第4回海を活かしたまちづくり推進協議会 議事録

更新日:令和6(2024)年3月15日(金曜日)

ページID:P001980

開催日時

平成13年10月10日(水曜日)午後2時~4時

場所

船橋市役所705会議室

会長

第4回海を活かしたまちづくり推進協議会でございます。早いもので、まだこの議事次第の(1)の海を活かしたまちづくり基本構想案についてがまだ議題に上っていますが、もう4回目になってしまったということで、これから先がかなりきつい上り坂になるのではないかと思っています。
それでは基本構想案についてM委員の方からよろしくお願いします。基本構想案だけではないのですね。計画に先立っての課題というところまで、よろしくお願いします。

M委員

最初に船橋が東京湾岸都市、千葉県の館山から神奈川県の三浦市まで28都市あります。この中で船橋がどのような位置付けになっているか。ということを最初に認識していただいて、本当に大変なまちなのか、豊かなまちなのか、その辺でみなさんに共通の認識を持っていただきたいと思います。
民力総合指数というのは、人口規模はもちろん計算されていますが、農業出荷額、商業出荷額、工業出荷額、それと地域の様々な都市施設、銀行の数とか、そういうものを平均化して、日本全国の1,600箇所ある都市を平均化して10,000として計算します。ちょうど中央値を10,000の数にしてそれぞれの都市がそれを中心にしてどのくらい大きいか、小さいかというものを比較して、簡単に分かり易い仕様に表したのが民力総合指数です。民力総合指数というのはここでは三浦市から始まって館山市までで、船橋がどういう位置付けにあるかということになります。そうしますと人口では2番目に大きいのですが、東京湾の他の港区だとか横浜市とかと比較しますと、もっと低いかなと思いましたら、意外にそうではなくて東京湾岸全体でもって第4位ということがわかりました。千葉県全体では、千葉県というのは湾岸都市です。東京湾に面している都市の中で第1位です。民力というのは総合的な指数のなかで見たものですから、千葉県の湾岸都市では最も活力があるということがいえます。それから東京と比較したときにはまた東京を後して横浜を後して、4番目にあるということが位置付けられると思います。それとただ残念ながら個人個人で、最初のページにでていますが、一人当たりの民力水準を人口で割りますと、決して高いものではない。かなり平均化して、東京都の中央区がとび出て一人当たりの活力が高い。ところが湾岸都市28都市は中央区と港区を除けばほぼ均衡して、一人頭の力で見れば、ドングリの背比べですね。ということがわかります。
次に一般にいわれている都市が本当にどれくらい活力があるのかというのかという見方にございましては、住宅着工戸数というのがございます、ちなみにこのデータは2000年に出版された民力をベースに載せました。データは1999年をベースにしております。人口指数はそれ程大きくは変わっていません。工業出荷額、商業出荷額は大きく変わっていません。住宅着工戸数でいいますと、東京湾全体28都市のなかでは第3位を占めております。千葉県のなかではもちろん第1位です。ということはそれだけ経済的活力があると、これは下の方にあります預金残高でいいますと東京湾全体で第5位、千葉県では第1位、しかもこれはかなり飛び出て預金残高が高い。ということは個人個人が極めて裕福だということがいえます。そういう裏付けがあって住宅着工戸数が高いということは、それだけ船橋というのは実は豊かだということがいえます。それから細かいことをいえば小売業の商店販売額が東京湾全体第2位を占めています。そうなりますと千葉県内では第1位です。そうなると最も活力のある都市であるといえます。これは東京をこえて第2位ですから、これもららぽーと等の売り上げが影響しているものと思われます。それから意外だったのが、5番目にあります工業製造品年間出荷額が東京湾全体の中で第7位です。同時に千葉県内では第2位です。これは資料の中に工業製造品年間出荷額というのがございます。千葉県の中では市原市が飛び出て高い工業製造品出荷額をもっています。意外と船橋は工業都市というイメージでみなさんもお持ちになっていると思いますし、私たちも実際の土地利用で湾岸部の土地利用を見ればすべて工業地帯です。そうしますとやはり工業都市かと思っていたのですが、船橋市を市原市と比較したら4分の1くらいの売上高しかない。ということは別の見方をすれば工業の空洞化が進んでいるのかなと。つまり都心部に近いために重工業地帯はほとんど市原の方に移転してしまう。あるいはここにあった工業の本社が海外に移転するとか、あるいは実際の生産がされていないということが現れていないかということで、工業の空洞化が船橋市の工業地帯で起きているという現れでないかと思っております。それから総事業所数も第7位、千葉県の中では第1位です。これはやはり同じようなことなのですが、別な事業が増えているのかなと、あるいは既に昔からある老舗の工業地帯が一応名前だけ残っている。しかし実際の生産は活動していないということの現れではないかと思っております。あるいは新規事業展開が行われているかどうか、この辺も詳しく調査しなければならないのですが、全体の中でいえば船橋市は極めて活力に満ちて、個人個人は豊かだということが言えると思います。
それでは周辺3都市、隣接している市川市と隣の習志野市、船橋を挟んだ両都市が、ここでの比較は都市生活の環境に焦点を当てまして実際にはどうなのだろうかということを検討してみたいと思います。
ここでは下水道普及率、残念ながら船橋市の下水道普及率は低いです。約40%です。習志野市が72.6%、市川市が58.2%に比べて約40%ということで若干低いか、これはとらえ方ですけど、逆に言えば今後この整備のために市はかなりの財政負担を強いられるということになります。今後何十年をかけて下水道を整備していく。これを整備しないと、また海老川等の汚染、それがそのまま海洋の汚染というものにつながることになりますので、この辺を住民の皆様はどう思いますか。至急これをお金がかかっても積極的に下水道普及を進めていくという立場と時間をかけてゆっくり財政負担を少なくしながらやっていくという二者選択が今後責められる可能性があります。いずれにしろ普及率が低いということで、隣接二市に比べて低いということをご確認下さい。
それから緑地面積は緑地および公園数とすれば非常に多いです。次のページを見ていただくとわかりますが、緑地公園数は515箇所で隣接する習志野市、市川市に比べればはるかに多いということが言えます。下にも書いてありますが、みなさんの図の中で見ますと折れ線グラフで書かれている一人当たりの緑地面積で計算しますと隣接二都市と比較して低いということがわかります。これはどちらかというと船橋市の場合には北側の方に公園緑地が多くて沿岸部には少ないということがわかるわけです。ということで一人当たりの緑地面積が低い。また沿岸地域も港湾を中心とした工業地帯という土地利用の特性かもしれませんがとにかく緑地が少ない。この辺が今後の大きな課題になるのではないかと思います。
