住民監査請求監査 監査結果本文(平成18年12月6日)

更新日:平成25(2013)年3月15日(金曜日)

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監査結果本文

船橋市監査委員告示第14号
地方自治法第242条第1項の規定に基づく、船橋市職員措置請求について監査を実施したので、同条第4項の規定により、その結果に関する通知を公表する。
平成18年12月6日
船橋市監査委員 安田雅行
船橋市監査委員 山澤拓爾
船橋市監査委員 村田一郎
船橋市監査委員 浅野正明

第1 請求人

住所・氏名 省略

第2 請求の受理

平成18年10月12日付けで提出のあった本件措置請求については、平成18年10月12日に受理した。

第3 監査の実施

1 請求の要旨(措置請求書の原文のとおり)

船橋市長並びに担当部課長は、本町4丁目地先公共公益施設用地の取得について価格が通常の取引価格に比較して不当に高額であることを承知していたにも拘らず取得を行ったこと。また、当該用地の取得価格の決定の経緯が不自然であること。特に当該土地取得価格の参考とした不動産鑑定評価書の鑑定依頼が、仮定の条件を想定したものであること。
当該不動産鑑定評価依頼書の付帯条件に(6,5メートルの公道に接道していると仮定して別途に鑑定評価することも併せて依頼する。)とある。当該土地は、現状では幅員4メートル以上の公道に接道しておらず、このような付帯条件は極めて異常である。
また、この依頼書に対応した鑑定評価書の鑑定評価額の決定理由には、マンション用地としての将来性、周辺地域では希少性の高い大型画地であること、将来的に街路条件が改善された場合はマンション建築の可能性が見込める。との記述がある。また、他の鑑定書の鑑定評価方式の適用の要旨には収集した取引事例の対路線価ベースと実勢価格ベースの割合は1,00対1,85と示されているが、事例の多くがマンション用地としての価格と想定される。また、同鑑定書にも当該土地が商業性を有するマンション用地としての将来性を強調した記述が目立つ。
当該土地は車両一方通行路である山口横町からの狭隘な公道(幅員4メートル未満)に接道している。山口横町には拡幅計画はない。また、近い将来において近隣に大型商業施設の出来る可能性も少ない。
なお、バブル崩壊後の首都圏に於ける土地価格動向は近年(数年前から)マンション用地の買いあさりにより、大規模画地で容積率の充足性が高く、かつ、交通利便性に富んだ土地の価格高騰を招いている。
今回の当該土地の取得価格は、それらの要因を理由に仮定の条件を敷衍した価格と言わざるを得ない。土地の鑑定価格、取得価格は現状によるものであるべきであろう。仮定の条件での鑑定評価依頼が不動産鑑定士に期待される価格の予見を与える結果を招き、依頼者への阿りを助勢したものと思料される。以上のことから当該土地の取得価格を適正な価格に引き下げることを請求する。
次に不動産の専門家(不動産アナリスト)として請求人の当該土地の査定価格を示す。1平方米当たり201,600円であり、詳細な根拠を示す用意のあることを申し添える。

2 監査対象事項

請求書に記載されている事項及び事実を証する書面並びに請求人の陳述内容から、監査の対象事項は「本町4丁目広場公園他公共公益施設用地(船橋市本町4丁目1262番1及び1262番15。以下「当該地」という。)の取得事業において、千葉県地方土地開発公社と株式会社アーバンエステート及び船橋市が締結した土地売買契約の売買代金は、付帯条件(6.5mの公道に接道していると仮定し別途に鑑定評価することも併せて依頼します。)を付した不動産鑑定評価に基づくものであることから、適正な価格に引き下げること」とした。

3 監査の実施

監査は、次のとおり実施した。

1 求人の証拠の提出及び陳述

平成18年11月13日、請求人に対し、地方自治法第242条第6項の規定に基づき、証拠の提出及び陳述の機会を与えた。また、平成18年11月21日に請求人より追加資料の提出があった。

2 関係職員の陳述

平成18年11月13日、都市整備部参事(みどり推進課長)から陳述の聴取を行った。

3 関係する職員の事情聴取

本件監査の対象となった書類を調査するとともに、平成18年11月20日に次の職員から事情聴取を行った。
都市整備部参事(みどり推進課長)、みどり推進課長補佐、みどり推進課主査。

