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発議案(議員提出議案)平成22年第2回定例会

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発議案第1号 教育予算拡充に関する意見書

(提出者)文教委員長・石渡憲治


教育は、日本の未来を担う子供たちを心豊かに育てる使命を負っている。しかしながら、社会の変化とともに子供たち一人一人を取り巻く環境も変化して、教育諸課題や子供の安全確保等の課題が山積している。子供たちの健全育成を目指し豊かな教育を実現させるためには、子供たちの教育環境の整備を一層進める必要がある。

昨今のさまざまな教育課題は、教育予算を十分に確保することにより、解決されるものが多くある。

よって、政府においては、平成23年度予算編成に当たり、憲法・子どもの権利条約の精神を生かし、子供たちによりよい教育を保障するために、下記事項を中心に予算の拡充をするよう、強く要望する。

  1. 公立義務教育諸学校教職員定数改善計画を早期に策定すること。
  2. 少人数学級実現のための義務教育諸学校における学級編制基準数を改善すること。
  3. 義務教育教科書無償制度を堅持すること。
  4. 現在の経済状況をかんがみ、就学援助にかかわる予算を拡充すること。
  5. 子供たちが地域で活動できる総合型地域クラブの育成等、環境・条件を整備すること。
  6. 危険校舎、老朽校舎の改築やエアコン、洋式トイレ設置等の公立学校施設整備費を充実すること。
  7. 子供の安全と充実した学習環境を保障するために、基準財政需要額を改善し、地方交付税交付金を増額すること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、文部科学大臣

発議案第2号 義務教育費国庫負担制度の堅持に関する意見書

(提出者)文教委員長・石渡憲治


義務教育は、憲法の要請に基づき、子供たち一人一人が国民として必要な基礎的資質を培うためのものである。教育の全国水準や機会均等を確保する義務教育の基盤づくりは国の責務であり、そのために設けられたのが義務教育費国庫負担制度である。

政府は、平成21年11月に、行政刷新会議において、義務教育費国庫負担制度を事業仕分けの対象として論議した。また、地方主権を確立するため、今夏にも地域主権戦略大綱(仮称)を策定するとしている。その中で、国から地方への補助金を廃止し、地方が自由に使える一括交付金の検討を開始している。義務教育と社会保障の必要額は確保するとしているが、義務教育費国庫負担制度についても論議される可能性がある。

現在、35人学級などの学級定員規模を縮小する措置が、都道府県単費で行われている。このように、現行制度でも自治体の裁量権は保障されている。しかし、国民に等しく義務教育を保障するという観点から言えば、財政的に最低保障として下支えしている義務教育費国庫負担制度は必要不可欠である。この制度が廃止され、一括交付金が現実のものとなった場合、自治体によっては40人学級や教職員定数が維持されないことが危惧される。このように、義務教育費国庫負担制度が廃止された場合、義務教育の水準に格差が生まれることは必至である。

学校の基幹職員である学校事務職員・学校栄養職員を含め、教職員の給与を義務教育費国庫負担制度から適用除外することは、義務教育費国庫負担法第1条に明記されている教育の機会均等とその水準の維持向上という目的に反するばかりでなく、財政負担を地方自治体に課し、厳しい地方財政をさらに圧迫するものである。また、義務教育の円滑な推進を阻害するおそれも出てくる。

よって、政府においては、平成23年度予算編成に当たり義務教育費国庫負担制度を堅持するよう、強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、文部科学大臣

発議案第3号 マルチメディア版教科書(デイジー教科書)の普及促進に関する意見書

(提出者)角田秀穂

(賛成者)橋本和子、藤川浩子、石崎幸雄、松嵜裕次、鈴木郁夫、高木明、斎藤忠、上林謙二郎、村田一郎


平成20年9月に障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律、いわゆる教科書バリアフリー法が施行された。

この教科書バリアフリー法の施行を機に、平成21年9月より、財団法人日本障害者リハビリテーション協会(リハ協)が、ボランティア団体の協力を得て、通常の教科書のテキストと画像をデジタル化し、音声による読み上げを可能にしたマルチメディア版教科書(デイジー教科書)の提供を始めた。