では医療施設はどうか。みなさんの今後の長い老後の生活、あるいは子供たちの医療をどうとらえているかといいますと、非常に多いです。施設数は隣の二市に比べて多い。ただし一人当たりの数でいきますと少し低いなという感じもいたします。次は公害苦情発生件数ですけれども、市川市に比べたら少ないです。でもそれが1000人当たりの公害苦情件数でみればそれなりの苦情が出ているのかなという感じがいたします。それから社会教育施設は他市に比べてかなり多いです。ただし1000人当たりで見ますとそれ程多いとは限らず、市川市等に比べると利用者が少ないというとらえ方も出来るのかなという感じがいたします。ただし福祉施設というとらえ方をすれば、さすが船橋さん。福祉を謳っているまちだなということがわかります。他の二市に比べてはるかに福祉施設は多いです。4倍から5倍ぐらい多い。それから1000人当たりで見てもはるかに多いということがよくわかります。それだけ福祉については充実度が高いということがいえます。それと総人口構成比で見ますと、グラフで見るとあまり大きな差は見られないのですが、やはり他の地域に比べて少し少子高齢化が進みつつあるということがいえると思います。そういうことで湾岸都市および隣接都市と比べて船橋を見ますと、一番の問題はここに書かれている下水道普及率と緑地面積が都市のアメニティというものを阻害している要因になっているのかなと。ただし個人の支出あるいはまちの活力ということでいきますと豊かで活力があるといえると思います。ただし沿岸部の工業地帯が空洞化しつつあるという現象がありますので、この辺を今後どうするのかが海を活かしたまちづくりにおいては重点施策になると思います。
では、海を活かすということはどういうことですか。ということで、この辺をもう一度定義してみましょうというのがもう一つの大きな課題になります。そこで歴史的な産業革命を境にして大きく社会が変わりますので、産業革命前が「漁労の海」「交易の海」「防塞の海」これはわかりますのであえてご説明しません。現在というのは産業革命以降、この20世紀、21世紀の本日までこういうことでいきますと世界中そうなのです。特に港湾をもって都市が発展しているところは、アメリカにしろ、ヨーロッパにしろ、必ず前面の海を工業用地として埋め立てて造成しているという歴史がございます。それと同時に造成したものは何かというと、いわゆる工業社会における重厚長大型の産業をそこに張り付けるということで、まさに産業の海だった。これは漁業の海ではなくて産業の海です。
それから同時にそういういろいろな社会問題が起きてきて、海を余暇・レクリエーション・リゾート地として使うようになったのが19世紀、20世紀にかけてのひとつの新しい使い方です。ところがこれを反省してきまして、また先進国においてはポストインダストリということ。それから情報革命ということで、海が従来のこういう造成産業型の海ではないですよということで。
環境の海ということが大きなテーマになっておりますし、海を汚すことなく都市の活性、活力に利用していきましょうという方向になりつつあります。ということで環境の海、それから再生の海というのは都市の活性化、住民の生活環境の豊かさを基礎とする意味で、再生の海ということがいわれます。これは前回の議事録にも書かれておりますが、三浦先生がおっしゃった国土交通省の21世紀型コンセプトにも載っておりますが、そういう意味で再生の海、それから同時に地域を振興するということで、今までは地域の経済活力を産業に求めていたわけです。それがここでは海のきれいさだとか、あるいは様々な自然の活力があるということで、それによって人々を海にひきつけて、交流人口を喚起する。それによって経済を活性化しようということで、交流人口をこの地域に呼び込むためには、いわゆる船橋市の海というものを浄化しなければいけない。ということで位置付けております。
これからの海というのは、まず環境重視型にして都市の活性化につながる最低論理であると、それで価値付けのした海や都市の情報を発信する能力を持たなければいけない。キーワードとしてはこの3つをあげております。それでは海そのものには、今まで私たちが考えていたのは、陸の視点に立って海を見てきたわけです。今度は海というそのものをどういう位置付けにあるかということで、まず海洋開発というのは1970年から出てきた言葉です。国の政策で1970年、昭和45,46年頃から始まったものですが、海の資源を開発して国の産業の振興、ならびに生活の向上に資源を活用しようということで始まったものです。
ここでは4つ資源が位置付けられています。エネ資源というのはエネルギーです。略してエネ資源と書いてありますが、石油や石炭がエネルギー資源です。それから食料資源、これは漁業で得られる魚介類です。それから鉱物資源。鉱物にはマンガン団塊だとか熱水鉱床、従来の鉄や金などが含まれますがそういう鉱物資源。それと空間資源。これは陸地からの埋め立て地の要請で埋め立てる可能な面積つまり水深が20m~30mの浅海の浅い海があれば積極的に埋め立てて消費していこうという意味での資源。これが4つの海洋開発上の資源です。ところがその他に技術開発課題として、資源というのは、これは確実に社会の向上のために利用するためには密度がなければいけないわけです。ところが密度がないけれども様々な資質、海としての特性として色々な資質があります。例えばエネルギー資質。今、海洋発電をやろうということで、太陽熱発電と同じように波の力を利用して発電しましょうとか、それから海水の表面の温度と深いところの温度は違いますので、温度の差を利用しましょうというのが温度差発電といいます。たとえで言うなれば、冷蔵庫の逆で発電するということです。冷蔵庫は電気でモーターをまわしてコンプレッサーを駆動するわけです。そこにアンモニアガスという非常に低温度で気化するガス化するガスが入っています。液体でアンモニアが入っています。液体が蒸気になる過程においてまわりの熱を奪って冷たくなるわけです。この逆をすると発電ができるわけです。それを海でやろうというのが海洋温度差発電です。例えばそういうことができますということです。今の普通にやっている火力発電あるいは原子力発電に比べれば熱効率、それから生誕性が悪いので、現在はまだできていません。実験レベルです。
もうひとつは環境的資質があります。東京湾の方で三番瀬を見ても、水をきれいにするのは人間がやるよりも、じつは二枚貝の種類です。アサリとか環形動物であるゴカイとかが泥の中に入ってそこで水から酸素をとる餌をとる状態になりますと、水をろ過してくれるわけです。これがひとつの環境的資質、海の生物を利用した水を浄化する環境的資質といいます。それから地政学的資質というのは、その地域がどの海に面しているか、例えば東京湾に面している船橋だとか、あるいは北海道で考えればロシアに近い稚内だとか、こういうのは政治的、宗教的、物理的な距離の違い、ということでそういう位置付けが地政学的資質といいます。それからもうひとつはよくウォーターフロントでいわれます心象的資質。つまり心の映像として、海の風景としてきれいな海があって、海鳥が飛んでいる。爽やかな海風が吹いてくる。こういうのが心象的資質といいます。これはまだ資源化されていないのです。ただひとつの考え方として心象的資質を活用してまちの活性化を図ろうというのが今まで言われてきましたウォーターフロント開発です。1970年ぐらいからアメリカのボルティモアとかニューヨークとかボストンとか、あるいは色々なところのウォーターフロント開発というのは、まちを活性化するひとつの指標ということは認識されていると思います。そういうことで具体的にウォーターフロント開発というのはどういうものなのか。これは経済的な活用の仕方ではなくて、より人間の立場に立ったウォーターフロントの、ひとつの計画指標みたいなことです。まずそこで先ほどのいろいろな資質がある中で心象的資質を活用した、人間の心、五感にうったえて海のすばらしさを商品にしていくという考え方がウォーターフロント開発の考え方です。それでまず、親水性。ここでは海の資質というものを大きく3つに分けています。親水性、臨水性、智水性とここでは名前を付けています。
