陳情文書表(平成22年第4回定例会)
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陳情文書表(平成22年第4回定例会)
総務委員会
● 陳情第44号 チーバくんの教育の場等での積極的活用に関する陳情
[願意]
千葉国体のイメージキャラクターであったチーバくんに関し、下記の事項を実施願いたい。
記
1.今後も、いろいろな教育の場やイベント等で活用すること。
2.チーバくんの着ぐるみ貸し出しの許可基準や制度などがあれば、利用希望者に公開すること。
[理由]
チーバくんは、千葉国体を盛り上げるためにつくられたキャラクターであるとのことだが、今はそれを超える人気となっていて、千葉国体そのものを見なかった子供たちでさえもチーバくんのピンバッジを身につけ、ノートにはチーバくんのシールを張り、楽しんでいる子供たちの様子を身近に見ている。
また、小学校中学年以下の子供たちにとっては、チーバくんを見て初めて千葉県の形を意識した子供も多いと察する。
チーバくんは、全国の人々から親しみを持って迎えられるキャラクターとして定着しつつある。
チーバくんは、老若男女を問わず大変な人気であり、千葉国体の終了とともに活躍が終了して消えてしまうのは、いろいろな意味でもったいないという声が多い。
[願意]
地方議員年金に関し、下記事項を内容とする意見書を国に提出願いたい。
記
1.既に廃止された国会議員同様、地方議員年金は廃止し、公的年金制度と結合した年金の一元化を進めること。
2.廃止に当たっては、公費投入を最小限とすること。
3.廃止に至る過程については、議員年金財政の透明化を図ること。
4.有資格者の受給権及び現役議員への掛け金返還については、第三者機関を設置して検討すること。
[理由]
全国市議会議長会は10月19日、財政悪化が著しい地方議員年金制度について議論している民主党プロジェクトチーム(座長・小川淳也政調副会長)の意見聴取に対し、同制度の廃止を要望した。一方、全国都道府県議会議長会と全国町村議会議長会は、給付水準を下げながらの存続の方針を変えていない。
地方議会議員の年金制度は、制度発足の10年後から既に破綻の兆候は見えていた。にもかかわらず、何の対策もとられず今日に至り、平成の大合併により議員年金の担い手である議員が大幅に減少し、受給者が急増したことによって、財政の悪化が一層加速し、来年にも市・町村議会議員共済会の積立金が枯渇するとされている。
既に、総務省地方議員年金制度検討会が提起した存続2案と廃止案は、ともに大幅な公費負担を予測しており、上述の全国市議会議長会の提案も、掛け金総額の8割返還を初めとした多額の公費投入を求めている。
近年、社会的にも地方議会と地方議員の役割とあり方が大きく問われている。こうした情勢の中で、世界にもまれな地方議員年金を存続するにしても廃止するにしても、ともに多額の公費を費やすことは有権者・納税者の広範な理解が得られるものではない。
● 陳情第46号 新防衛大綱策定における慎重な議論を求める意見書提出に関する陳情
[願意]
新防衛大綱の策定においては慎重な議論を積み重ねるよう、国に意見書を提出願いたい。
[理由]
政権交代により1年延期された我が国の防衛計画の大綱(防衛大綱)の見直しが、本年12月には閣議決定されることとなる。既に8月末には、この新防衛大綱策定に向けた首相の諮問機関である「新たな時代における日本の安全保障と防衛力に関する懇談会(安保懇)」が報告書を提出し、また民主党内の外交・安全保障調査会も11月には提言をまとめる予定である。
安保懇報告書、安保調査会の提言骨子案ともに、武器輸出三原則の見直しを初めとして、従来の我が国の安全保障の根幹を見直すことを求めるものとなっており、とりわけ安保懇報告書は、これまでの専守防衛方針、非核三原則、さらには集団的自衛権の行使に関する憲法解釈の見直しまでもが盛り込まれている。新防衛大綱がこの方向で策定されるならば、日本国憲法の大原則である平和主義を大きく浸食するとの危惧を抱かせるものである。
