償却資産に関する区分(2)(家屋編)

更新日:令和6(2024)年3月27日(水曜日)

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〔はじめに〕
「土地・家屋・償却資産」という3種類の資産を課税客体とする固定資産税においては、企業会計や税務会計とは異なる区分が必要となります。しかし、この固定資産税独自の特殊性により生じる「家屋と償却資産の区分」は判断の難しい部分が多く、納税者及び課税庁側の双方にとって困難な実務となっています。船橋市では、平成14年度から事業所を訪問しての実地調査(各種帳簿調査と現物調査、質問や制度の説明等)を順次実施してきておりますが、この区分の困難性に伴う申告の誤り(過少過多とも)が多く、申告の修正(税法の規定通り5年分)とともに経理規定の改定等をお願いするケースが生じています。以上のことから、家屋と償却資産の区分を中心とした『Q&A』を新たに作成しましたので、償却資産の申告や会計処理の参考にしていただけますようお願い申し上げます。

[Q1]

申告を要する償却資産とは?(地方税法、以下「法」と略します)

[A1]

「土地及び家屋以外の事業の用に供することができる資産(無形資産等を除く)」(法第341条第4項)

[Q2]

家屋とは?

[A2]

「住家、店舗、工場、倉庫その他の建物をいう」(法第341条第3項)「家屋とは不動産登記法の建物とその意義を同じくするものであり、建物登記簿に登記されるべき建物をいう」(総務省通知「地方税法の施行に関する取扱について(市町村関係)」の3章1節の1)
「建物とは、屋根及び周壁又はこれに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供しうる状態にあるものでなければならない」(不動産登記規則第111条)
(注)同準則による認定基準は「外気分断性」「土地への定着性」「用途性」で、以下の例示から類推

  • 家屋とする例示=上屋を有する停車場の乗降場及び荷物積卸場、ガード下や地下街の建造物、その他構造及び利用状況等一般家屋との均衡を考慮
  • 家屋としない例示=ガス・石油・給水タンク、機械上に建設した建造物、固定していない浮船利用物、アーケード付街路(公衆用道路上)、容易に運搬し得る切符売り場

[Q3]

家屋評価の対象項目とは?(総務大臣告示「固定資産評価基準」)

[A3]

〔木造家屋の場合〕

「屋根・基礎・外壁・柱・壁体・内壁・天井・床・建具・建築設備(電気・ガス・給水・排水・衛生設備等。Q4の問い参照)・仮設工事・その他工事(樋・階段・バルコニー等)」

〔非木造家屋の場合〕

「主体構造部・基礎・外周壁骨組・間仕切骨組・外部仕上・内部仕上・床仕上・天井仕上・屋根仕上・建具(窓、出入口等の建具及び取付枠、スチールシャッター等)・特殊設備(劇場及び映画館のステージ、銀行のカウンター、金庫室等の特殊な設備及び階段の手摺り等に別に装飾したもの等)・建築設備(電気・ガス・給水・排水・衛生・冷暖房・空調・防災・運搬・清掃設備等。Q4の問い参照)・仮設工事・その他工事(上記に含まない木工事・金属工事等)」

[Q4]

家屋の建築設備とは?(自治省通知「家屋の建築設備の評価上の取扱について」)

[A4]

家屋に含めて評価する建築設備とは、1)「家屋の所有者が所有する」もので、2)「家屋に取り付けられ、家屋と構造上一体」となって、3)「家屋の効用を高めること(家屋自体の利便性が高まるもので、特定の生産又は業務の用に供されるものは含めない)」を要し、具体的な取扱いは以下の例による。

〔家屋に含めるもの〕

  1. 特定の場所に固定されているもの(取り外しが容易で、自在に移動できるものは含めない)
  2. 固定されていない配線等でも、壁・天井・床仕上等の裏側のものは構造上一体と認め家屋に含める
  3. 2つ以上の機器、配管(線)が一体となって効用を発揮しているもの、又は一式の建築設備(ボイラーやボイラー燃焼装置、配管及び放熱器等の冷暖房設備等)
  4. 屋外に設置されたものでも、給水タンク、給湯器、空調設備の室外機等、配管(線)により屋内機器と一体となって一式の建築設備として効用を発揮しているものは、一式の建築設備として判定する
     

