メディカルタウン構想は見直しを
・このご意見は令和6年9月にいただいたものです。
・お問い合わせ内容を要約している場合があります。
内容
建替え用地は地盤が良好な現在地から、軟弱地盤で地震による液状化の恐れのある区域へ移転するもので、災害拠点病院としてはふさわしくありません。また開発区域の海老川周辺は豪雨による浸水被害をたびたび繰り返してきた場所で、0.5~3mの浸水想定区域に入っています。
医療センターの建設費は723億円とのことですが、現在市民の利用率が7%の病院の建て替えにこれ程の費用をかけていいのでしょうか。
土地区画整理事業ですが、医療センターを移転しなければ計画地の盛土は必要ありませんし、排水のための雨水管や調整池の費用45億円の過半は不要と思われます。
新駅の設置に76億円がかかるとのことですが、開発事業では新駅の建設費は地元の受益者が負担すべきで船橋市が負担するものではありません。
医療センターの移転建替え723億円、土地区画整理事業193億円(内公的支出85億円)、新駅建設76億円など合計992億円(内公的支出884億円)となりますが、今後建設費が高騰すると1000億円を超える懸念があります。一般会計と病院特別会計では病院建設の巨額費用(利子を含め888億円)を賄えないため30年の公債で対応するとのことですが、公債発行により子育て・教育・健康保険・高齢者福祉等の予算が毎年20億円ほど30年間減らされる恐れがあります。
今は巨額の事業債を発行してまで公共工事を推進すべきではありません。この債務を子育て世代・現役世代に付け回すべきではありません。
回答
【医療センターの移転建て替えについて】
いただいたご意見に回答させていただく前に、新病院移転予定地選定にあたっての経緯についてご説明させていただきます。
平成26年度に実施した、「船橋市立医療センターの建て替え検討のための基礎調査業務」の中で、現敷地及び道路を挟んだ立体駐車場を含めた敷地での現地建て替えの検討を行いました。検討の結果、十分なスペースがなく、工期が長くなること、工事中の患者さんへの影響が大きいこと、完成後の建物も使いづらくなることが課題としてあげられ、メリットが少なくデメリットが多いことが検証されました。
現地建て替えが難しい状況となったため、移転候補地の検討を進め、平成27年度には、現敷地及び近隣農地を含む7つの候補地について、関係部局で検討を行いました。しかしながら、近隣農地については地権者の方が農業を続けていく意向が強かったこと、その他の候補地については、病院として必要な立地条件や建築条件、必要な規模を満たすような土地がなかったことから、適地が見つからない状況でした。
このような中、土地区画整理事業地区内への移転の可能性が示され、まとまった土地が確保できることや、三次救急を担う病院として、市の中心部への立地は救急搬送受入れの点でメリットがあること、その他、建築条件や来院者の利便性を考慮し、移転予定地として選定いたしました。
いただいたご意見の中の「軟弱地盤で液状化の恐れのある区域への移転」についてお答えいたします。
新病院の設計にあたり、令和4年度に新病院移転予定地内で地盤調査を行いました。この地盤調査により、移転予定地の現状地盤の特性を詳細に把握し、その結果を踏まえ、建築基準法等に基づき免震構造、耐震構造、液状化対策、杭の設計などを行うことで、建物の構造安全性を確保しております。
地震による影響については、長周期地震動をはじめ、直下型、液状化など今回の敷地特有の事象も配慮しながら構造設計を行い、安全性の検証をしております。
また、前述の地盤調査の結果を踏まえ、病院本棟、エネルギーセンター、医療ガス棟及び救急ステーションといった建物の下に液状化対策を行います。これにより、無理のない建物支持杭及び構造躯体設計とし、より合理的・経済的に建物の構造安全性を確保します。
さらに、建物以外でも、屋外の救急車両動線などに液状化対策を行います。これにより、大きな地震が起きた際でも、液状化による陥没や大きなひび割れにより、救急車の通行や災害医療の支障になることを防ぐことができます。
新設の都市計画道路及び新病院へアクセスする道路では、電柱の倒壊により道路をふさぐことがないよう、土地区画整理事業において、無電柱化を計画しております。
次に、いただいたご意見の中の「海老川周辺は豪雨による浸水被害をたびたび繰り返してきた場所で、0.5~3mの浸水想定区域に入っています」についてお答えいたします。
新病院移転予定地については、ご指摘のとおり、現在公表されている浸水ハザードマップにおいて0.5m~3.0mの浸水予測となっておりますが、新病院移転予定地を含めたエリアでは、土地区画整理事業において、時間約50mm対応の雨水管や、土地区画整理事業区域内に降った雨を一時的に貯める時間約70mm対応の調整池を設置し、河川へ流す雨水の量を調整する等の対策が行われます。
新病院移転予定地については、敷地の高さを現在公表されている、「想定し得る最大規模の降雨」による浸水予測よりも高くすることで、想定最大規模の降雨でも浸水しないような計画としております。さらに、万が一のことを想定し、電気室や非常用発電機室は2階に計画しています。
新病院までのアクセスについては、土地区画整理事業により整備される新病院移転予定地の東側の道路は、浸水・液状化ともにハザードエリア対象外になっており、そちらからのアクセスを想定しています。