このうち、武器輸出三原則については、「三原則を取り巻く状況の変化を考慮しつつ、その扱いについて議論していく」との答弁書を閣議決定(10月22日)するなど、動きが活発化している。しかし、ここで言われる「三原則を取り巻く状況の変化」については、上掲の安保懇報告書を見る限り、兵器の国際共同開発に参加できないことが我が国の防衛産業の国際的な技術革新への乗りおくれを生み、その結果として、日本の防衛力整備がコスト高になるというコスト低減や防衛産業育成の必要性を現今の経済低迷から抜け出す方策に結びつける牽強付会の説しか見当たらない。ここには、現今のアジア・太平洋圏の外交・安全保障の現実の把握とあるべき方向性の確立を放棄しているばかりではなく、平和憲法の下での我が国の外交と安全保障を支えてきた根幹の理念と政策の検証も行わないままに、米国と財界からの要請に従って武器輸出の緩和を急いでいる姿勢が見てとれる。
6年前の防衛大綱見直しにより、米主導のミサイル防衛への参加、米軍再編への積極的かかわりと自衛隊の再編が進められたが、現在コスト面、実質的有効性などが大きく疑われている。合衆国の国防政策も大きく変容している現実も踏まえ、何よりも平和憲法の理念と精神を遵守し、平和外交に徹する立場から、新防衛大綱の策定に当たっては、武器輸出三原則の見直しについてのみならず、慎重な議論を積み重ねることを強く求めるものである。
● 陳情第47号 沖縄・尖閣諸島への自衛隊配備及び海上保安庁の警備強化を求める意見書提出に関する陳情
[願意]
沖縄・尖閣諸島への自衛隊配備及び海上保安庁の警備強化を求めるため、下記事項を内容とする意見書を国に提出願いたい。
記
1.沖縄への自衛隊の配備及び海上保安庁の増強。
(1)自衛隊法を改正し、領域警備を自衛隊の任務に付加すること。
(2)与那国島、石垣島、尖閣諸島に自衛隊を配備すること。
(3)与那国島、石垣島、尖閣諸島及びその周辺での海上保安庁の職員、巡視艇、装備の増強及び警備の強化を図ること。
2.尖閣諸島に施設建設と自衛隊の部隊配備をすること。
(1)尖関諸島に船舶の停泊施設、警戒監視施設、対艦ミサイル基地、レーダーサイト、ヘリポート、海洋観測所等を建設する等対応に万全を期すこと。
[理由]
1.尖閣諸島は、沖縄県石垣市に属する我が国固有の領土及び行政区域であることは国際的にも疑問の余地がないところである。平成22年9月7日に起きた違法操業中の中国漁船が海上保安庁の巡視船に接触した事件のように、今後中国が尖閣諸島及び周辺海域の領有権を強硬に主張し、中国漁船が尖閣諸島周辺海域で操業することが予想される。
2.そうなった場合、我が国の漁船、とりわけ沖縄県の漁船と中国漁船との間で操業をめぐってのトラブルが発生したり、衝突事件が再発するなど、安全な航行が阻害されることが懸念される。
3.国家の第一の責務は、国民の生命の安全、国家の領土を守ることである。
4.海洋権益の拡大を狙う中国は海軍力の増強によって実効支配を目指す海域を広げる動きを加速させている。尖閣諸島での事件は中国がこうした動きを東シナ海にも広げてきたことを示している。
● 陳情第48号 尖閣諸島を自国領土と主張する中国への抗議等を求める意見書提出に関する陳情
[願意]
中国が、我が国固有の領土である尖閣諸島を不当に自国領土と主張していることに関して、下記事項の実施を求める意見書を国に提出願いたい。
記
1.尖閣諸島及び周辺海域が我が国固有の領土及び領海であるという毅然たる態度を堅持し、中国政府を初め諸外国に示すこと。
2.尖閣諸島周辺海域において、我が国の漁業者が自由かつ安全に操業・航行できるよう、海上保安庁による警備の強化・増強等適切な措置を講じること。