親水性というのは、私たちが海辺に行って感じるリフレッシュメント。特に水を触ったり、海鳥がいますね。遠くに水平線が見えますね。あるいは行き交う船がすばらしく感じる。躍動的に感じる。そういうものが心象的なもので、特にこれを水の親水性、ただ水を触るだけでなくて視覚的にもうったえかけられる。これを水の魔法効果といいます。これを英語ではウォーターマジックといいます。ウォーターマジックを上手に使えば、その都市の環境整備とまちの活力を得るということが1970年から1980年にかけてアメリカで証明されました。それを活用して日本でも、横浜とか神戸とかそういうところで水の魔法を使いましょうということで、都市の再開発のなかにウォーターフロント再開発という概念が利用されています。それから臨水性というのは開放性の効果と言っていますけど、例えばみなさんが都市の混雑の中からふと海に訪れると、そこが突然開かれた感じがする。これはオープンスペース効果といいます。つまり海の空間がそこに行くことによって、都市の高密度で利用された空間が海辺に行くとはっと開ける。それがまたすばらしさを感じるわけです。そこから見る都市の屋根が、都市の影と言いますか、そういうものを調合することができる。つまり大規模な都市のなかで、都市の中に埋没していると都市そのものを理解することができませんが、一旦岸に立つことによって都市全体像を眺められる。それとそこで空間が秩序だってみえる様子をオープンスペース効果といいます。これが臨水性、水に臨んでいる性質が人々に活力を与えてくれる要素でもある。
それから智水性。これは水の誘発効果といいます。ウォーターインセンティブ効果ともいいます。そこで何かやりたいな、人がこれだけ集まってくるのだったら私は商売したい。あるいはもっと人が集まるように環境整備し、そこに住んでいる住民の生活を豊かにする環境にしたい。そういうような環境整備の概念と経済的な活力。あるいは新しいことをやってみたい、ビジネスをやってみたいという効果がここに生まれてきます。この3つを象徴してこのウォーターフロント開発のコンセプトとします。またこれらは世界中に共通することで、日本だけではないです。世界はこの一歩先に今進んでいます。船橋はこれから整備をしようということです。ただし世界が先に一歩進んでいても、そのノウハウをいっしょに入れて、はっきり言えば1970年、1980年代にウォーターフロント開発が船橋で行われなかったために30年後にあるいは20年後に私たちは世界の先進的考え方を統合して行うことができるというメリットもあるということです。1980年代に作られたウォーターフロントは陳腐なものです。もうぜんぜん時代に合わないのです。もうウォーターフロント開発という言葉さえなくなっています。今何が言われているかというと、世界で初めてウォーターフロント再開発に成功したボルティモアの今の課題はスマートグロース。健全なる都市の発展コンセプト。それと今、産業革命もなかった中国が情報革命を図った。ところがこの10年間の改造政策でもって産業革命と情報革命がいっぺんに来ました。その結果21世紀は中国中心の経済社会になるといわれています。同じように船橋は他の地域に比べて20年、30年遅れたが日本の中で最も先進的な、しかも三浦会長が言われた流域圏の自然環境共生型の新しいコンセプトのもとに新しいまちづくりができる。しかもウォーターフロント開発という概念と、スマートグロース・都市の健全な発展ということを一体となってまちづくりをする、ということによって日本で最も先進的なまちづくり。そのコンセプトは住民と行政と地方の産業がそれともうひとつ専門家が一緒になって共同してまちづくりをやりましょうという考え方がスマートグロースの基本的な考え方です。
まさにこの協議会がまた港湾を含めた形で新たなまちづくり展開をされるというのは、一歩先進的な取り組みがここで始まったということができると思っています。そういうことで海を活かしたまちづくりというのは日本の中でも世界の中でも今後、先進的な事例たる位置付けができると思います。
ここで昨年度、環境,観光,港湾ということで位置付けられています。まさに私が今話したところは、親水性の確保、臨水性の整備、智水性の促進というテーマを持ちながら環境の海による生活環境整備と再生の海による経済活性化をベースにして、具体的な計画を書かなければいけない。これは前回みなさんからいただいたご意見をもとにもう一度ここで海の位置付けをします。
海は魚介や海藻を育む生活の場であるとともに、物流工業港湾や都市が吐き出す廃棄場として役目を果たしてきた。まさに船橋の海、三番瀬というのはそういう位置付けを持つことができる。海が持っている自然力を超え、海が持つ生物の多様性をないがしろにしてきたことが大きな問題です。そのため船橋に海があることを知らず海が持つ無限の可能性を無視してきた傾向にある。そういう反省の位置付けに、ここにもう一度作らさせていただきました。それで、昨年の平成12年度の懇談会で行ってきたものをもっと明らかにしようということで問題と課題に整理しました。船橋の問題ということで、大きくはハードとソフト。つまり物理的な整備しなければいけないハード部門と今後ソフトで考えていかなければいけないものとに、大きく分けてみます。ハードなものでは水質の問題、排気ガスの問題等の環境問題が出てきています。これは陸水、海水を含めています。それから生活環境インフラの欠如。先ほど示しました緑地公園数は多いよと。公園と緑地は多いよと。数は多いけれど実際ひとり頭で見ると少ないですね。特に臨海部に環境整備が行われていない。ここをどうしますかというのが問題として昨年いわれました。それからウォーターフロント整備の必要性。これも謳われます。これも周辺が工業立地でもって簡単に海へアクセスできない。アクセスしても交通問題でまた大きな混乱をきたしている。こういう問題が提起されます。こういう問題に対して課題としては水質の浄化、陸水海水の浄化、それと同時に底質の浄化、こういうものが課題として上げられます。今後、ここで考えなければいけないのは誰がやるのですかということです。これは当然、水の管理は基本的には国、県です。その中で市は何ができますか。そうすると下水道整備ということになります。これも膨大なお金がかかります。これもどうしましょうか。これについて検討しなければいけない。この沿岸地域ですとこの課題に対して回答を作らないといけない。それが私たち理工学研究所の役割でもありますし、それに対して様々なご意見を、アイディアをいただき今後の具体的な方針に作り上げていく、アクションプログラムに起こすのが私たちとみなさんとの役割だと思います。それは実行に移すアクションプログラムではなくて、何を私たちはできるかということを役割分担で明確にしていくことだと思います。それと環境生活のなかでは緑地、景観、道路、これが遅れています。特に湾岸地域は。これの整備をやらなくてはいけない。これが課題です。それから海へのアクセス。東西軸は何とかなっているけれど、南北軸は非常に弱い。これをどう解決しますか。それから海へのアクセス。近づきやすい道路整備。それからボードウォーク等のウォータフロント整備をどうしますか。というのが課題です。それから本来、船橋港を挟んでららぽーととこの地域を一体化していこうという発想があるのですが、やはり断絶されている。空間的な断絶と歩行的なアクセスの断絶があります。それから空間的な環境の断絶があります。これをどう一体化するかというのが昨年出された課題です。ですからここでは土地利用の見直し、漁港とららぽーとをどう結びつけるかというのも大きな課題ですよと。場合によっては土地利用というものを商業地区にするか、別な用途にするか、これは今後の課題になると思います。
それからソフトな部分で、経済活性化が必要ですね。経済活性化の手法が重要ですね。それからユニバーサルデザインの考え方、つまり高齢化社会に向けて誰もが安全で快適に利用できる海辺そういうところをどうしますか。
