船橋市の行財政改革について意見書

更新日:平成31(2019)年4月1日(月曜日)

ページID:P002082

平成15年9月
船橋市行財政改革審議会

はじめに

船橋市の行政改革は、昭和62年の第1次行政改革、平成8年の第2次行政改革、平成11年の第3次行政改革により一定の成果をあげてきた。
しかし、バブル経済崩壊後の景気の低迷は長期にわたり、近年特にデフレの進行による総需要の抑制が懸念されるほか、失業率も改善の兆しがなかなか見えにくい状況にある。
また、少子高齢化という社会構造の変化もあいまって、市税の落ち込み、生活保護世帯の増加などによる扶助費の負担増、その他社会保障に要する経費の自然増などの要因により、過去の行政改革時を上回る財政の悪化が生じている。
国においても慢性的かつ構造的な財政状況の厳しさもあり、地方への補助金や交付税を抑制する方向にあり、地方の財政状況は益々厳しさを増し、従来型の財政運営からの脱却が求められている。
一方、景気が低迷しているからといって市民のニーズが減少するわけではなく、むしろ高齢化社会に突入したことや少子化対策など従前以上の行政需要が内在しており、相対的に立ち遅れている都市基盤の整備に対する市民の要望も強く、より効率的、効果的な行財政運営が求められている。
市町村における財政状況の悪化は船橋市だけの問題ではないが、多くの市町村で行財政改革に取り組んでいることも事実であり、さらに、都道府県においては法人関係税に依存する割合が大きいこともあり、市町村以上に厳しい財政運営を余儀なくされ、現に千葉県においては急遽「千葉県財政再建プラン」を策定し、大胆な改革を進めているところである。
船橋市の財政状況を見ると、財政力指数や公債費比率は相対的に良好であるとはいえ、経常収支比率は義務的経費の増大によりほぼ年々上昇しており、財政の硬直化は数値的にも明らかとなっている。
従って、このまま手をこまねいていれば、新たな市民ニーズに対応できないばかりか、大幅な収支の乖離により、財政運営が破綻をきたすことにもなりかねない。
船橋市が行財政改革を推進していくにあたり、事務事業全般にわたる見直し・再構築を進めるのは当然であるが、市民の方に痛みを求める場合もあり得ることを十分認識し、各々の職員が自覚して行動にあたる必要がある。
また、行財政改革は歳出の削減と歳入の確保だけに腐心するのではなく、時々の状況に応じた新たな市民ニーズに対応するためのものでもあり、市民の理解と支持のもと実施されるべきである。
以上のことを念頭に置き、本審議会は、今後の船橋市の行財政運営についての道筋について意見を述べるものであり、財政の健全化が住民福祉の向上に資するという視点にたち、5回にわたり活発な審議を行い、意見を取りまとめた。審議回数・審議期間ともに限られたものであったため、問題解決についての大枠の方向性を指摘するに留まり、十分な議論を尽くしていないことは否めないが、市民から見た率直な意見を取りまとめたつもりである。
本審議会は、船橋市がこの意見書の趣旨を尊重し、市民への情報公開を徹底しながら、市民とともに大胆かつ実効性のある行財政改革を強い意志を持って強力に推進し、船橋市の将来のために大きな役割を果たすことを、切に希望するものである。

目次

  1. 定員の適正化について
  2. 委託の推進について
  3. 給与の適正化について
  4. 公営企業・特別会計・外郭団体のあり方について
  5. 受益者負担の適正化について
  6. 全般的な事務事業の見直しについて
  7. 市税等の確保について
  8. 扶助費の見直しについて
  9. 普通建設事業の取り扱いについて