3.中国政府に対し、今回の事件に関して厳重に抗議するとともに、早急に謝罪及び破損した巡視船の損害賠償を請求すること。
[理由]
1.平成22年9月7日、尖閣諸島の久場島沖の日本国領海内において、違法操業中の中国漁船が退去命令を出した第11管区海上保安本部の巡視船に接触した上、逃走を図り、さらに停船命令にも応じず、あげく巡視船に衝突する事件が発生したが、9月24日、那覇地方検察庁は、公務執行妨害罪の被疑事実で逮捕・送検していた同漁船の船長を処分保留で釈放した。
2.尖閣諸島は、石垣市に属する我が国固有の領土及び沖縄県の行政区域であることは国際的にも疑問の余地がないところである。今後、中国が尖閣諸島及び周辺海域の領有権を強硬に主張し、中国漁船が尖閣諸島周辺海域で操業することが予想される。
そうなった場合、我が国の漁船と中国漁船との間で操業をめぐってのトラブルが発生したり、衝突事件が再発するなど、安全な航行が阻害されることが懸念される。
3.国家の第一の責務は、国民の生命の安全、国家の領土を守ることである。
健康福祉委員会
● 陳情第49号 児童館及び老人憩の家併設施設の設置(二和地区)に関する陳情
[願意]
二和地区に、児童館及び老人憩の家の併設施設を設置願いたい。
[理由]
二和地区には、児童館及び老人憩の家がない。近年の核家族化の傾向と高齢化社会への流れを考えると、その必要性を強く感じる。
1.児童館の必要性
(1)市内24地域中20地域は設置済みと伺っている。
(2)最近、二和地区の農地などが急速に住宅地へと変わり、若い世帯がふえてきている。
(3)若い母親は、子育ての初体験者で、先人に聞きたい問題を抱えている。
(4)幼児、子供が家族以外の他人と安全な状態でかかわり、社会のルールを学び、それを身につけながら成長する場として、極めて重要な場と言える。
(5)児童に健全な遊びを与え、児童の健康を増進させることや、情操を豊かにする場でもある。
(6)さらには、母親クラブ、子供会等の地域組織活動の育成助長が図れる等でも必要である。
2.老人憩の家の必要性
(1)二和地区の高齢化率は、平成22年4月で19.7%。(3,000人/1万5000人)
(2)高齢者の3,000人中400人が介護の認定を受けているが、大多数は元気である。
(3)ひとり暮らしや、高齢者世帯がふえてきている状況で、話し合いの場を設けて狐独や孤立感を少しでも和らげて差し上げたい。(心の健康)
(4)また、家族との不調和関係から気晴らしの外出先にもしたい。(高齢者との同居家族には、この種の問題が多い)
(5)気楽に話し合える場で、持参のお茶、弁当がいただけるようにも願いたい。
3.併設を希望した理由
(1)併設とは、児童館、老人憩の家は、同一建造物で、それぞれが別個のゾーンとして仕切られながら、お互いに行き来できるイメージの環境施設。
(2)子育て中の母親で、先人に聞きたいことがあれば老人憩の家(部屋)に出向くし、心をいやしたいと思う高齢者は児童館(部屋)に出向いて……。
(3)核家族の児童と高齢者の、ちょっと離れたようで近い場所を設けて、その相乗効果に期待。
● 陳情第50号 新高齢者医療制度見直しの意見書提出に関する陳情
[願意]
新高齢者医療制度に関し、下記事項を内容とする意見書を国に提出願いたい。
記
1.現行の後期高齢者医療制度は速やかに廃止し、老人保健制度に戻すこと。
2.窓口負担の引き上げの撤回と、窓口負担ゼロを目指すこと。
3.財源、税制、地方の役割を一体でとらえる議論をもとに、将来にわたって安心できる制度の構築を国民の合意に基づいてつくり上げること。
[理由]
厚生労働省は10月25日、現在の後期高齢者医療制度を2012年度末で廃止し、2013年度より導入する予定の新たな高齢者医療制度の概要を発表した。