それから公園緑地のデザイン。緑地は増やせてもその地域に根ざした適正なデザインというものが必要になります。これは具体的な面積を設ける、公園を設けるという話でなくて、やはりソフトな対応になると思います。例えば、お年寄りが公園の中で座りたいといった時に、椅子はどういう椅子がいいかということもありますし、トイレもただトイレがあればいいということではなくて、お年寄りが容易に使えるトイレはどんなものでしょうかとか、この先、商店で買い物するときにショップモビリティーという話が前々回出ました。ショップモビリティーを含めた公園のあり方、この辺を考えていかなければいけない。それから重要なのは子供たちの環境教育です。こういうものが具体的にどういうプログラムで、広域で考えられる海の拠点としての、まさに私たちのコンセプトである環境、観光、港湾という中で、環境教育プログラムをどう作っていこうか。これは問題であり課題でもあります。この2つを合わせてこの私たちの協議会としては、今後の海を活かしたまちづくりの基本方向性を探ったわけです。
前回提案したこれからの海の位置付けということで、さらに委員のみなさんから大変ご親切にワープロできちんと打って出していただいて、大変すばらしい発想で手直ししていただきました。それらを総合的に見直しまして、しかし一言一句みなさんが提案されたそのものではないです。それをさらに基本コンセプトの環境、観光、港湾の視点に立って様々な問題を踏まえて手直ししたのがこれです。これからの海の位置付けとして、海は人と自然とが共生する場であり、海が育む生物の多様性は心を豊かにし生活を潤す。海の自然を大切にする人の生活は町と文化を活性化する。という考え方のもとにこの方向で具体的な施策を考えていきます。
次に基本構想として、みなさんのお手元にあります基本理念、目的、委員の方から基本理念と目的を一つにしたらいかがですかというご提案もございましたが、やはり、一緒にしないできちんと分けて整理しましょうということで整理しました。
1、基本理念
「海,川,里山,森,文化、産業を活かした、船橋らしいまちづくりを推進する。」 今までは海が中心で提案していましたが、その中に海、川、里山、森、文化、産業ということで、非常に幅の広い生活全体を包含した形で海を活かしたまちづくりをしていきます。ということになります。それから目的といたしまして、「自然環境の保全とアメニティ豊かな環境・観光港湾を目指す。」 先ほどの観光港湾の位置付けがここに目的性を発揮させるということで、出させていただきました。
基本方針ですがここでは五つ定理し直しました。
1番目は「自然環境を活かした循環型のまちをつくる。」 今私たちが使っている生活水というのは、そのまま河川を使って海まで流れています。先ほど言いましたように下水道普及率が39%ほどです。あとの60%はそのまま垂れ流しか、トイレについてはポンプでくみ上げて持っていくという状況です。あるいは自分の中で貯めて浄化してその上澄みを流すという仕組み。しかし、そういうものが負荷になっていますのでそれを循環するという考え方のもとに下水整備あるいは様々なごみの整理、そういうものを考えていかなければいけないということで循環型のまちをつくる。これは大変難しい問題ではあるのですが、こういう基本姿勢に立っていかないと整備できていきません。
それと2番目には「自然・歴史・文化などに触れ感動をあじわえるまちをつくる。」 ということで、歴史、自然のすばらしさをもう一度検証してみましょうということになると思います。
3番目には「住んでいる人が安全で安心な生きがいを感じられるまちをつくる。」 安全とかそういうものは物理的にある程度整備できるのですが、生きがいを持たせるというのはなかなか難しいものがあります。個人の問題がありますから、ただまちとしてはこのくらいの意気込みを持っていないと豊かなまちづくりというのはできないわけです。
4番目に「親しみと憩いのある海っぺりや、にぎわいのある楽しい川っぺりのあるまちをつくる。」 という表現を使いました。5番目は「市民・行政・企業・大学・NPOなどと協働してまちづくりをする。」 ともに働いて汗を流してやりますよと。じつはこれが先進的な事例のスマートグロースの基本なのです。今まで行政だけで計画してあとでご意見を調整する。というマスタープランが出来ているのです。今回はマスタープラン作りも含めて協議会が方向性を出していくという形になりますので、そういう意味では一歩も二歩も進めた協議会のあり方ではないかと思っています。
施策ですが1番目、私たちは前回あっさりした表現で出していましたが、委員のみなさんの生の声、具体的な地名を上げてその辺をどうするのかということで出させていただきました。
(1)「船橋市の持つ海や川や商業集積を活かしてまちのにぎわいを創出し、都市に活力を与えるため、海老川河口部を海に親しめるインナーハーバーとして整備し、湾岸部の集客施設や漁師町などを活用する。」 これは具体的に河川部のネットワークを活かし、また現在の商業集積、都市環境を活かしながら船橋らしいまちづくりをやろう。ここでいう漁師町というのが他の東京湾岸にはない考え方なのです。漁師町というものが都市の中にはなくなったということで、それを活かしていこうというのがオリジナルな考え方だと思います。これが船橋らしさにつながるのかなと思います。上流には船橋大神宮もありますし、この辺とのネットワークも考えていかなければいけないと思います。
(2)「海老川調節池や夏見・金杉地区について、自然と調和した整備を進め、海老川沿いの散策路を活用し、海までのネットワークの形成を図る。」 比較的インナーハーバーとしての漁港の港湾の部分までは何とかなるが、その先の三番瀬、船橋海浜公園のところをどうネットワーク化するかというのは今後の大きな課題です。それプラス、船橋の海、東京湾の海を総合的に浄化していく仕組みも考えなければいけない。そう意味では物質循環というのは最初の定義にありました。これが一番の大きな課題だと思います。ただしこれも県と国と市と私たち住民がどういう役割分担をするのですかというのが具体的な施策にどう反映させるかが課題です。
(3)「船橋駅南口再開発ビルを商業振興の拠点として、本町通り、御殿通りや山口横町などの路地裏や船橋大神宮などとのネットワーク化により、川から海への回遊性の創出を図る。」 が先ほどまで言ったことです。ただし、ここに再開発ビルというのが今後どういう形で私たちが理解し位置付け、そこを拠点として海までの商業集積をどう図っていくか、あるいは活性化を図るかというのがここにおける課題になると思います。
(4)「海を活かしたまちづくりのために、海(三番瀬)を保全・再生し併せて海・川・里山・森の水循環を図る。」 というのがここで言う施策の4つの対抗になると思います。
最後に、基本的なアイディアあるいは宣言を会長に出していただきましてそれを前回こういう提案をして、皆さんからのご意見を賜ってもう一度整理したものです。すべてが会長の意見ではなくて、皆様方の意見が入って、ここに提案されたということをご理解下さい。「私たちのまちには、里山・森から流れる川があり、貴重な干潟を抱える海があります。私たちは、この海からたくさんの恵みを受けて暮らしてきました。また、私たちのまちは、宿場町・漁師町として栄えこの暮らしのなかから、伝統と文化を育んできました。私たちのまちは交通の要衝として、たくさんの人が住み働いています。私たちは多くの人に船橋の魅力を知ってもらいたい、人々が楽しくふれあい学びあう、活力のいぶきが感じられる、生き生きとしたまちをつくります。海は人の心を癒し、今日の活力を生み出します。にぎわいのあるまちは、明日への希望を与えます。そんな海を活かした自然と共生したまちづくりに、私たちひとりひとりが自覚を持って取り組んでいくことを宣言します。」 ということで、ここに修正案として提案いたします。