また、文部科学省は、平成21年度より、発達障害等の障害特性に応じた教材のあり方やそれらを活用した効果的な指導方法等について、実証的な調査研究を進めている。現在、デイジー教科書は、この文部科学省の調査研究事業の対象となっており、その調査研究段階であるにもかかわらず、平成21年12月現在で約300人の児童生徒に活用され、保護者などからは、学習理解が向上したとの効果が表明されるなど、その普及推進への期待が高まっている。

しかし、デイジー教科書は、教科書無償給与の対象となっていないことに加えて、その製作に多大な時間と費用を要するにもかかわらず、ボランティア団体頼みであるため、必要とする児童生徒の希望に十分にこたえられない状況にある。実際、リハ協が平成21年度にデジタル化したデイジー教科書は、小中学生用教科書全体の約4分の1にとどまっている。

このため、デイジー教科書を初めとする教科用特定図書等の普及を促進するには、さらなる予算拡充が求められるが、平成21年度の同予算1.72億円に対し、平成22年度は1.56億円と縮減されており、その取り組みは、不十分であると言わざるを得ない。

よって、政府においては、デイジー教科書を必要とする児童生徒、担当教員等に安定して配布・提供するため、その普及体制の整備及び必要な予算措置を講ずるよう、強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)内閣総理大臣、財務大臣、文部科学大臣

発議案第4号 船橋市立医療センター経費に対する県の応分負担に関する意見書

(提出者)岩井友子

(賛成者)佐藤重雄、浦田秀夫、小森雅子


船橋市立医療センターは、東葛南部保健医療圏における三次救急救命センターとして、千葉県から指定されている。また、千葉県保健医療計画において、千葉県全県対応型脳卒中拠点病院、急性心筋梗塞連携拠点病院として位置づけられている。

しかし、県は、同センターを、こうした救急医療、高度医療の拠点病院として位置づけておきながら、必要な職員や機器購入・更新にかかわる費用は負担をしないまま、現在に至っている。

今年度も、本市は、一般会計から高度医療に要する経費として9億5824万円を支出しているが、県からの補助金は、がん診療連携拠点病院機能強化事業と小児救急医療支援実施事業を合わせた2215万円にとどまっており、同センターの広域的な役割が、船橋市民の負担によって維持されているのが実態である。

よって、千葉県においては、船橋市立医療センターの拠点病院としての機能維持に当たって、応分の負担を行うよう、強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)千葉県知事

発議案第5号 東日本入国管理センターの外国人収容者の待遇改善に関する意見書

(提出者)石川敏宏

(賛成者)松嵜裕次、高木明、金沢和子、野田剛彦、小森雅子


茨城県牛久市の東日本入国管理センターで、5月10日より21日まで、延べ約70名の外国人収容者が待遇改善を訴えて、ハンガーストライキを行った。

収容人員定員700名の同センターは、今回のストライキ参加者の掲げた、未成年者の収容中止、半年以上の長期収容中止、仮放免の保証金上限引き下げ、裁判係争中の者の再収容中止、以外にも、居住や食事の質、医療体制、面会時間、通訳の質ほか待遇面での極めて劣悪な状況が、アムネスティを初めとする国内外の人権団体から、かねてより厳しく指摘されている。

ハンガーストライキの結果、仮放免者の増加など一定の成果が上がったとされているが、今後もさらなる待遇改善が必要なことは言うまでもない。

さらに、こうした同センターの劣悪な待遇と被収容者の人権無視は、その背景に、我が国の難民政策があることも看過されるべきではない。我が国は、昭和56年(1981年)に難民の地位に関する条約(難民条約)に加入しているにもかかわらず、同条約で義務づけられている難民受け入れをほとんど行っていない。

よって、政府においては、難民条約を遵守し、外国人籍の住民の人権を尊重することを原則に、仮釈放者の生活保障も含め、東日本入国管理センターの外国人収容者の待遇を根本的に改善するよう、強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)内閣総理大臣、法務大臣

