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発議案(議員提出議案)令和6年第3回定例会

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発議案第1号 緊急避妊薬を全面的にOTC化し、必要とする全ての人のアクセスを保障するよう求める意見書

(提出者) 松崎さち
(賛成者) かなみつ理恵、神子そよ子、金沢和子、岩井友子


 緊急避妊薬(通称:アフターピル)は、性暴力被害を含め、避妊せずに行われた性交または避妊手段が適切かつ十分でなかった性交からなるべく早く、72時間以内に内服することで、高い確率で妊娠を避ける薬である。
 WHO(世界保健機関)は緊急避妊薬の入手は女性の権利とし、「必要とする全ての女性・少女がアクセスできるようにすべき」と勧告している。
 しかし、日本では原則、医師の処方箋が必要で、価格も6,000円~2万円と高額である。厚生労働省は令和3年(2021年)に処方箋なしの薬局販売(OTC化)の検討を始め、令和5年(2023年)11月から「緊急避妊薬販売に係る環境整備のための調査事業」が実施され、薬局での試験販売が始まったが、指定の薬局は全国で僅か145軒であり、千葉県では柏市の1軒、松戸市の2軒のみである。厚生労働省は約200~250か所を追加するとしているが、それでも日本の薬局約6万軒の1%にも満たない。さらに販売対象を16歳以上に限り、18歳未満は保護者の同意と同伴を必要としている。
 世界では約90の国・地域で、緊急避妊薬を医師の処方箋なしに薬局で入手できる。日本を除くG7各国では約800円~5,000円程度で購入可能であり、フランスやドイツなど、若年者は無料で入手できる国もある。
 セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス&ライツ(性と生殖に関する健康と権利)は、性や子どもを産むことに関わる全てにおいて、自分の意思が尊重され、自分の体のことは自分で決めるという基本的人権である。避妊や家族計画は女性の健康管理に不可欠・重要であり、意図しない妊娠を防ぐことは児童虐待死の減少につながる。これらのことに照らしても、緊急避妊薬を必要とする全ての人が安心安全に入手できる制度の構築が早急に求められている。
 よって、政府においては、緊急避妊薬を全面的にOTC化し、必要とする全ての人のアクセスを保障するよう、強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

船橋市議会   
(提出先)
内閣総理大臣、厚生労働大臣

理由                                                                                         コロナ禍や物価高騰など、先行きの見えない不安が続く中、全ての人の健康と人権を守る社会の実現が早急に求められている。これが、この意見書案を提出する理由である。

発議案第2号 生活保護基準を大幅に引き上げ、猛暑から命を守るために夏季加算を新設するよう求める意見書

(提出者) 松崎さち
(賛成者) かなみつ理恵、神子そよ子、金沢和子、岩井友子


 令和6年(2024年)6月13日、東京地方裁判所は、厚生労働省が平成25年(2013年)から行った生活保護基準の引下げは、生活保護法に違反するとして、原告(生活保護利用者)勝訴の判決を言い渡した。同種の訴訟は全国29の地方裁判所で提起されたが、原告勝訴の判決は18件目となり、令和4年(2022年)5月25日の熊本地裁判決以降の判決で考えると、原告側の17勝6敗と、原告側勝訴が大きな流れとなっている。
 とりわけ令和5年(2023年)11月30日の名古屋高裁判決は、平成25年(2013年)から引下げを行った厚生労働大臣に「少なくとも重大な過失」があり、「あえて生活扶助基準の減額率を大きくしているもので、違法性が大きい」として、引下げ処分を取り消すだけでなく、厚生労働大臣の行為の悪質性を認め、国家賠償請求(慰謝料請求)をも認めている。国は判決を受け止めて、生活扶助、住宅扶助、冬季加算などの生活保護基準を直ちに元に戻すべきである。
 現在、長引く物価高騰により、低所得世帯ほど生活に深刻な打撃を受けている。加えて近年の夏は、「地球沸騰化」と呼ばれる酷暑が続いている。生活保護世帯からは「食べずにエアコンを使うか、食べてエアコンを消すかを選ぶしかない」「肉も卵も納豆も豆腐も買えない」など、悲痛な声が出されている。格差と貧困の増大が目に余る状況である。
 生活保護制度は憲法第25条に基づき、国民に対して権利として「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する制度であると同時に、その基準額が、最低賃金の額、就学援助の支給基準、医療費の自己負担限度額など、国の発表で47の制度と連動、関連する「ナショナル・ミニマム」を決定する役割も担っている。日本に住む全ての人々にとって重要な制度である。
 よって、政府においては、下記の施策を早急に実施するよう、強く要望する。

1. 生活保護基準について、平成25年(2013年)以前の基準に直ちに戻すこと。
2. 物価高騰に対応して、生活保護基準を見直し、引き上げること。
3. 夏季加算を新設すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