定員の適正化について

これまでの職員数の推移について平成元年から見てみると、元年から7年まで職員数は増加を続けていたが、7年をピークに14年まで職員数は減少しており、中核市への移行があった平成15年には増加している。
この間、第3次行政改革大綱を受けて、平成10年4月から15年4月までの5年間で264人の職員を削減する定員適正化計画を策定し、その実施に努められたことは認められる。しかし、中核市への移行、船橋駅南口再開発ビルにおける公共公益施設の設置、保育需要の増加、生活保護世帯数の増加などにより目標削減数に40人足りない224人の削減に留まっている。このため、現在、定員適正化計画の期間を1年延長し、当初の目標の達成を目指しているが、その実現を望むものである。
平成14年の船橋市の職員数と人口43万人以上の市(類似団体)の平均を大部門で比較すると、民生、労働、教育、消防の部門で職員数が多く、議会、総務、税務、衛生、農林水産、商工、土木の部門では職員数が少なくなっており、普通会計全体では236人の超過となっている。さらに小部門で比較すると、保育所、その他の社会福祉施設、公民館において大きく類似団体を超えている。
職員数は各地方公共団体ごとのサービスとの関係もあり、多い少ないを一概に論ずることは困難であるが、類似団体との比較は定員適正化を進める上での一つの指標であり、類似団体と比較して5%程度職員数が多いことには着目せざるを得ない。
定員適正化計画の策定にあたっては、現在行っている市の事務について、船橋らしさの維持にも配慮しつつ、正規の職員でなければ本来の市民サービスを提供できないのかどうかを検討する。
その上で、適正な職員数を算出し、事務事業の見直し、組織・機構の簡素化、IT化の促進、委託の推進、非常勤一般職員や臨時職員の活用等事務の効率化を進めた成果を踏まえて、類似団体との比較数値の縮小を視野に入れつつ、職員数の適正化を図っていく必要がある。
その際、社会参加への意欲が強い高齢者が増えていることを考慮し、高齢者の再雇用を視野に入れながらNPOや高齢者をはじめとする市民活動との協働を進めることに特に留意願いたい。
職員採用にあたっては、専門的知識・資格・経験を持つ人を中途採用するなど、有能な人材の確保に努めるとともに、人材の育成にも力を入れて資産としての職員を最大限に活用することが必要である。中長期的な課題としては、採用の形態について、一般職という採用だけでなく、業務を類型化した採用の方向性を検討することも提案したい。
また、定年退職者の再任用制度については、今後退職者が増えるとともに、再任用期間が5年まで延びることにより、再任用職員の大幅な増員が予想されており、再任用職員の業務のあり方について市民の理解が得られるよう十分検討されたい。

委託の推進について

公共施設や業務の委託については、公共性・行政責任が確保できるもののうち、委託により経費の節減が図れるもの、サービス水準を維持又は向上できるもの、市が自ら行う必要のないもの、専門性が必要とされるものなどについて積極的に推進している。
経費の節減に加えて定員適正化の面からも一定の成果をあげていることは認められる。
しかしながら、財政状況の厳しさは増しており、さらなる経費の節減と定員適正化のため、委託を一層進める必要がある。
自治体でなければサービスを提供できなかった時代とは異なり、現代は資源・ノウハウを持った民間企業やNPO等も多数存在する。
また、国においても経済の活性化を図るため、規制緩和や制度改正などにより民間活力の活用を積極的に推進していることから「民間でできるものは民間で」という基本的な考え方に基づいて、加えて、定年退職者が急増することからも計画的に、広範囲にサービス提供を民間部門に委ねる必要がある。
たとえば、保育所をはじめとした社会福祉施設や下水処理場など、従来は行政が直接行っていた公共施設の管理・運営についても、民間等に委ねることで、より効率的・効果的なサービスが提供できるものについては、積極的に民間委託を推進していくことが望ましい。
ただし、委託したとしても行政責任はあくまで市にあることから、常に委託化に伴う評価が必要である。すなわち、適正なサービスであるかどうかの検討や、より経費が安くて同じ効果があがる手法の検討、経済性が先行して市民サービスや安全性、公共性などが希薄とならないような受託先の指導・育成といった点に留意願いたい。
さらに、価格以外の社会的な価値観を採り入れた入札制度の導入、地場産業・地元の活用、PFI(民間資金等の活用による公共施設の整備)手法の活用等も検討する必要がある。

給与の適正化について

職員の給与は国の人事院勧告に準じて改定を行っている。
国家公務員の給与水準を100とするラスパイレス指数の推移をみると、本市は昭和63年度(指数109.9)以降、平成13年度(指数104.6)まで低下してきたが、平成14年度については、これまで国と比較して劣っていた世代について是正したため、一時的に指数が引き上がり、105.3と平成12年度の水準となっている。
このように、本市の給与水準は国より5%高く、県内で最も高い水準にあることから、市民の方に痛みを求める以上、職員も痛みを分かち合う形で、給与水準の適正化を図ることを望みたい。
また、時間外勤務手当について総枠による規制はいわゆるサービス残業の原因となるため行うべきではないが、事務の効率化、事業の見直し、若年者や非常勤職員の雇用拡大などにより、時間外勤務手当の縮減を図るとともに、特殊勤務手当については、本当に特殊な勤務の実態に合った手当なのかを見直すことが必要である。
このほか、年功序列的な処遇制度の見直し、退職手当の優遇制度の見直し、昇給停止年齢の見直し等についてもさらに検討されたい。
いずれにしても、今後も、引き続き職員定数の削減と併せて人件費総額の抑制に努められたい。

