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議員提出議案(平成19年第4回定例会)

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発議案第1号 取り調べの可視化実現に関する意見書

(提出者)議会運営副委員長 小森雅子


国民から無作為に選ばれた裁判員が、殺人や傷害致死などの重大事件の刑事裁判で、裁判官とともに犯罪を裁く裁判員制度が平成21年5月までに施行予定である。同制度では、法律の専門家ではない国民が裁判に参加し、国民の感覚が裁判の内容に反映されるようになること、そして、それによって国民の司法に対する理解と支持が深まることが期待されている。

しかし、実際の裁判では、供述調書の任意性や信用性などが争われることが少なくなく、一たび裁判員となった場合には、そうしたことに対する判断も求められることは必然で、法律家でない国民にとっては、非常に判断に苦しむ場面に立たされてしまうことになりかねない。

裁判員制度導入に当たって、検察庁では現在、東京地検を初め各地の地検で取り調べの可視化を試行している。取り調べの可視化とは、捜査の結果、犯罪を行ったと疑われる被疑者に対して、警察や検察が行う取り調べの全過程を録画・録音することである。可視化が実現すると、冤罪の原因となる密室での違法・不当な取り調べによる自白の強要が防止できるとともに、供述調書に書かれた自白の任意性や信用性が争われた場合には、取り調べの録画・録音テープが証拠となる。

取り調べの可視化は、自白の任意性、信用性を迅速・的確に判断するための方策として、裁判員制度導入にとって不可欠な取り組みの1つであり、もちろん冤罪事件を防ぐことにもつながる。

よって、政府においては、裁判員制度実施までに、取り調べ過程の可視化を実現するよう、強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

平成19年12月18日

船橋市議会

(提出先)衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、法務大臣

発議案第2号 メディカルコントロール体制の充実に関する意見書

(提出者)議会運営副委員長 小森雅子


外傷や脳卒中、急性心筋梗塞等の救急治療を要する傷病者に対する救急出動件数(平成18年)は、523万件余りに上る。この救急・救助の主体的役割を担う人材が救急医及び救急救命士等であり、一刻を争う救命処置とともに高い専門性が求められることから、救急隊が行う応急措置の質の向上を協議するメディカルコントロール(MC)体制の充実、特に医師による直接の指示・助言(オンラインMC)体制の整備が求められている。

しかし、都道府県のもと、各地域に設置されているメディカルコントロール協議会では、救急救命士等が実施する応急手当・救急救命処置や搬送手段の選定等について、●1 医師の指示・助言、●2 事後検証、●3 教育体制の整備等の手順及び活動基準のマニュアル化が十分なされていないことから、早急に住民の目線からのMC体制づくりを推進すべきである。

今年5月に都道府県MC協議会を統括する全国メディカルコントロール協議会連絡会が発足した。国として、各地域の現場の声を集約する環境が整ったことから、地域のMCにおける課題や先進事例等について、しっかりと意見交換をした上で、速やかに情報をフィードバックしていくシステムを構築すべきである。このような対応を進めることにより、救急治療を要する傷病者に対して、救急隊による適切な応急措置と迅速、的確な救急搬送が行われるようMC体制の充実を図るべきである。

よって、国においては、早急に下記項目について実施するよう、強く要望する。

  1. メディカルコントロール協議会連絡会を定期開催し、地域メディカルコントロール協議会との連携強化を図ること
  2. メディカルコントロール協議会を充実させるための財政措置の増大を図ること
  3. オンラインメディカルコントロール体制の構築を推進すること
  4. 救急救命士の病院実習や再教育の充実・強化を図ること
  5. 救急活動の効果実証や症例検討会の実施を図ること

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成19年12月18日

船橋市議会

(提出先)内閣総理大臣、総務大臣、厚生労働大臣

発議案第3号 民法の嫡出推定に係る運用の見直しに関する意見書

(提出者)議会運営副委員長 小森雅子


民法772条第2項は、「婚姻の解消若しくは解消の日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する」と、「嫡出推定」の規定を定めている。この規定は、もともとは、法律上の父親をはっきりさせて子供の身分を早期に安定させるためのものだったが、制定から100年以上たった今、離婚・再婚をめぐる社会情勢の変化などもあり、時代に合わなくなっている。

