スクリーンリーダー用ショートカット

発議案(議員提出議案)令和5年第3回定例会

ページID:118519印刷

発議案第1号 ブラッドパッチ療法(硬膜外自家血注入療法)に対する適正な診療上の評価等を求める意見書

(提出者) 橋本和子
(賛成者) 葛生正文、草場智泉、上田美穂、鈴木心一、桜井信明、木村修、松橋浩嗣、松嵜裕次、鈴木いくお


 交通事故、スポーツ、落下事故、暴力など全身への外傷等を原因として発症する脳脊髄液漏出症(減少症)によって、日常生活を大きく阻害する様々な症状に苦しんでいる患者の声が、全国各地から国へ数多く寄せられていた。その後、平成18年に山形大学を中心に関連8学会が参加し、厚生労働省研究班による病態の解明が進んだ結果、平成28年より同症の治療法であるブラッドパッチ療法(硬膜外自家血注入療法)が保険適用となった。
 その結果、それまで高額な自費診療での治療を必要としていた患者が、保険診療の下にブラッドパッチ療法を受けることができるようになったが、脳脊髄液漏出症(減少症)の患者の中には、保険適用J007-2の要件に掲げられている「起立性頭痛を有する患者に係るもの」という条件を伴わない患者がいるため、医療の現場では混乱が生じている。
 また、その後の研究で、脳脊髄液の漏出部位は1か所とは限らず、頸椎や胸椎部でも頻繁に起こることが報告された。ここで、この頸椎や胸椎部にブラッドパッチ療法を安全に行うためには、X線透視下で漏出部位を確認しながらの治療が必要であるが、診療上の評価がされていない現状がある。
 よって、政府においては、上記の新たな現状を踏まえ、脳脊髄液漏出症(減少症)の患者への、公平で安全なブラッドパッチ療法の適用に向け、以下の事項について適切な措置を講ずるよう、強く要望する。

1. 脳脊髄液漏出症(減少症)の症状において、公的な研究でも「約10%は起立性頭痛を認めない」との報告があることを受け、診療報酬算定の要件の注釈として「本疾患では起立性頭痛を認めない場合がある」と加えること。
2. ブラッドパッチ療法の診療報酬において、X線透視を要件として、漏出部位を確認しながら治療を行うことを可能にするよう、診療上の評価を改定すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

船橋市議会
(提出先)
内閣総理大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣、国土交通大臣

理由 
 平成28年より保険適用となった脳脊髄液漏出症(減少症)の治療法であるブラッドパッチ療法であるが、医療現場での混乱や、適切な診療上の評価がなされないなどの現状があり、関係機関による適切な措置を講ずる必要がある。これが、この意見書案を提出する理由である。

発議案第2号 核兵器禁止条約第2回締約国会議にオブザーバーとして参加することを求める意見書

(提出者) 金沢和子
(賛成者) かなみつ理恵、神子そよ子、松崎さち、岩井友子

 「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」は、「核抑止力」を明記する一方、核兵器禁止条約には一言も触れないなど、被爆者をはじめ多くの国民の願いに応えることはできなかった。世界的には「核抑止力」論は破綻しているという世論が広がっており、国内でも、今年開催された原水爆禁止世界大会での広島と長崎の平和宣言をはじめ、「核抑止力」ではなく核兵器禁止条約への参加が求められている。
 世界で唯一の戦争被爆国である日本の政府として、核兵器の使用を前提とした「核抑止力」論に固執するのではなく、核兵器禁止条約への参加を早急に検討すべきである。
 同時に、条約を批准していなくても、核兵器不拡散条約(NPT)第6条に基づき、核軍備縮小・撤廃の義務を履行することを核保有国に迫ることも重要である。
 現在、核兵器禁止条約第6条・第7条に基づき、核実験による被害調査など核兵器の被害者支援と環境修復、そのための国際協力を進める活動が始まっている。
 ところが、日本政府が同条約に背を向けているために、被爆者が多数存在し苦しんでいる日本での活動は大きく遅れている。条約の批准・署名を前提とせずに、こうした活動に政府として協力するべきである。
 よって、政府においては、今年11月の核兵器禁止条約第2回締約国会議にオブザーバーとして参加し、核兵器による被害者の支援、環境修復など国際協力に力を尽くすよう、強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