公営企業・特別会計・外郭団体のあり方について

市の会計は一般会計、特別会計に区分され、本市では一般会計のほか9特別会計・2企業会計を設けている。本来、特定の収入で事業を運営すべき特別会計のいくつかについて、一般会計からの赤字補てん的な繰入金(一般会計側から見れば市税等の投入である繰出金)に依存し運営されているものや、事業としての将来性に欠けるものなどがある。これらの特別会計については、一般会計からの繰出金が年々増加する傾向にあり、市の財政を圧迫する要因にもなっていることから、事業の見直しも必要な状況になっている。
ただし、保険料や使用料の見直しは、市民の負担増にも直結するため、個別の審議会や委員会において改めて議論されることが望まれる。
国民健康保険事業については、高齢化の進展や失業率の増加などの社会的要因により被保険者数は大幅に増加し、その一方で、近年の景気の低迷により加入者の所得は減少している傾向にあり、一般会計からの赤字補てん的繰出額は増加の一途を辿っている。
また、本市の国民健康保険料は、応能負担分(被保険者の負担能力に応じた所得割)と応益負担分(受益に応じて負担する均等割)の割合が76%:24%となっており、県内平均67%:33%、全国平均64%:36%に比べ福祉的配慮が高い設定となっている。
今後の国民健康保険事業の推移見込みから考えると、赤字補てん的な繰出金総額の抑制と、加入者の公平で公正な負担という観点から、国民健康保険料について応能、応益の割合を見直すことも必要と考えられるが、低所得者の負担については十分に検討されたい。また、国民健康保険は市民生活に密着した制度であるため、十分な説明・市民理解を得た上で実施すべきである。
さらに、保険料率、応能・応益割合、一般会計からの繰出しといった財政的なメカニズムだけで考えるのではなく、保健事業等を充実させることにより健康維持を増進し、医療費を縮減しながら一般会計からの繰出しを抑制するという努力が不可欠であることも提言したい。
下水道事業については、高瀬下水処理場の供用開始などにより普及率が急速に向上する一方、建設に伴う市債の償還にあたる公債費も増加している。このため、市の一般会計からの繰出額も年々増加しているが、本来、汚水処理に要する経費は使用料で賄うことが原則であるので、幹線が整備されている区域の面整備を重点的に行うことにより、使用料収入の増加に努めることが必要である。
また、下水道使用料については、他団体と比較して使用料金の水準は妥当であるのか等を勘案し、見直す場合は、市民に理解しやすい形で示す必要がある。
収益事業である小型自動車競走事業は、昭和30年以来、市財政に大きく貢献した時期もあったものの、平成9年度以降一般会計への繰出しを行っていない。更に平成13年度決算においては、はじめての赤字決算( 約5170万円の赤字)となり、平成14年度決算においても累積して約2億4600万円の赤字決算となっている。
その間、赤字圧縮のため、従事員賃金や施設借り上げ料の引き下げ、さらに事業収支経営改善計画の策定など諸々の経営努力を重ねているものの、売上が落ち込む傾向に歯止めがかからない状況にある。当面、事業収支経営改善計画による改善の推移を見守ることになるが、収支が赤字のまま改善されない場合は、事業そのものが市民生活にとって必要なものとはいえないことから、廃止の方向で検討すべきである。
取引方法の変化などにより取扱高が減少している中央卸売市場事業については、生産者から消費者への流通過程において大きな役割を担っており、ある程度の市の負担はやむを得ないと考えるが、負担額を抑制する方向での改革が必要である。
市場としての機能を持たせながら、社会の変化に対応した、市民が利用できるオープンマーケットのような機能も取り入れるなど、活性化を図り、その収益を市場会計に反映させることも一つの方策と考える。
火災等災害共済事業と交通災害共済事業については、民間でできる事業であり、市として行う必要性はないと考えられるので廃止すべきである。
次に外郭団体の現状として、市では指導・監督の立場から、外郭団体に経営状況の説明を求め、議会に報告するとともに、外郭団体の運営に対して、適正かつ透明性の確保の観点から、出資法人等について、情報公開や外部監査制度の対象としている。
また、財政支援や人的支援については、外郭団体が自主的に経営が行えるよう、外郭団体との協議を重ねながら、補助金や派遣職員の削減に努めてきたことは認められる。
今後、外郭団体の運営について、地方自治法の改正趣旨も踏まえ、業務の内容を本当に外郭団体が続けていくべきものかどうかという観点から、民間に委ねるもの、引き続き外郭団体が実施するものとの仕分けをしていくべきである。
外郭団体で実施する方向性が示されたものについて、当該外郭団体への補助金については、その性質が施設・業務の委託料に関するものなのか、本来、市が負うべき負担金に関するものなのか、団体への赤字補てん的な補助金なのかを明確にし、市民に誤解のないよう区分すべきである。
その上で、経営体質を強化して自立を促し、市からの人的・財政的支援を抑制することが望ましい。