船橋市議会   
(提出先)
内閣総理大臣、財務大臣、厚生労働大臣

理由
 長引く物価高騰に加え、近年の異常な猛暑が、生活保護利用者をはじめとした低所得世帯の生活を追い詰め、命の危機が現実化しようとしている。これが、この意見書案を提出する理由である。

発議案第3号 全ての生活保護世帯にエアコンを設置するよう求める意見書

(提出者) 神子そよ子
(賛成者) かなみつ理恵、松崎さち、金沢和子、岩井友子


 「広域的に過去に例のない危険な暑さ等となり、人の健康に係る重大な被害が生じるおそれがあります!!」「危険な暑さから自分と自分の周りの人の命を守ってください!!」これは環境省が発信している、熱中症特別警戒アラートの概要の一文である。また、熱中症警戒アラートが毎日のように発表されている。
 地球温暖化が進み、令和6年(2024年)7月には統計開始以来初めて、静岡県静岡市で最高気温40.0度を記録し、その後も広島県安芸太田町で39.1度、大分県豊後大野市でも38.8度など、全国各地で記録的な猛暑(酷暑)が続いている。熱中症予防としてエアコンの使用は必須である。
 「生活保護法による保護の実施要領について」の一部改正により、平成30年(2018年)4月以降、一定の要件を満たした生活保護世帯に対し、エアコン購入費の支給が認められた。
 しかし、この改正で対象となったのは、平成30年(2018年)4月以降に生活保護を開始した世帯や転居したときなどにエアコンを持っていない、高齢者や障害者、子どもなど身体の弱い人がいる世帯に限られた。生活保護世帯の8割以上が熱中症リスクの高い高齢者や障害・傷病者世帯であるにもかかわらず、平成30年(2018年)3月末日以前から生活保護を受給している世帯は、エアコンがない生活をしていても購入費用が認められていない。
 これは国民の命に関わる問題であり、憲法第25条が定める生存権を脅かすものである。
 よって、政府においては、全ての生活保護世帯を対象にエアコン購入費を支給するよう、強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

船橋市議会   
(提出先)
内閣総理大臣、財務大臣、厚生労働大臣

理由
 「生活保護法による保護の実施要領について」の一部改正が行われた平成30年度(2018年度)を境に、それ以前からの生活保護受給世帯にはエアコン購入費を支給しないのはあまりに理不尽であり、国民の命をないがしろにしているに等しい。命に関わる問題として全ての生活保護世帯に対しエアコン購入費の支給を求める。これが、この意見書案を提出する理由である。

発議案第4号 子ども医療費の窓口負担促進を中止するよう求める意見書

(提出者) 金沢和子
(賛成者) かなみつ理恵、神子そよ子、松崎さち、岩井友子


 子ども医療費への助成を独自に行う自治体に課されていたペナルティー(国庫負担減額調整)は、長年の住民運動や党派を超えた議会論戦などに押され、今年(令和6年(2024年))4月に廃止された。
 ところが、厚生労働省は、自治体に子ども医療費助成の窓口負担復活を促す新たな通知を出し、令和7年度(2025年度)から国民健康保険の保険者努力支援制度を見直して、医療機関を外来で受診した場合、窓口で一部自己負担金を設定すると50点配点、窓口負担を不要から必要にすると20点配点を行うとしている。
 今回の措置は、政府が昨年(令和5年(2023年))12月に閣議決定した「こども未来戦略」の加速化プランにある子育て世帯の医療費負担軽減に逆行し、子育て支援を第一に子ども医療費の窓口負担無料化を進める自治体への圧力になる。
 厚生労働省が7月3日に審議会に示した子ども医療費の窓口負担が健康状態に与える影響の研究でも、窓口負担がある自治体では受診抑制が起こる確率が高い傾向が見られ、窓口負担の促進ではなく、経済的な支援の促進こそが求められている。
 よって、政府においては、子ども医療費の窓口負担無料化は、子育て支援になるとともに、通院が容易になり疾病の重症化を防ぐことから、窓口負担の促進を中止するよう、強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

船橋市議会   
(提出先)
内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、厚生労働大臣、内閣府特命担当大臣(こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画、孤独・孤立対策) 

理由
 子ども医療費の窓口負担無料化は、子育て支援になるとともに、通院が容易になることで疾病の重症化を防ぐことにもなるものである。これが、この意見書案を提出する理由である。