船橋市議会
(提出先)
内閣総理大臣、外務大臣

理由
 世界唯一の被爆国として、核兵器廃絶に向けた国際的な取組への協力を行うことが求められている。これが、この意見書案を提出する理由である。

発議案第3号 現行の健康保険証の廃止撤回を求める意見書

(提出者) 岩井友子  
(賛成者) かなみつ理恵、神子そよ子、松崎さち 、金沢和子


 マイナ保険証をめぐるトラブルが続出している。
 政府は、令和6年(2024年)秋に、現行の健康保険証を廃止してマイナンバーカードと一体化する方針について一部見直す方針を表明した。マイナ保険証を持たない人に対し、資格確認書を交付し有効期限を1年から5年に延長する、マイナ保険証の利用登録を解除可能にするというものであるが、資格確認書の取扱いの見直しだけでは現場の混乱は解決しない。マイナ保険証を持たない人に限定した対策で、しかも「当分の間」の対応という不安定なものである。全被保険者に交付する現行制度からは大きく後退することとなる。
 全国保険医団体連合会の調査(7月27日から8月8日まで)によると、マイナ保険証の窓口負担割合が食い違う誤表示が全国32都道府県の693の医療機関で起きていた。厚生労働省は、マイナンバーカードと健康保険証とのひも付けミスが8,000件を超えていること、協会けんぽで加入者約4000万人のうち36万人分のひも付け作業が未完了(7月末時点)であり、ほかでも同様の事例が想定されることを発表した。マイナンバーと医療保険の資格情報のひも付けができず、マイナンバーカードでは保険診療が受けられない事態が広範に起きている。
 現在は、保険証により資格確認ができるが、マイナンバーカードによる資格確認に一本化すれば、保険料を払っているのに保険診療が受けられず、医療機関で10割負担を求められるという重大な権利侵害が起きることが強く懸念される。
 傷病時にいつでもどこでも安心して医療が受けられるために健康保険証は不可欠である。本人の資格確認ができず、保険診療が受けられない事態を生む健康保険証の廃止は、基本的人権を保障する国民皆保険制度を壊し、憲法第25条に反する。
 よって、政府においては、来年秋の現行の健康保険証の廃止を撤回するよう、強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

船橋市議会
(提出先)
内閣総理大臣、総務大臣、厚生労働大臣、デジタル大臣

理由
 政府は、令和6年(2024年)秋に現行の健康保険証を廃止してマイナンバーカードと一体化する方針を示しているが、被保険者が保険診療を受けられない事態を生じさせる懸念がある。これが、この意見書案を提出する理由である。

発議案第4号 国内の食料自給率引き上げを求める意見書

(提出者) 松崎さち
(賛成者) かなみつ理恵、神子そよ子、金沢和子、岩井友子


 農林水産省は8月7日、令和4年度(2022年度)の食料自給率(カロリーベース)が前年度から横ばいの38%となったことを公表した。令和12年度(2030年度)までに45%とする目標とは大きく乖離し、カナダの221%、オーストラリアの173%、フランスの117%、アメリカの115%、ドイツの84%などと比べても、食料自給率は異常に低い水準で低迷したままである。国民の生存する基盤を脅かす深刻な事態である。
 コロナ危機やウクライナ問題、気候変動など世界的食料危機により食料の輸出規制に踏み切る国が相次いでいる。食料の6割以上を外国頼みとする我が国の危うさが改めて浮き彫りになっている。食料・農産物は、緊急時だからといってすぐに増産することは難しく、国内生産を拡大し、食料自給率を高める平素からの努力が不可欠である。
 国内の食料自給率の向上は、世界的食料危機の解決や、地球環境保全の面からも迫られている。
 「安い」輸入食品や資材は、輸出国の水資源の収奪、単一作物の大規模生産による環境や森林の破壊などの犠牲の上に成立している。長距離輸送による大量の化石燃料の浪費は、温室効果ガスの排出削減に逆行する。食料自給率の向上は、地球と人類社会の持続的な発展に向けた、国際社会への責務でもある。
 食料自給率低下の要因として、農地や農業の担い手の生活基盤の弱体化がある。基幹的農業従事者は平成12年(2000年)以降の22年間で、240万人から123万人へほぼ半減し、減少テンポは速まっている。農地の縮小と荒廃も進んでいる。
 今求められるのは、この流れを変え、食料の国内増産に踏み出すことである。家族経営でもやっていける小規模農家こそが、環境を守り、地域を支えてきた。国連が呼びかけた「家族農業の10年」の取組がいよいよ重要である。
 よって、政府においては、食料の外国依存を改め、価格保障や所得補償の充実などで多様な家族経営が成り立ち、農村で暮らせる農政を行い、食料自給率を引き上げるよう、強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

船橋市議会
(提出先)
内閣総理大臣、農林水産大臣

理由
 国内の食料自給率の低迷は国民の生存基盤を脅かす深刻な事態であり、その打開には平素からの国内生産拡大の取組が不可欠である。これが、この意見書案を提出する理由である。