例えば、この規定があるために、実際には新しい夫との間にできた子供であっても、離婚後300日以内の出生であれば、前夫の子と推定され、出生届を提出すると前夫の戸籍に入ることになってしまう。そのため、事実と異なる者が父親とされることを嫌って、出生届を出さず、無戸籍となっている子供がいる。

こうした状況の救済のため、法務省は、今年5月に通達を出し、離婚後妊娠の場合に限り、医師の証明を添付することで現在の夫の子として出生届を認める特例救済措置を実施している。

しかし、この特例で救済されるのは全体の1割程度であり、圧倒的に多い離婚前妊娠のケースは、依然として対象外となっている。離婚前妊娠に関しては、やむを得ない事情を抱えているため、離婚手続に時間がかかるケースが多く、救済を求める声が強くなっている。

よって、政府においては、子供の人権を守るため、離婚前妊娠であっても社会通念上やむを得ないと考えられるものについては現在の夫の子として出生届を認めるなど、嫡出推定の救済対象を拡大するよう、強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

平成19年12月18日

船橋市議会

(提出先)参議院議長、衆議院議長、内閣総理大臣、法務大臣

発議案第4号 道路特定財源諸税の暫定税率延長等に関する意見書

(提出者)木村哲也

(賛成者)大矢敏子、滝口宏、長谷川大、藤川浩子、高木明、上林謙二郎、斉藤守、石渡憲治、佐々木克敏


住民の日常生活や通勤・通学に不可欠な道路は、人・物・情報の移動を支え、地域経済・社会活動を促進する最も基礎的な社会基盤である。少子・高齢化の急速な進展による人口減少社会が到来しつつある中で、良好な都市環境を形成し、安全で安心できる暮らしを実現するためには、バリアフリー化、交通安全対策、電線類の地中化ばかりでなく、防災対策、救急医療対策なども喫緊の課題となっている。

また、日本経済の国際化に伴い、競争力を一層強化するため、高速道路などの広域的幹線道路の整備を促進して、拠点となる成田国際空港や千葉港湾などへのアクセス性を向上させるとともに、通行料金の引き下げ等により湾岸地域などの交通渋滞緩和や環境改善に努める必要がある。

さらに、更新時期となりつつある多くの既存道路施設を効率的かつ計画的に維持管理していくことも大きな課題であり、特に橋梁やトンネル等の点検などが重要となっている。

よって、政府においては、国土交通省が示した道路の中期計画(素案)に沿って真に地方が必要とする道路整備を確実に推進するため、下記事項を実施するよう、強く要望する。

  1. 地方の進める道路整備が計画的かつ確実に推進できるよう、平成20年度以降も道路特定財源諸税の暫定税率の延長及び地方道路整備臨時交付金制度の継続を行うこと。
  2. 中期計画における道路整備の事業量を確保するため、道路特定財源については、受益者負担の制度趣旨にのっとり、すべてを道路整備と道路関係の施策に充てること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成19年12月18日

船橋市議会

(提出先)内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、国土交通大臣、内閣官房長官

発議案第5号 日豪EPA(経済連携協定)/FTA(自由貿易協定)交渉に関する意見書

(提出者)中村静雄

(賛成者)藤川浩子、石崎幸雄、伊藤昭博、池沢敏夫、大沢久


本年4月から開始された日豪EPA(経済連携協定)/FTA(自由貿易協定)交渉において、オーストラリア政府は、農産物を含む関税撤廃を強く主張すると見られる。

この豪州政府の要求どおり、農産物の輸入関税が全面的に撤廃されることになれば、日本は、肉牛、酪農、小麦、砂糖の主要4分野で約8,000億円の打撃を受け、関連産業や地域経済を含めるとその影響額は2~3兆円規模に上ると試算されている。

また、食糧自給率は30%台に低下し、日本の農業と食糧は壊滅的な打撃を受けることになり、農林業の多面的機能が失われ、農山村の崩壊、国土の荒廃、環境の悪化を招くことになる。

