しいと思えるのは、友達や先生に問題を出され、それを考え答えながら対局し、今度はそれを使って試合に勝てたとき。また、面白い囲碁手筋(シチョウアタリや花見コウ)を知ったときだ。囲碁に限らず、仲間とゲームをするのは楽しいと思う。囲碁で貴重な経験ができたのは、囲碁を一から教えてくれた船橋と市川の先生方と、何よりめんどうくさがりな私に、背中を押して大会に誘ってくれた友達との出会いだ。

 ありがとうございます!!

(令和7年7月29日投稿)

西崎さんに話を聞きました

   ▲西崎さんに話を聞きました

全国の切符を手にした私たち

     ▲囲碁の先生とチーム峰台

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