住民監査請求監査 監査結果本文(平成23年2月3日)

更新日:平成28(2016)年2月21日(日曜日)

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監査結果本文

船橋市監査委員告示第1号
地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第242条第1項に基づく、船橋市職員措置請求について監査を実施したので、同条第4項の規定により、その結果に関する通知を公表する。
平成23年2月3日
船橋市監査委員  髙地 章記
   同       増田 尚功
   同      上林 謙二郎
   同      小石   洋

第1 請求人

住所・氏名 省略

第2 請求の受理

平成22年12月17日付けで提出のあった本件措置請求については、法第242条の要件を具備しているものと認め、平成22年12月17日に受理した。

第3 監査の実施

1 請求の要旨(措置請求書の原文のとおり)

  1. 船橋市長は船橋市本町4-32-13にある在日本大韓民国民団千葉県船橋支部(以下「民団船橋支部」という。)の一部が地方税法第367条及び船橋市市税条例(以下「市税条例」という。)第71条第1項第4号に該当するものとして、平成22年度固定資産税を一部減免した。(証1)
  2. 「在日本大韓民国民団」について
    在日本大韓民国民団中央本部のHPには民団の基本性格として以下のことが述べられている。「在日韓国人の法的、政治的、社会的権益を擁護し、民族教育と文化を向上する活動は特定個人や一部集団の営利でなく、在日韓国人全体のための営利をめざす組織です。」
    また、民団の綱領として「在日韓国国民として大韓民国の憲法と法律を遵守します。」とも述べている。(証2)
  3. 固定資産税等の納付義務者と減免事由について
    「民団船橋支部」の納税義務者は個人名と外8名(以下「登記者9名」という。)である。(証3)
    地方税法第343条第1項は、固定資産税の納税義務者を固定資産の所有者と定め、同条2項は、この固定資産の所有者を、土地又は家屋については、登記簿等に所有者として登記又は登録されている者をいう旨定めている。(証4)
    福岡高等裁判所判例(平成18年2月2日)で「固定資産税等の減免事由の存否は、当該固定資産の納税義務者とされている登記簿等に所有者として登記又は登録されている者について判断されなければならない」としており、減免措置の根拠としての減免事由は納付義務者の「登記者9名」である。すなわち、「民団船橋支部」の納付義務者である「登記者9名」に市税条例第71条第1項第4号に定める減免事由は何ら認められないのは明白である。(証5-(13))
  4. 「公民館的な施設」について
    在日本大韓民国民団では綱領・基本性格として、日本の憲法を遵守するのではなく、大韓民国の憲法と法律を遵守し、在日韓国人全体のための営利をめざす組織であると明言している。
    そのため、「民団船橋支部」は在日韓国人の権益を擁護することを目的とした施設にすぎず、結果、一般市民への公民館的な使用を目的とした施設とはいえない。
    「町会・自治会等の集会所等」が社会教育法第42条に規定する「公民館に類似する施設」を指すことは明らかである。
    この公民館類似施設が「公益のために直接専用する固定資産」であることはいうまでもない。
    福岡高等裁判所判例(平成18年2月2日)で「公益のために直接専用する固定資産」についての「公益のために」とは「我が国社会一般の利益のために」と解すべきと述べている。(証5-(14))
    この観点から「民団船橋支部」が在日本大韓民国民団の組織及び活動等に関する事実から在日韓国人全体の利益を擁護するために、我が国において活動を行なっているのは明白である。
    市長は減免事由として、「特別の事由があるもの」とし「町会・自治会等の集会所等に供している」としているが、在日韓国人以外の地域住民が利用することも許されているとしても、それは副次的あるいは恩恵的に許されているにすぎず、目的・機能の面から公益的に開放されておらず公民館類似施設であるとはいえない。(証6)
  5. 千葉県内にある在日本大韓民国民団各支部の取扱について
    1千葉市は平成22年度の韓国民団千葉県本部の減免申請の全部を却下。(証7)
    2市川市は、係争中の平成21年度の民団市川支部の課税免除の全部を取り消した。(証8)
    3木更津市は、平成22年度から民団君津支部の減免の全部を却下した。(証11)
    4成田市は、平成21年度から民団成田支部の減免措置の全部を取り消した。(証9)
    5柏市は、平成21年度の民団東葛支部の減免申請の全部を却下した。(証10)
    6館山市は、平成22年度の民団安房支部の減免の全部を却下した。

    このように、本来納税義務者の「登記者9名」に対して減免事由を判断しなければならないにも係わらず、税務部固定資産税課は在日韓国人のみの権益のために政治的活動等を行なう「民団船橋支部」に対して減免を決定し、「町会・自治会等の集会所等に供している固定資産」として、平成22年度の固定資産税及び都市計画税を全額免除した。

