住民監査請求監査 監査結果本文(平成18年9月11日)
監査結果本文
船橋市監査委員告示第9号
地方自治法第242条第1項の規定に基づく、船橋市職員措置請求について監査を実施したので、同条第4項の規定により、その結果に関する通知を公表する。
平成18年9月11日
船橋市監査委員 印
第1 請求人(略)
第2 請求の受理
平成18年7月14日付けで提出のあった本件措置請求については、平成18年7月14日に受理した。
第3 監査の実施
1 請求の要旨(措置請求書の原文のとおり)
民間事業者が計画し開発許可が為された大規模高層マンション建設の開発区域において、その開発区域の中央部に至る市有地(赤道)が現に存在している。そしてこの市有地(赤道)のうちの市道認定をしなかった区間の土地(以下「当該市有地」という。)は民間事業者の建築物の建築敷地に供される予定となっている。これについて市及び民間事業者は、当該市有地を付け替えることにより、当該市有地が存する部分の土地を民間事業者の建築敷地に供するものであると説明している。
しかしながら、これは表面上あるいは事務処理上は「付け替え」と表現しているが、実体はそうではなく、特定の民間事業者に対する「市有財産の無償譲与」であり、かつ、このことにより派生する大きな利益を特定の民間事業者が享受する結果をもたらしている不当な行為であるので、当該市有地の原状回復の措置及び当該市有地の市道認定の措置を求めます。
2 監査対象事項
請求書に記載されている事項及び事実を証する書面並びに請求人の陳述内容から、監査の対象事項を『市道第43-525号線の延長線上にある赤道と呼ばれている市有財産26.51平方メートル(以下、「本件請求に係る市有地」という。)の処分について』とした。
3 監査の実施
監査は、次のとおり実施した。
- 請求人の証拠の提出及び陳述
平成18年8月3日、請求人に対し、地方自治法第242条第6項の規定に基づき、証拠の提出及び陳述の機会を与えた。 - 関係職員の陳述
平成18年8月3日、道路管理課長から陳述の聴取を行った。 - 関係する職員の事情聴取
本件監査の対象となった書類を調査するとともに、平成18年8月3日に次の職員から事情聴取を行った。
道路部長、道路管理課長、道路管理課副主幹、道路部参事(道路建設課長)、道路建設課主査。
建築部長、建築部参事(建築指導課長)、建築指導課副主幹、宅地課長、宅地課主幹(課長補佐)、宅地課副主幹、宅地課主査、宅地課主任技師。 - 現地調査
平成18年8月22日に監査委員全員で現地調査を実施した。
第4 監査の結果
1 主文
本請求について、監査委員は、合議により次のとおり決定した。
本件措置請求は、請求に理由がないものと判断する。
以下、その理由について述べる。
2 理由
1 事実関係
- 本件請求に係る市有地の取得及び処分に至った経過は、次のとおりである。
平成15年2月14日国に対し、国有財産特別措置法(昭和27年法律第219号)第5条第1項第5号の規定に基づく譲与申請
平成15年4月1日国有財産譲与契約を締結。所有権が船橋市に移転
平成17年9月12日日本綜合地所(株)から船橋市前原東6丁目120番の宅地開発事業に伴う船橋市宅地開発事業に関する要綱(昭和53年船橋市要綱。以下「要綱」という。)第7条に基づく事前審査申請書を受理
平成17年10月4日要綱第9条第1項に基づく宅地開発事業事前協議指示書の交付及び各担当部局に協議依頼
平成17年12月2日都市計画法(昭和43年法律第100号。 以下「法」という。)第32条の規定による公共用財産付替等同意申請書を受理
平成17年12月8日宅地開発事業に伴う道路管理課の所管事務について協議成立
平成17年12月19日法第32条の規定に基づく協議が成立し、要綱第11条に基づき協議書を締結
平成17年12月26日法第29条第1項の規定に基づく開発行為許可通知書を交付
平成17年12月27日公共用財産付替等同意申請に対する同意書を交付 - 本件請求に係る市有地を国に申請して譲与を受けたことについて
本件請求に係る市有地については、平成15年4月1日に国有財産譲与契約を締結し所有権が船橋市に移転している。市道としての認定は現在まで行われていないが、譲与申請に際して「法定外公共物に係る国有財産の譲与手続に関するガイドライン(平成12年3月 大蔵省、建設省)」に基づき、その機能回復の可能性があり、または将来有効利用できると判断して譲与を受けたものであり、現在も行政財産として所有している。 - 本件請求に係る市有地の処分について
本件請求に係る市有地の処分は、日本綜合地所(株)(以下「事業者」という。)の船橋市前原東6丁目120番の宅地開発事業に伴い、法第32条の規定による公共用財産付替等同意申請に対して、本件請求に係る市有地を同開発区域内に含めて事業者に帰属させることと、事業者が所有する同開発敷地内で、本件請求に係る市有地と等面積の市道第43-525号線と同第43-038号線を連結する土地を市に帰属させることに同意するとともに、事業者が、市に帰属することとなる土地に接して幅員6mの道路とするための道路拡幅用地及び同開発敷地に接する市道第43-037号線、同第43-038号線、同第43-525号線の道路拡幅用地についても市に提供することで、法第32条及び要綱第11条の規定に基づく協議が成立した結果、行われることとなった。
なお、法第40条第1項及び第2項の規定により市に帰属することとなる上記の土地は、帰属後に市道認定される予定である。
2 判断
本件請求に係る市有地は、「法定外公共物に係る国有財産の譲与手続に関するガイドライン」に示された将来有効利用できる土地として譲与を受け、宅地開発事業に伴い、当該土地に代わり等面積の土地が市に帰属することとなり、且つ、帰属する土地と事業者から提供される土地と合わせて新たに6m道路が新設され、拡幅される行き止まり道路と接続して二方向に通行することが可能となる。また、協議書において、市に帰属する等面積の土地は、開発敷地と隣接地との境界から約5.1m開発区域に入り込んだ場所に位置しており、当該道路が新設されることを担保している。
以上のことから、本件請求に係る市有地の処分は、請求人が主張する「市有財産の無償譲与」であるという事実は見当たらず、「当該市有地の原状回復の措置及び当該市有地の市道認定の措置」の請求には、理由がないものと判断する。
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