「神楽(かぐら)」ってなんだろう?~市内に伝わる5つの神楽~

更新日:令和元(2019)年11月28日(木曜日)

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1.神楽とは 

 神楽の語源は、「神座(かむくら)※」が転化して「神楽」になったといわれています。神楽には宮中で伝承されてきた御神楽(みかぐら)と全国各地に伝わる里神楽がありますが、一般に神楽といわれているものは神社の祭礼などで演じられる、いわゆる「里神楽」になります。里神楽では、『天の岩戸』『八岐のおろち退治』など神話に題材をとった曲や、能・歌舞伎に影響を受けた曲も演じられます。神楽の演目は種類が多く、神事を中心としたものから芸能の面が強いものまでさまざまな曲目があります。

※神座:神の宿るところ、招魂・鎮魂を行う場所。

2.船橋市の神楽について

 現在市内には、5つの神社で神楽が伝承されています。これらの伝播した経路について言い伝えがあり、同じ系統の神楽として発展したきたといわれています。

(1)船橋大神宮の神楽【市指定無形民俗文化財】

 船橋大神宮の神楽は、元日、1月3日、節分祭、4月3日(水神祭)、10月20日(例祭)、12月の二の酉等で演じられます。現在伝えられているのは、9座(※)であり、使用する楽器は、舞楽に用いる楽太鼓、締太鼓、笛で各1人ずつが演奏します。
 現在、船橋大神宮で演じられている神楽の由来はよくわかっていませんが、曲目の構成から「十二座神楽」の系統であると考えられています。
 蛭子舞のように海に関係の深い曲目が大切にされていることも、船橋が江戸湾に臨んでよい漁場をひかえた土地であったことに関連した特色といえます。

※9座:(1)みこ舞、(2)猿田舞(さるた)、(3)翁舞(おきな)、(4)知乃里舞(ちのり)、(5)田の神舞、(6)蛭子舞(ひるこ)、(7)天狐舞(てんこ)(8)恵比寿大黒舞(えびすだいこく)、(9)山神舞(さんじん)

伝承地:船橋市宮本5丁目2番1号 意富比(おおひ)神社(船橋大神宮)
アクセス:JR船橋駅から徒歩約18分。または、京成電鉄大神宮下駅から徒歩約4分。

船橋大神宮の神楽
▲蛭子舞
船橋大神宮の神楽2
▲天狐舞

(2)二宮神社の神楽【市指定無形民俗文化財】

 二宮神社の神楽は、1月15日、10月16日(例祭)に境内の神楽殿で、節分祭には社殿で演じられます。現在伝えられているのは、16座(※)です。このうち、翁舞・猿田舞・神明舞は三座と呼ばれ、特に重要であるとされ、また、かとり舞と源三位は市内ではここだけに伝わる独自の曲目です。使用する楽器は、鋲打太鼓、鼓、しゃんぎりで、各1人ずつが演奏します。
 二宮神社の神楽がいつ頃から伝えられているのかはよくわかっていませんが、古い装束の中には「寛政十一未歳」(1799)や「天保八酉年」(1837)と墨で記されているものも保存されています。

※16座:(1)みこ舞、(2)翁舞、(3)猿田舞、(4)神明舞(しんめい)、(5)天狐舞(てんこ)、(6)うずめ舞、(7)ひりこ舞、(8)おかめ舞、(9)宝剣打ち、(10)かとり舞、(11)源三位(げんざんみ)、(12)玉取舞、(13)山神舞(さんじ)、(14)大黒舞、(15)獅子舞、(16)鬼の舞

伝承地:船橋市三山5丁目20番1号 二宮神社
アクセス:JR津田沼駅北口から二宮神社行きバスで終点下車。

二宮神社の神楽
▲ひりこ舞
二宮神社の神楽
▲かとり舞

 (3)高根町神明社の神楽【市指定無形民俗文化財】

 高根町神明社の神楽は、元日、5月1日、10月15日(例祭)に境内の神楽殿で演じられ、元日の午後は船橋大神宮、10月24日には高根町の秋葉神社でも演じられます。現在伝えられているのは、14座(※)です。このうち、日本武尊舞・大蛇之舞は市内ではここだけで演じられている独自の曲目で、天の岩戸舞は10月15日の例祭でのみ演じられる曲目です。使用する楽器は、鋲打太鼓1人、締太鼓1人、笛3人で演奏します。
 高根町神明社の神楽は、「歴代神楽連名簿」の記録によると、最初の奉納は明治6年(1873)であるとされ、明治時代の初めに風早(柏市、旧沼南町)の塚崎神明社より習ったと伝えられています。

