陳情文書表(平成21年第2回定例会)
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総務委員会
陳情第12号 市長多選挙禁止条例の制定に関する陳情( 不採択 | 採=し)
[願意]
市長の多選を禁止し、市長の任期は2期か3期までとする条例を制定願いたい。
[理由]
1997年6月に、当時の大橋市長の多選を批判し、市長の任期は3期12年と公約をした藤代孝七市長は、1997年のときの公約を破り、2009年6月投票の船橋市長選挙に、4期目を求めて立候補した。
4選を目指す藤代市長を、自民党・公明党と民主党千葉4区(船橋市)支部(支部長 野田佳彦衆議院議員)も相乗りで支持し、3党やその立場に近い市議40名近くが支持し、当初の予測では、有力な対抗馬がいないので藤代氏圧勝との予測もあったと聞く。
藤代氏支持で相乗りした民主党・自民党・公明党の2008年7月29日執行の参議院選挙の比例代表の得票数(船橋選挙区)は、それぞれ民主党10万8450票・自民党6万2098票・公明党3万524票(端数を四捨五入)であり、合計は20万1072票となり、政党的にいえばだれも対抗しようのないほど盤石な支持に見えるので、そのような予測が生まれたのだろう。
しかしながら、結果は藤代氏6万7280票に対し、多選を批判した2位候補は6万2627票と僅差に迫り、同じく多選批判をした3位候補1万5971票と合わせると、藤代氏の票を超すという結果となった。今回藤代氏は、相乗り3党の直近の参議院選挙の支持の3分の1しか得られていない。
もちろん、市長選挙は単純な政党組み合わせだけでは決まらない要素もあるが、3期12年までという公約内で行われた前回選挙では10万余票の支持を得たことから考えても、実際の票数でも前回市長選の3分の2となった。今回、市民の目が藤代氏に対して厳しかったことがうかがえる。
支持の減少の大きな原因の1つは多選であることは、市民の間での議論や各種報道でも明らかである。今回の経験を踏まえ、市議会は市長の任期について、できれば2期8年、あるいは3期12年までとする多選禁止条例の制定を進めてほしい。
選ばれたからには、藤代市長には4期目までは謙虚に前向きに頑張っていただきたい。しかしながら、10万の支持を得て3期12年の市政運営を進めてきた藤代市長が、4選を目指すことで支持が減少するということは、多選を望ましくないと考える市民の意見のあらわれではないかと思う。また2期・3期市政運営に貢献してきた市長が、多選を目指したために最後に評判を落としてしまうこともいかがなものかと思う。
したがって、市長の任期は2期8年、あるいは3期12年までとする多選禁止条例の制定を求めたい。任期上限を2期とするか3期とするかは議会の判断にゆだねたい。
陳情第13号 女性差別撤廃条約選択議定書の早期批准を求める意見書提出に関する陳情( 採択 | 採=公共し民)
[願意]
女性差別撤廃条約選択議定書の早期批准を求める意見書を、国に提出願いたい。
[理由]
女性差別撤廃条約(以下、本条約)は1985年に批准されているが、本条約の実効性を高めることになる女性差別撤廃条約選択議定書(以下、選択議定書)の早期批准を強く求める。
選択議定書は1999年の国連総会で採択され、2000年12月に発効。現在、世界で96カ国が批准している。個人通報制度と国連女性差別撤廃委員会(以下、委員会)の調査制度を定めたこの選択議定書の発効により、条約の実効性が飛躍的に高まったといえる。
しかしながら、日本政府は、司法権の独立を侵すおそれを理由に、いまだに批准していない。経済協力開発機構(OECD)加盟国で、未批准国はアメリカと日本の2国のみである。
2003年夏、委員会は日本政府に対して、「選択議定書により提供される制度は、司法の独立性を強化し、女性に対する差別への理解を進める上において司法を補助するものであると強く確信している」と、批准を勧告している。
あらゆる分野における女性差別の撤廃をうたった本条約が批准されて四半世紀近くを経た現在も、女性に対する差別は今なお社会、結婚、地域、雇用等に根深く存在している。
