世界で活躍する陸上界の新星 守 祐陽選手

更新日:令和7(2025)年11月4日(火曜日)

ページID:P140291

守選手

大東文化大学の4年生で陸上競技部短距離ブロックに所属する守祐陽選手は、市立船橋高校出身(令和4年卒)です。

100mと4×100mリレーを主な種目とし、自己ベストは10秒00(2025年8月時点)で、東京2025世界陸上に男子100m日本代表として出場しました。 

今後、国内外での活躍がますます期待される陸上短距離界の新星・守選手のインタビューをお届けします。

サッカーから陸上へ

守選手

個人競技がやりたい

サッカーをやっていた父親の影響で、4歳のころから小学6年生までサッカーをしていました。その中で、自分には、チームプレーで競うサッカーよりも、周りに左右されずに一人で突き詰められる個人競技が向いていると感じていました。
元々走ることが好きだったこともあり、中学では陸上部に入部。3年の夏に、全国大会を経験したことで「もっと上を目指したい」「早く走りたい」という気持ちが強くなり、高校でも陸上を続けようと決めました。

自分一人で全てが変わる

陸上は個人競技なので、一人でスタートラインに立ちます。自分一人の走りに全責任がのしかかるし、良い意味でも悪い意味でも、自分の努力次第で結果を変えられるところが魅力だと思います。

市船時代

市船時代

人として大きく成長できた

千葉県内の高校の中で”リレーが強いのは市船”というイメージがありました。中学3年の夏の大会で、当時の市船陸上部顧問・後藤彰英先生に声をかけていただき、練習に参加しました。練習の雰囲気が良く、部員全員が上を目指しているというのも好印象でした。
また、スポーツに偏らずに、勉強もやりたいと思っていたので、文武両道を目指せる市船の普通科を受験しました。

市船は礼儀やマナーに厳しい学校で、日常のあらゆる場面での行いが競技に直結することを学びました。勉強も怠ることなく、学校生活の全てに対して真面目に取り組むことができ、先輩たちや先生による指導のおかげで、人間力や社会力が培われ、一人の選手として、そして人間としても大きく成長できた3年間でした。

コロナ禍の悔しさをバネに

市船陸上部は、部員一人一人が「全国でトップをとる」という高い意識を持っていました。だからこそ、2年生のときに新型コロナウイルス感染拡大の影響でインターハイが中止になったときは、みんな本当に悔しい思いをしました。高校生活最後のインターハイに出場できない先輩たちの姿を見て「インターハイにいけなかった先輩たちの分も、自分たちの代が頑張らないといけない」とみんなで話し合い「インターハイで結果を残したい」という一心で練習に励みました。翌年出場したインターハイでは、先輩たちの悔しさを胸に、部員一丸となって全力を出し切りました。

本物のチャンピオンとは

市船時代

高校生活で一番印象に残っているのは、3年生のときに出場した南関東大会で、後藤先生からかけられた言葉です。

200m走で入賞できなかったとき、結果的にはインターハイ出場を決められたので、当時は「まぁいいや」と軽く考えていました。それも、県大会の100m走で、全国の高校生の中で一番速いタイムを出したことで、周りから注目を浴びて図に乗っていたのだと思います。

そんな中途半端な状態の自分を見抜いたのが、後藤先生でした。「本物のチャンピオンになりたいなら、周りの目を気にせず自分だけに集中しろ」と言われて、ハッとしました。「今の自分はチャンピオンにふさわしい人間ではない」と気づき、それからは、どれだけ周りからの評価や注目を浴びても、自分だけにフォーカスして挑むようになりました。

船橋での思い出

市船時代は部活が忙しくて、ほとんど遊ぶ暇がありませんでしたが、休みの日に陸上部のみんなでららぽーとに行ったのが思い出です。

大学時代

守選手競技中

日本トップ選手たちとの練習

高校3年の3月に出場した全国大会で、いち早く声をかけてくれたのが大東文化大学の佐藤真太郎監督でした。自分を必要としてくれているのが伝わってきたし、練習拠点に、陸上短距離選手で日本記録保持者の多田修平さんや白石黄良々さんがいるのも大きかったです。日本のトップ選手たちと、同じグラウンドで一緒に練習ができることは、自分にとって絶対にプラスになると思いました。大学での練習を体験したときも、やり方や雰囲気が自分に合っていると感じたので、進学を決めました。
 

実際、大学では世界で活躍する選手たちと練習をすることで、学生の中だけでは競えないスピード感を味わえたし、社会人とも競い合えるスピードを出すことができました。

身体の変化

大学での一番の成長は、体の変化です。高校生のときは細かったのですが、大学で本格的にウェイトトレーニングをやるようになって、大きくしっかりとした体付きになりました。体重も入学時より8キロ増加し、パワーがついたことで、自分の走りに良い影響を与えてくれています。
 

世界陸上を終えて

守選手

初めての大舞台

国内大会で走っていた国立競技場だけど、世界の舞台となると雰囲気が全く違いました。
会場は満員で、全日本選手権より3倍以上の観客が入っていたので、雰囲気や歓声に圧倒されて、正直すごく緊張しました。

100mで目標としていた9秒台には届かず、決勝進出を果たすことができませんでした。

本番に向けてしっかりと準備をしていても、普段通りの力は出せないのだと世界大会の怖さを知ると同時に、その状況下で自分のベストを出す難しさを体感しました。

世界陸上への出場が決定したときは、地元や高校の同級生から応援の連絡をもらい、素直にうれしかったです。終わった後にもたくさんの人が「おつかれさま」と連絡をくれて、いろんな人から応援されていたんだと改めて実感しました。

強くなりたい

大学卒業後も実業団で競技を続けていきます。今後の目標は、スピードにこだわることはもちろん”強い“選手になること。どんなに速いタイムを持っていても、大一番で勝てる選手でないと意味がない。今の自分にはまだまだ足りない部分だと思っています。
2年後、北京で開催される世界陸上の出場権を獲得し、東京世界陸上のリベンジを果たしたいです。今回は予選敗退でしたが、次は準決勝で勝負をしたいし、そのために着実に力をつけて、自信をもって世界の舞台に立ちたいと思います。

スポーツやっている子どもたちへ

守選手

とにかくスポーツを楽しんでほしいです。

小さいころは結果とか成績を気にせず、競技そのものを楽しんでほしい。私も走ることが楽しくなかったら、長く続けていなかったと思います。

結果を残したい気持ちはもちろんあるけれど"まずは楽しむ"ということを、一番大事にしています。

ハニーミルクラテがおすすめ

趣味はコーヒーを飲むこと。試合1週間前からはルーティンとしてカフェインを抜くようにしていますが、普段はコーヒーを飲んでリラックスしています。
大学1年のころから大学近くのタリーズでバイトをしていて、試合のない冬の期間は週1~2回くらい働いていました。
冬のおすすめメニューは「ハニーミルクラテ」です!みなさんぜひ、飲んでみてください♪

プロフィール

守選手2
所属:大東文化大学

生年月日:2003年12月14日
出身地:白井市
出身校:市立船橋高校
2021年全国高校総体(インターハイ)では、100mで8位入賞、4×100mリレー4位(2走)、4×400mリレー7位(4走)
 

【自己ベスト】100m:10.00(2025.8 富士北麓ワールドトライアル)

【代表歴】世界選手権(2025東京)

 守選手表彰

写真提供:大東文化大学