※14座:(1)神子舞(みこ)、(2)猿田彦命舞(さるたひこのみこと)、(3)湯笹舞(ささ)、(4)日本武尊舞(やまとたけるのみこと)、(5)鈿女之舞(うずめの)、(6)剣打ち之舞(つるぎうちの)、(7)玉取り之舞、(8)大蛇之舞(おろちの)、(9)神明之舞、(10)恵比寿舞、(11)天狐の舞、(12)翁舞、(13)ぎおん舞、(14)天の岩戸舞(あまのいわど)

伝承地:船橋市高根町600番地 神明社
アクセス:JR船橋駅北口から船橋グリーンハイツ行きバスで「高根小学校前」下車徒歩約15分。

高根町神明社の神楽
▲天の岩戸舞
高根町神明社の神楽(大蛇舞)
▲大蛇之舞

(4)飯山満町大宮神社の神楽【市指定無形民俗文化財】

 飯山満町大宮神社の神楽は、1月7日(七草)、10月23日(例祭)に境内の神楽殿で演じられます。現在伝えられているのは、12座(※)です。このうち、神功皇后は市内ではここだけで演じられている曲目です。使用する楽器は、鋲打太鼓1人、締太鼓1人、笛3人で演奏します。
 飯山満町大宮神社の神楽がいつ頃から伝えられているのかはっきりとわかっていませんが、谷津の本郷(習志野市谷津)から伝わったという伝承があります。その後、一時期途絶えていましたが、村に不幸があった際に再度谷津から習って復活したといわれています。また、保存されている古い面や装束などへの墨書きから、江戸時代末期にはすでに演じられていたとみられています。

※12座:(1)みこ舞、(2)天狗(猿田彦)、(3)八幡太郎(知之利)、(4)うすめ、(5)こかじ(住吉舞)、(6)翁、(7)神明(種蒔き)、(8)きつね(天狐)、(9)神功皇后(じんぐうこうごう)、(10)ひょっとこ、(11)いびす様(蛭子)、(12)鬼・鐘馗(おに・しょうき)(山神)

伝承地:船橋市飯山満町2丁目843番 大宮神社
アクセス:東葉高速鉄道飯山満駅から徒歩約10分。

飯山満町神明神社の神楽
▲神明(種蒔き)
飯山満町大宮神社の神楽(神功皇后)
▲神功皇后

(5)飯山満町神明神社の神楽

 飯山満町神明神社の神楽は、3月初午と10月18日以降の最初の土曜日に演じられます。現在伝えられているのは、12座(※)です。天岩戸(戸隠しの舞)は10月の神楽でのみ演じられる曲目です。使用する楽器は、鋲打太鼓1人、鼓1人、打ち鳴らし1人、笛3人で演奏します。
 飯山満町神明神社の神楽がいつ頃から伝えられているのかはよくわかっていませんが、船橋大神宮から舞とともに衣装や面、楽器などがもたらされたといわれています。

※12座:(1)神子・巫女(みこ舞)、(2)天狗(猿田彦命の舞)、(3)爺面(翁舞)、(4)狐(天狐舞)、(5)八幡太郎 義家(知乃利の舞)、(6)笹舞(天の宇津女の舞)、(7)小鍛冶の舞、(8)3人舞(三神の舞)、(9)ひょっとこ・ばりぐち(火男・張口の舞)、(10)恵比寿・お亀(蛭子舞)、(11)鬼・鐘馗、(12)天岩戸(戸隠しの舞)

伝承地:船橋市飯山満町1丁目639番 神明神社
アクセス:JR船橋駅北口からバスで「吹上」下車徒歩すぐ。

飯山満町神明神社の神楽(ひょっとこ・ばりぐち)
▲ひょっとこ・ばりぐち
飯山満町神明神社の神楽(こかじ舞)
▲小鍛冶の舞
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