第3次船橋市行政改革大綱
はじめに
21世紀を目前に控え、我が国の経済は高度成長から低成長へシフトし、景気の先行きは不透明であります。また、少子・高齢化が進展し、情報化・国際化等も市民生活のなかで一般化しつつあり、ライフスタイルの変化、生活における質の向上や環境への意識の高まりなど、市民生活を取り巻く様々な分野で大きな変化がおきています。
一方、行政の分野でも地方分権や規制緩和等、新たな対応が求められています。地方分権の推進や規制緩和は、地方の自主性や自立性を高めることにより、地域の実情に応じたまちづくりと、住民福祉の向上と住民自治を強化し、公平、透明な行政運営の実現を目指すところにあります。
本市は、昭和62年3月、平成8年2月に行政改革大綱を策定し、行財政改革を推進したことにより、一定の成果をあげてまいりましたが、このような社会経済情勢の変化と景気の低迷による財政環境が一段と厳しい状況に直面していることから、従来にもました行財政運営の改革が求められています。
現在、本市は21世紀のまちづくりの指針となる基本構想、基本計画を策定中であります。
「生き生きとしたふれあいの都市・船橋」を目指し、市民一人ひとりが「住んで本当によかった」と実感できる船橋を実現するためには、参加と協働を基本に、市民と行政が一体となって、まちづくりを進める必要があります。
これらのまちづくりを着実に実行していくためには、簡素で効率的、効果的な行財政運営体制を確立する必要があります。
本市の財政状況は、歳入面では、一般財源の根幹である市税収入は長引く景気の低迷や減税の影響により、従来のような増収は期待できず、一方歳出面では、特に伸び率が高い扶助費をはじめ、人件費や公債費の義務的経費が増加し、経常収支比率は90%を超え、財政構造は硬直化の状況にあります。
これらの課題に的確に対応していくため、市民有識者による「船橋市行政改革推進委員会」を設置し、「船橋市新行政改革大綱」の見直しと、これからの行財政運営のあり方について検討をお願いしたところ、多くの提言を盛り込んだ意見書が提出されました。
これらの提言を踏まえ、ここに「船橋市第3次行政改革大綱」を定め、全職員が一丸となり、新たな決意をもって、行政改革に取り組んでまいります。
平成11年2月
船橋市長 藤代 孝七
目次
- 行政改革に臨む基本的な考え方
- 行政改革の推進事項
- 事務事業の見直しについて
- 組織・機構について
- 外郭団体について
- 定員及び給与について
- 人材の育成・確保について
- 行政の情報化等行政サービスの向上について
- 公正の確保と透明性の向上について
- 経費の節減合理化等財政の健全化について
- 会館等公共施設について
- 公共工事について
- 広域行政について
行政改革に臨む基本的な考え方
- 本市の財政状況は、長引く景気の低迷に加え、国の減税政策による税収減や国・県からの補助金等の削減により、非常に厳しい状況にある。
また、少子・高齢化、情報化、国際化等の進展や地方分権の推進に伴う新たな行政需要への対応も求められている。このため、今回の第3次行政改革は、21世紀の船橋市のまちづくりに必要な行財政運営を確立することを基本とする。 - 行政改革の推進にあたっては、「船橋市行政改革推進委員会」の提言を踏まえ、全職員が一丸となって取り組むこととし、市民をはじめ関係機関の理解と協力が得られるように努める。
- 第3次行政改革の推進にあたっては、次の事項を推進事項とした。
- 事務事業の見直しに関すること。
- 組織・機構に関すること。
- 外郭団体に関すること。
- 定員及び給与に関すること。
- 人材の育成・確保に関すること。
- 行政の情報化等行政サービスの向上に関すること。
- 公正の確保と透明性の向上に関すること。
- 経費の節減合理化等財政の健全化に関すること。
- 会館等公共施設に関すること。
- 公共工事に関すること。
- 広域行政に関すること。
- この「船橋市第3次行政改革大綱」は、推進事項の基本的な考え方を示すものとし別に定める平成11年度から平成13年度までの実施計画に基づいて、推進事項を計画的に実施するものとする。
