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発議案(議員提出議案)平成27年第3回定例会

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発議案第1号    安全保障関連法案の今国会での成立断念に関する意見書

(提出者)   佐藤重雄
(賛成者)   松崎佐智、坂井洋介、中沢学、渡辺ゆう子、岩井友子、金沢和子、関根和子、池沢みちよ、三宅桂子、朝倉幹晴、浦田秀夫、三橋さぶろう、岡田とおる、斉藤誠


 安倍政権が今国会で成立させようとしている安全保障関連法案は、日本国憲法の立憲主義の基本理念、及び憲法9条等の恒久平和主義と平和的生存権の保障の基本原理に反するものとして、多くの批判が寄せられ、国民の多数が反対している。
 そもそも、これまで政府は、憲法9条の解釈について一貫して、「集団的自衛権の行使は許されない」「海外での武力行使は許されない」としてきた。ところが、今回の法案は、集団的自衛権の行使を容認し、我が国に対する武力攻撃がないもとでも、海外における武力の行使ができるようにするものとなっている。これは、従来の憲法解釈を根本的に転換するものであり、自衛隊が創設以来一人の外国人も殺さず、一人の戦死者も出さないできたという我が国の歴史を覆すこととなりかねない。
 国会の衆議院憲法審査会において、与党推薦の参考人も含め、参考人として招致された3人の憲法学者全員が、この法案は憲法に違反すると明言した。日本弁護士連合会は、この法律の制定に反対する意見書を、全国に52ある弁護士会の会長全員を含む役員85人の全会一致で採択し、政府・衆参両院議長等に送付した。これらを初め、圧倒的多数の憲法学者、法曹関係者がこの法案は違憲であるとしている。国民世論においても、どの世論調査でも、法案に反対し、今国会での成立に反対する声が賛成を大きく上回っている。
 我が国のあり方を左右する重大問題でありながら、実質11本もの法案を短時間で一括審議するなど、国会での十分な審議も保障されていない。国民多数の意思を無視して、違憲の法案の成立を強行するなら、我が国の進路を誤らせることとなる。
 よって、国会及び政府においては、本法案の今国会での成立を断念するよう、強く要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。
平成27年9月1日
船橋市議会   
(提出先)
衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、外務大臣、防衛大臣

発議案第2号 船橋市議会会議規則の一部を改正する規則

上記の議案を、別紙のとおり会議規則第14条第2項の規定により、提出します。

平成27年9月28日

船橋市議会議長 中村静雄 様

提出者 議会運営委員長 鈴木和美


 船橋市議会会議規則(昭和42年船橋市議会告示第1号)の一部を次のように改正する。
 第2条中「議員は、」の次に「公務、疾病、出産その他の」を加える。
 第91条中「委員は、」の次に「公務、疾病、出産その他の」を加える。
 附則
 この規則は、公布の日から施行する。

 理由

 出産に係る欠席の届出について、所要の改正を行う必要がある。これが、この規則案を提出する理由である。

発議案第3号 ICT利活用による地域活性化とふるさとテレワークの推進に関する意見書

(提出者) 橋本和子
(賛成者) 桜井信明、鈴木いくお、石川りょう、つまがり俊明、三宅桂子、斉藤誠 


 都市住民の農山漁村への定住願望が大きく上昇しており、政府機関の調査では、東京在住者の40.7%が、地方への移住を「検討している」または「今後検討したい」と回答している一方で、仕事がない、子育て環境が不十分、生活施設が少ない、交通手段が不便、医療機関が少ないなど多くの問題点も存在している。
その問題点を解決し、地方への人の流れをつくるには、地方にいても大都市と同様に働き、学び、安心して暮らせる環境を確保する大きな可能性を持つICT(情報通信技術)の利活用が不可欠である。また、ICT環境の充実によって、地域産業の生産性向上やイノベーションの創出による地域の活性化を図ることも可能になる。
 そこで、企業や雇用の地方への流れを促進し地方創生を実現するため、どこにいてもいつもと同じ仕事ができる「ふるさとテレワーク」を一層促進し、観光など地方への訪問者増加につなげることができる高速情報通信回線網の充実、中でもWi-Fi環境の整備が必要になる。
 よって、政府においては、以下の事項を実施するよう、強く要望する。

1. ICT環境の充実には、Wi-Fi環境の整備が不可欠であることから、活用可能な補助金や交付金を拡充し、公衆無線LAN環境の整備促進を図ること。
2. 平成27年度からスタートした、テレワーク関連の税制優遇措置の周知徹底を図るとともに、制度を一層充実させ、拠点整備や雇用促進につながる施策を行うこと。
3. テレワークを活用して新たなワークスタイルを実現した企業を顕彰するとともに、セミナーの開催などテレワーク普及啓発策を推進すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

