【子ども記者通信】行田公園を歩いて円周率を求める(行田中学校 吉田 蒼斗さん)

更新日:令和6(2024)年6月12日(水曜日)

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吉田 蒼斗

 僕は数学が大好きで、よく数学の本を読みます。その中の一冊に、円周率についての本がありました。その本によると、過去にたくさんの数学者たちが様々な方法で円周率を求めていたことがわかりました。円周率は学校で約3.14だと習います。しかし、本当に約3.14なのか自分で確かめたことはありません。そこで、昨年の夏休み、僕も自分の力で円周率を求めてみようと思い、自由研究を行いました。タイトルは『円周率は本当に3.14か ~行田公園を歩いて測定~ 』です。多くの人がこの自由研究に興味を持ってくれました。
 自由研究では、空き缶やタイヤなど身の回りの円形の物の大きさを計測したり、「ビュフォンの針」と呼ばれる実験をしたりといったいろいろな方法で円周率を求めました。この記事では、その中から自分の足で道を歩いて円周率を求める方法と、その結果を紹介します。

 僕の中学校の近くには、千葉県立行田公園という公園があります。行田公園とその周辺は、大きな円形の道路で囲まれています。この円を使って円周率を求められるのではないかと考えました。
行田公園を含む地域が円形なのは、もともと海軍の無線基地があったからだそうです。1915(大正4)年に設置された船橋海軍無線電信所は、高さ200mの主塔と60mの副塔が18基立ち並ぶ大規模なもので、性能は当時世界でもトップクラスでした。1941(昭和16)年の真珠湾攻撃の合図「新高山登レ 一二〇八」もここから出されたと言われています。1971(昭和46)年に無線塔は解体され、現在は記念碑だけが残っています。

 行田公園の外周の道は大きな円形になっていて、中央には直線の道路が円を貫くように走っています。この道が円周と直径になります。円周率は直径に対する円周の長さの比なので、道のりを測ることで円周率を求めることができます。空き缶などの小さな物の計測とは違って、直接長さを測ることは困難です。そこで、日本中を歩いて測量して日本地図を作った伊能忠敬のように、自分の足で歩いて歩数を数えることにしました。「円周部分を歩いた歩数」を「直径部分を歩いた歩数」で割ると、円周率になると考えられます。測定方法は以下の通りです。
(1)    出発地点を決める。
(2)    10歩ごとに「正」で歩数をメモする。
(3)    数え間違えたときにやり直せるように、100歩ごとに目印となる写真を撮る。
円周部分を一周し、直径部分を往復するのに約2時間かかりました。

 結果は次のようになりました。数えた歩数は、円周が3314歩、直径が1053.5歩でした。小数になっているのは、往復して2回測り、平均をとったためです。円周率=円周÷直径を計算してみると、3.14570…となりました。歩数はばらつきが出るので、さらに2回計測し、3回分のデータを集めました。最終的に、円周の歩数の平均は3294歩、直径の歩数の平均は1037.8歩でした。この値を使って計算した円周率は3.17402…となりました。
 行田公園は完全な円形ではなく、自分の歩幅も一定ではないので、円周率は2.5~3.5程度の精度でばらつきが出ると予想していました。しかし、測定してみると円周率の値は3.14~3.25の範囲に収まり、予想以上に精度が高くなり驚きました。精度が高くなった理由は、一歩一歩の歩幅が多少ずれても、1000歩以上歩いたことで平均をとると歩幅はほとんど一定になるからではないかと考えました。また、円周率は3.14より大きくなる傾向がありました。その理由は、直径の方が道が広くまっすぐで歩きやすく、歩幅が少し大きくなったからだと思います。歩幅が大きいと歩数は少なくなります。円周÷直径の値は直径が小さいほど大きくなるので、円周率は大きくなったのだと考えます。

 この記事では、行田公園を歩いて円周率を求める自由研究について紹介しました。今回の研究を通して、数学と行田公園がより好きになりました。自分が住んでいる地域について調べたり、地図を見て実際に歩いたりしたことはとても勉強になりました。みなさんも、ぜひ一度行田公園を訪れてみてください。

(令和6年5月19日投稿)

行田公園の航空写真
行田公園の航空写真
測定中の様子
写真測定の様子




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