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発議案(議員提出議案)令和3年第1回定例会

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発議案第1号 75歳以上の医療費窓口2割負担導入の撤回を求める意見書

(提出者)神子そよ子
(賛成者)坂井洋介、松崎さち、金沢和子、岩井友子


  菅義偉首相が議長を務める全世代型社会保障検討会議から示された方針を受けて、政府は、75歳以上の医療費窓口2割負担に関して、令和3年(2021年)1月18日召集の通常国会に関連法案の提出を予定している。現在、「原則1割」の75歳以上の高齢者医療費窓口負担について、「負担能力に応じたものへと改革していく」と強調し、一定の所得以上の方を「2割負担」にするというものである。対象は、75歳以上の単身世帯で年収200万円以上、夫婦とも75歳以上の世帯で年収320万円以上の方々である。75歳以上の23%に当たる約370万人の窓口負担が、一気に2倍に跳ね上がる。医療費窓口2割負担は、経済的事情による受診抑制を拡大することにつながるため、医療関係者をはじめ、国民の多くが反対の声を上げている。
 老人保健制度を導入した昭和58年(1983年)、高齢者の医療費に占める国庫負担は45%から35%に減少した。その減少分を、現役世代に肩代わりさせるとともに、高齢者自身に転嫁する仕組みをつくったのは政府である。今回、政府が、2割負担の導入を「若い世代・現役世代の負担を軽減するため」としているが、全く成り立たない説明である。若い世代の負担軽減と言うのであれば、少なくとも、国庫負担を元の45%に戻し、国として公的役割を果たすべきである。
 75歳以上の医療費窓口1割負担を維持するのに必要な国庫負担は、僅か880億円である。年々増え続ける軍事費は、来年度予算では過去最高の5.5兆円にも上り、必要のないオスプレイ17機の購入額は3600億円、「イージス・アショア」の代替策として新造するイージス艦2隻は5000億円を超える。税金の使い方を見直せば、75歳以上の医療費窓口負担1割を継続する財源はすぐにつくれる。
 よって、政府においては、高齢者の命と健康を脅かす75歳以上の医療費窓口2割負担に関し撤回するよう、強く要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。
船橋市議会
(提出先)
内閣総理大臣、財務大臣、厚生労働大臣、全世代型社会保障改革担当大臣

理由
 年金が削られる中、高齢者の生活は厳しさを増している。今でさえ受診を控えている高齢者にとって、医療費が2倍になることにより、一層受診抑制が拡大することは明白である。受診を我慢し、早期発見・治療が遅れて、症状が悪化すれば医療費も増加する。この問題は、高齢者だけでなく、全国民の問題である。これが、この意見書案を提出する理由である。 

発議案第2号     気候変動対策の強化を求める意見書

(提出者)松崎さち
(賛成者)神子そよ子、坂井洋介、金沢和子、岩井友子


 昨年(令和2年(2020年))10月、菅義偉首相は所信表明で、令和32年(2050年)までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにすると表明した。「50年にゼロ」は、既に120か国以上が掲げている目標であり、これを実現するために今何をなすべきかが鋭く問われている。
 第1に、国連事務総長が「石炭中毒」とまで非難した、日本の石炭火力発電所の問題である。現在、国内では新たに17基の石炭火力発電所が建設及び計画中であり、脱炭素化に向かう国際潮流に完全に逆行している。現在でも、石炭火力発電所によるCO₂排出量は、日本の温室効果ガス排出総量の2割を占め、国内最大の排出源となっている。WWF(世界自然保護基金)は、令和2年(2020年)10月26日に発表した声明で、日本のパリ協定への削減目標である令和12年度(2030年度)26%削減(平成25年度(2013年度)比)では、令和32年(2050年)排出ゼロには到底届かないことは明らかであると指摘し、その実現のために、令和12年(2030年)の排出削減目標を45%以上に引き上げることを求めている。「ゼロ宣言」を絵に描いた餅で終わらせないためにも、石炭火力発電所の新規建設を中止し、既存施設の計画的な停止・廃止を実施すべきである。
 第2に、省エネや効率化の徹底とともに、日本が遅れを取っている再生可能エネルギーの本格的な導入を進めることである。政府のエネルギー基本計画では、令和12年(2030年)の総発電量に占める電源構成の再生可能エネルギーの比率は、22~24%にとどまっている。しかし、近年、太陽光と風力による発電コストが劇的に低下し、世界では、欧州を中心に再生可能エネルギーの主力電源化が進行している。経済同友会や、34道府県を正会員とする自然エネルギー協議会も求めているように、令和12年(2030年)までに電力の4割以上を再生可能エネルギーで賄い、温室効果ガスの排出を平成2年(1990年)比で40~50%削減する計画を策定、実施すべきである。
 第3に、原発の問題である。原発は、最もコストが高く、最もリスクが大きく、廃棄物処理のめどが立っていない。菅首相は「ゼロ宣言」について、国会で「原子力を含めてあらゆる選択肢を追求する」と述べたが、一度大事故を起こせば取り返しのつかない環境破壊をもたらすのが原発であるということは、我々の体験からも明らかである。
 コロナ禍からの経済復興策として、世界では「グリーン・リカバリー(環境に配慮した回復)」が広がりを見せている。日本もこの立場で取り組み、原発の再稼働を中止し、「原発ゼロの日本」を実現し、破綻した核燃料サイクルから撤退すべきである。
 よって、政府においては、気候変動対策において、令和12年(2030年)の温室効果ガス排出削減目標を、平成2年(1990年)比で40~50%に引き上げ、石炭火力発電所の全廃と原発ゼロ、再生可能エネルギーの大規模な普及を進めるよう、強く要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。
船橋市議会
(提出先)
内閣総理大臣、経済産業大臣、環境大臣