平成27年9月28日
船橋市議会   
(提出先)
内閣総理大臣、総務大臣、厚生労働大臣、経済産業大臣、地方創生担当大臣

発議案第4号 地方創生に係る新型交付金等の財源確保に関する意見書

(提出者) 橋本和子
(賛成者) 桜井信明、鈴木いくお、三宅桂子 


 将来にわたっての人口減少問題の克服と成長力の確保の実現のためには、総合戦略の政策パッケージを拡充強化し、地方創生の深化に取り組むことが必要である。
 政府は6月30日、平成28年度予算に盛り込む地方創生関連施策の指針となる「まち・ひと・しごと創生基本方針2015」を閣議決定した。
 今後は、全国の自治体が平成27年度中に策定する地方版総合戦略の策定を推進するとともに、国はその戦略に基づく事業など「地域発」の取り組みを支援するため、地方財政措置における「まち・ひと・しごと創生事業費」や平成28年度に創設される新型交付金など、今後5年間にわたる継続的な支援とその財源の確保を行うことが重要となる。
 よって、政府においては、地方創生の深化に向けた支援として、下記事項を実施するよう、強く要望する。

1. 地方財政措置における「まち・ひと・しごと創生事業費」と各府省の地方創生関連事業・補助金、さらには新型交付金の役割分担を明確にするとともに、必要な財源を確保すること。
2. 平成27年度に創設された「まち・ひと・しごと創生事業費」(1兆円)については、地方創生に係る各自治体の取り組みのベースとなるものであるから、恒久財源を確保の上、5年間は継続すること。
3. 平成28年度に創設される新型交付金については、平成26年度補正予算に盛り込まれた地方創生先行型交付金以上の額を確保するとともに、その活用については、例えば人件費やハード事業等にも活用できるなど、地方にとって使い勝手の良いものにすること。
4. 新型交付金事業に係る地元負担が生じる場合は、各自治体の財政力などを勘案の上、適切な地方財政措置を講ずるなど、意欲のある自治体が参加できるよう配慮すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

平成27年9月28日
船橋市議会   
(提出先)
内閣総理大臣、財務大臣、総務大臣、地方創生担当大臣

発議案第5号 原発事故による区域外避難者への避難先住宅の無償提供の継続に関する意見書

(提出者) 三宅桂子
(賛成者) 金沢和子、佐藤重雄、石川りょう、つまがり俊明、池沢みちよ、朝倉幹晴、浦田秀夫、斉藤誠 


 福島原発事故から4年5カ月が経過した。いまだ、13万人もの人々がふるさとを追われ、家族や地域が分断されたまま、避難生活を強いられている。このうち、約3万3000人が、政府が指定した避難区域外から避難している、いわゆる区域外避難者である。
 6月15日、福島県は区域外避難者への避難先住宅の無償提供を、平成28年(2016年)度で打ち切る方針を決定した。
 区域外避難者は、時には自主避難者と呼ばれることもあるが、決して自ら望んで避難生活を選んだわけではない。放射能による健康被害に不安を持ち、避難を選択せざるを得なかった点では、避難指示区域からの避難者と変わるものではない。区域外避難者の多くは子供連れであり、災害救助法に基づく無償住宅の提供を各自治体から受けて生活している。
 区域外避難者の多くは仕事を失い、子供の転校や、家族との別居生活を強いられており、精神的・経済的負担ははかり知れない。しかしながら、東京電力から受けている賠償額は不十分であり、生活費増加分や交通費すら十分に支払われていないのが現状である。そのような中で、自治体から無償で提供されている住宅は、避難生活を続けるための重要な支えとなっている。提供打ち切り後も避難生活の継続を選択すれば、家賃負担がのしかかり、たちまち経済的困窮に陥ることは論をまたない。
 平成24年(2012年)に国会にて全会一致で成立した「原発事故子ども・被災者支援法」は、被災者が被災地に残るか、避難するか、被災地に帰還するかの「いずれを選択した場合であっても適切に支援するものでなければならない」として、被災者の立場のいかんにかかわらず、等しく支援・救済を図ることを求めている。
 よって、国会、政府及び福島県においては、今回の福島県の対応は、「原発事故子ども・被災者支援法」の理念から大きく逸脱していることから、抜本的な改善策として、下記事項を実施するよう、強く要望する。