75歳以上に関しては200万人を健保組合や協会けんぽに加入させ、それ以外の1200万人を国保に加入させつつ、国保は75歳で区切って財政を別会計とし、75歳以上は都道府県単位で運営するとされている。それとともに、凍結されていた「70~74歳の窓口負担2割」を正式に導入、また現役世代の支援金額の算定方法を、各保険の加入者数を基準とする仕組みから、給与水準に応じた総報酬割に変えることも新制度の柱として発表された。
75歳以上の窓口負担を除く医療費(医療給付費)は、1割を75歳以上の保険料、4割を現役世代が加入する被用者保険などからの支援金、5割を国と地方の公費(税金)で賄うこととなるが、この新制度に基づいた厚生労働省の試算によると、窓口負担が2割になる70~74歳の高齢者はもとより、現役世代ともに大幅な医療費・保険料の増加が見込まれている。総報酬割に伴い、健保組合、共済組合への負担増も顕著となる。長引く不況の中で国民生活の疲弊が続いていること、また8割以上の健保組合が赤字状態であることをかんがみれば、さらなる負担増は現実的ではない。
少子・高齢化の進展を理由として、一貫して国民の医療費と保険料の増額が行われてきたが、その背景には老人医療費に占める国庫負担の割合を一貫して引き下げてきた政府の方針がある。政権交代後もこの方向に変化は見られず、今回の新制度発足とされる2013年度においても国費投入額の減額の方針が示された。しかし、内閣府が11月6日発表した高齢者医療制度に関する世論調査によると、最多の43.4%が「税金の負担割合をふやすべき」と回答している。高齢者医療への公費投入拡大に国民の理解が広がっている現在、国民一人一人や地方に一方的に負担を押しつける一時しのぎの施策ではなく、国のナショナルミニマムを十全に確保することを前提に将来にわたる社会保障と税の制度の設計をし直すべきである。
市民環境経済委員会
[願意]
米の棚上げ備蓄を前倒しし、40万トン程度の備蓄米を適正価格で買い入れるなど、米価下落対策を直ちに実施するよう、国に意見書を提出願いたい。
[理由]
生産原価を大幅に割り込む米価下落が常態化する中、倒れるような猛暑にも、老体にむち打つように努力してきた22年産米が1万円/俵の大暴落である。余りに安い米価に「米つくって飯食えない」と、生産農家は失望している。
政府・農水省は、米戸別所得補償モデル事業によって米の需給は均衡し、米価は安定するとしてきた。しかし、21年産米がいまだに流通し、相対価格が史上最低を更新。さらに、22年産新米が出回ると事態は一層深刻化し、所得補償を見込んだ市場の反応に加え、「価格対策はとらない」と政府が公言したことで、底知れぬ米価下落に拍車がかかっている。米業者は一斉に買い控え、産地側は売り急ぎに走り、生産原価無視の激しい産地間の値下げ競争が巻き起こっている。米戸別所得補償モデル事業は、米価下落の歯どめには機能しないこと、下落すれば、制度上さらなる財政負担が避けられないことが証明されている。
生産農家は、さらに、異常な猛暑による高温障害やカメムシ被害で、等級落ちと収量減で、資金繰りに苦慮し、今後の米づくりに失望する深刻な事態である。
このまま放置するなら、農家経営と産地の疲弊が一層進み、国民への国内産米の安定供給が困難になることは必至である。政府が優先課題とする食料自給率向上の土台が崩壊してしまう。一刻も早い緊急対策が求められる。
● 陳情第52号 TPP等輸入自由化推進路線見直しの意見書提出に関する陳情
[願意]
TPP、FTA、EPAなど、輪入自由化推進路線を改め、食料自給率を引き上げ、各国の食料主権を尊重した貿易ルールづくりに力を発揮するよう、国に意見書を提出願いたい。
[理由]