世界経済フォーラムの世界男女格差報告2008年版によると、日本の男女格差指数の順位は130カ国中98位と、前年の91位よりさらに後退しており、女性差別の是正が国際的に見ても極めておくれていることを示している。
加えて、昨秋以降の未曾有の経済・金融危機の中、妊娠・出産を理由にした不利益な扱いや、育児休業などを理由にした女性の解雇などが急増していることから、妊娠中の女性に特別の保護を与えることを定めている本条約の徹底が緊急の課題となっている。日々、こうした女性たちは苦悩に直面させられている。
一方、政府は、男女共同参画社会基本法の理念の実現を21世紀の最重要課題と位置づけ、選択議定書についても、男女共同参画審議会答申に「男女共同参画の視点から積極的な対応を図っていく必要がある」と明記し、積極的姿勢を示している。
さらに、さまざまな団体から批准を求める要望書が出されていること、過去10回にわたって批准を求める請願が参議院で採択されていることは、ご承知のとおりである。
こうした現状に則し、日本における女性差別撤廃の取り組みの強化を促す選択議定書の批准は、早急に実施されることが望まれる。私たちは、選択議定書採択10年の節目に当たる本年こそ、選択議定書を批准するよう、日本政府及び国会に強く要請する。
陳情第14号 女性差別撤廃条約選択議定書の批准を求める意見書提出に関する陳情( 採択 | 採=公共し民)
[願意]
女性差別撤廃条約選択議定書の批准を求める意見書を、国に提出願いたい。
[理由]
あらゆる分野における女性差別の撤廃をうたった女性差別撤廃条約(以下、本条約)が1985年に批准されて以来、四半世紀近くを経た現在も、女性に対する差別は今なお社会、結婚、地域、雇用等に根深く存在している。
本条約の実効性を高めるため、個人通報制度と国連女性差別撤廃委員会(以下、委員会)の調査制度を定めた女性差別撤廃条約選択議定書(以下、選択議定書)は、1999年の国連総会で採択され、2000年12月に発効。現在までに、世界で96カ国が批准している。
しかしながら、日本政府は、司法権の独立を侵すおそれを理由に、いまだに批准していない。経済協力開発機構(OECD)加盟国で、未批准国はアメリカと日本の2国のみである。
2003年夏、委員会は日本政府に対して、「選択議定書により提供される制度は、司法の独立性を強化し、女性に対する差別への理解を進める上において司法を補助するものであると強く確信している」と、批准を勧告している。
世界経済フォーラムの世界男女格差報告2008年版によれば、日本の男女格差指数の順位は130カ国中98位と、前年の91位よりさらに後退しており、女性差別の是正が国際的に見ても極めておくれていることを示している。加えて、昨秋以降の未曾有の経済・金融危機の中、妊娠・出産を理由にした不利益な扱いや、育児休業などを理由にした女性の解雇などが急増していることから、妊娠中の女性に特別の保護を与えることを定めている本条約の徹底が緊急の課題となっている。
一方、政府は、男女共同参画社会基本法の理念の実現を、21世紀の最重要課題と位置づけている。選択議定書についても、男女共同参画審議会答申において「男女共同参画の視点から積極的な対応を図っていく必要がある」と明記され、批准へ積極的姿勢を示している。
こうした現状に則し、本条約が真の実効性を持ち、男女の人権がともに保障される男女平等社会の実現を促進するためにも、選択議定書の批准が強く求められているところである。
よって、国会及び政府に対し、選択議定書採択10年目の節目に当たる本年こそ、選択議定書を批准するよう、強く求める意見書を採択することを求めるものである。
陳情第15号 防衛大綱・次期中期防の慎重な策定を求める意見書提出に関する陳情( 採択 | 採=公共し民)
[願意]
防衛大網の見直しと次期中期防策定に当たっては、日本国憲法の平和主義の原則に基づき、国際情勢を十全に勘案しつつ、慎重に策定するよう、国に意見書を提出願いたい。
[理由]
自民党国防関係合同会議は、6月9日、防衛計画の大綱見直しに向けた提言をまとめた。政権の交代がなければ、本年12月末までに閣議決定される防衛大網と中期防見直しには、この提言が大きく反映されることになる。