1. 政府は、福島県との協議を早急に行い、現在平成28年(2016年)3月末までとなっている原発事故避難者へのみなし仮設住宅を含む仮設住宅等の供与期限を、速やかに延長すること。
2. 上記の供与期間の延長においては、平成29年(2017年)3月末をもって、避難指示区域外からの避難者に対する供与を打ち切る方針としないこと。
3. 政府は、原発事故子ども・被災者支援法第9条が、移動先における住宅の確保に関する施策について、必要な措置を講ずるものとすると定めていることに鑑み、福島県内外の避難者の避難先での住宅問題について、直ちに十分な実態調査を行い、仮設住宅等の供与期限の延長及び新たな立法措置を含む今後の住宅政策に反映させること。

 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

平成27年9月28日
船橋市議会   
(提出先)
衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、国土交通大臣、復興大臣、福島県知事

発議案第6号 学費無償化と給付制奨学金制度の創設に関する意見書

(提出者) 佐藤重雄
(賛成者) 松崎佐智、坂井洋介、中沢学、渡辺ゆう子、岩井友子、金沢和子、関根和子、三橋さぶろう、岡田とおる、斉藤誠


 現在、奨学金の1人当たりの平均貸与額は300万円で、多い場合には1000万円にもなる。その一方、非正規雇用の増大などで卒業後の雇用・収入が不安定になっており、大学・短大などを卒業した30~50代の3分の1以上が年収300万円以下の賃金(総務省就業構造基本調査)で働いている。こうしたもとで、奨学金を借りた既卒者の8人に1人が滞納や返済猶予になっている。返済が1日でも遅れると延滞金利息が上乗せされ、滞納が3カ月以上続けば金融のブラックリストに載せられる。
 このため、多額の借金を恐れて、借りたくても我慢する学生が深夜までバイトをするなど、学生生活にも深刻な影響を及ぼすケースがふえている。ブラック企業のような違法・無法な働かせ方を押しつける「ブラックバイト」から学生が抜け出せない一因もここにある。
 そもそも日本の学費は、初年度納入金が国立で83万円、私立は文系約115万円、理系約150万円と、世界一高いレベルである。昭和45年(1970年)から食料品物価の上昇率は3倍だが、国立大学の授業料は45倍化した。よって、大学進学のために奨学金に頼らざるを得ない若者がふえ続け、現在、学生の2人に1人が奨学金を借りている。経済協力開発機構(OECD)加盟34カ国の中で、大学の授業料が有償で、給付制奨学金がない国は日本だけである。
 昨年、日本の教育への公的支出の割合は、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で5年連続の最下位を記録した。日本の大学教育は家計の重い負担で支えられているが、それも限界である。
 政府は、平成24年(2012年)に国際人権規約の「高等教育の漸進的無償化」条項を受け入れた。高い学費を値下げする方向に踏み出すとともに、奨学金制度を拡充することは、憲法と教育基本法が定める教育の機会均等への国の責任を果たすことであり、日本政府の国際公約でもある。
 よって、政府においては、学費の無償化に向けた着実な前進と、安心して学べる給付制奨学金制度の実現を、強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

平成27年9月28日
船橋市議会   
(提出先)
内閣総理大臣、文部科学大臣

発議案第7号 最低賃金の全国一律1,000円以上への引き上げに関する意見書

(提出者) 佐藤重雄
(賛成者) 松崎佐智、坂井洋介、中沢学、渡辺ゆう子、岩井友子、金沢和子、関根和子、三橋さぶろう、岡田とおる、斉藤誠


 厚生労働省の中央最低賃金審議会の小委員会は7月29日、平成27年(2015年)度の地域別最低賃金について、全国加重平均で時給18円増の798円とする目安をまとめ、30日に塩崎恭久厚生労働大臣に答申した。
 現在の千葉県の最低賃金は時給798円である。1日8時間、月22日間働いても14万448円、年収で168万円程度でしかなく、とても人間らしい生活を営む賃金とはいえない。さらに、東京都の最低賃金が現在888円なのに対し、沖縄や宮崎では677円という格差も是正されるべきである。
 平成24年(2012年)度国税庁報告で、年収200万円以下のワーキングプアは1070万人で、給与所得者の23.4%を占めている。働いても働いても生活苦にあえぎ、苦しめられ続けているワーキングプアをなくし、人間らしい生活の保障に足る賃金への底上げは、地域経済及び日本経済の好循環にとって不可欠の課題である。
 平成22年(2010年)の雇用戦略対話では、「政労使」で平成32年(2020年)までに全国平均1,000円を目指すと確認され、平成24年(2012年)6月に閣議決定された新成長戦略にもそれが明記された。
 よって、政府においては、「賃金の低廉な労働者について、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もつて、労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする」とした最低賃金法の趣旨に沿い、緊急に最低賃金を1,000円以上に引き上げる具体的措置をとるため、下記事項を実施するよう、強く要望する。