さらに、オーストラリアの農業生産条件は、昨年干ばつによって大減産となるなど、極めて不安定であり、安易にこれに依存することは、世界的な食糧不足、危機が心配されている中で、日本の食糧安全保障を危うくする結果を招きかねない。

よって、政府においては、日豪EPA/FTA交渉において、下記事項について特段の配慮がなされるよう、強く要望する。

  1. 米、小麦、牛肉、乳製品、砂糖などの重要品目について関税撤廃の対象から除外し、万一、これが受け入れられない場合は交渉を中断すること。
  2. 農産物貿易交渉は、農業・農村の多面的機能の発揮と国内自給による食糧安全保障の確保を基本とし、各国の多様な農業が共存できる貿易ルールを確立すること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成19年12月18日

船橋市議会

(提出先)内閣総理大臣、外務大臣、農林水産大臣

発議案第6号 後期高齢者医療制度の抜本的見直しに関する意見書

(提出者)池沢敏夫

(賛成者)朝倉幹晴、まきけいこ、浦田秀夫、小森雅子


75歳以上の高齢者を対象とした後期高齢者医療制度が、平成20年4月からの導入に向けその準備が進められている。

制度が始まれば、75歳以上の高齢者は、現在加入している国保や健保ではなく、高齢者だけの独立した保険に組み入れられることとなり、家族に扶養されている方々を含め、すべての後期高齢者が保険料の負担を求められ、その大多数が年金から天引きされることとなっている。現在、サラリーマンの子供らの扶養家族で、保険料負担がゼロの75歳以上の高齢者は、来年4月から新たに保険料が必要になると考えられており、しかも保険料は2年ごとに改定され、後期高齢者の数がふえるのに応じて、自動的に保険料も上がる仕組みとなっている。

本来、保険制度は、だれもが、どこでも、どんな病気でも安心して医療が受けられるために設けられているが、後期高齢者保険制度が導入されることにより、月額平均6,200円の保険料の新たな負担が生じるなど、75歳以上の高齢者にとっては、これまでの生活に一層の負担を課する制度となると考えられる。その上、診療報酬が包括払い(定額制)になり、受診できる医療が制限されることも想定される。

よって、政府において、次年度の後期高齢者医療制度開始までに、負担軽減等の見直しを行うとともに、高齢者が安心して医療を受けることができる制度の構築をするため、下記の措置を講ずるよう、強く要望する。

  1. 医療費に対する国庫負担割合を引き上げること。
  2. 低所得者に対する保険料減免制度や医療費一部負担金減免制度を設けること。
  3. 後期高齢者が必要で十分な医療が保障される診療報酬とすること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成19年12月18日

船橋市議会

(提出先)内閣総理大臣、財務大臣、厚生労働大臣

発議案第7号 児童扶養手当の減額中止に関する意見書

(提出者)池沢敏夫

(賛成者)朝倉幹晴、まきけいこ、浦田秀夫、小森雅子


多くの母子家庭は、子供を抱えて就業しているが、その収入は低く、生活保護水準の収入で暮らす者も多い。したがって、児童扶養手当は生活に欠かせないものとなっている。

しかし、平成14年に児童扶養手当の一部改正が行われ、手当の受給開始後5年を経過した場合や、受給要件に該当後7年を経過したときは、手当の額を最大で半額まで削減することとされた。

この減額は平成20年4月からとされ、母子家庭にとって命綱ともいえる児童扶養手当の減額に不安が高まっている。法改正の前提となっている母子家庭の就労支援が実を結ばない状況では、このような児童扶養手当の削減を行うべきではない。

よって、政府においては、母子家庭の厳しい生活水準に十分配慮し、児童扶養手当の減額を中止し、自立に向けた就労支援策、雇用環境改善等について、一層の拡充を図るよう、強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成19年12月18日

船橋市議会

(提出先)内閣総理大臣、財務大臣、厚生労働大臣

発議案第8号 多様性尊重のための小選挙区制廃止に関する意見書

(提出者)池沢敏夫

(賛成者)、金沢和子、岩井友子、朝倉幹晴、まきけいこ、浦田秀夫


近年、日本において導入された小選挙区制(平成6年決定、平成8年初実施)は、各選挙区から1人のみしか当選しないため、多くの死票が出る。仮にA候補40%、B候補30%、C候補30%だった場合、実に60%の有権者の意思は反映されなくなる。