本提言には、先般の朝鮮民主主義人民共和国の人工衛星発射等を受けて、ミサイル防衛のさらなる推進のほかに、敵ミサイル基地攻撃能力が盛り込まれ、その手段としての巡航ミサイル、さらには弾道ミサイル導入も記載されている。その他防衛力増強のために、現行の骨太の方針の防衛費抑制の撤回、武器輸出三原則の見直し、さらには日米同盟の強化を推進するための集団的自衛権行使を認める憲法改正すら記載されている。
現憲法制定・施行後、そして自衛隊発足後、これほどまでに憲法の平和主義の理念と、我が国の防衛の原則である専守防衛を大きく逸脱する政府内の提言がなされたことはない。既にアメリカ追随のミサイル防衛参加が、中国を初めとした北東アジアの安全保障のバランスを狂わせ、アジア太平洋域全体で軍拡の連鎖反応を引き起こしつつある。
一方、米オバマ政権は、対話の推進を掲げ、現にミサイル防衛の予算を大幅に削減しようとしている。このような国際情勢の中、本提言に沿う内容で防衛大綱、中期防を策定することは、我が国の国際社会からの孤立をもたらしかねない。また、防衛費の増大による国民生活の圧迫も懸念される。
健康福祉委員会
陳情第16号 動物の処分数削減の弊害となる文言の使用禁止に関する陳情( 不採択 | 採=なし)
[願意]
繁殖と処分は因果関係にあり、繁殖と虐待も因果関係にあるため、繁殖を肯定するような文言を、市の広報紙やサイトにおいて使わないことを、市長は、署名・捺印の上広く国民へ向けて誓い、担当部署へも命令願いたい。
不適切な文言とは、「産ませる気がないなら去勢不妊手術を」「ふやす気がないなら去勢不妊手術を」等を指す。(資料・略)
陳情の理由となった問題の文言(船橋市動物愛護指導センターのサイトより抜粋)
「(3)毎日の食費だけでなく、病気をしたときの治療費、子供をふやす予定がないときの不妊去勢手術費、さらに犬の場合は、登録と毎年の狂犬病予防注射費用などがかかります」
[理由]
繁殖と処分の因果関係や、繁殖と虐待の因果関係を理解しないまま、虐待を否定したところで、虐待の抑止力にはならない。その理由は別添資料で説明するとおり、産ませる気があろうがなかろうが、産ませてはいけないし、雄も去勢を受けさせなくてはいけない。
担当課課長は、「船橋市は処分数削滅に尽力している」と大々的にアピールするかたわら、「産ませたい人は産ませてもよい」と処分数をふやすメッセージを発信している。当方が再三、文言を訂正する旨、要望したにもかかわらず、この期に及んで市は姿勢を改めず、公共の福祉に反し、動愛法3条に反したままである。
なお、国(環境省動物愛護管理室)も、国民の要望を受けて、去勢不妊を受けさせない飼い主を言及するスタンスであるが、市は一向に改めようとしていない。そのため、市には特別な裏事情でもあるかのようなうわさが流れるのも無理はない。
(第3条 国及び地方公共団体は、動物の愛護と適正な飼養に関し、前条の趣旨にのっとり、相互に連携を図りつつ、学校、地域、家庭等における教育活動、広報活動等を通じて普及啓発を図るように努めなければならない。)
陳情第17号 医療・福祉分野における人材確保の財源対策強化の意見書提出に関する陳情( 採択 | 採=公共し民)
[願意]
医療・福祉分野における人材確保の財源対策を強化するよう、国に意見書を提出願いたい。
[理由]
今、我が国は超高齢社会に向かっている。厚生労働省の推計では、要介護認定者数は2014年に今の1.3倍強の約600万人になることが予想され、これに合わせ介護職員も30万から50万人程度ふやさなくてはならないと試算されている。具体的には、介護の必要な高齢者の在宅支援、グループホーム等での支援員、特別養護老人ホームや地域のグループホームなどの施設を担う職員、病院から早期退院させられた患者の医療や生活の支援等々、人材の確保は必須条件となっている。
人材不足はますます深刻化し、介護保険施設でも絶えず人材を探しているにもかかわらず、求職者が余りに少ない状況が続いている。介護施設で働く人々は、介護福祉現場で働きたいという意欲は十分に持ちながら、給与などの処遇の悪さのゆえに離職すると答える人が多い。
