住民監査請求監査 監査結果本文(平成19年11月2日)

更新日:平成25(2013)年3月15日(金曜日)

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監査結果本文

船橋市監査委員告示第22号
地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第242条第1項の規定に基づく、船橋市職員措置請求について監査を実施したので、同条第4項の規定により、その結果に関する通知を公表する。
なお、監査委員山澤拓爾は平成19年9月30日退任、七戸俊治は平成19年9月28日就任、増田尚功は平成19年10月1日就任した。
平成19年11月2日
船橋市監査委員 安田雅行
船橋市監査委員 増田尚功
船橋市監査委員 安藤のぶひろ
船橋市監査委員 七戸俊治

第1 請求人

住所・氏名 省略

第2 請求の受理

平成19年9月13日付けで提出のあった本件措置請求については、法第242条の要件を具備しているものと認め、平成19年9月13日に受理した。

第3 監査の実施

1 請求の要旨(個人名以外措置請求書の原文のとおり)

船橋市本町4丁目1259の5並びに1260の1の土地は、平成18年9月25日付けで取得契約がされています。このことに付き関係資料の情報開示請求をいたしました。結果は、請求した目的部分の情報の開示がありませんでした。担当課のA課長補佐の口頭での説明は、測量図面の不存在、土地境界未確定、地積の未確定、不動産鑑定士等による鑑定評価未実施であること、個人情報であること、事業の継続性に支障を来たす恐れがあること等でした。
当該土地が存在する経緯として北側隣地(本町4丁目1259の2)の市による取得時の怠慢による不適正な措置があります。不作為による誤った土地取得行為が今回の措置請求の原因であります。
これらは、開示請求の目的を妨げる理由として認めることが出来ません。公共用地の取得において数量の未確定な土地、取得価格の根拠の不充分な土地の取得は、地方自治法の精神を逸脱したものです。
また、当該土地は、事業中の本町4丁目の公園、広場、学校用地に隣接していません。よって、事業の継続性に支障を来たす恐れはありません。市文化課において確認したところ当該土地は2010年度完成予定の(仮称)清川美術館建設用地に隣接しており、現在当該美術館設計事業が進行中とのことです。前記公園、広場、学校用地事業とは、別途な事業用地と判断されます。
このことは、地方自治法の主旨に違背しており、当該土地取得が社会通念に合致するよう求めます。土地取引においては、土地基本法を始め関連する法律があり、地方自治体においても遵守されなければなりません。例えば宅地建物取引業法等が該当します。地方自治法は、この国の法律等を遵守することを前提としたものであり、当該土地の取引も例外ではありません。
また、前記の情報部分開示は、土地取得の違法性を糊塗する目的でなされたものであり、速やかな全面開示(個人情報を除く)を請求いたします。
請求する具体的な措置
上記要旨を受けて次の措置を求める。
イ、平成18年9月25日付け土地売買契約書の土地の契約内容を土地境界の確認・地積の確認(実測)・宅地建物取引業法に準拠した重要事項説明図書の作成等により、土地取引関連法規・不動産取引の慣行に合致させること。
ロ、当該土地の取得価格を公開し、取得価格の根拠を示すこと。不動産鑑定士による価格鑑定評価を行こない、評価成果を公開すること。
ハ、土地売買契約書による、当該土地の取得目的を当該の本町4丁目広場公園他公共公益施設用地との曖昧(拡大解釈が可能)な表記から(他)の字句を削除し、実情に合致させること。
ニ、前記イ。ロ、ハ、各項に違背しないように、必要な措置を執ること。
ホ、当該土地の北側隣接地船橋市本町4丁目1259の2の土地取得の起案書を含むすべての資料を公開すること。
ヘ、前項土地取得と当該土地取得の関連を説明する資料を公開し、船橋市が蒙った損害がある場合はそれを補填する必要かつ、充分な措置を講ずること。

2 個別外部監査契約に基づく監査によることの決定を市長に通知しなかった理由

1 監査委員の監査に代えて個別外部監査契約に基づく監査によることを求める理由(外部監査請求理由書の原文のとおり)

当該職員措置請求書は、既に別途措置請求(結果終了済み)をした、本町4丁目公園広場他公共公益用地(1259の17他)の措置結果から、船橋市監査委員会に於いては公正適正な監査を期待できないと思料した。
なお、既設の船橋市勤労市民センタの敷地用地の取得・当該建築物の建築に於いても当該公益用地を含めて歴代市長(船橋市)の友好諸団体との関連が深く、市民の関与を過剰に排除してきた経緯がある。このことも、今回の外部監査請求理由の大きな要因であることを申し添える。

