監査結果本文(平成16年5月28日)

更新日:平成28(2016)年2月21日(日曜日)

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監査結果本文

監査委員告示第10号
地方自治法第242条第1項の規定に基づく、船橋市職員措置請求について監査を実施したので、同条第4項の規定により、その結果に関する通知を公表する。
平成16年5月28日
船橋市監査委員

  • 堀内清彦
  • 山澤拓爾
  • 池沢敏夫
  • 佐原正幸

第1 監査の請求

1 請求人(略)

2 請求の要旨(措置請求書の原文のとおり)

  1. 平成16年1月30日付で、船橋市教育委員会より、「平成14年度船橋市立坪井中学校における御祝儀等の出納帳および領収書」が部分開示された。(事実証明書1号)
    この資料より、平成14年度、坪井中学校における入学式祝金は92,385円、体育祭祝金は184,458円、卒業式祝金は95,752円であり、祝儀の合計は372,595円であった。
  2. 平成16年3月15日付船監第309号により、監査結果が通知された。(事実証明書2号)
    監査結果は、『「祝い金は、行事に招待されたことを契機に、その使途を行事の主催者に一任する趣旨でなす贈与と認められ、これは寄附として扱うほかなく、受領の時点で市の所有する公金となったと解するのが相当である。」とする東京高判昭和55年3月31日(判例時報第963号17頁)もあり、祝儀を受領した時点に市の収入とすべきものであったと考える。』との判断をなした。
  3. すなわち、平成14年度坪井中学校における祝儀372,595円は船橋市への寄附金である。
    よって、監査委員は、船橋市教育委員会委員長に対し、次のように勧告することを求める。


船橋市教育委員会委員長は、平成14年度船橋市立坪井中学校における祝儀372,595円は船橋市への寄附金なので、直ちに調定して船橋市の収入にすること。

3 請求の受理

監査の実施に当り、本件措置請求書が要件に適合しているかどうか審査を行ったところ、要件を具備しているものと認め、平成16年3月29日付けでこれを受理した。

4 請求人の証拠の提出及び陳述

法第242条第6項の規定に基づき、平成16年5月7日、請求人に対して、証拠の提出及び陳述の機会を与えた。

証拠の提出

新たな証拠の提出はなかった。なお、参考資料として所沢市長祝い金訴訟第1審判決(判例時報第882号26頁)の写しの提出があった。

陳述における主な主張の要旨

参考として提出のあった浦和地裁判決を例としてあげ、船橋市立坪井中学校における祝儀372,595円は船橋市への寄附金であり公金であるとの主張があった。

第2 監査の実施

1 監査の対象事項

平成14年度、坪井中学校における入学式祝金は92,385円、体育祭祝金は184,458円、卒業式祝金は95,752円であり、祝儀の合計は372,595円であった。
平成16年3月15日付船監第309号の監査結果は、『「祝い金は、行事に招待されたことを契機に、その使途を行事の主催者に一任する趣旨でなす贈与と認められ、これは寄附として扱うほかなく、受領の時点で市の所有する公金となったと解するのが相当である。」とする東京高判昭和55年3月31日(判例時報第963号17頁)もあり、祝儀を受領した時点に市の収入とすべきものであったと考える。』との判断をなした。
すなわち、平成14年度坪井中学校における祝儀372,595円は船橋市への寄附金なので、直ちに調定して船橋市の収入にすること。

2 監査の方法

  1. 関係職員の陳述
    平成16年5月7日に、法第242条第7項の規定による関係職員の陳述を実施した。
    (陳述の主な要旨)
    学校における祝儀は金銭だけに限らず、物品の場合もあり、地域の方々が地域と学校の意思疎通を図り、お互いの親睦を深めることが目的であることから、当時においては船橋市の歳入となる寄附行為とは捉えていなかった。
  2. 資料の提出及び事情聴取
    監査の実施に当たっては、関係部課から関係書類の提出を求め、平成16年5月7日に次の職員から事情聴取を行うなどをして、監査を実施した。
    教育長、学校教育部長、学務課長、学務課長補佐、坪井中学校校長、坪井中学校教頭