発議案第6号 小規模グループホームの防火体制強化等に関する意見書

(提出者)角田秀穂

(賛成者)橋本和子、藤川浩子、石崎幸雄、松嵜裕次、鈴木郁夫、高木明、斎藤忠、上林謙二郎、村田一郎


本年3月13日未明に発生した札幌市の認知症グループホームの火災は、入居者7名が亡くなる悲惨な結果となった。以前にも、平成18年に長崎県大村市、平成21年には群馬県渋川市で、同様の火災により多くの犠牲者を出した。

政府は、平成18年長崎県大村市での火災を受け、平成19年6月に消防法施行令を一部改正し、認知症グループホームにおける防火体制の強化を図った。平成21年度からは、厚生労働省も「小規模福祉施設スプリンクラー整備事業」でスプリンクラーを設置する施設に対し、交付金措置を行うなどの対策を進めてきた。しかし、今回火災が起こった札幌の施設は、スプリンクラー設置基準である275平方メートル以下の施設であり、今後もこうした小規模施設が増加する傾向にある。

よって、政府及び国会は、小規模グループホームの防火体制の強化に向け、下記事項を実施するよう、強く要望する。

  1. 275平方メートル以下の施設も含め、全ての施設へのスプリンクラー設置を義務化するとともに、交付金等による国の支援を拡充すること
  2. 施設の人員配置基準を拡充すること。
  3. 介護報酬を引き上げること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、厚生労働大臣、総務大臣

発議案第7号 未就職新卒者の支援等に関する意見書

(提出者)角田秀穂

(賛成者)橋本和子、藤川浩子、石崎幸雄、松嵜裕次、鈴木郁夫、高木明、斎藤忠、上林謙二郎、村田一郎


平成21年度の大学等卒業予定者の就職内定率は、今年2月1日時点で80%となり、前年同期比6.3%減で過去最低となった。社会人として第一歩を踏み出すときに、職業につけないことは、日本の将来を担うべき若者の人生にとって厳しい問題であり、経済・社会の活力低下の点から見ても大変憂慮すべき事態である。

また、大企業を中心とした新卒優先採用の雇用慣行は、卒業後では就職活動が困難となることから、就職活動に有利な新卒の立場を続けるためにあえて留年する希望留年者を生み出している。今春、就職未定の新卒者は、大学・高校卒などで約20万人とも推計されているが、この推計には希望留年者は含まれておらず、実質的な未就職新卒者は、20万人以上に上ると見られる。

さらに、景気低迷が続く中で、大企業の採用数が落ち込んでいるにもかかわらず、学生の大企業志向が高いため、採用意欲が高い中小企業で人材が不足する「雇用のミスマッチ(不適合)」が起こっている。

よって、政府においては、若者の厳しい雇用情勢に対応するため、速やかに経済成長戦略を立て、経済政策・雇用支援策に取り組むとともに、特に未就職新卒者を支援するため、下記事項を実施するよう、強く要望する。

  1. 大企業を中心とした新卒優先採用の雇用慣行や就職活動の早期化を見直し、卒業後3年間は新卒扱いとするなど、企業・大学間で新しいルールをつくること。
  2. 大企業志向を強める学生と人材不足の中小企業とを結びつけるため、情報提供を行う「政府版中小企業就活応援ナビ」を創設するなど、雇用のミスマッチを解消すること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)内閣総理大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣、経済産業大臣

発議案第8号 永住外国人への地方参政権付与の法制化反対に関する意見書

(提出者)日色健人

(賛成者)佐々木克敏、小石洋、野田剛彦、七戸俊治


外国人に参政権を与えると、内政干渉が起きる危険がある。帰るべき母国を持つ人々に対して、我が国の国家、国民の命運を決定する参政権を与えることは、自国民に対して大変無責任な行為といえる。

韓国で参政権を与えられている外国人は一握りであるのに対して、日本では、地方参政権付与の対象となる永住外国人が数十万人おり、相互主義は成立しない。また、戦後、日本政府は、すべての帰国希望者に無料の船便を提供するなど、渡日した人の帰国を優先しており、現在日本にいる在日の方々は、そのほとんどが帰国を拒否した方たちとその子孫であることから、日本政府により日本に強制連行され、日本在住を強制されたから特別に参政権を付与すべきなどという主張は通用しない。