受益者負担の適正化について

受益者負担は、特定人のためのサービス提供による特定人の受益に着目して、そのサービス提供に要する経費の全部又は一部を応益的に負担させるものである。
限られた財源を無駄なく効率的に活用し、よりよいサービスを提供するためにも、相応・公平な負担(負担の適正化)の実現や、受益者に対し、適切な負担を求めることによるサービスに対するコスト意識の醸成を通して、過剰な財政支出を抑制することが必要である。
ただ、受益者負担の対象となるサービスの中には、市が弱者救済という福祉的配慮や施策の充実という政策的配慮により補助的に援助しているものもある。そこで、これらを同列に考えるのではなく、それぞれを取り巻く社会情勢、政策的配慮などを考慮しながら検討すべきである。
たとえば船橋市の保育所は、近隣他都市のみならず、首都圏、全国の中でも質・量ともに充実した保育を展開しているが、保護者が負担する保育料については国の定める基準よりも、また、他市に比べても低廉な金額に設定している。いわゆる高福祉、低負担を実現しているわけであるが、船橋市の今置かれている財政状況を考えると、これを将来にわたって維持しつづけることは困難になると予想される。本市の保育の質・量と保育料のバランスを考えた場合、低所得層に対する福祉的配慮を考慮しつつ、サービスを維持する上では、高額所得層について受益と負担の適正化の観点から、相応の保育料を徴収すべきものと考える。
次に、市内に25館設置されている公民館に関しては、利用者から使用料を徴収することとなっている。しかし、社会教育関係団体等が利用するときは、減免規定により使用料を免除する取り扱いをしており、この結果、平成14年度には、減免の対象となったものが利用件数全体の86%に及んでいる。これらについては、利用者のみが利益を受けるサービスであり、利用者の理解を得ながら、適正な受益者負担に努めるべきである。
併せて、女性センター使用料や市役所来庁者駐車場の休日利用の有料化や、自転車等駐車場整理料の見直しなどについて受益と負担の適正化の観点から検討する必要がある。
いずれにせよ、受益者の負担が公平・公正かつ適正であるかどうかは行政の基本原則であり、常に考えていかなければならない。本審議会としても、公平・公正かつ適正な負担を求めるべきと考えるが、その際、市の財政状況などを市民に正しく情報提供し、負担の見直しを理解してもらう努力が不可欠である。

全般的な事務事業の見直しについて

市では、昭和62年の第1次行政改革、平成8年の第2次行政改革、平成11年の第3次行政改革により一定の成果をあげてきたことは認められる。今後も事務事業全般について、最少の経費で最大の効果をあげることを常に念頭に置き、無駄がないか、限られた財源を有効に使っているかを考慮して見直し、効率化・合理化を進めて経費の節減を図ることが必要である。
たとえば、焼却灰再資源化事業のように費用対効果が十分でないもの、教職員住宅など当初の目的を達成したと思われるもの、民間において公正かつ十分なサービスが提供されているものなどについては、廃止・統合・縮小を進める必要があるが、市民への十分な周知を望みたい。ただし、焼却灰再資源化事業に関していえば、地球環境の保全という観点から、廃止の是非や、廃止した場合の代替措置を十分に検討していただきたい。
また、昨今の少子化によって児童・生徒数が過少となっている学校の統廃合については、今後現実に進められていくものと考えられるが、地域ごとに事情が異なるため長期的な計画を立てて、関係者の合意を得ながら進めていただきたい。なお、本来、ここで指摘すべきことではないと思われるが、学校施設をコミュニティー活動の場として活用することについても検討願いたい。
千葉県と船橋市の事務事業のあり方については、中核市に移行し権限が拡充したメリットを活かし、船橋市が先頭に立ち、県を巻き込んだ広域的な事務処理の体制づくりなどについても積極的に検討すべきである。

