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発議案(議員提出議案)令和7年第3回定例会

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発議案第1号 パレスチナ国家承認を直ちに行うよう日本政府に求める意見書

(提出者)かなみつ理恵

(賛成者)神子そよ子、松崎さち、金沢和子、岩井友子


 パレスチナ・ガザ地区の飢餓、人道状況は苛酷を極めている。食料を待つ痩せ細った子どもらを世界は黙って見過ごしてはならない。一刻も早くまともな食料援助を再開させることは国際社会の最低限の責任である。
 そうした中、パレスチナ国家承認の動きが加速している。現在、国連加盟193か国中約150か国がパレスチナを国家承認しており、ヨーロッパでは昨年、アイルランド、スペイン、ノルウェー、スロベニアが承認した。主要7か国(G7)では7月末に初めてフランスが承認を表明したのに続き、イギリス、カナダが9月の国連総会やその前に国家承認する意思を示した。地中海の島国マルタも国家承認する方針を明らかにし、ポルトガルも検討を始めるとしている。
 イスラエルに圧力をかけ、無法を止めるためにも、パレスチナ国家の承認は急務であり、日本も直ちに踏み出すべきである。
 パレスチナ問題の解決は、イスラエルとパレスチナがそれぞれ独立した主権国家として共存する「2国家解決」にあるというのが国際社会の合意である。7月28~30日に国連本部で開かれた閣僚級国際会合では「ニューヨーク宣言」が出され、その宣言ではパレスチナ人の自決権への支持が再確認され、パレスチナ国家承認が紛争解決の唯一・最善の道だと述べられ、国連加盟国に宣言への支持が呼びかけられている。
 日本は2国家解決支持を表明し、ニューヨーク宣言起草の作業部会の共同議長国にも加わっているが、国家承認については「適切な時期や在り方も含めて引き続き総合的に検討を行っていく」(7月29日、岩屋外務大臣)と承認を先延ばしし、踏み切ろうとしていない。ガザで日々命を絶たれていく子どもや民間人を救うために、国際社会と連携し、イスラエルへの制裁など同国の戦争犯罪をやめさせる実効ある措置が国家承認である。
 よって、政府においては、パレスチナ国家承認を世界の国々、市民と共に大きなうねりにし、イスラエルを包囲し、その蛮行をやめさせるために日本政府が直ちにパレスチナ国家承認を行うよう、強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

船橋市議会 
(提出先)
内閣総理大臣、外務大臣

理由
 パレスチナ、とりわけガザで今、命と人間の尊厳を奪われている人々を救うために日本が行える最善の方法の一つが国家承認である。これが、この意見書案を提出する理由である。

発議案第2号 いわゆる能動的サイバー防御法の廃止を求める意見書

(提出者)松崎さち

(賛成者)かなみつ理恵、神子そよ子、金沢和子、岩井友子


 5月16日、サイバー攻撃による被害を防止するとして、いわゆる「能動的サイバー防御」を導入する「重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律」が、国会で可決、成立した。あわせて、関係法律の整備法として、警察官職務執行法や自衛隊法などの改定が行われたが、憲法上の重大な問題点や危険性がある。
 第1に、国民のあらゆる通信情報を無断で取得することを可能とし、憲法が保障する通信の秘密を侵害し、本人の同意がなければ目的外利用や第三者提供が認められない個人情報を、政府の都合で収集・利用することを可能にしている。
 基幹インフラの事業者などは、政府との協定に基づき利用者との間で通信する情報を利用者の同意なく政府に提供することになる。政府は取得した通信情報からIPアドレスなどの「機械的情報」を取り出し、それ以外は直ちに消去するとしているが、「機械的情報」自体が「通信の秘密」の対象であるとともに、本当に消去されたか等の適正性は不明瞭で、国民の監視が行き届かない。収集した情報は外国政府など第三者に提供することや、警察や自衛隊が自らの業務で使用することも可能である。国民への監視強化につながるおそれがある。
 第2に、自衛隊と警察が、憲法と国際法が禁じる先制攻撃に踏み込む危険がある。自衛隊と警察は収集した情報に基づき、疑わしいと判断した海外のコンピューターに侵入し、使えなくする「無害化措置」を行うことができる。相手国の同意もなく「疑い」だけで無害化措置を行えば、相手国から主権侵害と受け止められかねない。
 また、平時・有事にかかわらず、自衛隊が在日米軍へのサイバー攻撃に対し、「アクセス・無害化措置」を実施するとしている。直接攻撃を受けていないにもかかわらず実施すれば、米国と交戦状態にある相手国から日本の先制攻撃と受け止められる可能性が極めて高く、戦争を呼び込む危険がある。
 加えて、警察は、犯罪の処罰を超えた「アクセス・無害化措置」を裁判所の令状なしに実施でき、警察の恣意的な判断による乱用や、令状主義の形骸化につながりかねない。
 以上のように、同法は重大な問題がある上、国民の身近に迫るサイバー犯罪等について対処するものでもない。
 よって、政府においては、いわゆる能動的サイバー防御法を廃止するよう、強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