V委員

この新しい基本構想について、3番目のところで商業振興の拠点として南口の再開発があって、そのあと裏道の御殿通り、山口横町など路地裏や大神宮へのネットワーク化という形で書かれているので、この辺の本町通りというのは具体的にこれから基本計画を作るときに重要で船橋のまちづくりというのは本町通りのあのような面よりも路地裏の親しみやすさを面に出した方がいいと僕は思わないですが、そういういい面もあるし、本町通りもという意味で加えているわけです。初めて読んだ本町通りの商店街のお爺さんたちは、ここに本町通りがないとなぁ、駅前通りは南口再開発で何とか通るけど、あそこから裏道へ回ってしまうのかとそれの方が。

M委員

お聞きのとおりでして、こちらも当然だと思っていまして入れていないですが、当然ですのでそれは入れます。本町通り商店街というのは非常に重要な位置付けで、それがやはり南口再開発ビルの次はそこから手をつけなければいけないかな、それと合わせて裏通りという形になると思います。ご指摘のとおりだと思います。

会長

LRT論議をするのはまだ早いかもしれませんが、これは人の回遊なんですが、駅前からまっすぐ海に向かって伸びれば何とかなるのではないか。駅前通りというものを入れていくと長くなって大変なことになりそうですね。しかし本町通りは一番古い街道筋でもありますので今のご意見をぜひこの中に活かしていただければと思っています。

M委員

交通の問題で、実は私たちが手につけている部分と役割分担の中で、市道は別ですけれど県道とか、特にここで問題になっているのは県道の話かなと思います。役割分担を明確にしながら、私たちがやってくれと言っても県が「うん」と言わなければなかなか進まないものですから、それは要望書という形で選択しなければいけないのかなと思います。また、新たにつくる道路の話もございまして、皆さんの意見の中にもございましたが、三番瀬の船橋海浜公園とのネットワークさせるのにも今は一本道路なのでここも大きな問題で、この回遊性をどうするか。そういう意味では当然やられるもので、もう既に従来から道路要請では上がっている課題ですので、それは当然として組み入れながらやっていきたいという心構えで、ここではあまり触れられなかった部分のまちづくりのあり方を協議会としての立場を明確にして出していけばいいかなと思いまして、ここに絞ってあります。それでご理解していただければ。

P委員

これが県の仕事で市がここからだという境がよくわからないです。だから先日の日曜日に海老川からぐるっとまわって歩くというイベントがありましたよね。それで歩いたのですが、イトーヨーカドーのところをずっと行ったところの市場のところから長津川を通って運動公園へ回ってきたのですが、非常にまだ自然が残っています。森ができないかなと思っていたら、長津川調節池というのは1年に1回大水が出て2日ぐらい浸かるだけで後は大体水が引きます。ですからあの辺に例えば湿地に生えるような木を植えるとか、少し高いところや低いところがありますから木の特性を見ながらすれば、そこにも森ができるかなと思ったりしながら歩いたんですけれども。やはりまだ緑が少ないということなんですが、その辺海老川沿いや支線がいっぱいありますので、それを活かせば結構いい森ができるし、そして川をきれいにするということは海がきれいになるという、そういう考え方が出てくるのはないかなと思います。

会長

それはここの施策、基本方針の中ですべて含まれているように思います。細かいことを言い始めますとあそこもできるよと。例えば22ヘクタールほどありますが、海老川の調節池を365日水に浸かりませんから、30年に一度浸かるかもしれませんけれど、そこに柳だ、榛の木だと植えていきますと、22ヘクタールはでかいですから公園面積が一気に上がります。そういうようなことを一つ一つ繰り上げていくと全体を見失う。先ほど道路は14号含め国、県あるいは潮見町にもう一本アクセス道路を通そうということになると、潮見町からのご提案は水路の暗渠化という大変ビックプロジェクトです。そして橋をかけて向こうへ渡ろうというようなこととなると、この海を活かしたまちづくり推進委員会からかなり遠いところへいっています。でも手の届かないところにいるような、ここでいくらやってみても、例えば第二湾岸について論じてみたり、そんなことをすると自分の守備範囲から離れる。少なくとも船橋市でやっていけるものを中心に書こう。しかし、今言った大きいものから決めますというと、小さいところまで根こぼしがないように、今後リテールをつめようと思っております。よろしいでしょうか。例えば交通路というお話がありますが、駅降りて線路に沿ってずっと歩いてくると、550メートルで海老川にぶつかります。そこに船着場をつけますと船で港に出ていけます。1.6キロメートルの距離を歩くよりも550メートル歩いて船に乗っけてもらって阪和の横で降ろしてもらうと大変便利ですね。そんなようなものもイメージの中に入っています。京成電鉄の高架化が完成すれば船が通れるようになります。そういう水路の交通も含めまして最終的にはまちづくりの方針の中に入れていきたいと思っております。