なお、社会情勢の変化や市民ニーズに即応した行政運営を進めるため、適宜、見直しをする。
行政改革の推進事項
事務事業の見直しについて
今後見込まれる厳しい財政環境のなかで、新規行政需要を含め、市民の行政に対する期待に応えていくためには、時代の要請に即した事務事業の見直しや重点化、効率化を推進する。
また、民間活力を導入した方がより効果的、効率的な事務事業については、民間委託等を推進する。
さらに、補助金等についても、行政の責任分野、経費負担のあり方、行政効果等精査し見直しをする。
- 事務事業について
事務事業の計画、執行にあたっては、目的を明確化し、市民への的確なサービスの提供と事業効果を念頭におき、適正な進行管理を推進する。そのため、事務事業評価システムを導入する。
また、事務の効率化、簡素化、継続性等を図るため、事務作業手順の改善を行い、事務作業マニュアルの作成、帳票類の簡素化及びOA化を推進する。 - 業務委託について
現在、市が行っている業務のうち、公共性が損なわれないもの、行政責任が確保できるもの、経費の低減が図られるもの、地域経済の活性化に寄与すると思われるものについては、積極的に委託化を推進する。
業務の委託化については、新たに民間委託管理評価基準を作成し、委託の適否の判定、委託の履行状況を評価する。 - 補助金等について
目標 団体等への補助金等を5%以上削減する
補助金等は、団体、個人の自主的な活動等を助成することにより、市民福祉を総合的、効率的に推進する有効な手段であるが、社会情勢の変化により、時代の要請にそぐわなくなったもの、公益性や効果が希薄なもの、当初の目的が達成されているもの、本来市が実施すべき事業で団体等に依存していると見受けられるものもあるので、補助金等交付基準を策定し、下記の事項を中心に見直しをする。
また、補助金等について公平な見直しをするための第三者機関の設置を検討する。- 補助対象者、補助対象事業の見直し
- 補助対象事業費、補助率の見直し
- 補助期間の設定
- 新設補助金等の抑制と類似補助金等の統合
組織・機構について
限られた財源の中で、市民の多様なニーズや時代の変化に的確、かつ柔軟に対応していくために、常に組織・機構全般について総点検を行い、徹底した簡素化、合理化に取り組むとともに、市民に親しまれる「開かれた市役所」とするための組織・機構へと再編を図るため、常に見直しを行わなければならない。 現在の組織・機構は、上記観点に立って、平成10年7月に再編整備したものであるが、次の点に留意して見直しをする。
- 新たな行政需要に対応するための組織・機構が必要な場合には、スクラップ・アンド・ビルドを基本とする。
- 弾力的な事務の推進と機動的な事務処理の推進を図るため、係体制の見直し、班編成等による柔軟な組織体制を確立する。
- 緊急かつ重要な政策を調査研究するため、組織・機構を横断するプロジェクトチームを編成し、積極的に活用する。
- 身近でサービスが受けられるよう出張所の機能を強化し、取扱業務の拡充を図る。
- 複雑・多様化する行政需要や複数の部門に関連する事務事業を計画的、効率的に執行できるようにするため、総合調整機能を充実する。
外郭団体について
外郭団体は、福祉、文化、スポーツ、レクリエーション等の市民ニーズに応え、民間企業体の経営感覚を活かしたサービスを提供する行政の補完的役割を有しているが、外郭団体設立目的、事業内容の点検を行い、所掌する事務事業が類似しているものについて、統合・廃止を検討する。
また、外郭団体が市から財政的、人的な助成を受けることなく、自主的な運営が可能となるよう、自主事業の積極的な展開と効率的、効果的な運営に努めるよう指導、助言を行い、経営基盤の確立を図る。
- 類似業務を行う団体の統合を推進
- 社会経済情勢に適合した業務の充実と推進
- 業務執行体制の活性化を図るため、団体間の人事交流を推進
- 財政基盤を強化するため、事業の拡大と財務管理の強化