市税等の確保について

市税の収納率は、平成10年度に90%を割り込むなど、ここ数年減少傾向にある。これは、長引く景気の低迷を受け、滞納繰越分の収納率がさらに低下した上に、その金額が増加していることによるところが大きい。
これらの滞納繰越額を縮減する一方、新たな滞納の発生を防止するため、市では休日臨戸徴収、夜間臨戸徴収等の特別滞納整理の実施、市税収納員及び市税徴収指導員の活用など徴収体制の充実に努めるとともに、差し押さえた不動産の競売の実施についても検討している。
今後については、本市の歳入の根幹をなす市税収入を確保するため、課税対象の正確な把握と確実な徴収に努めることが必要である。
特に滞納分の徴収については、市民の不公平感を解消する上でも重要であり、悪質な滞納者に対しては、差し押さえや競売等により厳しく対処していくべきである。
また、市税以外の公営住宅使用料、下水道使用料、国民健康保険料、保育料などについても収納率の向上を図る必要がある。
どちらについても、徴収体制の強化・充実が必要であるが、その際、安易に職員の増員に頼ることなく、職員の配置体制の見直しや知識・経験を持つ非常勤職員を活用するなど徴収コストに留意すること、確実な収納を図るため口座振替制度の利用率を向上させることなどが必要である。
なお、市税等と市民サービスとの関わりについて、市民により理解を求めるために、情報公開の充実や市政への住民参加の機会を多く設けるなど、できるだけ行政を市民に身近なものにするよう努められたい。

扶助費の見直しについて

長引く不況により歳入の多くを占める市税の伸びが見込めない一方で、少子高齢化対策や生活保護世帯をはじめ、支援を必要とする市民の数が増加し、これに伴う扶助費の歳出が急激に増加している。
扶助費は10年前の平成5年度から比較して90%増加している一方、扶助費以外の経費については、その財源を扶助費に振り向けている結果、普通建設事業費をはじめかなりの落ち込みを示している。
従来から船橋市は、質・量ともに充実した福祉を目指してきた。この姿勢は今後も基本的に維持していただきたいが、扶助費が財政硬直化の大きな要因となり、他の経費を削減して扶助費に振り向けることが限界に近づいていることから、扶助費についても徹底した見直しを行う必要がある。そこで、市単独で行っている事業及び国・県の基準を上回って行っている事業のうち、他市の水準と比較して特に突出しているものなどについて、今後も継続していくべきサービスであるのか、その水準が適切であるのかを見極めることが必要である。
また、限られた財源を真にサービスを必要とする方に振り向けるため、新たに所得制限等を設けることや、既に所得制限等を設けているものについては、制限の基準が適正であるか、他のサービスと均衡がとれているか、重複していないかなどを精査する必要がある。
その際、サービスや所得制限の創設の経緯や社会状況なども十分勘案した上で、個々のサービスごとに判断していくことが必要である。同時に、市の財政状況などを市民に正しく情報提供し、サービスの見直しについて理解してもらう努力が不可欠であることをここでも提言する。
さらに、今後、医療や介護などの義務的な経費がますます増加することを考えると、従来の給付型のサービスから社会的自立を支援するサービスへ重点を移すとともに、ボランティア団体など地域の人的資源と共同、共助の精神で協力しながら進めていくことにも留意されたい。

普通建設事業の取り扱いについて

普通建設事業費は、市税の落ち込みや他の経費の増加により、平成5年度の約449億円が、平成14年度には約204億円と約54%の減となっている。したがって、建設されてからかなりの年数が経過し老朽化している道路や排水設備、学校や保育所などでさえ、十分な補修ができない状況にある。
経常収支比率が平成14年度決算で92.5%となっている現在、普通建設事業に財源を割り振ることは、ますます厳しい状況になってきている。このような中では、道路整備など市民要望の強いものや老朽施設の補修などについては、予算配分に優先順位を付けて計画的に行っていく必要がある。また、今後の大規模公共事業の実施については慎重に対応するとともに、PFIや民設民営を積極的に導入するなどして、建設費の縮減を図る必要がある。

船橋市行財政改革審議会
会長 加藤 隆
副会長 武藤 博己
委員 石井 清夫
委員 大西 智子
委員 鳥居 勝一
委員 藤田 きよ子
委員 本木 次夫

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