万が一、東側の道路が通行できないとなった場合、土地区画整理事業区域外の北東側や北西側道路など、通行可能な道路を選んでアクセスすることも想定し、病院敷地への出入口を複数計画しております。
これらを踏まえ、「災害拠点病院としてふさわしくありません」とのご意見については、建て替え予定地において、地盤特性を踏まえた設計・対策を行うこと、想定最大規模の降雨でも浸水しないような計画とすること、また、予定地の周辺では土地区画整理事業において一定の雨水対策が行われることから、地域災害拠点病院としての機能を確保できるものと考えております。
次に、いただいたご意見の中の「市民の利用率が7%の病院の建て替えにこれ程の費用をかけていいのでしょうか。」についてお答えします。
医療センターは、心肺停止状態など命に係わる重篤な患者の受け入れを行う「第三次救急医療機関」であり、専門的ながん治療の提供とともに、地域の医療との連携の中心的な役割を担う「地域がん診療連携拠点病院」、災害発生時に多発する重症傷病者への対応等を行う「地域災害拠点病院」など、東葛南部保健医療圏の中核病院としての役割を担っています。
船橋市の地域医療体制は、市医師会・市内の医療機関との連携のもとで、長い時間をかけて確立したものであり、医療の役割分担・連携の考え方に基づき、医療センターは高度な医療や救急医療の提供を担っておりますので、医療センターを利用する市民の数的な割合で、その必要性を判断するものではないと考えます。
移転建て替えに係る費用については非常に大きなものとなりますが、新病院移転予定地は、複数の候補地を検討した結果、用地確保の確実性や、土地の大きさ、立地、建築条件などを総合的に勘案して選定したものであり、選定した用地において、その特性および施設の特性に応じて、建物の設計や地盤改良などの必要な対策等を講じるために必要な費用となります。
【土地区画整理事業で実施する盛土や雨水管及び調整池の整備について】
海老川上流地区土地区画整理事業における盛土は、医療センターの移転の有無や、そのほかの土地の用途に関わらず、宅地の造成のために行われるものです。
また、海老川上流地区土地区画整理組合が定めている事業計画では、雨水管の整備に8.18億円、調整池の整備に37.26億円の計約45億円が計上されておりますが、雨水管や調整池といった雨水排水のための施設についても、盛土と同様、医療センターの移転の有無にかかわらず整備が必要なものです。
【東葉高速線の新駅整備について】
新駅の整備費の負担については、新駅の設置によって一定の利益を受ける事業者が負担している事例や、請願者である地方公共団体が全額を負担している事例など、費用負担の主体は様々な事例があります。
新駅は、医療や健康をテーマとした「ふなばしメディカルタウン構想」の実現を目指す海老川上流地区の新たなまちづくりの核となり、同地区の発展に大きな役割を果たすほか、新駅が新たな交通拠点となることにより、同地区に限らず広く市民の皆様の交通利便性が向上し、市としても大きなメリットがあることから、新駅の整備費は請願者である本市が全額負担することといたしました。
【財政に関することについて】
海老川上流地区のまちづくりは本市の重要な取組のひとつであり、まちづくりを構成する事業である「医療センターの建て替え」「土地区画整理事業」「新駅建設」に対する一般会計負担の総額は約584億円となる見込みです。(令和6年2月時点)
一方で、社会経済情勢の変化による新たな課題に的確に対応するため、他の施策においても新規や拡充を含めて毎年度必要な事業の予算を計上しております。令和6年度当初予算では、第3次船橋市総合計画基本構想に掲げる5つの「めざすまちの姿」の実現に向け、安心して子供を産み育てることのできる環境の整備、教育環境の充実、市民の健康増進、高齢者も障害のある人も誰もが安心して暮らすことのできる福祉の充実や都市基盤の整備など、本市の未来を見据えた施策を中心に予算を計上しております。
また、建設事業については、事業効果が将来にわたって及ぶことから、住民負担の世代間の公平のための調整を図る観点や、事業費が一時的に多額とならないよう、財政負担の平準化という年度間調整の観点などを考慮し、地方債を活用しているところです。地方債残高については、財政の健全性が保たれるよう、引き続き適切に管理してまいります。
なお、令和5年度に医療センターの建て替えに必要な経費に係る負担金に充てるために設置いたしました医療センター整備基金を活用することにより、企業債の発行抑制をするとともに、後年度の一般会計の負担軽減を図ることとしております。
海老川上流地区は、本市の中央部に位置し、中心市街地にも近く、東葉高速線が東西に走るという地理的利点を有し、人が行き交う魅力あふれる拠点として重要な役割が期待される地区です。
当地区において、医療や健康をテーマとした「ふなばしメディカルタウン構想」に基づき、医療センターの移転建て替え及び東葉高速線の新駅整備を核として、土地区画整理事業による新たな市街地の形成を図ることは、未来への投資であり、市の責任において、今このタイミングで進めていかなければならない取組であると考えております。
担当部署
〇新病院建設に関すること
新病院建設室
〇土地区画整理事業及び新駅整備に関すること
都市政策課
〇財政に関すること
財政課