税金とは、警察、医療等の各種公共サービスを受けることに対して徴収されるものであり、参政権とは全く関係ない。永住外国人が憲法に基づく参政権取得を望むのであれば、国籍法に定める帰化によるべきである。

日本国憲法は、第15条において、「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である」と規定としており、日本国民ではない永住外国人に対して、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権等を付与することは、明確な憲法違反である。

よって、国会及び政府においては、永住外国人への地方参政権付与を法制化しないよう、強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、法務大臣、外務大臣

発議案第9号 多様性尊重のための小選挙区制廃止に関する意見書

(提出者)浦田秀夫

(賛成者)朝倉幹晴、まきけいこ、池沢敏夫


日本において、近年になって導入された小選挙区制(平成6年(1994年)決定、平成8年(1996年)初実施)は、各選挙区から1人のみしか当選しないため、多くの死票が出る。仮にA候補40%、B候補30%、C候補30%だった場合、実に60%の有権者の意思は反映されなくなる。

また、小選挙区制は二大政党制の推進が目的と言われるが、その二大政党の政策の枠に入らない国民の多様な意思は、反映されにくくなる。平成22年(2010年)5月上旬の世論調査における支持率は、民主党17%、自民党13.2%(二大政党計30.2%)(時事通信社)であり、二大政党の支持は、国民の3分の1以下である。

二大政党と言われる民主党・自民党以外にも、みんなの党、たちあがれ日本、社民党、国民新党、公明党、日本共産党、新党日本、日本創新党、新党改革などさまざまな政党や議員が存在し活動している。また、政党に所属せず無党派で活動する議員もいる。

今、国民の価値観は、さまざまな分野で多様化している。実質の選択肢が2つしかなくなるような選挙制度は、価値観の多様化と相入れないし、少数意見の尊重という民主主義の基本からも外れる。日本の小選挙区制導入のモデルとされた、イギリスにおいても、労働党・保守党の二大政党がいずれも過半数をとれず、価値観の多様化は世界の流れである。

ヒトもその一員である生物社会では、生物多様性により生態系のバランスが保たれている。ヒトの健康を支える腸内共生細菌も、ヒトの食物となる植物の健康を支える土壌微生物も、二大生物は存在せず、多種多様な生物の共生と拮抗の中でバランスが保たれている。多様性を尊重しない選挙制度は、自然の摂理に反した人間の浅知恵である。

間接民主制のもとでは、民意の多様性を完全に保障する選挙制度はないが、比例代表制・中選挙区制・大選挙区(全国区)のほうが、国民の選択の幅を広げ、意識の多様性を尊重する、よりましな選挙制度である。

よって、国会においては、国民の多様性を尊重し、選択肢を保障するため、国政選挙における小選挙区制を廃止し、多様性を尊重できる選挙制度に変えるよう、強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)衆議院議長、参議院議長

発議案第10号 国民健康保険に対する国庫負担大幅増額に関する意見書

(提出者)岩井友子

(賛成者)佐藤重雄、浦田秀夫


国民健康保険料の収納率は、全国平均で88.35%(平成20年度(2008年度))となり、国民健康保険制度が皆保険となって以来、最低となった。そして、所得に比して高過ぎる保険料が払えず、保険証を取り上げられ、医療を受けられずに命を失うという深刻な事態が生まれている。

これは、皆保険制度が崩壊の危機にあることの証明であり、そして、この高過ぎる保険料を招いた根本的要因は、国保会計に対する国庫負担引き下げである。

国保会計全体に占める国庫負担の比率は、昭和59年度(1984年度)には49.8%・約5割であったものが、平成19年度(2007年度)には25.0%にまで引き下げられ、その間、1人当たりの保険料は、3万9020円から8万4367円へと2倍以上に引き上げられている。

民主党は、昨年の総選挙前には、「政権をとった暁には、国保の建て直しに9000億円を充てる」としていたが、実際に今年度予算で投入された国費は、わずか40億円にすぎず、これは、国民に対する重大な背信行為だと言わざるを得ない。

仮に、緊急に4000億円を投入するだけでも、1人当たり1万円の保険料引き下げが可能であり、命を守る政治をやるというのであれば、野党時代に国民に約束したとおり国費投入を行い、保険料を引き下げるべきである。