第3 監査の結果

1 事情聴取等の結果は、次のとおりである。

  1. 祝儀について
    御祝金等出納簿のとおり、平成14年度、坪井中学校における入学式祝金は92,385円、体育祭祝金は184,458円、卒業式祝金は95,752円であり、祝儀の合計は372,595円であった。
  2. 平成14年度の御祝金等出納簿の出納について
    収入額578,346円(内14年度祝儀372,595円)
    支出額245,413円
    残額332,933円
    残額332,933円については、平成15年度へ繰越した。
  3. 平成15年度の御祝金等出納簿の出納について
    収入額332,933円(14年度から)
    支出額332,933円
    残額 0円
4.平成14年度御祝金等出納簿の支出状況について 
支出年月日 金額 支出内容
4月17日 1743円 書類入れ箱年間を通じて膨大な量の書類が学校宛にくる。その書類を今まで以上に速やかに、尚かつ適切に処理し、分類するとともに整理するためにも必要であった。
4月19日 1995円 医薬品運動部の生徒が打撲やねんざなどで応急処置として使用する冷湿布ようのものが不足していたので急遽購入して使用した。
5月2日 14000円 小中体連歓送迎会費市内の部活動各顧問が一堂に会する会であり、この会への会費の半額を負担した。
5月9日 1000円 車代非常勤講師として依頼し、事前打ち合わせをするのに、こちらの都合で急な日時にあわせていただいたことと、交通の便があまりよくないことから車代として支出した。
5月9日 978円 茶菓子代(心電図職員)授業の関係で検査の流れが悪く、心電図職員に迷惑をかけ、帰りがけにお茶と少しの茶菓子を出した。
5月13日 3500円 北部生徒指導会議費本校は、北部地区・北習志野地区合同連絡会の組織に入っている。生徒指導担当職員の関わる会議は非常に多くある。それぞれの会議費の半額を負担した。
5月13日 90000円 学年運営費各学級にはそれぞれ諸問題がある(特に生徒指導関係)。夜の生徒指導や休日の生徒指導などで保護者との教育相談や家庭訪問などにおける通信費などに充てたり、学年行事などにおける予定外の経費に充てるように事前に渡した。
5月14日 6000円 教務主任研修会年間を通じてもっとも忙しい立場にある職種で、諸会議費の半額を負担した。
5月14日 2100円 借地御礼教育活動の一環で学年や学級で生産活動の体験をさせている。その場所を提供していただいている地元農家に前年度のお礼と今年度のお願いを兼ねて菓子を持参した。
5月15日 3500円 生徒指導部会地域の生徒指導充実のために近憐の生徒指導担当者が集まり情報交換をする。生徒指導関係者の情報交換会は不定期に開催するので、半額負担した。
5月17日 7500円 運動部顧問になると小中体連の会員になる。その年会費を納入するのに、半額負担した。
5月23日 2100円 茶菓子代バスを利用した郊外学習を実施するときに、地形上の問題で、近くの会社の土地を借用してバスの乗降をしている。そのお礼として菓子を持参した。
6月6日 13900円 県収入証紙(4名分)本来ならば、専門教科の教師によって授業がなされるべきだが、授業時数の関係で、専門教科外の教科を持たざるを得ない状況にあり、臨時免許証の交付を受けるのに県収入証紙が必要である。他教科を依頼する側として支出した。
6月11日 5000円 文房具代教育実習期間中に必要と思われる文房具代に当てた。
6月13日 2400円 生徒指導連絡会会費市青少年補導委員連絡協議会年会費を委員に依頼した学校の方で全額支払った。
6月19日 2320円 切手代(ミニ集会案内)県の教育施策の一つである「1000ケ所ミニ集会」開催に当たり、参集していただく方々への案内状送付の切手代とした。
6月24日 5000円 文房具代教育実習期間中に必要と思われる文房具を購入した。
7月6日 1950円 ミニ集会実行委員会初めての試みであった「1000ケ所ミニ集会」の実行委員には企画立案・実施をしていただいた。今回の反省と次回への課題などをあげていただきながら慰労も兼ねてお茶を飲みながら話し合った。
7月17日 1625円 茶菓子代夏休みを前に、休業期間中のパトロ-ル強化を改めて強く依頼するとともに巡回の回数なども含めてお願いに上がった際に菓子を持参した。
9月9日 5000円 文房具代教育実習期間中に必要と思われる文房具代に当てた。
10月4日 3500円 生活指導部会費地域の生徒指導充実のために近隣の生徒指導担当者が集まり情報交換をおこなっている。
10月11日 300円 ラシャ紙代(パネル用)学校行事でパネル展示をするが、数枚が不足して急遽購入し補充した。
10月17日 2400円 PCインク代PC本体は個人の物であるが、学校行事の企画書並びに運営計画書などを多く作製した。印刷の段階でインク切れになったので、緊急に購入して印刷を継続した。
10月31日 666円 蟻スプレー正門付近に蟻が異常発生した。一時は給食室付近まで移動があり保健安全上良くないので、急遽、蟻スプレイを使い撃退した。
11月1日 942円 シートフック、ゴキブリホイホイ特別教室の一室である調理室にゴキブリがたくさんいて、衛生的にも調理環境的にもよくないので、急遽購入して撃退した。
11月11日 1455円 所長訪問(フルーツ代)船橋出張所長訪問があり、フルーツ代として支出した。
11月11日 10122円 蛍光管(半田電気)職員室の蛍光管は特別仕様でサイズも大きく、蛍光管そのものの寿命も長いので交換頻度も少ないのだが、最近、続けて数本の寿命が来て交換を余儀なくされ、予備の管が1本しかなく職員の事務仕事に支障を来すので急遽購入した。