1. 最低賃金の全国一律時給1,000円以上を実現すこと。
2. 経営に困難を抱える中小零細企業に対して支援すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

平成27年9月28日
船橋市議会   
(提出先)
内閣総理大臣、厚生労働大臣

発議案第8号 川内原子力発電所の再稼動を直ちに中止し、廃炉に向けての準備に入ることを求める意見書

(提出者) 佐藤重雄
(賛成者) 松崎佐智、坂井洋介、中沢学、渡辺ゆう子、岩井友子、金沢和子、関根和子


 九州電力と政府は、鹿児島県薩摩川内市の川内原子力発電所の稼動を再開した。新規制基準に適合しているから安全だというのが再稼動の言いわけとなっているが、新規制基準を定めた委員会が「安全を保障するものではない」と明確に述べていること、それに、火山噴火の影響等については、専門家から予知は不可能と言われているにもかかわらず、10年以上もの長期未来が予知可能という九州電力の言い分をうのみにした再稼動であり、危険きわまりないものである。
 その上、事故発生時の避難対策については、責任を近隣の自治体に押しつけるなど、地方行政を政府や一企業の下請扱いにする無謀なものとなっている。
 さらには、原子力発電は、たとえ無事故で行われたとしても、使用済み核燃料の後始末、核のゴミ処理の手法は見つかっていないという、無謀無責任で未来の世代に負の遺産を押しつけるもので、それだけでも原子力発電を続けることはやめる以外の道はない。
 中には、原子力発電はコストが小さくて済むとか、大気を汚染しない、温室効果ガスを発生させないとかの意見を述べる向きもあるが、廃炉・核のゴミ処理費用まで含めれば、原子力発電ほどコストの高い発電はない。
 何より、再生可能エネルギーの利用手法が、既に高度に発達していることが実証されていること、発電量のばらつきを補う手法としての水素による蓄積手法の開発など、目覚しい研究結果も見られていることなどを考慮すれば、原子力発電からの撤退による国民への不利益は何もない。
 よって、政府においては、原子力政策を転換し、川内原子力発電所の稼動をやめ、廃炉への準備に入るよう、強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

平成27年9月28日
船橋市議会   
(提出先)
内閣総理大臣、経済産業大臣

発議案第9号 社会保障・税番号制度(マイナンバー)の中止に関する意見書

(提出者) 佐藤重雄
(賛成者) 松崎佐智、坂井洋介、中沢学、渡辺ゆう子、岩井友子、金沢和子、関根和子


 国の公的機関である日本年金機構から、約125万件にも上る個人情報が流出するという前例のない事態が発生し、情報管理のずさんさや官庁の都合を優先する余り、個人情報保護が後回しになったことが、大問題となっている。
 しかし、社会保障・税番号制度(マイナンバー)では、既に準備の段階で、同様の状況が発生している。
 社会保障・税番号制度の準備に当たり、既に個人情報保護の安全性の柱の1つとされているPIA(特定個人情報保護評価)が、全国の市町村の4割超に当たる758自治体において、住民基本台帳システムの改修前に保護評価書が公表されておらず、法で定められている手順どおりの作業が行われていなかったことが判明した。
 また、行政機関が共通番号に対応するため情報システムを改修する際、国の第三者機関の承認を得ることが、番号法で定められているにもかかわらず、これまでに自治体が行った1万7000件の全てで、承認手続きを行っていなかった。
 個人情報保護が後回しにされるという深刻な事態が、全く改善されていない。
 よって、政府においては、今年10月から日本に住民票を持つ全員に番号を割り振り、来年1月から税・社会保障の分野で国が管理する共通番号制度を中止するよう、強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