理 由
 急速に地球温暖化が進む下で、令和32年(2050年)までに、温室効果ガスの排出をゼロにすることは待ったなしの課題であり、そのための具体的かつ効果的な計画の策定、実施が急がれている。これが、この意見書案を提出する理由である。

発議案第3号 新型コロナウイルス特別措置法、感染症法の罰則規定の撤回を求める意見書

(提出者)岩井友子
(賛成者)神子そよ子、坂井洋介、松崎さち、金沢和子


  令和3年(2021年)2月3日、新型コロナウイルス対策特別措置法、感染症法、検疫法の改定案が可決成立した。政府案に盛り込まれていた懲役刑など、刑事罰を撤回する修正は行われたものの、この改定には罰則を導入する規定が盛り込まれたままである。罰則を科して強制することは、相互監視、差別と偏見、社会の分断を招き、検査忌避など国民の協力が得られなくなり、感染症対策に逆行するものである。
 改定された新型コロナウイルス対策特別措置法は、緊急事態宣言下での時短命令などに従わない事業者への行政罰として30万円以下の過料を、新たに設けた「まん延防止等重点措置」では、宣言前に時短命令などに反した場合、20万円以下の過料を科すことを定めている。「まん延防止等重点措置」の要件は不明確で、政府の一存で私権制限や罰則が科せられることになる。
 改定された感染症法は、入院拒否などをした感染者に行政罰として50万円以下の過料を、感染経路などを調べる疫学調査の拒否は30万円以下の過料が導入された。患者受入勧告に従わない病院名の公表措置も設けられている。
 改定案を審議した厚生科学審議会感染症部会では、罰則規定創設に反対や懸念の意見が出され、日本医学会連合や日本弁護士連合会など、多くの専門家団体が罰則の導入に反対を表明してきた。保健所の現場からも、「行政罰であっても罰を科すという強権的なやり方は、患者との信頼関係を壊す」「検査を受けてもらえないなど、逆効果になる」など反対や懸念の声が出されている。
 各地で病床不足が深刻化し、自宅や宿泊施設で患者が死亡する問題も相次いでいる。医療供給体制の整備と拡充こそ、最優先すべきである。医療機関への手厚い補償こそが実効性を発揮するのであって、病院名の公表による社会的制裁は、感染症対策に逆行する。子育てや介護、仕事、経済状況など、様々な事情を抱える感染者が、安心して療養できる体制の整備を図るべきである。休業や時短も、補償があってこそ実効性を持つ。国民の合意と協力、社会の連帯で解決していくべき感染症対策に、罰則規定の導入は重大な障害をもたらす。
 よって、政府においては、新型コロナウイルス対策特別措置法、感染症法の罰則規定を撤回するよう、強く要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。
船橋市議会
(提出先)
内閣総理大臣、厚生労働大臣、経済再生担当大臣 

理由
 新型コロナウイルス対策特別措置法、感染症法の罰則規定は、感染症対策に逆行し、国民に差別や分断を持ち込み、日本の公衆衛生を後退させるので、撤回を求める。これが、この意見書案を提出する理由である。