11月29日 3000円 花束年度途中で解任になる講師の先生に感謝の気持ちを込めて緊急に支出した。
12月13日 3000円 図書券年度途中で解任になる講師の先生ではあるが、規定の時間外にも多くの時間を割いて生徒の指導はもちろん、教師の指導・援助に尽力してくださったので、感謝の気持ちを込めて緊急に支出した。
2月18日 10000円 卒業証書代書料本校の交流教室の講師をしてくださっている方であるが、証書書きなどもして学校と関わっていたいという方で、依頼したところ快く引き受けてくださった。その謝金として支出した。
2月20日 7500円 グリーン賞メダル毎年度末に生徒の中から各分野において総合的に坪井中生として素晴らしかった生徒に「グリーン賞」を授与していた。しかし、年度によっては該当者がいない場合もあるし、多くいる年度もあるので予算化しにくく、ここから支出している。
2月14日 3150円 鎌倉関係図書1年生の遠足地が鎌倉市内であり、本屋や旅行業者が持っていない資料が「日本移動教室協会」こあることが分かり緊急に購入した。
12月24日 4600円 文具(画用紙、板目表紙)「3年生を送る会」の準備段階で紙材が不足していることに気づき緊急に購入した。
3月5日 6930円 ポリ容器のフタ冬季に使用するストーブに給油する際、灯油を入れたポリタンクを持ち運びする。そのタンクの蓋が長い年数を経過したために紛失している物が多くあり、生徒が持ち運びするたびに灯油を廊下などにこぼすので緊急に蓋を購入するのに支出した。
3月13日 4200円 お菓子代学校医ではあるが、年間通して定期的な検診はもちろん、養護教諭の相談にものっていただいた。お礼の気持ちを込めて緊急に支出した。
3月18日 2625円 植木鉢と土入学式に向けて花を植え、育てたもので新入生を迎えてやりたいと考え、緊急に支出した。
3月20日 4912円 デジタルビデオカメラ用バッテリー不足分バッテリー1個はあるが、長時間収録となると1本では連続収録ができないので、年度初めの行事から間に合うように交換用(不足分)に急遽購入した。
3月24日 2400円 賞状代年度初めの学年日課などで行われるレク行事などで使用する賞状の枚数が少なく、市会計で購入するには時期的に遅かったので急遽購入した。
3月27日 2100円 お菓子代子供たちの畑仕事の様子などを報告しながら、畑の借用をさせていただいたお礼に菓子を持参した。
5.平成15年度御祝金等出納簿の支出状況について
支出年月日 金額 支出内容
4月20日 1890円 部室合い鍵部室の鍵が折れてしまい、緊急に支出した。
5月6日 60000円 校外学習事前調査用書籍代2年生の校外学習(鎌倉遠足)、3年生の会津方面への修学旅行の事前調査学習のため、学校図書予算では購入しにくいガイドブック等の書籍を購入させていただき、保管場所は図書室とした。
5月30日 3343円 エバーマット体育館用フロアシート授業参観日の雨天時に体育館で走り高跳びの授業を行うときに外用のエバーマットを使用するため、体育館床の汚れや傷を防ぐためのフロアシート購入に緊急に支出した。雨天時の授業に大変役立っている。
6月22日 1029円 南京錠・プレート正門の鍵が不具合で、夜間は鎖を使用して門が開かないように固定するために緊急に支出した。また、特別教室等の鍵につけているプレートが、劣化して割れたり、折れたりしたので購入した。
7月15日 2520円 理科室合い鍵代理科室の鍵が折れてしまい、緊急に支出した。
7月18日 1260円 被服室合い鍵代劣化していた被服室の鍵が折れたので、緊急に支出した。
7月28日 2100円 駐車場借用御礼1年の遠足、3年の修学旅行でバスを使用する際、本校の正門及び正門前の道路が狭く、バスが校地内に入れず路上駐車も困難なため、近くの会社の社有地を駐車場として借用しており、お礼としてのお菓子代に支出した。
8月13日 12757円 高枝切り、のこぎり、小ネジ脚立や梯子を使用しても処理できず、毛虫などが教室のベランダや教室内に入るのを防ぐため、また昇降口の扉の錠の小ネジがとれてなくなっており、施錠が困難になったため、緊急に高枝切り、のこぎり、小ネジを購入し対処した。
9月7日 1680円 給食室扇風機台キャスター給食調理室にはエアコンがなく、夏場は相当な暑さになり、扇風機を使用するが、調理器具や食材の移動などに扇風機が固定されていると移動に支障があり、考えた末にキャスターを付けた台を考案し、キャスターを購入するため緊急に支出した。
10月3日 29568円 総体駅伝ユニフォーム本校は陸上部がなく、駅伝の時には体操服にゼッケンを付けて出場していたが、今後のことも考えて、学校でユニフォームをそろえ、緊急に支出した。
10月6日 5000円 色上質紙(体育祭プログラム用用紙)体育祭のプログラム用の色上質紙の確認が不十分で、印刷が間に合わなくなり、購入のため緊急に支出した。
11月26日 4158円 正門の鍵番号式の正門の鍵が破損してしまい、夜間の侵入を防止するため緊急に支出した。
12月17日 45150円 捺印器卒業証書や賞状の押印がずれたり、曲がったり、一部が欠けたりするため、確実に押印できるように今後のことも考え、また、学校備品として購入できないために支出した。
1月10日 1655円 感謝状額・水道カラン人権作文の感謝状をいただき、そのための額を購入、また、外の手洗いの水道カランが破損しており、水道カランを購入のために支出した。
2月16日 160823円 樹木剪定業務代金樹木の枝が建物壁面まで伸び、また、折れた枝や葉が雨樋をつまらせ、雨漏りの原因にもなるので、学校予算や職員の手ではやりきれないものについて業者に依頼し、その代金として支出した。