6月18日に閣議決定された新成長戦略では、2020年までに実現する目標として、FTA(自由貿易協定)やEPA(経済連携協定)をアジア、太平洋、さらにインドやEUと結ぶことを工程表にしている。菅首相は、臨時国会の冒頭、所信表明演説で「TPP(環太平洋戦略的連携協定)交渉への参加を検討し、アジア太平洋自由貿易圏の構築を目指す」と突如表明した。APEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議の議長国を務めることを機に、その道筋をつくり、自由化路線を一気に加速させようとするものである。TPPは、原則すべての品目の関税を撤廃し、例外なく自由化する協定である。
農水省の試算は、もし締結した場合、我が国の食料自給率は14%に急落し、米の生産量は90%減少すると、衝撃的な事態を想定している。9月7日に発表された農業センサスは、この5年間で農業就業者が22%も減り、その平均年齢は65.8歳と、日本農業の危機的な姿を報じている。こんな状況を放置し、その上自由化では、食料自給率の向上など考えられない。日本の農産物平均関税率(2000年協定税率)は11.7%と、EUの19.5%より低い水準で、決して問題視されるようなものではない。
農業に市場原理を持ち込み、国際競争力やコスト削減、大規模化、6次産業化をどんなに声高に言われても、今の農家にそんな体力はない。国民の9割は自給率の向上、国内産を求めている。世界の声は、食料の増産、10億を超える飢餓の解消である。
以上の趣旨から、どうか、これ以上の失望に歯どめをかけるため、国に意見書を提出願いたい。
● 陳情第53号 ミツバチ大量死対策及びネオニコチノイド系農薬規制の意見書提出に関する陳情
[願意]
ミツバチ大量死への対策とネオニコチノイド系農薬規制に関し、下記事項を内容とする意見書を国に提出願いたい。
記
1.ミツバチの大量死に関し、原因究明のための徹底した調査及びネオニコチノイド系農薬による影響に関する調査研究を行うこと。
2.ネオニコチノイド系農薬の生態系や人の健康に与える影響を徹底的に調査研究すること。
3.ネオニコチノイド系農薬7種類の農薬登録を取り消し、販売を禁止すること。
4.ネオニコチノイド系農薬の家庭内での使用を禁止する等の措置を講ずること。
5.ネオニコチノイド系農薬の食品への残留農薬基準の見直しを、欧米並みに厳しくすること。
[理由]
ここ十数年、世界各地でミツバチの大量死・大量失踪、さらには蜂群崩壊症候群(CCD)が報告されている。我が国でも05年ごろから被害が報告され始め、昨年度は被害が拡大し、農水省の調査では21都道府県で花粉交配のためのミツバチの不足が報告されている。
こうしたミツバチの大量死・大量失踪の原因としては、ウイルス、ダニ、農薬(ネオニコチノイド)ほか諸説が挙げられているが定説はなく、そのこともあって我が国では根本的対策は講じられないまま、本年度もミツバチ大量死の被害は続いている。養蜂家のみならずミツバチに受粉を頼っている農家の被害は甚大になりつつある。
しかし、EU諸国では、主原因物質と考えられるネオニコチノイド系農薬について種子処理禁止・使用禁止にするなどの対策が、既に90年代から講じられている。
1990年代から有機リン系農薬にかわって、農業のみならず家庭でも使われるようになったネオニコチノイド系農薬は、農作物の内部に浸透して植物のあらゆる組織で殺虫効果を発揮する浸透性農薬であり、残効性が高いためこの10年間で約3倍と使用量が急増している。毒性は昆虫の中枢神経にある主要な神経伝達物質であるアセチルコリンの働きを阻害し、死に至らしめるものである。散布回数を減らせるため減農薬栽培に広く用いられているが、昆虫のみではなく人の脳への影響も懸念され、上述のEU諸国及び米国では、食品中の残留農薬基準値も極めて厳しく設定している。
しかし、我が国では使用規制は一切行われず、食品中の残留農薬基準値も米国の数倍、EUの数十倍から数百倍という極めて緩いものである。ミツバチ大量死及び人体への被害への予防措置として、早急にネオニコチノイド系農薬に対する規制措置を行うべきである。