〔家屋に含めないもの〕

  1. 屋外に設置された電気・ガス・水道の配管(線)、家屋から独立した焼却炉等
  2. 店舗のネオンサイン、病院における自家発電設備、工場における受変電設備、冷凍倉庫における冷凍設備、ホテルにおける厨房設備・洗濯設備等
  3. 電球、蛍光管のような消耗品に属するもの
  4. その他、1.生産設備の一部をなすような性格のもの、2.家屋本来の目的とは別の用途を目的とするもの、3.極めて機械的な性格が強く、かつ家屋との構造上の一体性が本質的に考えがたいもの
     

〔例〕

  • 工場等のベルトコンベアー
  • 工場等における機械の動力源である動力配線等の電気設備
  • 投光器やスポットライト
  • 電話交換機や電話機
  • 証券会社の株価価格表示設備
  • 停車場に設置される時刻表示設備
  • 発電機
  • 立体駐車場の駐車設備やターンテーブル

[Q5]

土地とは?、また償却資産との区分では?

[A5]

「田、畑、宅地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野その他の土地をいう」(法341条2項)

〔土地に含まず償却資産とするもの〕

  1. 土地に定着する岸壁、橋、桟橋、ドック、軌道(枕木、砂利等を含む)、貯水池、坑道、煙突等
  2. 舗装道路の舗装部分の造成に要した費用、工場の構内、作業広場等の舗装路面(砂利、砕石等含む)
  3. 緑化施設(植樹、芝生、花壇、並木、生垣、散水用配管、排水溝等を含む)や庭園(泉水、池、築山、あずまや、灯籠、花壇・植樹等で緑化施設以外のもの)。なお、両者の耐用年数は異なるので注意
  4. 野球場、テニスコート、陸上競技場の暗渠、アンツーカー等の土工施設及びゴルフコースと分離して独立の構築物と認められるもの(橋、暗渠、排水溝等)

(注)土地を利用するためにした防塁、上下水道、石垣等や、埋立て、地盛り、地ならし、切土、防壁工事等で、その規模、構造等から税務会計上独立の構築物とした場合はその取扱いに準じます。

[Q6]

家屋評価の対象とするか、償却資産の対象とするか、納税者側の選択は?

[A6]

財産税と解されている固定資産税は、概ね企業会計における有形固定資産を課税客体としています。従って、特別な定めがあるものを除き「土地、家屋、償却資産」のいずれかとして課税することになります。通常納税者側は、家屋の場合は経年減点補正率が低い(減価期間が償却資産の耐用年数に比べて長く、最終的にも20%が残存)こと等から、家屋評価の対象とすることより償却資産扱いにすることを望む傾向にあります。しかし、課税庁は「固定資産評価基準」により法的に拘束されており、船橋市の家屋評価も同評価基準に明記された項目にそった「部分別評点基準表」に基づいて評価を行っています。従って、各納税者ごとの希望によりこの区分を変えることはできず、税の公平上も認められませんのでご理解下さい。なお、固定資産の評価は『適正な時価』を求めるために行うものですが、土地は「売買実例価額方式」、家屋は「再建築価額方式」、償却資産は「取得価額方式」によるとされ、それぞれ異なっています。

[Q7]

賃借人が取り付けた建築設備や改装工事費等(特定附帯設備)は?

[A7]

当該設備に関しては、平成16年度に地方税法が改正され(法第343条第10項)、船橋市も条例改正を行って取り付けた者を所有者とみなすことになりました。趣旨は、課税の原因が家屋の所有者自らに起因しない事由によるものであり、その使用収益は取り付けた者に帰属する(国税の取扱いも)等を考慮し、より納税者意識と実態に合致した課税にするということです。総務省令(規則第10条の2の15)では、明らかな家屋部分を除く認定が困難な部分として、〔木造〕外壁、内壁、天井、造作、床、建具、〔非木造〕外周壁・間仕切、骨組、外部・内部・床・天井・屋根仕上、建具を規定し、この取扱いの対象資産になるとしています。なお、改正は資産区分と所有者認定に係るだけで、課税対象全体は拡大しませんのでご理解下さい。また、船橋市においては、税法の改正以前から東京都の取扱いに準じて、賃借人が施した内装等の工事費等に関し、通常は賃借人の償却資産とみなして申告をお願いしてきています。

[Q8]

法令や固定資産評価基準では明確にならない部分の判断は?

[A8]

船橋市では「固定資産税(償却資産)課税調査等要綱」の中で「国及び県の助言も受けながら、東京都、横浜市等の取扱等を参考に市独自の判断を行う」としています。なお、東京都が地理的に近く、都の「評価事務取扱要領」が非常に詳しい内容となっていることから都の取扱いに準ずることとしています。

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資産税課 償却資産係

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