よって、政府においては、国民健康保険に対する国庫負担を大幅に増額するよう、強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

発議案第11号 消費税増税によらない財政健全化・社会保障拡充に関する意見書

(提出者)関根和子

(賛成者)渡辺ゆう子、中沢学、金沢和子、伊藤昭博、石川敏宏、岩井友子、佐藤重雄


この10年余で、雇用者報酬が279兆円から253兆円と大幅に落ち込む一方、大企業の内部留保は、142兆円から229兆円に急増している。このように大企業が利益を上げているにもかかわらず、それが勤労者には還元されず、このことが家計・内需を著しくやせ細らせ、日本経済を脆弱なものにした。そのため、景気低迷の影響による税収の落ち込みもあいまって国の税収は伸びず、結果として、平成22年度(2010年度)政府予算では、税収37兆円に対し、国債44兆円という事態を招いている

このような状況下で、閣僚の中からは、再び消費税率引き上げの声も出ている。

消費税が「福祉のため・高齢化社会のため」として、平成元年(1989年)に導入されて以来、国民が納めた消費税額は、平成22年度(2010年度)までの累計で約224兆円に達する見込みである。その一方で、同じ平成元年度(1989年度)以降の法人3税の各年度減収額累計は、平成22年度(2010年度)で208兆円に達しており、実に消費税収入の92%が、法人3税の減収分の穴埋めに充てられてきたことになる。

歴代政府は、消費税導入以降、法人税率を引き下げるだけでなく、研究開発減税やIT投資減税など、数々の大企業優遇策を進め、所得税の最高税率引き下げや証券優遇税制などによって高額所得者も優遇してきた。

こうした大企業・高額所得者に対する減税が是正されれば、7兆円に上る税収確保が可能である。

よって、政府においては、税制度を担税力に応じて負担を求めるものに抜本的に改め、消費税増税によらないで財源を確保し、財政を健全化させ、社会保障を拡充すべきである。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)内閣総理大臣、財務大臣、厚生労働大臣

発議案第12号 自衛隊習志野基地の撤去等に関する意見書

(提出者)関根和子

(賛成者)渡辺ゆう子、中沢学、金沢和子、伊藤昭博、石川敏宏、岩井友子、佐藤重雄


自衛隊習志野基地には、海外派兵を想定した任務を担う中央即応集団の部隊(第一空挺団・特殊作戦群)が置かれ、その存在と訓練が、住民生活を日常的に脅かしている。

また、部隊の訓練強化によるヘリコプターやジェット機の騒音・振動被害の拡大、ミサイル迎撃のための新型パトリオットミサイル・PAC3の配備、部隊の即応性のための新たな大型火薬庫建設などにより、住民の不安が増大している。

習志野演習場は、面積が狭い上に都市部の人口密集地にあり、航空機の墜落・落下物の危険やパラシュート降下訓練を行う場合、場外降着などの危険も伴っている。その上、迎撃ミサイル配備、大型火薬庫建設などで住民の安全を脅かし続けることは、容認できない。

よって、政府においては、早朝・夜間(8時以前・17時以降)の騒音・振動を伴う訓練を即時中止するとともに、期日を決めて自衛隊習志野基地を撤去するよう、強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

発議案第13号 労働者派遣法改正案の見直しに関する意見書

(提出者)関根和子

(賛成者)渡辺ゆう子、中沢学、金沢和子、伊藤昭博、石川敏宏、岩井友子、佐藤重雄


政府が今国会に提出した労働者派遣法改正案には、雇用の安定性が比較的高いとの理由で、常用型派遣(派遣会社に常時雇用されている労働者を派遣する)を禁止の例外にする重大かつ深刻な問題点が含まれている。

製造業における労働者派遣の実態は、常用型でも、登録型でも、派遣先企業が派遣契約を解除すれば解雇される不安定さに変わりはなく、厚生労働省の調査(調査対象の約9割が製造業派遣)でも、派遣先企業が派遣契約を中途解除した場合に解雇された派遣労働者は、常用型で76.7%、登録型で75.8%と変わりがない。特に製造業では、派遣労働者を寮などに住まわせて働かせることが常態化しており、解雇によって仕事を奪われただけでなく、住居からも追い出されるという非人道的な事態が繰り返されることになる。