文教委員会
● 陳情第54号 千葉県公立高等学校入学者選抜学力検査の内容改善に向けた公開議論の意見書提出に関する陳情
[願意]
千葉県公立高等学校入学者選抜学力検査に関し、内容の改善に向けた徹底した公開的な議論がなされるよう、下記事項を内容とする意見書を千葉県に提出願いたい。
記
1.2011年2月実施の入学者選抜学力試験については、大学入試センターの試験問題評価委員会が行っているのと同様に、その問題に対する他者評価を県内教育団体・関係者などに依頼すること。
そして、他者評価を踏まえた出題者の自己分析と今後の作問姿勢を明記した見解双方を、2011年度に千葉県ホームページに公開すること。
2011年度以降の入学者選抜試験についても、同様な方向を目指すこと。
2.2011年度以降実施の試験のうち、過度に平均点が低い科目(2010年度理科38.8点、2009年度英語40.1点、2009年度社会40.8点)について、中学履修の確認も1つの旨とすべき高校入試において適切かどうか再検討し、適度な平均点を目指すように作題の質について再検討をすること。
3.得点分布グラフが、正規分布でなく、得点25~30点の分布が最も多く、高得点側がなだらかに分布する試験(2009年度英語、2009年度社会、2010年度英語)については、その適否・是非に関する見解をホームページ等で公開し、改善できる点があれば改善すること。
[理由]
大学進学を目指す約52万人が受ける大学入試センター試験は、その社会的使命の大きさや高校生・浪人生の学習全体に及ぼす影響の重さを感じ、各出題科目の関連学会や高校教員に出題内容の他者評価を依頼している。そして、その他者評価をも踏まえた自己分析と次年度に向けた出題方針を決定し、だれもが見られる形でホームページに公開している。
平成22年度実施分については、センター試験6教科28科目すべてについてA4で計511ページ(1科目平均16ページ)もの報告書が出され、関係者の間で作問の質と改善について徹底的な討論がなされている。
そして、その中で次年度の作問について改善がなされている。例えば、生物入試においては2009年度平均点55.85点となったことが、討論の中で2010年度平均点69.70点になるように作題の改善がなされた。そのような討論の中で、多くの科目では平均点が50~70点の正規分布となるような作題がされつつある。
千葉県公立高等学校入学者選抜は、3.5万人もの中学生が受験し、一県単位の比率ではセンター試験と同様な受験者率となっているにもかかわらず、試験の質に対する外部評価や改善が不十分である。
他者評価については中学高校関係者の評価が内容の記述なしに「適当である」「改善を要する」のパーセントでしか示されず、「改善を要する」のがどの中身か公開されていない。
そして、5教科全教科でA4で13ページのみの自己評価「公立高等学校入学者選抜学力検査の結果」が公開されているのみで、その中に掲載されている各科目の評価は漠然と数行程度書かれているのみである。
そのような中で、過度に低い平均点(2010年度理科38.8点、2009年度英語40.1点、2009年度社会40.8点)や、得点分布が正規分布でなく、得点25~30点の受験者得点数が最も多く、高得点側がなだらかに分布する得点分布グラフとなる試験(2009年度英語、2009年度社会、2010年度英語)など、標準的な学力を問う試験としては疑問が出されてもおかしくない作題のされ方が改善されず放置されている。
したがって、まず2011年2月実施の試験について、県内教育団体や中学高校関係者に、設問ごとの他者評価を依頼し、それに対する出題者側の見解と来年の作題の改善に対する出題者側の見解をホームページに公開していただきたい。