2 監査委員の監査に代えて個別外部監査契約に基づく監査によることが相当であると認めない理由

法第252条の43第1項の規定により個別外部監査契約に基づく法第242条第1項の監査請求が相当であると認められるのは、違法性等の判断に極めて高度な専門性が要求されるなど、特別の事情があり、監査委員による監査になじまない事案であるとして、監査委員が外部の専門家に監査をさせることが相当であると判断する場合である。
本請求は、公正適正な監査を期待できないとし、これを理由として、個別外部監査契約に基づく監査を求めており、これは、特別の事情に当たるとは認められない。

3 監査対象事項

請求書に記載されている事項及び事実を証する書面並びに請求人の陳述内容から、「船橋市(以下「市」という。)が船橋市本町4丁目1259番5及び1260番1の土地について、測量や鑑定評価を行わず売買契約を締結して取得したことが、違法かつ不当な財産の取得か否か」を監査の対象事項とした。

4 監査の方法

監査は、次のとおり実施した。

1 請求人の証拠の提出及び陳述

平成19年10月17日、請求人に対し、法第242条第6項の規定に基づき、証拠の提出及び陳述の機会を与えた。

2 関係職員の陳述

平成19年10月17日、建設局都市整備部みどり推進課長から陳述の聴取を行った。

3 関係する職員の事情聴取

本件監査の対象となった書類を調査するとともに、平成19年10月17日に次の職員から事情聴取を行った。
建設局都市整備部長、みどり推進課長、みどり推進課主幹(課長補佐)、みどり推進課主査(計画係長)。

4 現地調査

平成19年10月1日に安田監査委員及び増田監査委員が現地調査を実施した。

第4 監査の結果

1 主文

本請求について、監査委員は、合議により次のとおり決定した。
本件措置請求については、請求に理由がないものとして棄却する。
以下、その理由について述べる。

2 理由

1 事実関係
  1. 当該地について
    平成11年度に、現在の本町4丁目1259番5、1260番1、1259番2、1259番17及び1259番18の土地について、市は本町4丁目地区の公園整備の必要性から、これを所有する地権者(以下「当該地権者」という。)と取得の交渉をしていたが、協力を得られなかった。その後、当該地権者が平成12年4月7日に、当時の本町4丁目1259番5を1259番5と1259番16に、同じく本町4丁目1260番1を1260番1と1260番7にそれぞれ分筆したことから、本件請求の対象となった土地は、現在の本町4丁目1259番5及び1260番1の土地(以下「当該地」という。)である。
    そして、当該地は帯び状の形態で船橋サンプラザの建つ土地等(本町4丁目1251番1、1251番6及び1261番16)と隣接するが、境界は未確定となっている。
  2. 隣接北地について
    当該地権者は、平成11年度に市が取得の交渉をしていた土地のうち当該地を除く土地(以下「隣接北地」という。)を、平成12年4月28日に民間業者に売却した。
    市は隣接北地を公園用地として確保するために民間業者と交渉を行い、同年8月22日に取得した。なお、隣接北地については測量されており、また、鑑定評価を行い、その取得単価は鑑定価格以下であった。
    その後、その土地を平成14年2月28日に本町4丁目1259番2を(仮称)清川記念館建設用地として、1259番17を本町4丁目公園用地として、1259番18を公衆用道路用地として分筆した。
  3. 当該地の取得について
    市は当該地を取得することにより、(仮称)清川記念館を建設した後の非常時における避難路の確保等を図るため、当該地権者と交渉し、価格については市が平成12年8月22日に隣接北地を民間業者から購入した単価で、また、面積については公簿で購入するという条件で合意に至ったことから、平成18年9月25日に当該地を取得した。
  4. 監査委員は、上記1、2、3について、市から提出された書類等により確認した。
2 判断

市には土地を取得するにあたっての要綱等はない。一般的に測量や鑑定評価を行って取得することが妥当であると考えるが、本件においては、当該地は長年にわたり隣接する土地との境界が確定できず、購入に当たり測量が困難であった。また、市は平成11年度から当該地を隣接北地と一体として取得するための交渉を行っていた。
土地の売買は取引の必要性に応じて個別的に価格形成されるものであり、当事者間の価値判断による要素があることを考慮すれば、測量を行わず公簿の面積で、また、平成12年度に、当時の鑑定評価額を参考に隣接北地を民間業者から購入した単価で当該地を取得したとしても止むを得ないものであり、事業遂行者である市長の合理的な裁量権の範囲内であったと判断する。
以上のことから、市が当該地について測量や鑑定評価を行わず売買契約を締結して取得したことが、違法かつ不当な財産の取得であるとする請求人の主張は、認めることができない。

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