また、登録型派遣の禁止の例外として、雇用安定等の観点で問題が少ないことを理由に、専門26業務を挙げているが、この専門26業務で働いている派遣労働者は100万人にも上り、派遣の上限期間(原則1年、最長3年)は適用されず、派遣先企業で直接雇用される保証もない。特に見過ごせないのは、45万人が対象となっている事務用機器の操作業務であり、パソコンを使う仕事なら何でも専門業務として例外扱いにされかねない。

この改正案では、これまでと同様、派遣労働の現場での使い捨てがまかり通り、低賃金で劣悪な労働条件が改善されることも期待できない。今こそ、労働者派遣は、臨時的・一時的な業務に限定し、本来正社員として直接雇用すべき労働者を派遣に置きかえる常用代替にしてはならないという原則に立った法改正が求められる。

よって、政府においては、派遣労働者の正規雇用への道を開き、その雇用と権利・生活を守るため、今国会提出の労働者派遣法改正案に関し、下記事項について見直すよう、強く要望する。

  1. 常用型派遣を禁止の例外とする規定は撤回し、使い捨て雇用が深刻な製造業派遣を禁止すること。
  2. 専門26業務について抜本的に見直し、より専門性が高く、派遣労働者に交渉力がある業務のみに限定すること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)内閣総理大臣、厚生労働大臣

発議案第14号 普天間基地撤去に関する意見書

(提出者)岩井友子

(賛成者)佐藤重雄、浦田秀夫


鳩山前首相は、普天間基地の移設先として名護市辺野古周辺を提案したが、これは、県民大会の国外・県外移設決議にも、みずからの「最低でも県外」の公約にも違反する。同首相は、これについて、抑止力として米軍の存在が必要であることを理由としているが、米海兵隊は、イラク、アフガニスタンの戦争に従事するなど、海外殴り込みが任務であり、沖縄に存在しなければならない理由はない。

冷戦終了後、米海兵隊の海外駐留部隊は、どの国でも大幅に減少しているにもかかわらず、日本だけが減っていない。その背景には、条約上義務のない米軍駐留経費を思いやり予算として日本が負担していることがある。

鳩山首相は、東アジア共同体構想を明らかにしたが、この構想実現のためにも、政府は、世界平和の不安定要因となっている北朝鮮とも国交を正常化し、戦後処理などの解決を進めるなど、東アジアの安定のため、積極的役割を果たすことが重要である。

沖縄県民は、戦後65年間、米軍基地の存在により重大な被害をこうむっており、普天間にかわる新たな基地の建設は許されない。

よって、政府においては、普天間基地撤去を求める沖縄県民の要望に沿ってアメリカ政府と交渉するよう、強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)内閣総理大臣、外務大臣、防衛大臣

発議案第15号 公立保育所の施設整備費・運営費への国庫負担金の復活に関する意見書

(提出者)岩井友子

(賛成者)佐藤重雄、浦田秀夫


近年、保育所の待機児童の急増に伴い、本市でも、認可保育所の増設に努めているが、本年5月1日現在559人もの待機児童を抱えており、また今後のさらなる需要増が見込まれるなど、いまだ待機児童解消のめどが立っていない。

認可保育所の増設を必要としているのは、実際に入所できなかった待機児童だけでなく、認可外施設やベビーホテルなどに預けられている潜在的な待機児童も同様であり、その数は全国で数十万人ともいわれている。

これらに対応するためには、認可保育所増設の速度を抜本的に引き上げる必要があるが、公立保育所の施設整備費・運営費補助が一般財源化されたことが、公立保育所増設の重大な障害となっている。民間保育所の増設だけでは、今後増大していく保育需要に対応することは困難であり、公立保育所の計画的整備をあわせて推進していくことが、待機児童解消にとっては不可欠である。

よって、政府においては、公立保育所の施設整備費・運営費への国庫負担金を復活するよう、強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)内閣総理大臣、財務大臣、厚生労働大臣