発議案第5号 新型コロナウイルス感染症対策の改善を求める意見書

(提出者) 岩井友子
(賛成者) かなみつ理恵、神子そよ子、松崎さち、金沢和子


 新型コロナウイルス感染症の感染は、この7月から8月にかけて、新株の置き換わりに伴い全国的に急拡大した。5類移行後も、受診控えが起こることがないよう続けられてきた抗ウイルス薬の自己負担軽減や、診療報酬の特例の経過措置が、今年(令和6年(2024年))3月31日に全面的に打ち切られて以後、初めて起こる感染拡大の「波」となっている。
 しかし、窓口負担の経過措置終了により、高い自己負担を理由に抗ウイルス薬の処方を避ける傾向が広く生じている。新型コロナウイルス治療薬であるラゲブリオ、パキロビッドなど経口抗ウイルス薬は、処方1回当たり3万円程度の窓口負担(3割負担)が発生し、インフルエンザの抗ウイルス薬と比較して非常に高額となっている。
 また、秋から接種が始まる新型コロナウイルスワクチンの接種費用も国から1人15,300円と高額となることが示されてきた。国は1人8,300円の助成金を示しているものの、接種を進めるには自治体の負担や高齢者等の負担は避けられない。さらに一般の者の接種は全額自己負担となることからワクチンの接種抑制が強く懸念され、重症患者の増大につながりかねない。
 昨年の新型コロナウイルス感染症5類移行後も、感染拡大時には発熱外来の予約が取れなくなるなど医療が逼迫する事態が発生してきた。重症患者の増大、医療の逼迫や医療崩壊を繰り返してはならない。
 よって、政府においては、新型コロナウイルス感染症から国民の命と健康を守るため、以下の対策を実施するよう、強く要望する。

1. 新型コロナウイルスの抗ウイルス薬など治療薬の自己負担を、タミフルなど他の感染症で用いられるものと同水準とするなど、新たな公費補助を実施すること。
2. 高齢者や基礎疾患のある人を重症化から守るためにも、ワクチン接種は引き続き重要な予防手段であり、経済的負担から接種を諦めることのないよう新型コロナウイルスワクチンの自己負担を減免すること。
3. ワクチンの有効性・安全性について、新たな知見・エビデンスも含めて情報提供を行い、国民の疑問に応えること。また、副反応についての原因究明と被害者救済に万全を期すこと。
4. 新型コロナウイルス患者の入院を受け入れる病院が過重負担とならないよう、経済的な支援を行うこと。

 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

船橋市議会   
(提出先)
内閣総理大臣、厚生労働大臣、内閣官房長官 

理由
 新型コロナウイルス感染症は収束しておらず、感染の波が繰り返されており、引き続き治療薬やワクチンの経済的負担軽減や医療機関への支援が必要とされている。これが、この意見書案を提出する理由である。

発議案第6号 ガザ地区の即時停戦を目的とした積極的な外交を行うよう求める意見書

(提出者) 斉藤誠
(賛成者) 神田廣栄、岩井友子、今仲きいこ、はまの太郎、かいさち


 パレスチナ自治区ガザ地区は、高さ8メートルの壁によりイスラエル軍に完全包囲され、人や物の出入りが厳しく制限されているため、燃料や食料、日用品、衣料品などが慢性的に不足し、人々は国連や支援団体からの援助物資で命をつないでいる。
 令和5年(2023年)10月7日のハマスによるイスラエルへの大規模攻撃及び人質事件に対し、イスラエルによる報復措置が始まった。これは、一般市民という定義を無視し、病院や学校は攻撃しないなどとする国際人道法のあらゆる基準を無視した形で現在も続いており、既に子供を含めて4万人以上が犠牲となる異常な状況となっている。
 今年(令和6年(2024年))1月26日、国際司法裁判所(ICJ)は、ガザ地区においてジェノサイドが進行している可能性を認識し、パレスチナ人には、ジェノサイド条約によって保護されるべき権利があると指摘した。しかし、その後も犠牲者の数は増える一方で、難民のさらなる迫害が発生している。2月初旬に期待された停戦も合意されず、出国が認められなかったり、人道支援ルートもほぼ閉鎖されている上に、食糧支援トラックが爆破されたり、支援を待つ人の群れへの攻撃などにより、人口の7割以上が壊滅的なレベルの飢餓に苦しんでいる。また、4月5日、人道支援活動を行っていた慈善団体「ワールド・セントラル・キッチン(WCK)」の職員7人がイスラエル軍による空爆で殺害された。
 双方の自衛権の尊重や人質の早期解放、長期的かつ政治的な解決を目指すことは当然のことではあるものの、その前に、今すぐ一般市民の犠牲を止めるべく、停戦を呼びかけ、負傷者や難民を救済することは、道徳的義務として必然である。
 よって、政府においては、ガザ地区の即時停戦を目的とした積極的な外交を行うよう、強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

船橋市議会   
(提出先)
内閣総理大臣、外務大臣

理由
 双方の自衛権の尊重や人質の早期解放、長期的かつ政治的な解決を目指すことは当然のことではあるものの、その前に、今すぐ一般市民の犠牲を止めるべく、停戦を呼びかけ、負傷者や難民を救済することは、道徳的義務として必然である。これが、この意見書案を提出する理由である。