平成27年9月28日
船橋市議会   
(提出先)
内閣総理大臣、総務大臣

発議案第10号 社会保障施策の抜本的な見直しを求める意見書

(提出者) 佐藤重雄
(賛成者) 松崎佐智、坂井洋介、中沢学、渡辺ゆう子、岩井友子、金沢和子、関根和子


 安倍晋三政権は6月30日、「経済財政運営と改革の基本方針2015~経済再生なくして財政健全化なし~」(骨太方針)を閣議決定した。
 この基本方針には、社会保障費の伸びを毎年3000億~5000億円規模で削減することや、社会保障を初めとする公的サービスの産業化の推進が盛り込まれている。特に、社会保障は歳出改革の重点分野と強調している。
 しかし、高齢者の人口増や医療技術の革新などで年間8000億~1兆円の自然増が見込まれる社会保障費を、政治の力で無理やり抑え込むことは、国民の暮らしに深刻な被害をもたらす。それは、社会保障費毎年2200億円削減を実行した小泉純一郎内閣時代に「医療崩壊」「介護難民」を続発させたことからも明らかである。
 また、削減路線と一体で前面に打ち出した社会保障の産業化は、国や地方自治体が歳出削減で撤退したところを、民間企業に担わせる意図を露骨に示すものである。
 利潤追求が原則の民間営利企業によるサービス提供は、国や地方自治体が責任を持つ公共サービスとは根本的に違う。事業に参入した企業がもうからないと撤退すれば、利用者は置き去りにされてしまう。営利化は、憲法25条で定められた社会保障の安心・安全を脅かし、国民の暮らしの大もとを揺るがす。
 そもそも社会保障は、自己責任や家族・地域の助け合いだけでは対応できない貧困・病気等の様々な問題に対して、人類の英知として生み出されたものである。個人の努力のみで解決できない事実を無視し、公的責任から抜け出そうという基本方針は、憲法25条の理念を丸ごと無視した違憲の方針といえる。
 社会保障の充実は、国民生活において安心・安全を確保し、新たな雇用も生み出し、経済の活性化につながる。国は、財政健全化といえば社会保障費を減らすことばかりしか考えないような、誤った固定観念から脱却すべきである。
 よって、政府においては、骨太方針などに示された社会保障施策の抜本的な見直しを下記事項のとおり行うよう、強く要望する。

1. 社会保障費の削減をやめること。
2. 国民の生存権を保障し、社会保障の向上・増進に対して国が責任を持つ政治へ転換すること。
3. 軍拡を中止し、大企業と高額所得者優遇の税制を改め、必要な財源を確保するとともに、大企業の内部留保を活用して国民を豊かにする、真の財政改革を行うこと。

 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

平成27年9月28日
船橋市議会   
(提出先)
内閣総理大臣、厚生労働大臣

発議案第11号 TPP(環太平洋パートナーシップ)交渉において国会決議を守るよう求める意見書

(提出者) 佐藤重雄
(賛成者) 松崎佐智、坂井洋介、中沢学、渡辺ゆう子、岩井友子、金沢和子、関根和子


 TPP(環太平洋パートナーシップ)交渉は、関税の撤廃だけでなく、非関税障壁の撤廃を含んでいる。
 関税の撤廃によって、日本の農業などの分野が大打撃を受けることが明白になっただけでなく、非関税障壁の撤廃により、食の安全や知的財産などの分野でも日本の国益を大きく損なうこととなる。
 政府は、国会決議を踏まえ、国益にかなう道を得るべく交渉を進めるとしながらも、この間、米の輸入枠を5万トンふやすなどの農林水産物の重要品目について、譲歩案を示している。これは、重要農林水産物について「除外又は再協議の対象とする」「重要五品目などの聖域の確保を最優先し、それが確保できないと判断した場合は脱退も辞さないものとする」とした衆参農林水産委員会決議に反するものであり、断じて認められるものではない。
 よって、政府においては、日本の国益を守るという観点から、国会決議を守れないのであればTPP交渉から直ちに脱退することを、強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

平成27年9月28日
船橋市議会   
(提出先)
内閣総理大臣、経済産業大臣

発議案第12号 安全保障法制に関する意見書

(提出者) つまがり俊明
(賛成者) 高橋けんたろう、うめない幹雄、石川りょう、齊藤和夫、神田廣栄、三橋さぶろう、岡田とおる、斉藤誠
 


 政府は、日本を取り巻く周辺環境の変化を踏まえ、平和安全法制整備法案と国際平和支援法案を提出している。法案の提出理由は、日本と国際社会の平和と安全のためとされている。どのように平和や安全を守るのかについては様々な意見があり、安全保障のあり方について、改めて国民的な議論が求められている。
 一方で、本年6月4日に開催された衆議院憲法審査会において、参考人の憲法学者全員から政府法案は憲法違反との指摘があり、安全保障法制の合憲性や法治国家としてのあり方が問われている。
 このような国のあり方の根幹にかかわる問題は、国民的な理解と合意が不可欠である。
 よって、国会及び政府においては、周辺環境の変化や安全保障のあり方に関する国民の疑問や不安を真摯に受けとめ、分かりやすく丁寧な説明と議論を、法案の成否にかかわらず継続的に行うよう、強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

平成27年9月28日
船橋市議会   
(提出先)
衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、外務大臣、防衛大臣