    これらの行為は最終権限者である船橋市長及び租税に責務のある税務部長ほか担当職員がその責務を怠ったと言うほかなく、その結果船橋市に損害をもたらした。

    よって監査委員は、船橋市長に対し、次のとおり勧告することを求める。
    「船橋市長は民団船橋支部に係る平成22年度の固定資産税の一部減免を取り消し、当該免除額を徴収すること。」

2 監査の対象事項

請求書に記載されている事項及び事実を証する書面から、監査の対象事項は「船橋市が、在日本大韓民国民団千葉県船橋支部(以下「民団船橋支部」という。)に対し行った、平成22年度の固定資産税及び都市計画税(以下「固定資産税等」という。)の一部減免措置が、違法又は不当な措置であるか否か。」とした。
なお、本市では、地方税法第702条の8第7項及び船橋市都市計画税条例第6条により、固定資産税と併せて都市計画税を賦課徴収し、減免措置も同様としていることから、都市計画税を併せて監査の対象事項とした。

3 監査の方法

監査は、次のとおり実施した。

1 請求書の訂正内容と新たな証拠の提出

請求人は、平成22年12月27日に請求書の文中、1請求の要旨1)の4行目「…として、」の次に「平成22年度」を加筆した。
また、5)3の文末に「(証11)」を加筆のうえ、事実証明書(証11)を新たな証拠として提出した。

2 請求人の証拠の提出及び陳述

請求人に対し、法第242条第6項の規定に基づき、証拠の提出及び陳述の機会(平成23年1月25日)を与えたが、新たな証拠の提出及び請求人の陳述希望はなかった。
その後、平成23年1月18日に税務部固定資産税課から、監査対象建物(以下「当該建物」という。)にかかる固定資産税等の減免取り消しについて、資料が提出されたことから、平成23年1月20日監査委員会議において陳述の中止を決定した。

3 関係職員の陳述

平成21年11月13日、税務部長、固定資産税課長、固定資産税課主幹、固定資産税課副主幹から陳述の聴取を行った。

4 関係する職員の事情聴取

本件監査の対象となった書類を調査するとともに、平成23年1月25日に次の職員から事情聴取を行った。
税務部長、固定資産税課長、固定資産税課主幹、固定資産税課副主幹。

第4 監査の結果

1 主文

本請求について、監査委員は、合議により次のとおり決定した。
本件請求については、却下する。
以下、その理由について述べる。

2 事実関係

(1) 平成22年度の当該建物にかかる固定資産税等の減免について
当該建物は、船橋市本町4丁目1585番地の土地に昭和48年2月に建築された鉄骨造陸屋根4階建、総床面積175.49平方メートルの建物である。
所有者は、民団船橋支部が法人格を有していないため、当該建物の完成当時の民団船橋支部の支団長外8名の共有として、昭和49年6月に所有権保存登記がなされている。
減免対象とされている固定資産は家屋のみで、1階の店舗部分の50.74平方メートルを除いた124.75平方メートルを、船橋市市税条例第71条第1項第4号の「特別の事由があるもの」及び固定資産税の減免取扱い要綱第3条別表第4号該当の2の「町会・自治会等の集会所等に供している固定資産」として、平成22年度固定資産税等を減免した。
なお、平成22年度の当該建物の減免に係る処理年月日は、次のとおりである。
・平成22年3月31日 価格の決定
・平成22年4月1日  課税台帳への登録及び公示
・平成22年4月2日  納税通知書の送付(平成22年4月30日納期限)
(2) 平成22年度の当該建物にかかる固定資産税等の減免取り消しについて
市では、総務省通知(平成22年4月1日都道府県知事あて総務大臣通知)を受けて、地方税の減免措置における判断を更に厳正化することとし、「町会・自治会等の集会所等に供している固定資産」における公益性の有無の判断の見直しを行い、「当該施設の運営に対する地域住民の関与」を新たな判断項目として追加した。
新たな判断基準により、当該建物の一部減免について、改めて見直しを行ったところ、「公益性を有する」とは認められなかったため、平成23年1月13日付け税務部長専決の決裁「韓国会館の集会所に対する減免の取消しについて」で、当該建物の減免を取り消し、平成23年1月14日に納税義務者である個人名外8名へ通知した。

3 結論

以上のように、当該建物に対する減免の事実そのものが消滅したことから、請求人の求める措置の対象である「船橋市長は民団船橋支部に係る平成22年度の固定資産税の一部減免を取り消し、当該免除額を徴収すること。」も消滅したこととなる。したがって、本件請求は請求の利益を欠くものとなった。
よって、本件請求はこれを却下する。
 

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