- 外郭団体が独自に管理運営できるようプロパー職員の育成と、市派遣職員の縮小
定員及び給与について
- 定員管理の適正化について
目標 5年間で全職員の5%にあたる約250人を削減する
今後増大する行政需要に対して、的確な行政サービスを確保するため、組織・機構の簡素化、合理化、OA機器の導入による事務の省力化、業務委託の推進、退職者の不補充、職種替え、再任用制度の導入等により、職員定数の抑制に努める。
緊急または一時的な事務事業の増加については、部内、関連課の応援体制やプロジェクトチ-ムの編成により柔軟に対応するとともに、非常勤の一般職職員等を活用する。- 定員適正化計画の策定
- 管理職の定数化の検討
- 職種変更制度の導入
- 非常勤一般職職員・臨時的任用職員・地域高齢者の活用
- 給与の適正化について
人件費は、扶助費、公債費とともに義務的経費であり、経常的に支出されるものであるだけに、人件費割合が大きくなるほど財政構造の硬直化の要因となる。本市のラスパイレス指数は、平成7年度の106.8から、平成9年度の106.4へと低下傾向にあるが、引き続き、職員定数の抑制と併せ、給与水準の適正化に努める。
また、特殊勤務手当、管理職手当等の諸手当については、支給対象、支給基準、支給額等について抜本的な見直しをする。
なお、職員給与等の公表に際しては、市民が理解しやすいよう工夫に努める。
人材の育成・確保について
平成8年度に策定した「職員研修体系」に基づき、計画的に研修が行われているが、公務員倫理意識の醸成を図るとともに、社会経済情勢の変化に対応した質の高い行政サービスを提供するという職員の意識改革を促進し、専門実務能力・政策形成能力等の開発に努める。
このため、「職員研修体系」については、定期的に見直しをするとともに、職員の自己啓発等を推進するための制度を検討する。
また、専門知識や資格を持った経験豊かな人材を中途採用するための制度を検討する。
- 公務員倫理、行政サービス向上研修の充実
- 階層別政策形成能力養成研修の充実
- 社会経済情勢に即した専門的実務研修の充実
- 職場研修の充実
- 大学、民間研究機関との共同研究と派遣研修の検討
- 専門分野研修と人事管理のリンク
- 専門職スタッフの充実
行政の情報化等行政サービスの向上について
- 窓口等における対応の改善と行政サービスの総合化について
市民サービスの向上を図るため、相談、認定等専門的業務以外の業務については、窓口の一元化の導入を検討する。- ワン・ストップ・サービスの検討
- 出張所取扱業務の拡充
- 窓口部門の開庁時間の延長、土曜日、日曜日の開庁についての調査・検討
- 情報化による行政サービスの向上について
本市は、業務のオンライン化やOA化など情報化の推進を行い、戸籍即時処理システムの導入、自動交付機の設置による利用時間の拡大をして、サービスの向上に努めてきている。
今後も、庁内LANの整備、インターネットの活用、各種情報システムの整備を進め、市民サービスの向上や一層の事務効率化を図る。- 総合福祉システムの構築
- 公共施設管理システムの構築
公正の確保と透明性の向上について
- 行政手続の適正化について
行政手続条例は、平成9年7月1日から施行しており、運用の実態を踏まえた上で、今後必要に応じて適宜見直しをする。 - 情報公開について
公文書公開条例は、平成3年4月1日から施行しており、市民の信頼を深め、開かれた市政の実現を目指すために、公文書公開制度の一層の充実を図る。
また、外郭団体の情報公開についても検討する。 - 監査機能の強化について
外部監査制度を早期に導入し、監査機能の充実を図る。 - 市民への情報の提供について
市政への市民参加の推進や市民と行政の協働関係を構築するため、広く市民に市政情報を提供する。
また、情報の提供に際しては、市民が理解しやすいように工夫をすると同時に、提供手段として、市のホームページ、CATV等の活用を図るとともに、市民からの意見や情報を受け入れるシステムの充実を図る。 - 附属機関の委員の選任について