また、小選挙区制は、2大政党制を推進する目的と言われるが、結果として2大政党の政策は類似し、その2大政党の政策の枠に入らない国民の多様な意思は、反映されなくなる。平成19年7月の参議院選挙で、政権交代をうたって参議院第1党となった民主党党首が、その直後、国民の知らないところで、自民党との大連立を画策していたことに象徴されるように、2大政党の意向いかんで、民意と異なる政局運営が行われる危険性がある。

今、国民の価値観は、さまざまな分野で多様化しており、実質の選択肢が2つしかなくなるような選挙制度は、価値観の多様化と相入れないし、少数意見の尊重という民主主義の基本からも外れる。

ヒトもその一員である生物社会では、生物多様性により生態系のバランスが保たれている。ヒトの健康を支える腸内共生細菌も、ヒトの食物となる植物の健康を支える土壌微生物も、2大生物は存在せず、多種多様な生物の共生と拮抗の中でバランスが保たれている。多様性を尊重しない選挙制度は、自然の摂理に反した人間の浅知恵である。

間接民主制のもとでは、民意の多様性を完全に保障する選挙制度はないが、比例代表制・中選挙区制・大選挙区(全国区)の方が国民の選択の幅を広げ、意識の多様性を尊重する、よりましな選挙制度である。

よって、国会においては、国民の多様性の尊重と選択肢を保障するために、国政選挙において、小選挙区制を廃止し、多様性を尊重できる選挙制度に変えるよう、強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成19年12月18日

船橋市議会

(提出先) 衆議院議長、参議院議長

発議案第9号 新テロ特措法案の撤回に関する意見書

(提出者)岩井友子

(賛成者)金沢和子、池沢敏夫、小森雅子


今国会において審議中の新テロ特措法案は、11月1日に期限切れとなり撤退したインド洋への自衛隊派兵を再度復活し、米軍支援の給油活動を行うものである。

新法案は、自衛隊の活動について、テロリストや武器などの移動を海上で阻止するための海上阻止活動に従事する米艦船などへの給油・給水に限定するとしている。しかし、この海上阻止活動は、米軍主導の対テロ戦争の一環として行われているもので、米軍はインド洋で、海上阻止活動だけでなく、イラクやアフガニスタンへの作戦も展開しており、海上阻止活動だけに限定した給油活動は事実上不可能となっている。

今国会の質疑の中でも、インド洋の自衛隊が、アフガニスタンを空爆している米艦船に給油していることが明らかになっているように、海上阻止活動をしている米艦船は、アフガニスタンやイラクへの武力攻撃と不可分の仕組みになっている。このように日本の給油活動が憲法違反の戦争支援であることは明らかである。

また、この6年間の対テロ戦争で罪のない多くのアフガニスタン民衆を殺害してきたことが、新たな憎しみと暴力を生み、情勢の泥沼化をつくり出してきている。今アフガニスタンでは、カルザイ大統領自身が、テロリストでないタリバンを含む反政府勢力との政治的対話の道を模索し、アフガニスタン国会も、軍事作戦の中止を決議している。

こうした和平の方向こそ、日本は支援すべきであり、戦争支援の継続はすべきでない。

よって、政府においては、新テロ特措法案を撤回するよう、強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成19年12月18日

船橋市議会

(提出先)内閣総理大臣、外務大臣、防衛大臣

発議案第10号 法人税・所得税及び証券税制の見直しに関する意見書

(提出者)池沢敏夫

(賛成者)金沢和子、岩井友子、朝倉幹晴、まきけいこ、浦田秀夫、小森雅子


多くの市民にとって景気回復の実感がない中で、恒久的減税とされた定率減税が廃止され、その上さらに消費税増税の論議が進められている。しかし、消費税は、逆進性の強い税であり、生活費非課税の原則を侵すものである。他方、定率減税と同時に減税された法人税(34.5%から30%へ)や所得税の最高税率引き下げ(50%から40%へ)はそのままであり、景気回復を理由とするならば、法人税や所得税の最高税率こそもとに戻すべきである。