人材確保のためには、介護未経験者を介護職場へ向けようとするより、十分な手当を支給することで、潜在介護福祉士を福祉現場へ呼び戻すことが先決だと述べる調査結果も出ている。
厚労省は、今年度補正予算で雇用対策として、医療や介護などを初め雇用吸収力のある分野で3年間に35万人の職業訓練の枠を設けるほか、訓練期間中の生活費も30万人分を用意することを発表した。また、福祉・介護人材マッチング支援事業やキャリア形成訪問指導事業など、ソフト事業も盛り込んだ。
しかし、現在の医療・福祉現場において真に求められるのは、臨時的・場当たり的な雇用対策や財政補てんでなく、余りに低く抑えられている介護・看護職員の給与を引き上げ、労働条件を整え、恒久的な身分保障を行うことで、介護に携わる職員が誇りを持って働ける職場環境を整えることである。
こうした観点から、国及び厚労省は、政策の優先順位を高め、今後、継続的に安定して福祉現場職員が働ける処遇改善を目指し、十分な財源の措置を強く求める。
市民環境経済委員会
陳情第18号 最低保障年金制度実現の意見書提出に関する陳情( 不採択 | 採=共し)
[願意]
最低保障年金制度の実現に関し、下記事項を内容とする意見書を関係各方面に提出願いたい。
記
- 最低保障年金制度を一日も早く実現すること。
- 公的年金等控除、老齢者控除をもとに戻すとともに、大企業、高額所得者に応分の負担を求め、庶民増税、消費税の増税をしないこと。
[理由]
現在、無年金者が60万人、また年金受給者のうち約900万人が国民年金だけしか受給しておらず、こうした人たちは満額でも6万6000円、平均で4万6000円という低額である。増大する無年金・低年金者は、苦しい生活を余儀なくされている。その上、高齢者には、国保・介護保険料の引き上げ、医療制度の改革による負担増が加わり、高齢者の暮らしを維持していくことが困難になっている。
また、保険料未納者・免除者・未加入者の総計は、1000万人をはるかに超える数になる。この状態をこのまま放置すれば、将来無年金者がますます増大する。
こうした状況の中で、2005年7月27日、指定都市市長会は、生活保護制度の抜本改革に向けての提案を発表し、この中で、高齢者層に対する生活保障の創設が必要なことを述べ、無拠出制で受給要件を一定年齢の到達とする最低年金制度を創設することを提案した。まさに時宜を得た提案であり、私たちは心から歓迎する。
また、国連の社会権規約委員会は、2001年8月、日本政府に対して、国民年金制度の中に最低年金を導入することを勧告していることはご存じのとおりである。
すべての国民に老後の生活を保障する年金制度にするために、全額国庫負担の最低保障年金制度をつくることは、緊急の課題になっている。
陳情第19号 農地法改正について再度議論を求める意見書提出に関する陳情( 不採択 | 採=共し)
[願意]
安易に一般企業に農業をゆだねることにつながりかねない今回の農地法改正について再度議論するよう、国に意見書を提出願いたい。
[理由]
6月17日、「所有から利用へ」をキャッチフレーズに農地法改正案が成立した。第1条において「農地を耕作者みずから所有することが最も適当である」から「農地の効率的な利用を促進する」に変更され、耕作放棄地対策や食料自給率を高めること、農業振興を図ることなどを名目として、一般企業の農地所有に道を開こうとするものである。審議過程で一部の修正が加えられたとはいえ、農業にかかわらない大企業や外資系企業が農地を利用できるようになったことは、戦後農政の一大転換である。
とりわけ、小作地(借地)の所有制限や標準小作料制度を廃止し、賃貸借の期間を20年から50年にするなど、賃貸借に関する規制を緩和したことは、競争力のある企業の参入を容易にするものである。大企業がその資本を投入して農業に参入しても、利潤が上がらなければ撤退し、荒れ地だけが残されることになろう。大型機械が入らない中山間耕作地は大企業の経常方針と合わず、さらに取り残されることも懸念されるところである。