また、その中で、低過ぎる平均点や、得点分布の二極化が義務教育の標準的な学力を身につけているかを問う作題内容として適正かどうか再検討・改善願いたい。
例えば、平均点60点程度の正規分布をとる得点分布グラフとなるのが標準学力を問う作題として適切だという意見もあるので、そのような意見への見解も含めて、出題者側の得点分布や平均点に対する考え方を公開願いたい。
千葉県公立高校入試は多くの中学3年生が、進学や夢をかけて必死に勉強し取り組む試験である。それに対して千葉県の行政担当者や関係者は、その重みに相当する徹底的な討論とその県民への公開、改善が図られる必要がある。
なお、この陳情は、提出時期(2010年11月)から考えて、既に作題されているだろう2011年2月の作題の改善を求めるものではない。2011年2月実施試験結果の他者自己評価と、2011年度(つまり2012年2月実施)以降の改善を求めるものである。
● 陳情第55号 奨学金制度の再設計と抜本的拡充等を求める意見書提出に関する陳情
[願意]
奨学金制度の再設計と抜本的拡充、奨学金の返済困難者への対策のため、下記事項を内容とする意見書を国に提出願いたい。
記
1.国連人権A規約13条2項(b)・(c)「中等・高等教育無償化」の「留保」を即時撤回すること。
2.教育予算の増額及び高等教育学費負担の軽減を行うこと。
3.奨学金返済延滞者のブラックリスト化を中止・撤回すること。
4.奨学金返済猶予期間の5年上限を撤廃すること。
5.無利子奨学金の拡充と給付型奨学金の創設を行うこと。
[理由]
日本学生支援機構(旧日本育英会)は、奨学金の返済を3カ月以上延滞した利用者を債権回収会社に回し、さらに個人信用機関に通報する制度を本年度より導入した。
さらに、文部科学省は、2012年度より貸与基準の厳格化と、無利子奨学金の貸与条件に社会貢献活動への参加を追加する方針すら決定している。
長引く不況により、大学・大学院卒業後の若年層にとって安定した就業と収入の確保が難しい状態が続く中、卒業後の奨学金返済が困難になる社会人が増加している。とりわけ、有利息の第2種返済者は、利息に加えて延滞金が課せられるため、当初の返済金額を大きく上回る債務を背負うことになる。それに加えて督促の強化と、いわゆる金融ブラックリストへの登録まで課せられることになった。
1999年の有利息奨学金の導入により、奨学金利用学生数は大きく膨らみ、不況の影響もあり、現在大学生の3人に1人、大学院生の2人に1人が奨学金の貸与を受けている現状である。その一方で滞納の増加も著しいとされているが、そもそも日本育英会時代に、限度額を引き上げ、貸与基準を緩和し借りやすくして利用者をふやしながら、独立行政法人になるや金融機関のごとく採算性の重視に向かうことにあらわれている、我が国の奨学金制度の根本的制度設計のひずみが問題である。
さらに、我が国の高等教育にかかる学費が異常に高額であることは、つとに知られている事実である。OECD各国が給付型を主流に人材育成のために手厚い奨学金制度を実現しているにもかかわらず、我が国の高等教育費の公財政支出対GDP比はOECD加盟国中最低レベルであり、給付型の奨学金は事実上皆無、3%の有利子奨学金利用者が7割を超す状況である。
こうした中での奨学金貸与条件の厳格化と返済への締めつけの強化は、日本国憲法第26条が保障する等しく教育を受ける権利を侵害し、教育を通じた格差の固定化と連鎖を引き起こすものである。
文部科学省と日本学生支援機構は、将来に向けた人材育成という奨学金の本来の趣旨に立ち戻り、学ぶ意欲を守る奨学金制度へと制度設計をし直すべきである。
また、一方的に無理な返済を強要することなく、生活困窮者一人一人の実態を勘案した返済計画を提示することを強く求めるものである。
そして、国際人権A規約13条における「高等教育無償化条項」の世界にもまれな「留保」を撤回し、高等教育無償化への道筋を明らかにすべきである。