また、政府は、IT投資減税や研究開発減税などの政策減税、連結納税制度導入、証券税制の軽減を行い、大企業や高額所得者に有利な税体系を展開している。このことによって、政府みずからが本来の財源を手放しているとも言える。

これらの政策展開は、庶民への負担増、社会保障などのサービス削減や公的責任の後退、地方間格差をもたらし、現在と将来への不安を招く結果となっている。

よって、政府においては、負担能力に見合った応分の負担という税負担の原則に立ち戻り、法人税・所得税及び証券税制の見直しを行い、大企業や高額所得者への行き過ぎた減税を早急に中止するよう、強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成19年12月18日

船橋市議会

(提出先)内閣総理大臣、財務大臣

発議案第11号 後期高齢者医療制度の中止・撤回に関する意見書

(提出者)岩井友子

(賛成者)金沢和子、小森雅子


政府は平成20年4月から、75歳以上の高齢者を対象に後期高齢者医療制度を創設するとともに、70~74歳の窓口負担を2割に引き上げようとしている。新しい制度は、もっぱら医療費削減を目的にしたもので、高齢者への過酷な負担と、医療内容を制限することが大きな特徴である。

具体的には、●1 現在扶養家族となっていて保険料を負担していない人も含め、75歳以上のすべての高齢者から保険料を取り立てる、●2 年金から保険料を天引きする、●3 保険料を払えない人からは保険証を取り上げ、医療を受けられなくする、●4 受けられる医療を制限し差別する別建て診療報酬を設ける、などである。さらに、保険料は2年ごとに改定され、後期高齢者の人口増などに応じて、自動的に引き上がる仕組みである。

これに対し、まさにうば捨て山ではないかとの怒りの声が全国で巻き起こり、制度の運営に当たる都道府県広域連合からも緊急の見直し要求が出されている。そもそも病気になりがちな高齢者の医療については、長年の社会貢献にふさわしく国と企業が財政負担し、高齢者が支払える範囲で十分な医療が受けられるようにすべきである。

このことはヨーロッパ諸国では常識であり、高齢者に高負担と差別医療を押しつけている国はどこにもない。政府・与党は、高齢者医療費負担の一部凍結を打ち出したが、制度そのものには手をつけていない。世界にも例のない高齢者いじめの医療制度は、一部凍結ではなく、撤回こそが求められている。

よって、政府においては、次の事項を実施するよう、強く要望する。

  1. 後期高齢者医療制度について、来年4月からの実施を中止し、撤回すること。
  2. 70~74歳の窓口負担2割への引き上げをやめること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成19年12月18日

船橋市議会

(提出先)内閣総理大臣、厚生労働大臣

発議案第12号 消費税増税反対に関する意見書

(提出者)岩井友子

(賛成者)金沢和子、池沢敏夫、


政府税制調査会長は、最近「消費税が社会保障の財源としての重要な役割を果たしている」として、時期は示さなかったものの、税率の引き上げが必要との見解を示した。

政府は、この間、社会保障の財源のためには、消費税増税は仕方ないとの世論づくりを進めてきたが、最近のNHK世論調査では、ふえ続ける社会保障の財源確保のために消費税を引き上げることの賛否に対して反対41%、賛成28%となっており、政府の増税推進の見解を国民が受け入れていないことを示している。

消費税は、所得の低い階層ほど負担が重くなる逆進性を持つ。また、社会保障のためを口実に導入されて以来、平成19年までの税収は188兆円に達しているが、それがほぼ法人3税減税分の穴埋めに消えている実態となっている。したがって、社会保障の財源は消費税の増税によるのではなく、バブル時期の2倍以上の利益を上げているにもかかわらず、当時の水準程度の税負担しかしていない大企業に応分の負担を求めるべきである。

よって、政府においては、消費税の増税を行わないよう、強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成19年12月18日