そもそも、現今の農村・農業の諸問題は、戦後一貫して国内農業が食糧貿易自由化の波にさらされ、農業従事者の生活を圧迫し続けた結果である。農業では生活できない人々の都市部への人口流出による後継者不足、担い手の高齢化に対して、十分な支援と対策を講じてこなかったことを、耕作者の農地所有に責任転嫁している本改正案は、その出発点からして間違っていると断じざるを得ない。
国は、懸命に努力し農村経営を維持している農業者の努力に報いる価格保証や、新規営農者支援等の抜本的農業振興政策にこそ努めるべきであると考える。
文教委員会
陳情第20号 教育予算拡充の意見書提出に関する陳情( 採択(全) | 採=公共自耀市し新民緑)
[願意]
平成22(2010)年度予算編成に当たり、憲法・子どもの権利条約の精神を生かし、子供たちによりよい教育を保障するため、下記事項を中心に、来年度に向けての予算の充実に関する意見書を、政府及び関係行政庁に提出願いたい。(意見書案・略)
記
- 子供たちに、きめ細かな指導をするための公立義務教育諸学校教職員定数改善計画を早期に策定すること。
- 少人数学級を実現するための義務教育諸学校における学級編制基準数を改善すること。
- 保護者の教育費負担を軽減するために義務教育教科書無償制度を堅持すること。
- 現在の経済状況をかんがみ、就学援助にかかわる予算を拡充すること。
- 子供たちが地域で活動できる総合型地域クラブの育成等、環境・条件を整備すること。
- 危険校舎、老朽校舎の改築やエアコン、洋式トイレ設置等の公立学校施設整備費を充実すること。
- 子供の安全と充実した学習環境を保障するために、基準財政需要額を改善し、地方交付税交付金を増額すること。
[理由]
教育は、日本の未来を担う子供たちを心豊かに育てる使命を負っている。しかしながら、社会の変化とともに子供たち一人一人を取り巻く環境も変化して、教育諸課題や子供の安全確保等の課題が山積している。子供たちの健全育成を目指し豊かな教育を実現させるためには、子供たちの教育環境の整備を一層進める必要がある。
昨今のさまざまな教育課題は、教育予算を十分に確保することにより解決されるものが多くある。
陳情第21号 義務教育費国庫負担制度堅持の意見書提出に関する陳情( 採択(全) | 採=公共自耀市し新民緑)
[願意]
平成22(2010)年度予算編成に当たり、義務教育費国庫負担制度の堅持を求める意見書を、政府及び関係行政庁に提出願いたい。(意見書案・略)
[理由]
義務教育は、憲法の要請に基づき、子供たち一人一人が国民として必要な基礎的資質を培うためのものである。教育の全国水準や機会均等を確保する義務教育の基盤づくりは国の責務であり、そのために設けられたのが義務教育費国庫負担制度である。
しかしながら、政府は、教育の質的論議を抜きに、国の財政状況を理由として、これまでに義務教育費国庫負担制度から次々と対象項目を外し、一般財源化してきた。また、2005年11月、三位一体改革の論議の中で、義務教育費国庫負担制度は堅持したものの、費用負担の割合については2分の1から3分の1に縮減した。今後、3分の1とした国庫負担金の割合が、恒久措置ではなく、制度全廃も含めた検討がなされる可能性もある。
現在、30人学級などの学級定員規模を縮小する措置が、都道府県単位で行われている。このように、現行制度でも自治体の裁量権は保障されている。しかし、国民に等しく義務教育を保障するという観点からいえば、財政的に最低保障として下支えしている義務教育費国庫負担制度は必要不可欠である。この制度が廃止され全額都道府県に税源移譲がされた場合、ほとんどの自治体では財源が確保できずに、40人学級など現在の教育条件の維持が危惧される。このように、義務教育費国庫負担制度が廃止された揚合、義務教育の水準に格差が生まれることは必至である。
学校の基幹職員である学校事務職員・学校栄養職員を含め、教職員の給与を義務教育費国庫負担制度から適用除外することは、義務教育費国庫負担法第1条に明記されている「教育の機会均等とその水準の維持向上」という目的に反するばかりでなく、財政負担を地方自治体に課し、厳しい地方財政をさらに圧迫するものである。また、義務教育の円滑な推進を阻害するおそれも出てくる。よって、私たちは義務教育費国庫負担制度の堅持を強く要望する。