L委員

先ほどからラムサール条約問題の意見が出ません。この海を活かしたまちづくり協議会でできる守備範囲とかそういうことでは定義されている事は良くわかったのですが、私はほんの少しですがラムサール条約の日本における機能みたいなものを調べてみまして、どうもラムサール条約というのは今や渡り鳥に対する国際的な必ずしも環境保全ではない、それを求めてむしろ国内では本当に小さい地域を整備していくというところにどちらかというと移っていると思うんですね。非常に統括的な国内的なレベルが浮上しているのではないかと思います。国県市のレベルを分けるということは大切ですけれど、市がそれを視野におくということ、あるいは私達のこの協議会が視野におくということも、どういうことで位置づけることが出来ないだろうか。そしてG委員さんのご提案の施策4の所にラムサール問題が出ているんですが、私が読み直してみますと、このG委員さんの場合の4番というのはやはり全体に直接関わらないものもありますので。それから基本構想にしましても施策の2,3、それからI委員さんの計画案の1,2、これはすべてラムサール条約に向けて私達がそれを視野にいれて行動するときに、むしろもっとエネルギーを得る事ができるのではないか。お互いに力を集めていくことができるのではないかというふうに私は提案します。そしてもうひとつやはり、ラムサール条約の国内法が三番瀬に適用されないとちょっとまずいという、あるいは国立公園とか国内の保護法によってやや良好な湿地が守られてきた琵琶湖とか浜名湖とか。三番瀬は産業の海としてそういった保護法からシャットアウトされてきたわけですけど、でも国の特別保護法の計画というのは5年ごとに更新され91年に更新され96年に更新され、その段階では三番瀬は受け入れられなかった。しかし2001年暮れから2002年の始めにかけては三番瀬が非常に環境庁では一生懸命やろうとしているということで、この意見は、私は9月15,16日に和洋女子大学で行われました三番瀬湿地ネットワークシンポジウムの席でうかがったのですが、私は発言自体は聞き取り入れましたけれど、県の環境部自然保護課の課長さんがこの会場で挨拶なさって、環境庁としては三番瀬を鳥獣保護区に推薦する意向があると。ですからそういう公なところで発言されたわけですからかなりオフィシャルな発言と見ていいと思うのですが、いくら環境庁が推薦しても色々なプロセスがあるわけです。前回からここのまちづくり宣言の中で市民一人一人が大切なんだ。確かにそうなんですね。ラムサール条約が早々に登録されたところが今どういう状態にあるかというと、ある場合には非常にさびしい限りで、結局それを守っていくのは、登録するのは国であり世界的に責任を負うのは国であっても県や市や住民が守っていかないと決してうまく回転しない。そういうことを考えますと、やはりできることだけを固めようというのはよくわかるんですけれど、G委員さんのご提案のあるようにラムサール条約の推進に向けて船橋もまちづくり委員会として努力する方向をとることぐらいは言ってもよいのではないかと思います。

会長

市議会の中にも何か三番瀬調査研究会というのができたと新聞報道で知りましたが、誰かご存じですか。

事務局

市としては県や環境庁の方で、今漁業組合長がおられますけれど、漁業というのは共生できなければいけないと。賢明な漁というのはお互いに共存、共栄する中でということで要望。ですから、後はもう手法として中身が問題です。

会長

いかがでしょうか。この船橋海を活かしたまちづくりの中で、これから海をどう位置付けて、これからどう海を活かすかというのは、今日この中に書かれたことで、ラムサール条約というのは、今お話があったように国からひとりひとりまでが全部関わる問題で、このまちづくりの中でラムサール条約を目指してということをいちいち入れる必要はないのではないかと思います。一方で県の方も埋立問題は白紙撤回になりまして、ラムサール条約に加盟するということを視野に入れながらやっていくだろうとか。それからもっと現実的なことを考えてみますと、東京湾そのものの汚れをどうやっておさえるのかというと、船橋の海老川だけが汚しているわけではなくて、荒川から流れてくる自然の水は毎秒4トンしかないのに、たった花見川第一処理場の水が毎秒14.5トン流れているんですね。多摩川流域で東京都1,200万人の99パーセント汚水処理場から出てきていますから、そこから流れ込んでくる水ということを考えると、東京湾というのはもはや排水場なんですね。自然の水が入ってきていないほとんど自然の水は上流部で取って私達が使って下水処理場から東京湾へ出して、その水を何とかしない限りラムサール条約、ラムサール条約と言っても私は意味がないと思います。むしろ地域地域が、例えば、今日M委員さんがお話されたように船橋の下水道整備は39.1パーセントですよ。市民が負債を背負ってでもこれを早く浄化するような形にして海に対する負担を避けましょうか、それよりも時間をかけてやったほうがいいのか、協議会の中で議論すべき問題です。という問いかけがありましたが、私達ができることはまずは狭い小さい海老川流域をきれいにすることだと思います。その先に自動的に三番瀬の活性化といいますか再生がでてくるのではないか。あえてここで船橋のまちづくりの目標としてラムサール条約に加盟することを取り上げなくても私はいいのではないかと思います。自ずとそういう環境になっていけば千葉県も環境庁もそういう方向に向かうであろうと思うのですが、これは私の意見ですが皆さんはいかがでしょうか。

V委員

今会長がおっしゃったラムサール条約。東京湾というのは結局三番瀬を考えるときでも、人工の水が流れている溜池みたいなものだというようなことは現実なのですが、その東京湾の中で一番奥に三番瀬がたまたま残っている。最初のころは船橋の間も船橋の海は汚いんだよなという意識だったのですが、それが気が付いてみたら他の人から言わせれば、船橋の中で一生懸命やったものなんだとおっしゃるのですが、普通の市民がだんだん気が付いたのは外から言われだしてからですよね。なんか三番瀬というものが残っているらしいんだね。三番瀬というのは言ってみれば、堂本さんも言ってますが、大都市の中における人間と自然との共生の大きな実験場みたいに、そういったひとつのモデルを作っていきたいということまでおっしゃっています。そして船橋の市長もこの前の選挙の時にラムサール条約の登録を目指してとおっしゃっているわけですけど、そしてラムサール条約は会長がおっしゃったように結果的にはなるだろうと。だとすればラムサールというのは結局世界に向かって貴重な干潟だよということを私達が宣言してしまい、向こうが受けてくれれば世界が認めるわけです。すると宣言するということはラムサール条約に登録された干潟としてどういったまちづくりをしていくのかということ。やはり自分達が言った以上は責任を取らなくてはいけなくなってくる。水は当然きれいにしていかなければいけない。ラムサールに登録されたからといってみんなが野鳥を見に来たらヘドロがくさくて仕方ない。なんだ船橋はラムサール、ラムサールと言っているけれど何だこんなまちで。と言われるのはまずいからやはりここをきれいにしていかなければいけないのではないか。そういうような自分達の決意みたいなものが関わってくるのではないかと思います。ある意味でラムサール条約というのを載せることができるならば、はっきり一つの方向性として船橋のまちづくりの一つの旗みたいな感じで。