船橋市議会

(提出先)内閣総理大臣、財務大臣

発議案第13号 児童扶養手当の減額中止に関する意見書

(提出者)岩井友子

(賛成者)渡辺ゆう子、中沢 学、金沢和子、伊藤昭博、石川敏宏、佐藤重雄、関根和子


母子家庭の生活を支える児童扶養手当について、来年4月から受給後5年経過すると最大で半減することが平成14年の法改正で決められている。

政府は、母子家庭への支援策を手当から就労などの自立支援に重点を移すとしているが、平均年収213万円(平成18年厚生労働省調査)と全世帯平均の4割にも満たない収入の母子世帯にとって、児童扶養手当が削減されることは死活問題である。OECDから、日本の母子家庭は約6割が貧困ライン以下であり、このままでは大変だとの勧告が出されているが、手当の削減はこの勧告にも逆行している。

格差・貧困を広げる社会保障改悪への批判が高まる中、福田政権は、児童扶養手当の削減凍結を打ち出し、与党内で対応策が協議されていると伝えられているが、児童扶養手当の削減は、凍結ではなく全面撤回すべきである。

さらに、母子家庭の貧困問題解決のためには、児童扶養手当の大幅な拡充が必要である。

よって、政府においては、児童扶養手当削減案を全面撤回し、手当の拡充の法改正を行うよう、強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成19年12月18日

船橋市議会

(提出先) 内閣総理大臣、厚生労働大臣

発議案第14号 史実に基づいた冷静かつ公正な教科書検定に関する意見書

(提出者)石渡憲治

(賛成者)斉藤 守、佐々木克敏、


来年から使用される高等学校歴史教科書の記述をめぐり、教科書検定制度の根幹を揺るがす問題が生起している。

文部科学省は、本年3月、いわゆる沖縄での集団自決の記述に対して、日本軍による強制または軍命令は断定できないとの立場から、誤解を与える記述は改めるよう、5社7冊の教科書に検定意見を付した。文部科学省の新たな方針が示された背景には、命令を出したとされる将校らが軍命令の事実を否定したことや、軍命令の資料がいまだ確認されていないという研究に基づいている。

さきの大戦において、軍官民一体となった国内唯一の地上戦が行われた沖縄において、県民が筆舌に尽くしがたい境遇に置かれ、多くの戦没者、犠牲者が生まれたことに対しては、心からの同情と、亡くなられた方々への哀悼の思いを寄せるものである。

しかしながら、9月末に行われた、沖縄での集会後、さまざまな報道が重ねられ、問題の争点が、「軍命令の有無」から「軍の関与の有無」、あるいは沖縄と本土の対立の問題へと巧みにすりかえられる事態へと変化した。殊に、文部科学省の検定内容が曲解される形で世論が形成された過程は、看過できないものがある。

また、軍命令の有無については、現在裁判所において係争中の問題であり、12月21日には最終の口頭弁論が行われ、来年には判決が出される予定である。

こうした中、政府与党首脳の一部から、県民の心を検定に反映したいとの発言もあり、文部科学省は、教科書会社からの訂正申請を受けて、軍による「命令」や「強制」の記述を復活するべく検討している。

史実の検証を置き去りに、政治的思惑や感情論に任せて事態を収拾することは、当初、教科書会社に示した検定意見の全面撤回となるばかりか、今後の検定に足かせをつけることにほかならない。この間題は、教科書検定制度の根幹を揺るがすものであり、我が国の公教育の将来に禍根を残すこと必定である。

よって、政府及び関係機関においては、本年3月の検定結果を堅持するとともに、史実に基づいて冷静かつ公正な視点で教科書検定を実施するよう、強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成19年12月18日

船橋市議会

(提出先)内閣総理大臣、文部科学大臣

発議案第15号 村田一郎議長に対する不信任決議

(提出者)池沢敏夫

(賛成者)朝倉幹晴、まきけいこ、浦田秀夫

12月10日に行われた浦田秀夫議員の一般質問の際、村田一郎議長は、これまでの議会ルールを無視し、浦田秀夫議員発言の途中で発言禁止命令を出し、また、これらに対するその後の対応も適正さに欠けるなど、議長としては不適切と指摘せざるを得ない。

よって、本議会は、村田一郎議長を信任しない。

以上、決議する。

平成19年12月18日

船橋市議会

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