4 現地確認

平成18年10月24日に監査委員全員で現地確認を行った。

第4 監査の結果

1 主文

本請求について、監査委員は、合議により次のとおり決定した。
本件措置請求は却下する。
以下、その理由について述べる。

2 理由

1 事実関係
  1. 当該地の取得に至った経過は、次のとおりである。
    平成16年4月9日都市整備部みどり推進課の依頼により財政部管財課が不動産鑑定評価を株式会社古沢不動産鑑定事務所(以下「古沢事務所」という。)に依頼
    平成16年6月25日古沢事務所の不動産鑑定評価書を受理
    平成17年7月5日当該地の取得に関して船橋市公共施設用地の取得に関する協議会要綱(昭和59年船橋市要綱。以下「要綱」という。)に基づき船橋市公共施設用地取得協議会(以下「協議会」という。)に協議依頼
    平成17年7月27日協議会の承認通知を受理
    平成17年7月28日都市整備部みどり推進課が有限会社岩下不動産鑑定事務所(以下「岩下事務所」という。)に不動産鑑定評価を依頼
    平成17年8月26日岩下事務所の不動産鑑定評価書を受理
    平成17年9月28日平成17年第3回船橋市議会定例会に提案した補正予算案が議決
    平成17年9月29日千葉県地方土地開発公社へ「公有地取得事業委託申込書」を提出
    平成17年10月3日千葉県地方土地開発公社から「平成17年度船橋市本町4丁目広場公園他公共公益施設用地取得事業に係る受託決定について」を受理
    平成17年10月3日都市整備部みどり推進課が有限会社不動産鑑定立地研究所(以下「立地研究所」という。)に不動産鑑定評価を依頼
    平成17年10月27日当該地取得事業の実施及び取得予定価格の決定
    平成17年10月31日立地研究所の不動産鑑定評価書を受理
    平成17年11月1日千葉県地方土地開発公社と株式会社アーバンエステート及び船橋市による当該地の土地売買契約(以下「土地売買契約」という。)を締結
  2. 当該地の3社の不動産鑑定評価について
    上記1の経過にて記載したとおり、当該地の不動産鑑定評価の依頼は、異なる時期に3回行われた。
    それぞれの不動産鑑定評価について、市からの依頼に係る決裁文書の原本と鑑定評価書の原本を、監査委員全員で次のとおり確認した。
    ⅰ 古沢事務所の不動産鑑定評価書について
    古沢事務所への鑑定依頼は、地元町会等からの要望や開発業者から宅地開発事業事前審査申請がなされている中で行われたもので、都市整備部みどり推進課から財政部管財課へ依頼し、古沢事務所へ鑑定依頼されたものであった。
    鑑定の依頼目的については、市として用地取得できるかどうかの検討資料とするための情報の入手であった。
    また、古沢事務所への鑑定依頼は付帯条件を付していないものと付帯条件を付しているもの(6.5mの公道に接道していると仮定し別途に鑑定評価することも併せて依頼します。)となっていた。受理した鑑定評価書(鑑定評価の価格時点:平成16年4月1日)においても、付帯条件を付していないものと付帯条件を付しているものの両方の評価が行われていた。
    鑑定の対象地は当該地の部分地であり、数量は1,949.59平方メートルであった。
    ⅱ 岩下事務所の不動産鑑定評価書について
    平成17年4月以降、当該地の複数の所有権が集約され、輻輳していた抵当権の解除や当該地にあった建物が解体される等の状況の変化が確認されたことにより、当該地の取得に関する手続きとして協議会の承認が得られた後、取得を目的とした鑑定を岩下事務所へ依頼した。
    岩下事務所への鑑定依頼は、付帯条件は付していないものとなっていた。受理した鑑定評価書(鑑定評価の価格時点:平成17年7月1日)においても、付帯条件を付していない評価が行われていた。
    鑑定の対象地は当該地と同一地であり、数量は2,138.19平方メートルであった。
    ⅲ 立地研究所への鑑定依頼について
    当該地の取得準備のため、平成17年第3回市議会定例会に補正予算案を提案し、予算案は議決された。鑑定評価額の信頼性を更に高めるため、立地研究所への鑑定依頼が行われた。
    立地研究所への鑑定依頼は付帯条件を付していないものとなっていた。受理した鑑定評価書(鑑定評価の価格時点:平成17年7月1日)においても、付帯条件を付していない評価が行われていた。
    鑑定の対象地は当該地と同一地であり、数量は2,138.19平方メートルであった。
  3. 当該地の売買契約額について
    当該地の取得については要綱に基づく協議会に平成17年7月5日協議を依頼し、同月27日に協議会より承認の通知を受けた。
    当該地取得事業の実施及び取得予定価格の決定に係る決裁文書の原本と、千葉県地方土地開発公社と契約当時の所有者であった株式会社アーバンエステートと船橋市の3者による土地売買契約書の原本を、監査委員全員で次のとおり確認した。
    取得予定価格の上限額は、岩下事務所と立地研究所の鑑定評価額(単価)の内、低い金額に決定されており、土地売買契約の売買代金についても同金額以下であった。
2 判断

以上のことから、平成16年6月25日に受理した古沢事務所の付帯条件を付した不動産鑑定評価額に基づいて、土地売買契約が締結されたという事実は確認されなかった。
このことから、「当該土地の取得価格を適正な価格に引き下げることを請求する。」という請求人の主張は、事実を誤認したものであり却下する。

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