 船橋市議会
(提出先)
内閣総理大臣、外務大臣、防衛大臣、内閣府特命担当大臣(規制改革 サイバー安全保障)

理由
 能動的サイバー防御法は通信の秘密を侵害するとともに、自衛隊と警察が、憲法と国際法が禁じる先制攻撃に踏み込む危険がある。これが、この意見書案を提出する理由である。

発議案第3号 消費税の減税を求める意見書

(提出者)金沢和子

(賛成者)かなみつ理恵、神子そよ子、松崎さち、岩井友子


 7月20日投開票で実施された参議院選挙の結果、自民党を中心とした与党が衆参両院でともに過半数を割り、昭和30年(1955年)の自民党結党以来、初めての事態となった。
 この参議院選挙では、主要10政党のうち、野党8党が物価高騰から暮らしを守る対策として消費税減税を公約に掲げた。
 参議院選挙の結果を受けて、主要各紙が7月26、27両日に実施した世論調査では、消費税減税を求める世論が依然として多数を占めていることが分かった。
 毎日新聞の全国世論調査では、政府・与党は消費税の減税案を受け入れるべきかとの問いについて、「受け入れるべきだ」が58%と過半数を占め、産経新聞とFNNの調査でも、「食料品の消費税率をゼロにすべき」が28%、「全ての消費税率を5%に下げるべき」が32.9%、「消費税は廃止すべき」は14.2%で、減税や廃止を求める回答は、75.1%を占めた。朝日新聞の調査では、「一時的にでも引き下げるほうがよい」が59%に上った。
 よって、政府においては、消費税減税の議論を行い、国民の声に応えるよう、強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

船橋市議会
(提出先)
内閣総理大臣、財務大臣、経済産業大臣

理由
 消費税の減税は、選挙結果で示された民意である。これが、この意見書案を提出する理由である。

発議案第4号 OTC類似薬の保険適用除外を行わず保険適用の継続を求める意見書

(提出者)岩井友子

(賛成者)かなみつ理恵、神子そよ子、松崎さち、金沢和子


 石破政権は、6月に閣議決定した「骨太の方針」に処方薬の中で市販薬に効能が似たOTC類似薬を保険適用除外とする保険給付の見直しを盛り込んだ。
 保険給付の見直し対象となる品目は、解熱鎮痛剤、せき止め、抗アレルギー薬、ステロイド軟膏、湿布、保湿剤など日常診療で広く使うものであり、現役世代含め全ての世代の患者に影響が出る。特に魚鱗癬などの難病患者やアレルギー疾患など、長期治療が必要な患者は経済的負担により治療が継続できない事態が発生し、重症の患者が増えることが懸念されている。
 また、保険適用除外により、生活保護制度や、子ども医療費助成制度など自治体独自の医療費助成の対象外となり、その負担は大きいものがある。子どもが使用するアトピー性皮膚炎や食物アレルギーに伴うかゆみやアレルギー性鼻炎のための主要な治療薬、抗ヒスタミン薬など長期に使用する薬は、高額の市販薬を購入せざるを得なくなり、払えない家庭は治療を諦めざるを得なくなる。
 難病患者の家族は6月18日、保険適用の継続を求めるオンライン署名8.5万人超分を厚生労働省に提出し、アトピー患者・家族を支援するNPO法人「日本アトピー協会」やアレルギー疾患関連の7つの患者団体もアレルギー疾患の標準治療で使われる薬剤・保湿剤の保険適用継続を求めて要望書を福岡資麿厚生労働大臣に提出している。
 日本医師会の松本吉郎会長は「OTC類似薬の多くは医療の根幹をなす基礎的な医薬品」として安易な保険適用除外に反対を表明し、全国保険医団体連合会もOTC類似薬の公的保険外し・給付制限の中止を求め要望書を厚生労働省に提出した。
 OTC類似薬を保険適用除外とする保険給付の見直しは、医療費の患者負担を増大させ健康格差をつくりだし、認められない。
 よって、政府においては、OTC類似薬の保険適用除外をやめ、保険適用を継続するよう、強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

船橋市議会
(提出先)
内閣総理大臣、厚生労働大臣

理由
 OTC類似薬の保険適用除外は健康格差をつくりだし、実施すべきではない。これが、この意見書案を提出する理由である。