附属機関の委員については、兼任・再任をできる限り回避し、幅広い分野からの選任に努め、一般公募による選任について検討する。
経費の節減合理化等財政の健全化について
- 経費の節減合理化について
財政構造の硬直化が進んでいるなかで、今後ますます増大する行政需要に的確に対応していくためには、職員の意識改革を徹底し、無駄を省き、創意工夫を重ね、より一層の経費の削減を図る必要がある。全職員が、現在の厳しい財政状況を理解するとともに、物品調達や事務事業の実施にあたっては、最も安い経費で執行するという目的意識の徹底を図る。
また、現在、全庁的に取り組んでいる「ふなばしエコオフィスプラン21」行動計画を推進し、環境保全意識の浸透を図るととに、経費の節減に努める。
さらに、限られた財源のなかで、市民要望に応えていくため、施策の重点化や施策の優先順位を見極め、事業の効果的な進行管理を実行し、効率的、効果的な行財政運営に努める。 - 徴収率の向上等自主財源の確保について
目標 5年間で市税徴収率を3%引き上げる
歳入の根幹である市税確保の向上策として、課税客体等の的確な把握に努めるとともに、徴収体制の組織強化を図り、徴収率の向上に努める。
使用料・手数料等については、受益者負担の原則と行政サービスの公平性の確保から、コスト計算や管理費用などを考慮して、定期的に見直しをする。また、施設使用料の減免措置については、そのあり方を検討する。 - 財政の健全化について
目標 経常収支比率を85%に引き下げる
一般的に経常収支比率は、75~80%が理想とされているが、現在の財政状況からは、直ちにこの水準を達成することは困難であるので、今後も、自主財源の確保、人件費の削減、公債費の抑制等に努め、85%を目標として財政の健全化に努める。本市は社会資本整備に今後も相当額の投資が必要であり、その財源として市債の占める割合が高まるものと予想されるので、市債発行にあたっては、後年度の負担が過重とならないよう努める。
会館等公共施設について
会館等の施設整備については、土地の有効利用を考え、可能な限り施設複合化を図り、今後建設する施設の管理運営については、できる限り公設民営を原則とする。また、公民館等の管理運営は市民ニーズや社会情勢の変化に対応するため、地域の実情に応じて閉館日の縮小や、基幹館による管理体制について検討をする。
児童・生徒数の減少により生じた小・中学校の余裕教室については、余裕教室活用計画の基本方針に基づき、地域の実情に応じて転用を図る。
公共工事について
- 公共工事コスト縮減への取り組みについて
目標 10%以上のコスト縮減
限られた財源を有効に活用し、公正で効果的な執行を通じて社会資本の整備を着実に図っていくことは、本市にとっても重要な課題である。
そのため、建設関連公共工事コスト縮減行動指針及び行動計画に基づき経費縮減に努める。 - 公共工事の入札・契約手続の改善について
公共工事に係る入札・契約事務については、平成10年度より、一般競争入札制度の導入、予定価格の事後公表、前払金支払対象の拡大等を実施してきているところであるが、引き続き改善を図ものとする。
なお、公共工事以外の入札・契約手続についても、一括購入や競争入札を積極的に導入して経費の節減に努める。 - PFI方式(民間資金等の活用による公共施設の整備)の導入について
限られた財源の有効活用を図るため、公共施設整備に民間の資金、技術等を導入するPFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)方式を積極的に検討する。
広域行政について
単独で行うよりも広域的な見地に立って、企画、調整又は処理することが適切な事務事業については、市民サービスの向上という観点からも、近隣関係市との調整を図りながら実施する。
具体的には、公共施設の広域的相互利用、地方公共団体間の人事交流等を含め、近隣市等との一層の連携強化を促進する。
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