2 判断

  1. 平成16年3月15日付船監第309号の監査結果について
    「祝い金は、行事に招待されたことを契機に、その使途を行事の主催者に一任する趣旨でなす贈与と認められ、これは寄附として扱うほかなく、受領の時点で市の所有する公金となったと解するのが相当である。」とする東京高判昭和55年3月31日(判例時報第963号17頁)もあり、祝儀を受領した時点に市の収入とすべきものであったと考える。
  2. 坪井中学校における御祝金等出納簿の支出について
    入学式、運動会、卒業式で受領した祝儀のその後の使途は、前記1の(4)平成14年度御祝金等出納簿の支出状況について及び1の(5)平成15年度御祝金等出納簿の支出状況についてのとおりであった。
    これらの支出の内容を性質別に見ると、おおよそ次のように分類できる。
    ア、事務及び文房具費用
    イ、施設の整備及び修繕費用
    ウ、学校行事においての関係者との挨拶等にかかる費用
    エ、協議会等の会費及び懇親会費用
    (ア)事務及び文房具費用並びに(イ)施設の整備及び修繕費用は、学校管理運営目的に支出されたものと認定できる。
    また、(ウ)関係者との挨拶等にかかった費用も社会的儀礼上必要と認めらる内容で、金額的にも妥当なものであった。(エ)協議会等の会費及び懇親会費用は、協議会の目的や懇親会の目的が学校活動のためのものであり、金額も半額負担とするなど妥当なものであった。
    このように、祝儀等の収入から支出されたものは、違法または不当なものはなく、全て学校管理運営のために支出されたものと認められる。
  3. 損害の発生
    法第242条に規定する住民監査請求は、職員の違法、不当な行為等の防止、是正をし、損害の補てんを図るための制度である。すなわち職員の違法または不当な行為によって、普通地方公共団体に財政上損害を与えていることが必要である。
    このことから、祝儀が学校管理運営目的に使用されていると認められるので、実質的に船橋市に損害を与えたとは認められない。
     

3 結論

以上祝儀は2の(1)で述べたように受領した時点で市の収入とすべきものであったと考えるが、2の(2)で述べたように支出の状況を見ると、学校管理運営のために支出されたもので、個人的に費消されたものとは認められない。
従って、上記2の判断で述べたとおり、祝儀は学校管理運営のために支出されたもので、受領した祝儀を市の収入としなかったからといって、市に損害を与えたと解することはできない。よって、本措置請求は措置の理由がないものとして棄却する。

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