会長

であれば施策の(4)、海(三番瀬)を保全・再生し併せて海・川・里山・森の水循環を図る。これで充分ではないかと思うのですがいかがでしょう。

S委員

これはラムサール条約に入る場合には環境対策を先にやって、こういう良い環境がありますからどうですかということが順序だと思います。今現在三番瀬というものは漁業サイドから見ればほとんど活動されていないような状況なのです。だから先日も市川でやったときにも言いましたけど、平成8,9年に企業庁が2年にわたって調査しました。そして望月先生がこんな厚い資料を持ってこんな調査をしてますよと教えてくれました。そのころはアサリが三番瀬で約3万トンくらい発生しました。今現在は千トン未満です。それと共にホトトギス貝等の貝類が減少しています。それと同時に海底生物が相当減少しています。これはそのつど調査していますから、貝類の場合にも。毎年、年間4回くらい調査やっていますから、そういうのが現状なのです。だから現在の皆さんが三番瀬と称する所でしょうね。何回も言いますけど、あそこは工業跡地を埋めて造った内陸部と干潟部分が海浜公園の前におそらく14ヘクタールあります。このままの状況ではなくて、やはりこれからそういった干潟づくりによって、どのように現在の環境を良くするか、そういうものを先にやっていきませんと難しいと思います。野鳥そのものが平成8年当時からすれば3分の1くらいしか来ていないでしょう。ということは貝類もなくなっているし海底生物がないということは餌場がないということですから、そういうことを良く皆さんにわかってもらえればいいですけれど、はっきり言いますけれど、あまり意味のわからない人がこのままでいいとか何とかと言うのは果してどうなのかなという感じがします。ですから先日望月先生にこのままにしておいたほうがいいのかこれを改良したほうがいいのか、どうなんですかと聞きましたら、あの人は曖昧な答え方しかしませんでした。先日のサンフランシスコに行った千葉県の調査隊の報告では、やはりサンフランシスコの中でも自然を活かした干潟づくりや環境づくりをやっていますよという報告でした。やはり堂本知事が三番瀬をやりませんよと、里海づくりだと。そういう中でこの地域の問題をどのような形で環境づくりをやっていくかということを示しませんとおそらく堂本知事も海の事はわからないと思います。経験者ではないので仕方のないことです。そういう中で漁業者、または色々調査に当たった県の職員が早くやっていきませんと、いくらラムサール条約に登録しようとしても無理だと思いますよ。今、谷津干潟が約40ヘクタールですね。海浜公園が約41ヘクタール埋めた場所があります。そういう中で今のままではおそらく谷津干潟も飛来する鳥の数がだんだん減少すると思います。餌場がどんどんなくなってきていますから。あれに何か手を加えなければいけないと思います。会長も言ったように考えとしてはラムサール条約もいいですけれど、そういう環境づくりをした中で、できればそういう形を取りたいということの方が私はいいと思います。

会長

M委員。4.施策という時に4つ並びますがそれぞれをブレイクダウンして後ろに文章を入れるご予定はございますか。

M委員

この次の、これはソフトの話だと思うんですね。ですから課題は明らかになっていますので。

会長

環境改善がなされて渡り鳥中継地としての資質を備えた上で。

J委員

S委員が話したのが現状なんですよ。そして昭和60年の時、アサリは本当に採れていました。すごい海でした。そしてちょうど昭和61年の3月10日に参議員予算委員会が開かれました。その時の環境庁長官が山武群出身の森よしひでさんでした。サンフランシスコ湾のベイプランの話が参議員予算委員会で出ました。そして環境庁長官に向かってサンフランシスコ湾を真似たらどうだという質問がありました。そしたら既に環境庁は勉強していますという答弁でした。その時のその流れを汲んで、その年の5月に臼井さんにお会いしました。市長も一緒でした。彼はその時三番瀬を守ると言ったわけです。そして彼は嘘をつかなかったわけです。というのはその流れの中で昭和63年に東京湾懇談会というのを水質保全局が設置したわけです。平成2年に望ましい東京湾を次世代に引き継ぐためにという中間報告書を環境庁は作成しました。その中でこと細かに施策を検討しています。それは東京湾の環境を回復するという施策です。ただ実行に移していないだけです。その目的は富栄養化を減少させて赤潮や青潮を無くすと。今三番瀬の問題に振り返りますと、三番瀬の一番の問題は青潮が来てアサリを殺すということなのです。
今皆さんが言っている環境問題はまさに三番瀬だけを論じてもそれは会長がおっしゃるように解決にならないのです。だからこれは国の問題として環境庁が環境省になっただけですから、今度はそれを実行に移してもらうということが大事なわけです。そのときの資料の中にはチェサピーク湾ものっています。チェサピーク湾の保全と回復計画は50本以上流入している河川を全て改善していくというのがチェサピーク湾の保全と回復計画です。環境庁も東京湾に50本の河川が流入しているそれを改善しますよというのがそこに書かれているわけです。環境問題を解決するには元とすれば末に望ましい三番瀬があるとすれば、元を先にやるか末を先に備えるか、たいして変わらないと思うのですが目標値を立てるのか。それからサンフランシスコ湾がなぜ東京湾と違うかというと、サンフランシスコ湾は最初に湾を守りますと、湾全体のバランスをやるために干潟が必要ですという結論を出したわけです。ところが東京湾で取り上げられているのは湾全体の保全は関係なく、三番瀬を守りますといっているところに問題があるので、その辺は国の問題、あるいは1都2県あるいは埼玉県、群馬県も含めた広域の話になってくるわけで、ただそれは放っといて言い訳ではなくて、船橋住民あるいは湾岸住民がやはりこうするんだと言えば、政治はそういう方向に行くのではないのかなと思います。環境庁も平成2年にしっかりと書いてある訳ですから、望めばできることですし諦めればできないのではないかと思います。

会長

ありがとうございました。先ほどのものに移しますが、M委員が言った4つの施策をいずれはブレイクダウンして細かい記述が出てきますよね。その時にラムサールを目指すという言葉は重要でしょう。その前にこれだけ解決しなければ難問があるよということをブレイクダウンするのは後に出てくると考えてよろしいですか。

M委員

はい

会長

それで安心したんですが、例えば2番のところの海までのネットワークの形成を図ると、これは散歩道だけですが、私が先ほど言いましたように船を浮かべて、さっぱ船でいいですから、船を浮かべて下って港まで出る。水路もいれたいと思います。そういうようなことも後ろに補追していくことはできるんですよね。それとJ委員の話は大変確証高い話だったのですけれど、実は環境省になって、国土交通省、厚生労働省、文部科学省、5省庁が流域で研究及び事業を平成14年から展開しはじめます。それで、その打上げをたぶん今年度中に東京湾フォーラムというものが開かれるだろうと思います。つまり、海老川だけで、船橋の海を活かしたまちづくり推進協議会だけで議論していても話にならない。東京都は1,200万人いっぱい出してきているわけです。そして、全部東京湾に入る。もちろん横浜からも。海流のことは私詳しくありませんが、多分、東京都のやつはこっちに回って時計回りで入ってきていると思います。千葉港に行くときれいなんですね。船橋港に来ると汚いんですよ。明らかにわかることです。これは海老川だけの話ではない。そういう東京湾全体の環境向上を図るということは、そろそろ国も動きはじめるということでございますので、今最後にJ委員がおっしゃったように、湾岸に住んでいる人達が大きい声を出すということが重要だろうと思います。従いまして、この場合は海を保全再生すると、合わせて出てくるのは陸から出て来るわけですから水循環をちゃんとやろうということを書かれている施策で充分ではないか。いろいろなことが書き進められて行きますが、その中でラムサール等のキーワードを散りばめていっていただければなと思います。

L委員

実は1998年に千葉県環境会議で三番瀬は生物豊かな希望にあふれた調査報告を出されまして、こういうのをどうつなげて考えればいいのか。

S委員

1998年でしょ。それは平成8年,9年に2年間調査しています。こういう調査は前からやっているんですよ。臨海開発の中で今の開発をやってきているわけです。40,50年の間に何回も何回も調査やっているわけです。最終的に環境委員会というのができまして、その中でもう一度調査した方がいいだろうということで平成8,9年に企業庁が約7億出して2年間の調査で厚い本でできているわけです。その中では全くその通りなんですが、現況はこうなっているということで、先ほど私がいったわけです。アサリがほとんど採れていないんですよ。ここのところ10,11年と江戸川から大量の雨によって、今年もそうですけど4日間くらい水門を開けた訳ですよ。ほとんど海水ではなくて塩分ゼロです。そういう環境もあったせいか、ずっと1年間通して調査して、その結果私が話していますから、4,5年経って色々な問題がありましてこういう状況ですよという話をしていますから。

J委員

S委員が話したのが現実で、漁師の立場から見ると右肩上がりではなくて、だんだん環境は悪くなっています。これが現実です。だからもっと早く手を打たなければいけない。国レベルで湾を守るという施策をしなければだめなのですよ。ところが1,200ヘクタールある三番瀬の空間を守るというのに、東京都ではそれ以上の埋め立を推進しているわけです。そうすると諫早湾で起きたような、あれは有明海の一部をなくしたわけですよ。だから湾は一つなのですがそういう思想が日本にはないのです。もう一つは、三番瀬の重要性は浅海域なのですよ。河口の浅海なのですよ。それを良く認識しないとだめですよ。3キロ沖まで浅いところが連なっているわけですから、皆さんは見えないですが、それをラムサール事務局は重視しているわけですよ。ですから谷津干潟とは別なのですよ。三番瀬海域というのは今残っている海域全部が三番瀬と言っていたわけで、だから三番瀬というのは解釈が色々あって、だからラムサールが湿地と言っているのは浅い海なのです。湿地があって干潟があって浅い海があって深い海があるのが東京湾だったわけですよ。そして浅い海が残っているのは船橋市川沖のこの船橋浦しかなくなっているわけです。だから貴重なわけです。だからラムサールはこのままでも登録できますよと言っているわけです。ただ環境は悪くなっています。それは国が施策をやっていないからです。環境問題はすごくグローバルなのですよ。ですから東京湾を守ろうと思ったら群馬とか関東一円に網をはらないと川が改善されませんから。

会長

いよいよまちづくりということになってきて抽象論から人間が住んでおります陸の部分で悪いことを取り去り、良いものを増やしていくという具体論を出していく部分でございまして、次の次世代にどういう船橋を残してあげればいいのか、夢を膨らましていただきたいのです。
私の持っている夢はLRT単線で小さな電車が走らないかなと思っています。357号をぐるっと橋をこえてららぽーとのところで左に曲がってまっすぐ行くと競馬場の前まで結ばれますといいなと。それから、ららぽーととこちら側の港がうまくつながるように太鼓橋で港を渡れるようなものでつないでいくとか、海老川軸を使って港へ出ていって三番瀬にまで到達できるような船の運航だとか、そうした夢のあるものをどんどん出していただいて、それを事務局側に送って文章にしてもらい絵にしてもらうということで進めていきたいと思います。
水循環というのが施策の一番最後にございましたが、千葉県が海老川軸の水循環の研究を社団法人雨水貯留協会に出したそうです。それのエッセンスを少し聞いたのですが、海老川流域の下水道整備が船橋市は後れている。おくれているが故に今の海老川の流量がある。もし、下水道整備が進むと海老川には水が流れなくなると。これは大変なことになる。従って高瀬汚水処理場の流末水を上にポンプアップして海老川上流からもう一度還流させる仕組みを、循環を考えないと海老川そのものが最終的には生きた川にはならないというようなことがわかっているそうです。一方において下水道が進むということは、川を殺していくということにもなっているんですね。かといって進まなければ今のままの垂れ流しの状態が続くわけですから。非常に自己矛盾を感じますが、残念なことに下水処理場は海ッぺりにできているものですから若干のエネルギーで上流に運び再度還流させるというようなことが記述されているようです。いずれまたここで紹介したいと思います。

J委員

海老川の水が少ないとどの辺まで逆流しますか。

会長

潮止め堰のところまでいっています。もしなければ調整池のところまでいきます。

J委員

塩水の川があっていいのかということになる。川は浅い方がいいわけだけれども浅くできるのかどうかということですよね。

会長

船橋、海を活かしたまちづくり推進協議会の施策の第4項の中にも川が出てきているわけで、海老川調節池というような具体論が出てきているわけですから、海老川はこうあって欲しいという提案はどんどん出して欲しいと思います。しかし経済が豊かにならなければ何もできません。やはり経済を豊かにするには先ほどの民力をデータベースにして説明があったように決して船橋の民力は低くはないので自信を持ってください。

以上

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